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第18章:イヴェインの決断

翌朝。

セロスは、明らかに疲れていた。

一睡もしていない。

目の下に、隈ができている。

「セロス......」

イヴェインが、心配そうに見た。

「大丈夫か?」

「......ああ」

セロスは、頷いたが——

その声は、力がなかった。

「眠れなかったのか?」

ユリウスが聞いた。

「......眠ると、記憶が来るから」

セロスは、正直に答えた。

「だから——眠れなかった」

「それは......」

ガロウが、険しい顔をした。

「良くないな」

「体力が、持たない」

イヴェインは——

決断した。

「今日は、休みましょう」

「でも......」

「いいえ」

イヴェインの声が、厳しかった。

「あなたが倒れたら、元も子もないわ」

「今日一日——ゆっくり休んで」

セロスは——

反論できなかった。

確かに——体が、重い。

限界が、近い。

「......分かった」

セロスは、ベッドに横になった。

イヴェインが、毛布をかけてくれる。

「眠らなくていい。ただ——横になって、体を休めて」

「......うん」

セロスは、目を閉じた。

三人は——静かに、部屋を出た。


小屋の外。

三人は、小さな声で話し合った。

「このままじゃ——まずいな」

ユリウスが言った。

「セロス、どんどん弱ってる」

「ああ」

ガロウが、頷いた。

「記憶の侵食が、進んでいる」

「......私の、せいだわ」

イヴェインが、呟いた。

「え?」

「私が——もっと早く、予言の完全版を見つけていれば」

イヴェインの声が、震える。

「もっと早く——共存の方法を、教えられていれば」

「イヴェイン......」

「私は——守護者なのに」

イヴェインは、拳を握った。

「セロスを——守れていない」

「そんなことない」

ユリウスが、イヴェインの肩を叩いた。

「お前は——十分、やってる」

「でも......」

「誰も——完璧じゃない」

ユリウスは、笑った。

「俺たちは——一緒に、答えを探してるんだ」

「お前一人の、責任じゃない」

ガロウも、頷いた。

「そうだ。俺たちは、チームだ」

イヴェインは——

二人を見た。

そして——

「......ありがとう」

小さく、言った。

「でも——私には、できることがある」

「できること......?」

「ええ」

イヴェインは、決意を込めた目で言った。

「私は——守護者の一族」

「私たちには——秘伝がある」

「秘伝......?」

「心の境界を——安定させる、術」

イヴェインは、小屋を見た。

「それを——セロスに、教える」

「そんなのが、あるのか」

ユリウスが、驚いた顔をした。

「なぜ、今まで——」

「......使うべきではないと、思っていたから」

イヴェインの声が、暗くなった。

「その術は——リスクがある」

「リスク......?」

「二つの魂を——強制的に、結びつける」

イヴェインは、手を握りしめた。

「成功すれば——境界が安定する」

「でも、失敗すれば——」

「失敗すれば......?」

「......どちらかの魂が、消える」

静寂。

三人は——言葉を失った。

「それは......」

ユリウスが、呟いた。

「危険すぎないか?」

「ええ」

イヴェインは、頷いた。

「だから——使いたくなかった」

「でも——もう、選択肢がない」

彼女は、二人を見た。

「このままでは——セロスは、確実にアストラルに飲まれる」

「だったら——賭けるしかない」

ガロウが、口を開いた。

「......お前、本気か」

「ええ」

イヴェインの目が、真剣だった。

「私は——もう、失いたくない」

「リオスを——失った」

「だから——」

彼女の声が、震える。

「今度こそ——守る」

ユリウスは——

しばらく、考えた。

そして——

「......分かった」

「俺も——賛成だ」

「でも——」

ユリウスは、イヴェインを見た。

「セロスに——ちゃんと説明しろよ」

「リスクも、全部」

「そして——セロス自身に、決めさせる」

イヴェインは——

頷いた。

「......そうね」

「セロスの——人生だもの」

三人は——小屋に戻った。


夕方。

セロスが、起きた。

少し——顔色が良くなっている。

「......みんな」

セロスは、三人を見た。

「何か——あったのか?」

「ええ」

イヴェインが、セロスの隣に座った。

「話が、あるの」

「話......?」

イヴェインは——

全てを、話した。

守護者の秘伝。

心の境界を安定させる術。

そして——

そのリスク。

セロスは——

黙って、聞いていた。

やがて——

「......そうか」

セロスは、呟いた。

「それで——境界が、安定するんだな」

「ええ。成功すれば」

イヴェインは、セロスの手を握った。

「でも——失敗するかもしれない」

「......分かってる」

セロスは、イヴェインを見た。

「でも——やるしかないよな」

「このままじゃ——どうせ、飲まれる」

「だったら——賭けた方がいい」

セロスは、微笑んだ。

「イヴェイン——やってくれるか?」

イヴェインは——

涙が、溢れた。

「......ええ」

彼女は、セロスを抱きしめた。

「必ず——成功させる」

「今度こそ——守る」

セロスは——

イヴェインの背中に、手を回した。

「ありがとう」

「イヴェイン」

二人は——

そこで、絆を確認した。

ユリウスが、声をかけた。

「いつ、やるんだ?」

「......明日」

イヴェインが答えた。

「準備に、一日必要」

「明日の夜——術を行う」

ガロウが、頷いた。

「分かった。俺たちも——手伝える?」

「ええ」

イヴェインは、三人を見た。

「みんなの——力が必要」

四人は——

覚悟を決めた。

その夜。

セロスは——アストラルと、対話した。

心の中で。

「明日——術を受ける」

『......危険ダナ』

アストラルの声。

「ああ。でも——やるしかない」

『モシ 失敗シタラ——』

「俺か、あなたが消える」

セロスは、静かに言った。

「でも——成功すれば、共存できる」

『......』

アストラルは、黙っていた。

そして——

『セロス』

「何?」

『モシ 私ガ 消エルナラ——』

『ソレデ イイ』

「え......?」

『オマエノ 人生ダ』

アストラルの声が、優しかった。

『私ハ——千年、生キタ』

『十分ダ』

『ダカラ——オマエハ 生キロ』

セロスは——

胸が、熱くなった。

「......バカ言うな」

セロスは、笑った。

「一緒に、生きるんだ」

「俺も、あなたも」

「約束、しただろ」

『......ソウダッタナ』

アストラルも、笑った。

『ナラ——共ニ 生キヨウ』

『友トシテ』

二人は——

そこで、再び誓った。

共に——

在り続けると。

[第18章 了]


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