創造物との交わり
ーこれは遠い遠いずっと昔の記憶ー
「あなた様に創られた時から、どこまでも仕え、支えると決めております。」
声の主は頭を垂れ、私の方をじっと見つめている。
ーいつも無茶を言ってすまないなー
「いえ、ですが例の世界に行き、どうなさるおつもりで?」
ー世界を、その場所から見てみたいと思ったのだー
「ですが、わざわざ記憶を消す必要がありますでしょうか?」
ー私は、"人"としてその世界を見てみたいー
「.......左様でございますか」
ー私は今までたくさんのもの、こと、概念、感情、その全てを創ってきた。けれどそれは彼らにとって幸せな事なのだろうか?それを創造主である私が知らなくてどうするー
「創造物である我らはあなた様に創られたことを誇りに思っております」
ーそなたらのその感情は嬉しく思う。されどそれは私が創ったものにすぎないかもしれない。だからこそ自らを人として創り変えあの世界をこの身で感じなければならぬー
手で地球を描いていく、
ーψυχῆς μεταμόρφωσις, τοῦτο τὸ σῶμα γῆν ποιεῖν.ー
創語を唱え、自らの魂を変えていく
ーそなたらは、これから自由に過ごすが良いー
今目の前にいる彼の目は、とても寂しそうな顔をしている
「.......はっ」
そう返事をしたあと、この魂があの世界に移るまでの間、恭しく頭を垂れ、最後まで忠義を尽くしてくれた。
彼の名前はーーーー