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1.始動

ここは光の都【自由貿易都市エルデ】の中心部。

白い髪に黒いメッシュの入った青年、シドルファス・テイルガンは一人歩いていた。


「ここが光の都か…。」


街の中は活気に溢れとても賑やかな街であった。

シドは物珍しそうに辺りを見回しながら食堂を探していた。


「うぉっ!あったぜ!飯だ!」


食堂を見つけるとシドはものすごい速さで中に入って行った。

店の中はガランとしてさびれていた。

シドは適当な場所に座ると早速注文をしご飯が出てくるのを待っていた。


「はいよぉ。お待たせお兄さん。」


ここの店の店主であろうお婆さんが運んできた。


「ありがとな!婆さん!」


そう言うやいなやシドは一目散に食べ始めた。


「お前さんはこの辺りでは見かけないけど例のあれをみにきたのかい?」

「モグモグ…いや…モグッゴクン…俺はここに仕事をしに来たんだ!」

「へぇ〜そうかい。

よりによってこんな日に来るだなんて…。」

「例のあれってはあれか?」

「あぁそうだよ…。

“闇の姫”の処刑だよ…。」

「(ミルフィ…。)」

「お前さんどうしたんだい?

顔色が悪いけど大丈夫かい?」


シドの箸は止まっておりその表情は暗く恐ろしい顔をしていた。


「ん?あ、あぁ…大丈夫だ!

んぐんぐっ!ごっそさん!」

「おや、ありがとぉ。

また来てね。」

「うまかったぜ!婆さん!」


そういい残しシドは店から出た。

そしてシドはこの街の中心にある広場へと足を向けた。


「絶対に助けるからな…。ミルフィ…!」


♪☆♪☆♪


さて場所は代わりここは光の騎士団エルデ支部。


「全員!整列っ!!!!!」

『はっ!』


現在は朝の朝礼が行われていた。


「全員いるか⁉︎」

「いえ!セレナがいません!」

「なにっ⁉︎まったくあいつは…。」


騎士団長は頭を抱えた。


「お、おお遅れました!

セレナ・マーシャルただいま参りましたっ!」

「遅いぞっ!

今日は大切な日だろうが!なぜ遅れる⁉︎」

「す、すいません!」

「まぁいい…。

よし全員揃ったな!聞け!

今日の俺たちの任務は処刑場周辺の警備だっ!

“闇の都”からの間者が紛れていると聞いた!

見つけ次第捕縛し取り押さえろ!

わかったか!」

『はっ!』

「では解散!!!!」


そして騎士団は散り散りになって行った。

そしてセレナも自分の持ち場に向かおうとしていた。


「処刑かぁ…。」


しかしセレナの表情は陰っていた。

彼女は人の死が好きではない。

それは自分達の敵側の人であろうと同じだった。

彼女が騎士団になったのは父の影響が大きかった。

彼女の父親は元騎士団長。

しかし、10年前の戦争に行ったきり帰って来なかった。

そんな父をカッコいいと思っていた彼女はいつしか自分もなりたいと思っていた。


「お父さん…。私頑張るから…。」


彼女は胸の中で静かにそう誓った。


「なぁ!ちょっと聞きたいんだけど…」


セレナがそう考えていると急に声をかけられた。


「は、はぃ⁉︎」

「うぉう⁉︎そ、そんなに驚くなよ…。

別にとって食ったりしねえよ。」

「あぁすいません。

ちょっと考え事をしていたものですから。」

「ん?そうか、

ま、いいや。それより広場ってどうやって行けばいいんだ?

俺ここにくるの初めてで迷っちまってよ。」

「広場ですか…。

あなたも処刑を見に来たのですか?」

「ん、まぁな…」

「そうですか…。

なら私と一緒に行きませんか?ちょうど私も広場の近くに行くところだったので。」

「いいのか?」

「はい!もちろん!」

「サンキュー!助かったぜ!」

「私はセレナ・マーシャルといいます。」

「俺はシドルガル・テイルガン。

シドでいいぜ!」


そして二人は広場に向かって歩き出した。


「シドはどうして処刑を見に?」

「悪いがそれは言えないな…。」

「ご、ごめんなさい!」


セレナはシドの顔色が変わるのを見てとっさに謝った。


「気にすんな!

なぁ…セレナはどう思う?この国について。」

「光の国についてですか?

そうですね…。難しいです。」

「じゃあ闇の国については?」

「私は…闇の国は嫌いです…。

だってお父さんを殺したのは恐らく闇の国だから。」

「父さん?」

「10年前です…。

お父さんは戦争に行ったきり帰ってきませんでした。」

「そっか…。」


シドは10年前の戦争の事を思い出していた。

当時8歳だったシドも戦争に駆り出されていた。

もちろん兵士として。


「セレナの父さんの名前は?」

「ガウェインです…。ガウェイン・マーシャル。」

「えっ?(ガウェイン?ガウェイン・マーシャルだって?)」

「どうしました?」

「い、いやなんでもねぇ!(確かそいつは…)」


シドは必死に脳内の記憶を探っていた。

シドの脳内には1人の男の顔が出てきていた。

かつてシドと戦いシドが敗れた男の顔が…。


「なるほどね…。」

「えっ?何がです?」

「ん?何でもない…。

それよりまだか?」

「もう着きますよ。」


そして二人は広場が見える位置まできた。


「ここまで来れば大丈夫だ!

ありがとな!」

「いえ。騎士団として当然のことをしたまでですから。」


そしてシドは人混みの中へ、セレナは自分の持ち場へと向かって行った。

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