重い過去紹介と夜の都会
重いです。
ちょっと作者のテンションが低いんです。
さて。
前回神引きして、富士山を越えて、名古屋の辺り、詳しく言えば豊田市に来たわけだが。
ここはここで人が多い。
コンセントはさすが工業都市と言えるほどたくさんあるが、
人が多くてどうしようもない。
これは本格的に夜しか動けない。
......夜まで暇だ。
と思って。
建物と建物の隙間を使って登る。
ビルの屋上、鍵がかかっていることは確認する。
鍵を開ける音が聞こえる位置で充電する。
景色いいなぁ......
ここなら当分バレない、と思う。
妹、音羽はどうしているだろうか。
今は多分知り合いが来ているはず。
家の近くにいつもお世話になっている人がいる。
もしものことがあったら頼れ、と本人も言っているから大丈夫だとは思う。
それでも、心配なのは精神面だ。
僕もそうだったのだが、お母さんが死んだときのことは覚えてないが、
お父さんが死んだときは突然だった。
事故だった。
その時、自分がしっかりしなきゃ、と思って、色々言うのを我慢していたのだが、
音羽は更にそう思ったみたいで、精神的に追いやられ、
一時的に不登校気味にもなった。
でも、おじさんは面白い人で、それに救われた。
それでも、おじさんは永眠する。
人はいつか死ぬ。
しょうがないことだし、今回は事前にお別れもちゃんとできてからのことだった。
でも、実際そうなるまで現実が認められなかった。
遺言もあった。
そこには、二人で頑張って生きろ、周りを頼れ、ちゃんと言いたいことを言え、
などのことが書いてあった。
更に、遺産の半分以上を譲ってくれた。
水道代などの手続きも、ちゃんと弁護士に頼んでくれた。
だから、今二人で生きている。
でも、悲しかった。
これから何が悲しみを隠してくれるんだろう、これから何を楽しみにしよう、
そんなときに、遺産整理をしていると、レシピがあった。
妹も僕も、料理ができなかった。
でも、レシピはそんな僕らでもできるものだった。
見つけたことに気づいたおばさんは、
「それは、おじさんが料理がうまくできないから、って言っておじさん自身が作ったものよ。」
と言ってた。
作ってみると、本当におじさんの味だった。
初めて食べたときは、音羽と二人で泣いた。
まるで、おじさんが今でもいるんじゃないか、と思わせるほどに。
だから、音羽は今でも料理をする。
今ではおじさんの味、というよりもう音羽の味、だった。
たくさん乗り越えてきた音羽でも、ついに兄がいなくなると、どこまで落ちこむかわからない。
さっさと帰らねば、という焦燥感に駆られる。
そんなことは置いといて、ついに日が暮れた。
都会だからか、夜でも明るい。
空を飛ぶしかない。
幸い、屋上をできるだけ経由して、かつカメラのレンズの反射を抑えるために、
目をちょっとだけ開けた状態にする。
......バレないといいけど。
空を飛んでいる時点で多少のリスクは承知の上、ボディが黒なのも幸運だ。
途中で、サラリーマンが上を見上げてビビったが、よく見ると泣いてて助かった。
......重いんで短めにします。
で割りと重要な話ですね。