第一章 幼馴染との再会
俺の名前は鳴宮快斗。
小学生の頃からバレーボールを始めて、ついには日本代表選手にまで選ばれた実績がある。
普段は、ビクトリーサンダーズという実業団チームでプレイしており、明日は因縁のライバルチーム、ホワイトウルフズとの闘いだ。
熱い想いを胸に、遠征先の老舗旅館に泊まったまでは良いものの、起きたら俺はなんと高校生一年生に戻っていた。しかもどうやら単純に高校生に戻っただけでなく、当時と違うところがいくつもあった。最大の違いはここが超バレーボール至上主義の世界であることである。
この物語は、元日本代表選手が再び高校生になって、バレーボール至上主義の世界で、バレーボール無双していく物語
朝起きると俺は違和感に気づく。
「誰も、、いない?」
俺は昨日の夜まで、老舗旅館でチームの皆んなと寝ていたのに、ベッドの上で一人?
もしかして何かのドッキリ、いやでも試合当日にそんな事があるだろうか?
というか待て待て待てい、これは実家の俺の部屋だ。
色々と気になる事はあるが、身体にも違和感を感じたので、部屋の姿見の前に立ってみた。元々186センチの身長だったが、今は180センチくらいだろうか少し縮んでいるし、鍛え上げた筋肉も少し落ちているようだった。
だが何より驚いたのは容姿だ。髭もなく肌艶の良い、少し幼い顔立ちの青年を鏡は映し出していた。
「こ、これは高校生の頃の俺だ」
ガチャガチャ、バタン。
「こら快斗さっきも起こしにきたのに、まだ支度できてないの?あんまり遅いと私先行ってるからね!」
この声は、忘れようもない幼馴染の井上真子である。
親同士の仲が良かったこともあり学生時代は、毎朝登校するくらいに仲が良かったが、、まだ事態を飲み込めない。ひとまず平静を装って返答する。
「ああ、ごめん。すぐ支度していくよ」
「あら珍しいのね、"なら先行けよ"とかいつもなら心無い言葉をかけてくるのに、大人になったのね。まぁ私は優しいから、何を言われても待ってあげてるつもりなんだけどね!」
やれやれと呟きながらも急いで支度をする。
その後、真子と学校まで話をして、判明したことをまとめるとこんな感じだった。
俺と真子は、海皇高校という学校に進学しており今日は入学式。
海皇高校は、日本全国でバレーボールの能力が特に秀でていると認められた者達のみが集められており、政府が直属に運営する学校らしい。
この学校はあらゆる業界にパイプがあり、成績優秀者として卒業できれば、総理大臣、官僚、芸能界など望む職業に就くことができるとのこと。
また、この世界においてバレーボールの上手さは、社会的地位に比例すると言っても過言では無いようで、超バレーボール至上主義の世界であった。俺は、この世界が元の世界によく似た異世界であることを確信する。
「だから私は、この海皇高校で1番になってバレーアイドルとして芸能界デビューするのー!」
夢がアイドル、これは俺の過去の記憶と相違ない。
確かに真子は昔から可愛かった。守ってあげたくなるような小動物感、大きな瞳でショートカットがよく似合い、天真爛漫な彼女は男女ともに人気で、一般人ながらファンクラブまであると専らの噂だった。
「快斗だって夢があるから、この学校入ったんでしょ?」
「夢は、、、一応できた。叶うか分かんないけど」
「ふふっ、なにそれ。言わないんなら、海斗の夢は栄えある私のファン第一号!これで決定ね」
異世界初日、経過1時間にして勝手に俺の夢が決まってしまった。
まぁ、この世界の常識と今までの俺について色々と聞きかなり助かっているし、ファン第一号を夢とするのは、やぶさかではないということにしておく。
残念ながら、元の世界に戻る方法は分からないが、旧友と仲良く学校に通うというのは悪くないかもしれない。どうせだったら元日本代表のポテンシャルを活かして首席で学校を卒業して、地位も名誉も富も、あらゆるもの全て手に入れてやろうじゃないか。
鬼が出るか蛇が出るか、、こうして快斗の第二の人生が幕を開ける。
第1章 以上