4.裏切り
『うわぁぁぁぁぁぁあ!!』
マイルによる能力。
その威力はマイルを中心とし半径10メートルほどのクレーターを作っていた。
「さて片付きました。
…もういいですよシドルガル。」
「お?そうか?」
シドはそう言いながら気絶したミルフィを抱え姿を現した。
「しっかしマイルの【死の音楽】は相変わらず恐ろしいな!」
「シドルガルの能力の方がえげつないと思いますが…。
ミルフィ姫は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。
ただ大きい音にびっくりしただけだと思うから。」
「そうですか。
ではここから離れましょうか。さすがに私達の能力でも将軍クラスが出てきたら苦労しますので。」
「りょーかい…っと。
じゃあマイル頼むよ。」
「はぁ相変わらずシドルガルは転移系の魔法が苦手なのですね…。
では準備します。」
そしてマイルは詠唱を始めた。
暫くし転移魔法の準備は終わった。
「さてじゃあい…「待ってくださいっ!」ん?」
シドがマイルに向けてそういった時呼び止める声が聞こえた。
「シド…。私の父さんを知っているって本当ですか⁉︎」
「シドルガル。彼女は誰ですか?
見たところ光の騎士だと言うことはわかりますが。」
「彼女はセレナ。セレナ・マーシャル。
ガウェイン・マーシャルの娘だと…。」
「ガウェインのですか…。」
「知ってるなら父さんにあわせてっ!!!」
セレナはそう叫びながら泣き崩れた。
「いいけど二度と光には戻れなくなるぞ?
覚悟はできてるのか?」
「うん!!!」
「…わかった。
マイル連れて行こう。」
「恐らくガウェインも会いたいでしょう。」
そしてシドはミルフィ、マイルはセレナを抱えマイルが作り出した闇の奥へと消えていった。
♪☆♪☆♪
「陛下〜〜〜!!」
「ええい!うるさいぞ!
で、首尾はどうだった⁉︎」
「はっ!報告によりますとマイルが闇に寝返りました!」
「なにぃ⁉︎」
「我が軍の兵たちはマイルの能力によって負傷!追跡はできなかったとの事です!」
「くそっ!!!もういいこうなったら奴を送り込め!!!」
ジルコニアは怒り狂っていた。
姫の処刑の失敗から始まりマイルの裏切り。
ここにきて戦況は大きく変わろうとしていた。
「はいは〜い!俺っちをおよびですか〜?」
「きたか…。
闇の姫とその付き人達を全員殺してこい!」
「うぃーーーーー!了解っす!俺っちにお任せアレ〜!」
そして大きな剣を背負った青年は走り去っていった。
「奴を放ったからには闇の奴らは全滅するな…」
その光景を見ていた1人の少年が呟いた。
♪☆♪☆♪
「父さんはっ⁉︎」
セレナは闇から抜け出した瞬間にシドに詰め寄った。
「まぁまて。
まだここは闇の国の領地じゃない。」
「ええそうね。」
「そうですよ。セレナ様。」
移動中に目が覚めたミルフィ。
そこで光の人間がいることで一悶着あった。
「す、すいません!
取り乱してしまいました!で、この荒れている村はどこなんですか?」
「光の国、辺境の村【サロマ】。」
「嘘ですっ!光の国がこんなに荒れている訳ありません!」
「いいえ残念ながら本当よ。」
「そ、そんな…!」
「これが今の光の国なのです。
いいですか?セレナ様、今光と闇のバランスが崩れています。その影響はもはや私達だけでは収まらなくなって来ているのです。」
「どういうことですか?」
「バランスが崩れていることによって天候にも影響が出始めているということだ。
いいか、これが光の国のやってきたことだ。
俺たち闇の国の民を無差別に殺しそこから得た魔力で主要都市の環境はなんとか保っている。」
セレナは信じられない表情で辺りを見回している。
自分の知っている土地とは全く違う光の国。
現実を受け入れようとも受け入れられなかった。
「さ、今日はここで少し休みましょう。」
セレナの心境を察したマイルがそう言った。
「待ってください。」
しかしセレナが歩き出そうとするシド達を止めた。
「なんだ?」
「父さんは?父さんは本当に生きているんですよね⁉︎」
「…あぁもちろんだ。
しっかり生きているよ。闇の国で…。」
「そう…ですか…。
わかりました!私は闇の国まで行きます!」
「では、あなたは何か魔法か能力が使えますか?」
「実は私両方とも使えなくて…。」
「気にすることはありませんよ。セレナ様。
私もそれほど使えるわけではありませんので。」
そして一行は村の中に向かって歩き出した。
「マイル、次の闇を発動させるまでどれぐらいの時間がかかる?」
「そうですね…。
あと3日あれば次のジャンプが使えます。」
「では今から3日はこの村で過ごします!
各自情報を集めたりしてください!」
最後にミルフィの姫としての命令が出た。
村の中での情報収集…それをしていく中で驚愕事実を突きつけられることとなった。