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2.奪還

広場の真ん中にそびえ立つ断首塔。

今ここで“闇の国”の姫が処刑されようとしていた…。


♪☆♪☆♪


時は少し遡る…。

ここは【自由貿易都市エルデ】の地下牢獄。

ここに捕らえられているのは“闇の国”の姫“ミルフィ・ノートリアス”。

彼女は5年前の戦争の時に捕らえられていた。


「おい!起きろっ!」

「……。」

「今日は処刑の日だ。

ハハハッ!結局誰も助けに来なかったな!」

「……。」


ミルフィは無言を貫いていた。

しかし、彼女の心の中には一抹の不安があった。

それは本当にこのまま誰も助けに来ずに自分は死んでしまうのではないかということ。


「あくまで黙秘か…。

まぁいいさ、あと少しなのだからなお前の命は!」

「…助けてください…。シド様…。」


それだけ言い残し看守は去っていった。

その背中が遠ざかっていくのと同時に彼女は自分の思い人の名前を呼んでいた。


♪☆♪☆♪


そして処刑まであと30分となったところだった。

シドは静かに動き出していた。


「待ってろよ…。ミルフィ…!」


そしてシドは断首塔の見える最前列までやって来た。

そしてそこに鉄の首輪をつけられ鉄の枷をされたミルフィが現れた。


「…ッ!」


シドはその格好に顔を歪めた。


『これより“闇の国”の姫の処刑を始める!

始めるに当たってーー』


そして断首塔の近くにミルフィが連れてこられた。

その時不意にシドとミルフィの目があった。


「(シドっ………!)」


ミルフィは死の恐怖から思い人を見たことで立ち直った。

またこの処刑は不発に終わると確信したのだ。


「…さてそろそろこのふざけた処刑をぶち壊しますか…!」


シドは静かに観衆の中から前に進み出た。


「止まれっ!

何者だ貴様っ!」

「うるせぇよ…!どけっ!」


シドは護衛の人たちを殴り飛ばした。


「出たぞー!敵だっ!」


誰かがそう叫んだ瞬間…カンカンっ!…と警鐘がならされた。


「死ねー!」「やっちまえー!」


完全にアウェーなシドは全く動じず黙々と襲ってくる敵を倒していた。


「ちっ!埒があかねぇ!

能力解放っ!“影潜”っ!」


そう言うとシドの姿が視界から消えた。


「おいっ!どこに行きやがった!」

「探せー!」

「こっちだぜ?」


するとシドはミルフィの隣に立っていた。

シドが使った“影潜”。それは他人の影の中に入り込みばれないように移動する手段。

“闇の国”にいる人なら誰でも使える能力だ。


「よっ!助けにきたぜ姫様っ!」

「遅いですっ!シド様っ!」

「おっとそう泣くなよ…。

さて俺の目的は達成された。

ミルフィ!影潜で離脱するぞ!」

「いえ。それには及ばないですよ?

だってこの枷の取れた私にはとっておきの移動手段があるのですから。」

「そうだったな!

じゃ準備頼むぜ?」

「もちろんです。」


そしてシドは護衛を近づけないためにまた戦い始めた。

そんな時だった…。


「えっ…?シド…?」

「ん?お、セレナか。」

「シドが闇の国の?」

「ま、そうだな。」

「う、うそ…。」


セレナは今にも泣きそうだった。


「あ、一ついいことを教えてやるよ。

お前の父親…ガウェインとか言ったか?」

「う、うん…。」

「生きてるぞ?」

「え?う、うそ…!」


セレナには衝撃の事実だった。

自分の肉親である父親が生きていると分かったのだ。


「シド様っ!準備できました!」

「おっ!そうか!

じゃあなセレナっ!お前とはまた会いそうな気がする!

それとお前の父さんの事が知りたかったら俺のところに来い!」

「ま、待ってよ!シドっ!」

「悪いな!今は無理だ!」


シドはセレナを振り切りミルフィのそばにたどり着いた。


「じゃ、宜しく頼むぜ!ミルフィ!」

「はいっ!行きます!

ミヤ ミヤ インテ インテ ーーー」


ミルフィの詠唱が始まった。

すると二人の目の前に闇の塊ができた。


「じゃあな!」


最後にシドがそう言って中に消えていった。

処刑に失敗した“光の国”は大混乱。

その中で一人、セレナだけは違うことを考えていた。


「おとうさんが…生きてる?

でもなんで…?なんで帰ってこないの…?」


そしてセレナは決意した。

父親の本当のことを知るためシドを追うという事を。


♪☆♪☆♪


エルデかれ少し離れた街の中。

シドとミルフィは変装用の服に着替えていた。


「シド様っ!お会いしたかったですぅ!」


着替え終わるやいなやそう言いながらミルフィは飛びついてきた。


「うおっ⁉︎

にしても5年ぶりか…。」

「えぇ…この5年は長かったです。」


2人はこの5年を思い出すかのように思い出に浸っていた。


「今日はこれからどうするのです?」

「ひとまず此処に止まってまた明日俺たちの国に向けて出発する予定だ。」

「わかりました!

ではシド様っ!一緒の部屋でねま…「却下」なんでですかっ⁉︎」

「俺はミルフィの護衛を明日もしなきゃいけない。

ミルフィと寝ると寝不足になる。

よって却下だ。」

「ぶぅ〜!」


そんなこんなでシドの姫奪還任務は成功と言う結果で幕は閉じた。

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