解決と神引き
解決編×2
「はい、火事ですか、救急ですか?」
「火事」
「お名前と住所をお願いします」
名前は言えないなぁ多分自分の名前を言うと意識不明の人が通報してることになってしまう。
で、ここはどこだっけ。
建物を見ると、清涼ハイツとある。
清涼までは言えるがどうしよう。
言ってみるしかない。
「清涼」
「清涼ハイツですか」
「はい」
伝わった!
まじか。
で、これ以上は無理。
精神的に無理。
ガチャ、と受話器を戻す。
......あ!
逃げなきゃじゃん。
こんなところに怪しげなドローンがいたら怪しさ満点だ。
しばらくして。
ここまで逃げたら安全だ。
でも人通りの多い道の一本奥。
......見つかりそうで怖い。
もはや早朝と言える時刻ではない。
それでも充電しないとやばい。
......何もなかった。
そこはなんかあるパターンだろ!
と思っていた矢先。
「おい誰だこんなところに台を移動させたのは!」
割と危なかったようだ。
今度からは気をつけようと思ったが、逆に片付けてたほうが問題になりそうだ。
さて。
不思議に思ってた人もいるんじゃなかろうか。
なぜここまでバレずに来れたのか。
なんとなくここで言おうと思う。
できるだけ低く飛ぶのは前に言った通り。
それだけではなく、できるだけ歩道の一番端にある謎の石(境界ブロックというのだが。)
その車道側に行くと危ないけどバレにくい。
ないときは横道にすぐ行けるようにして移動する。
これだけでわりとバレなくなる。
あと一回屋上を渡ろうかと考えたが、いささか風が強くて。
あと、書くのはたまにだけど、ちゃんと二十分ごとに充電してます。
正直言うと、めちゃくちゃめんどくさい。
そんなことは一旦置いといて。
ここはどこなんだ。
だいたい二日間ぐらい進み続けてきた。
青看板を見ると......大月あたりか。
どこだよ大月。思い出したわ山梨ぐらいだ。
高知県民だから分からない。
昨日今日でここまでだと到着は二週間後と言ったところか。
大月。山のイメージ。
道なりに行かないとコンセントもなさそうだ。
いま見つけたコンセント(コンビニ)でできるだけ充電する。
節電していこう。
できるだけ加速して、その後慣性で飛ぶ。浮いてるために必要なエネルギーだけで飛ぶ。
これが節電になる。
リモコンでやると、できない操作な気がする。
そうしていると、一気に森を越え、都市部に来た。
都市部と言っても、ここは富士吉田市とある。つまり。
......富士山だぁ......。
これをこえるのは厳しい。
かといって越えないわけにも行かない。
そこに、トラックが通りかかった。
運転手はこっちを見る。
いつまで見てるんだよ、と思うほど長く。
ヒッチハイク......!
と思いついたが、ここから動くとなにかやばい予感がする。
どうしよう。
「お前......」
「どこから来た......」
え。
そう言われても。
そうか、そりゃあれだけ地面に座り続けていれば汚れる。
汚れていれば遠くから来たともわかるか。
でも普通ドローンに話しかけるか?
それでもまだ見てる。
試して見る価値はある。
「ひろめ市場に行きたい」
驚いたようにトラックの運転手は言う。
「ひろめ市場......?」
え、知らないの......!?
普通知ってるでしょ?
「高知県」
「ふーん。」
「どう富士を越えるつもりだ?」
......それを今悩んでんだよ。
「乗れよ。」
そういって後ろの荷台を指す。
じゃあ失礼して。
「出すぞ。」
といってトラックを出発させる。
見たところ運転手は50代。
神引きといったところか。
にしてもほんとなんで意志があるって思ったんだろ。
「おまえ、そんなことしてたらそりゃあ人にバレて最後は警察だぞ。」
わかってますよ。
「俺は前にもこういう事があったから運んでやるがな。」
......僕みたいなことになったやつが他にもいるのか.....?
どこに行ったんだ。
「そいつは逆に北海道に行くとかほざいてたな。その時も富士越えるのを手伝ったんだ。」
なるほど。
信じらんない。
おじさんの独り言を聞き続けること1時間。
「豊田市だ。俺はここに用がある。さっさと降りろ。」
あっ、はいわかりました。
ありがとうは録音し忘れた。
しょうがないから離れる。
......いやぁーよかった。
豊田市は名古屋市と近く、名古屋は奈良と近い。
これなら行ける。
一番の懸念点を超えた!
おじさんかっけぇ......!
投稿は不定期です。
多分水曜日か月曜日か日曜日。