ヲタッキーズ129 秋葉原ヲタッキーズの冒険
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル3作をヲムニバス風にまとめて5万字超えしてみました。
お楽しみいただければ幸いです。
オムニバス第1話"ヲタ友の価値"
第1章 カフェ殺人事件
SATO司令部。心理作戦部長室。
「南秋葉原条約機構もZ世代からずいぶん変わった。昔は貴女のような傭兵って珍しかったわ」
「珍しいって…妖精の傭兵が?」
「いいえ。先頭に立つ妖精って意味ょ」
モリン・モール心理作戦部長の慎重な言い回し。
「昔、SATOのタスクは人気がなかった。貴女の仕事ぶりを知ってる。今やSATOの希望の星だわ」
「どうも」
「私のように、SATOの部長の椅子に長く座っていれば、組織は個人より上位の存在だとわかる。貴女は、テリィたん個人ではなくSATOという組織に尽くすべきだわ」
対するエアリは、必死にあくびを噛み殺す。退屈ょ…
「自分の責務は理解しています」
「あの敵性次元への情報漏洩は、ルイナの独断だったの?ソレともテリィたんの指示?」
「良いですか?テリィたんは、ルイナを惑わせたりはしません」
秒で"揚げ足取り"に転じるモリン・モール。
「では、テリィたんとルイナの意思疎通は、不十分だったと言うワケね?」
「ルイナは、テリィたん推しです。意見の相違はあっても最後は上手くコトが運ぶ。ただ、ルイナには天才としての矜持がアル」
「では、ルイナがテリィたんを振り切り、1人で動いた結果と言うコトね?」
エアリは、辛抱強く首を振る。
「いいえ。そうは言ってません」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
当のルイナは、僕の晴れ姿?にホレボレしてるw
「どうかな、ルイナ?」
「もぉ最高ょテリィたん!大成功!」
「やった!成功かな?」
ルイナのラボに持ち込んだバイクに跨り、僕は"お面ライダー"のコスプレをしている。緑の服に赤い目のマスク。
バイクの正面からは、レースクイーンのコスプレをしたスピアが、ロケで使う巨大な扇風機で僕に風を当てている。
「OK。"お面ライダー"のコスプレにより、気流は1000分の1秒改善したわ」
「その差がロードレースでは勝敗の分かれ目になルンだ」
「バイクメーカーからのリクエストで空気力学の実験なんて久しぶりだわ!」
頬を上気させてルイナはハシャぐ。彼女は首相官邸アドバイザーを務める超天才。トレードマークは車椅子にゴスロリ。
「チーム・ルイナ!ピットストップ!」
ラボのモニターに最高検察庁ミクス次長検事の顔…彼女は、僕の渋谷時代の元カノだ。自分のオフィスから電話してる。
「神田花籠町のカフェで異次元人を含む8人が射殺された。既に万世橋警察署が現場に急行してる。貴女達にも最初から噛んでもらいたいな」
「OK。ヲタッキーズにも声をかけるわ」
「ありがとう…で、ラッツ。貴方には別の話がアル」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕は、ラボの別室でミクスとアプリで通話。
「御機嫌だな、ミクス」
「まぁね」
「嫌な予感しかしないけど、どーした?」
ミクスは、誕生会の秘密企画を語るようなルンルンぶりw
「神田リバーからファーストクラスで週末のニューヨークへ飛ぶの。しかも無料ょ」
「そりゃ最高だねー。やったな!」
「向こうの大手法律事務所から面接に呼ばれた。パートナーを1人、同伴出来る。旅費はモチ、先方払い」
ちょ、ちょっち待てw
「カフェで8人死亡だろ?」
「万世橋が頑張ってる。ラギィ警部の仕事ょ。ね、私と行きたくないの?ニューヨーク。面談ナンて形だけ。夜はジャズライブにミュージカル三昧ょ!」
「おいおい。花籠町の被害者は"blood type BLUE"。異次元人絡みの事件だから、どーせラギィはSATOとの合同捜査をリクエストして来る。後でユックリ話そう」
え。意外って顔のミクスw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田花籠町の現場には、万世橋のパトカーが集結。黄色いテープで規制線が張られ、制服警官、刑事、鑑識が右往左往w
「テリィたん!カフェの中はまるで"聖バレンタインデーの虐殺"ょ。8人の内5人は後頭部を撃たれてる。処刑スタイルだわ」
「ヒドいな。動機は何だょラギィ」
「強盗ポイけど…レジのお金は手つかずなのょね」
万世橋の敏腕警部は頭をヒネる。彼女とは彼女が前任地で"新橋鮫"と呼ばれていた頃からの付き合いだ。
"舞い降りた"ヲタッキーズのエアリ&マリレと現場のカフェに入る。中は血の海。思わず眉をひそめる。
因みにエアリとマリレはメイド服。ココはアキバだからね←
「チェラ・ロウラ。ベテラン女刑事で店の常連。非番だった」
「え。ラギィの部下か?」
「署を挙げての麻薬取り締まりの時、彼女は警ら班を指揮してたわ」
元軍人のマリレがしゃがんでロウラの腰の辺りを観察。
「ホルスターのスナップを外して音波銃を抜いてるわ」
「あら残念。撃とうとしたけど間に合わなかった?」
「シェフは包丁を出したけど音波銃にはかなわなかった」
通路に包丁を握りしめたシェフの遺体。
「ラギィ。コチラの男性は?」
「ソレが所持金も身分証もナイのょ」
「シェフに続いた勇敢な客って感じ?let's roll的な?」
ラギィ警部の案内で奥の廊下に進むと…遺体が数体折り重なる凄惨な殺人現場だw
「5人は、この廊下に連れて来られて処刑されました」
「コチラの人、ローレックスしてるわ」
「どーやら、金やブランド品目当ての犯行ではなさそうね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
何と現場に警視庁の諜報官が顔を見せる。
「私は、外事諜報課のシュミ・メット」
「所轄のラギィょ」
「迅速な捜査に感謝する。ロウラは、諜報課にいた時の私の部下だった。優秀な部下だったが…こんな最後はムゴ過ぎる」
シュミは、180はありそうな長身。
ソコへ、店内で何かモメる物音が…
「あ。通してくれ、私が呼んだ」
「そうょ。この御紋が目に入らぬか!」
「スピア?」
何と殺人現場にレースクイーン?まぁ既にメイドが2人w
で、レースクイーンのコスプレの上に貼られたワッペン…
「警視庁外事諜報課のワッペンょ。ルイナのSATOの処分を知って、私達に桜田門が声をかけて来たワケ。条件はポリグラフにパスするコトだけだったわ」
「あのさ。せめて僕に話せょ」
「さっき召集されたのん!」
慌てて取りなすシュミ。
「万世橋の鑑識が現場検証の時間を取りたいそうだ」
「被害者達がカフェのどの席に座っていたかは、凝集性モデルでわかるって、ルイナが」
「今度はルイナかょw」
既にスピアのスマホ画面にルイナが映ってる。
「例えば、大学のカフェテリアでは、学生が座る席は最初に来た集団に左右されるでしょ?先ずチアリーダーが来る。そして、運動部。当然彼等は、チアリーダーのそばに行く。次に来るのはアニヲタね。いじめられないように、運動部から遠い席に着く。カフェでも、トラック運転手は1人でカウンター。老婦人はジュークボックスから遠い席」
「そして、カップルはボックス席!」
「その通り。カップルって死語だけど…凝集性モデルを被害者達の特徴に当てはめ、属性を絞り込めば、各自がどの席に座ったか自ずと見えてくるわ」
珍しくわかりやすいルイナの説明w
「え。何だょラギィ」
「ウチの上の方がカート・ヤーグに会いに行けって…でも、私は苦手なのょね。SF映画専門の映画会社"銭洲スタジオ"のやり手社長ナンだけど、大物スターや政財界に顔がきくって噂ょ。ヲタッキーズの方で相手してくれない?ホラ、合同捜査の岩崎ヨシミで。じゃ大至急」
「え。岩崎良美?友人と結婚したけど…」
第2章 凝集モデルの結論
晴れた日の銭洲スタジオは華やかだ。アチコチに宇宙人やスーパーヒーロー、怪獣や宇宙服の俳優がウロウロしてる。
"クリアランス16"の大物搬入口。
「万世橋のロウラ刑事が今朝殺されたって?」
「早いな。名前は公表してないし」
「この街の情報源はニュースだけじゃナイ」
カート・ヤーグ社長は、アラフォーで脂の乗り切り男子。
「実は、2年間ロウラには脅迫されてた。奴は、桜田門の外事で長くスパイをしてた」
「脅迫されてたのか?」
「YES。しかし、警察には相談出来なかった。罪は犯してないが、ココまで登り詰めるには、色々恥ずかしいネタがあってね」
頭をポリポリ掻くがネタが何かは逝わない。
「ん?もしかして、そのファイルを探せと?」
「俺に貸しをつくるには絶好の機会だぞ」
「実に興味の湧かないオファだ」
やり手社長は鼻で笑う。
「"貸し"は、誰にでも必要だ。君のボスも、俺のために動いた。だから、こうやって俺達は会ってる」
逝うだけ逝って、スタスタ歩き去るカート・ヤーグ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部で捜査会議が開かれる。
「じゃ警部は、犯人の狙いはロウラだったと?」
「だって、マリレ。カートには彼を殺す動機がアル。殺し屋を雇ってロウラを殺させ、その巻き添えで7人が死んだのょ」
「とりあえず、ヲタッキーズは殺されたタクシー運転手の動きから調べてみるわ」
ヲタッキーズは、僕の推しミユリさんが率いるスーパーヒロイン集団で妖精のエアリとロケットガールのマリレがいる。
「マリレ。ロウラには2人子供がいたの」
「コッチのウェイトレスには4人。シングルマザーだったのね。ソレから殺されたシェフ。車椅子の父親の面倒を見てたそうょ。ロウラは刑事だというだけで、特別なワケじゃナイわ」
「警察では、刑事殺しは最重要事件なのょ」
エアリは、慎重に言葉を選びながら断言。
「殺された8人にとっては、等しく重要な事件なの」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ラボで無邪気に歓声を上げるルイナ。
「万世橋と言い外事諜報課と言い、警察って素晴らしい組織だわ!SWATや電気街に密接した組織づくりに薬物防止教育の先駆者でもアル」
「最近では"ドラグネット"の主人公も警官ょね?」
「YES。彼のバッチ番号714は永久欠番になったのょ!」
相棒のスピアとキャピキャピ話す超天才ルイナ。
「街で売ってる怪しい薬にも同じ番号が刻印されてるらしいわ…あ、深くは聞かないで。使ってナイわょ私」
「楽しそうでよかった。ルイナ。貴女、輝いてる」
「輝いてる?うーん"分子の再配列"とでも言うべきかしらね」
ココでスピアのPCがpeepと鳴る。
「ルイナ、解析結果が出た」
「OK。テリィたんに連絡しましょう」
「違うでしょ。外事諜報課のシュミ・ミットさんょ」
思い切り残念そうな顔のルイナ。
「そっか。そーだったわね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
御屋敷のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くて(僕含むw)常連が沈殿、回転率が落ちて困ってるw
「ロウラに脅迫されてたのなら、カートが第1容疑者ね」
「警視庁の外事諜報課って知ってるか? 」
「CIAのようなモノ。過激派に潜入したりして、ヤリ過ぎだという声もあった。その後、職務を逸脱、スキャンダルも起こして改組されたって聞いてたけど…政治家や役人、文化人や財界関係者の秘密ファイルを集めてたって噂ょ」
ソンなコトをマジでやってたのかw
「まるでFBIだな」
「ロウラの銀行口座を開示するよう令状を取ってる。カートの証言の真偽が直にワカルわ」
「そっか」
あ、話の相手は次長検事のミクスだ。渋谷時代の元カノなので、カウンターの中のミユリさんは警戒態勢だ←
「ラッツ、忙しそうね。何だったら面接は1〜2週間伸ばしてくれるわ」
「ニューヨークの話?でも、どうせ別の用事が出来るし」
「令状を確認スルわ」
顔を曇らせお出掛けするミクス。
一部始終を見ているミユリさん。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「凝集モデルによって、被害者の座席位置を確認出来たわ」
捜査本部のモニターに、カフェの見取図が映し出される。
被害者のサムネイルがそれぞれが座っていた座席を明示。
「ルイナってスゴいな。SATOの処分には感謝しかナイ。でも、7人分か?被害者は全部で8人だが」
「そうなの、シュミさん。被害者3番のロバト・アバスは何処にも収まる場所がナイ」
「ソレどーゆー意味?」
ラボからリモートで解説するルイナ。
「再び大学のカフェテリアに話を戻すわね。学生がそれぞれの席に座ってる。でも、転校生は友達がいないから、何処に座るべきか迷う」
「つまり、アバスはウロウロしてたってコト?」
「YES」
ソレを聞き、ラギィは重要情報を明かす。
「被害者番号3番ロバト・アバスの手からは発射残渣の硝煙反応が検出されてる」
「え。どの程度?」
「ウチの鑑識が言うには7発程度」
自分を除く被害者数に一致w
「でも、彼が犯人なら銃は?」
「現場からは出てないわ」
「ソレに…そもそも誰が彼を殺したの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
1時間後。
「警部!ロバト・アバスの素性が割れました。10週で警察学校を中退してます」
「クスリでクビになったらしいわ」
「だから、知識と腕を活かせる裏稼業に鞍替え?ヤーグ社長に雇われてロウラを殺したとか?」
部下の妄想に苦笑するラギィ。
「ソレで気が咎めて本人は自殺。そして、彼の銃は静かに店のドアから出てったとか?ねぇアバスは、いつ警察学校をクビになったの?」
「2015年です」
「ロウラが卒業した年だわ。薬物検査で引っかかった男が、警察学校のカフェテリアでベテラン刑事のロウラと仲良くお茶してたとは思えないわ」
ラギィは頭をヒネる。
「ロウラの情報屋だったんだわ。多分」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部にはヲタッキーズも詰めている。
「エアリ。通報は何時だっけ?」
「えっと散歩中の女性が銃声を聞いて…5時30分に通報したみたいね」
「その頃、刑事のロウラが4度も同じ番号に電話してるわ。最初は5時20分。最後が5時28分」
本部のモニターには、電話会社が任意で提出したロウラの電話履歴の画像が映っている。
「アバスの目を盗んで発信したのね?しかし、4度も?」
「銃撃戦が始まる直前だわ。誰に電話してたのかしら?」
「なぜか警察ではなくリンタ・ポッタ。神田山本町在住」
第3章 魔性のイケメン
エアリとマリレがワンルームマンションのドアホンを押す。薄くドアが開いて、人懐っこい顔のイケメンが顔が現れる。
「ヲタッキーズです。私はマリレ。コチラはエアリ」
「え。僕、何かしちゃったかな?」
「いいえ、未だょ」
リンタ・ポッタはイケメンだ。ニコリと笑う。
「ヲタッキーズって、ホントにメイド服ナンだね。メイドさんを外に立たせるワケには行かないな。さぁ中へどうぞ」
顔を見合わせるマリレとエアリ。
「万世橋警察のロウラ刑事とは面識が?」
「だから、来たんでしょ?でも、俺は8人も殺してナイょ」
「でも、ロウラは死ぬ直前に4度も貴方に電話してるわ」
慌ててスマホをイジるイケメン。
「ホントだ。メッセージがナイから気がつかなかった」
「昨日の朝5時、どちらに?」
「ソファーで眠ってた。"シン・ウルトラマンタロウ"を見てて寝落ちした。えっと、ロウラとは去年出逢って、軽くつきあった」
涼しい顔でスラスラ話すイケメン。
「刑事が殺される前に、通報もせズ、貴方に4度も電話してるのょ?1度も気づかなかったワケ?」
「ふだんスマホは切ってる。必要な時しか使わない」
「ふーん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、捜査本部のギャレー。僕は、ココのパーコレーターで淹れた薄いコーヒーが好きだ。濃い珈琲は、鼻血が出るw
「ミクス。転職したかったのか?」
「わからない。ただ可能性を探ってるだけ。せっかくハーバードのロースクールを出たんだし、もちょっと年収を稼いでもバチは当たらないかなって」
「ニューヨーク逝きは、チャンスだね。ただ、僕は…」
一緒にコーヒーを飲んでるのは検察庁のミクス次長検事だ。国際的な大手法律事務所から引き抜きの話が来てるようだw
「なになに?私に何か?ねぇ話して!」
「その、何て逝うか…」
「テリィたん!予備の弾道検査の結果が出たって。被害者全員が同じ9mm銃で撃たれたらしい!」
マリレがギャレーに飛び込んで来て慌てて"離れる"僕達←
「全員が同じ銃で?」
「YES。未だ予備検査だけど…ソレから、使われた弾丸だけど、全て警察専用の刻印の入った弾丸だったらしいわ」
「じゃ発砲したのは女刑事のロウラか?」
ミクスが尋ねる。現場にいた警察官はロウラだけだ。
「あれ?でも確か、硝煙反応が出たのはロバト・アバスだけだったょね?」
「警察学校中退のジャンキー?」
「でも、警官でもないのに、なぜ彼が警察専用の弾丸を?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
早速、捜査本部にいるシュミを捕まえ詰問だ。
「わ、ミクス次長検事!何でココに…わかった。所轄やSATOには話せない事情があった。実は、ロバト・アバスは外事諜報課の情報屋だ。事件の時は極秘任務に就いていた」
アッサリ重要情報を明らかにするシュミ・メット。
やはり、一緒に来てくれたミクスの存在は大きい。
検察は、無条件で警察を威圧スル←
「その情報屋のアバスはカフェで何をしてたの?」
「ソレが…彼は、実はロウチ刑事とは親交があった。ただの情報屋との関係を逸脱スルような…」
「ソレは、男と女の関係ってコト?じゃ2人は逢引き中に、たまたま事件に巻き込まれたワケ?」
何という不運…ってか、御愁傷様←
「恐らく。ただ、そう簡単に殺される2人じゃない。恐らくロウチが撃たれ、アバスが反撃に転じて、犯人に発砲したんだと思う」
「(ソレ早く教えてょ)で、被疑者の見当は?」
「デレク・ブロクだ。銀行強盗でロウチに捕まり、蔵前橋(重刑務所)に7年服役した。公判では、アバスが裁判で証言している」
直ちにマリレがデータベースに照合スル。
「デレク・ブロク。"blood type BLUE"異次元人だわ…3ヶ月前に保釈され、その日のうちに"リアルの裂け目"の向こう側に強制送還になってる」
「何が"向こう側に送還"だ。昨夜、ウチの外事2.5課が奴の女を神田佐久間町で捕まえたバカりだ」
「女がいるなら、奴も秋葉原にいるわね」
外事諜報課シュミ・メットがヤタラと手際良くまとめる。
「デレク・ブロクは、ロウチを追ってカフェにたどり着き、ソコでアバスとも出くわし殺した。その場の目撃者も始末して合計8人を殺した…としても不思議は無いな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ルイナ。警視庁外事諜報課の顧問の仕事、楽しそうだな(SATOの顧問の時よりw)」
「そぉ?でも、実は自分でも驚いてる。秋葉原の仕事が、こんなに恋しくなるナンて。"リアルの裂け目"関連の犯罪現場とかね」
「そりゃマズいな。立派なヲタクだ」
僕は、心底良かったと思う。しかし、ルイナは…
「SATOのモリン・モール心理作戦部長が容赦ナイの」
「彼女には、真実を話せば良いさ」
「でも、私のせいでテリィたんを追い込んでナイ?第3新東京電力でのキャリアを台無しにしたって」
あれ?ルイナは何処まで知ってルンだ?
「僕のコトは大丈夫さ。機密情報アクセス権を取り戻せょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。当のモリン・モールはマリレを締め上げてるw
「ヲタッキーズのマリレ。元軍人の貴女なら、規律の重要性はわかるわょね?」
「中尉曰く"唯一の規則は迷ったら撃て"だったけど…」
「貴女はルイナを支持するの?」
レトリックだわ…辟易するマリレ。
「そーゆーワケではありません」
「でも、彼女が規律を破ったのは事実ょ?」←
「軍人なら規律を守って死ぬコトもアルでしょう。でも、ルイナは"単なる天才"です。軍人じゃナイ。そして、秋葉原は今まで何度も彼女に助けられて来ました」
ソレを聞いて、モリンはPCをピシャリと閉じる。
「彼女は、規律を破った。先ずソコから始めましょう」
未だやるの?…ウンザリするマリレ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
2時間後。SATO司令部。
「エアリ。もうSATOの心理作戦部長サマとは話した?」
「モチ。ママに叱られた3才の時を思い出したわ」
「私なんか、あと5分でヒトラーの暗殺を認めてた」
マリレは、1945年の陥落寸前のベルリンからタイムマシンでアキバに脱出した"時間ナヂス"だ…あ。彼女は国防軍w
「ただの勘だけど…あのリンタ・ポッタってイケメン、何か隠してる気がスルの」
「あら。イケメン引力に取り込まれた?ストーキングとかしないでょw」
「万世橋の資料に拠ると、本名リンジ・ファマ。何とスゴ腕の結婚詐欺師ナンだけど売春の前もアル。しかも、検挙したのはカフェで一緒に殺されたロウチ刑事…」
司令部のモニターに防弾ベストを着たラギィ警部が映る。
「ヲタッキーズ。デレク・ブロクの女が彼の居場所を吐いたわ。来る?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
現場は神田リバー沿いの廃屋だ。
「万世橋のSWATと外事諜報課で正面は固めた。ヲタッキーズは?」
「マリレ?」
「OK。ヲタッキーズ、裏口はクリア」
無線からラギィの声。
「閃光音響手榴弾の投擲まで3, 2…万世橋警察署!万世橋警察署!」
「動くな!手を上げろ!」
「逃げても無駄だ!」
廃屋内に稲妻が光り同時にガラス窓を割り、半裸の男が2人、飛び出して来るw
1人は着地で足を挫き、倒れたトコロをエアリに捕まる。メイドに捕まる強盗←
イマイチ情けないw
「待て!」
もう1人は神田リバー沿いの道を逃走、通りかかったハシケへとジャンプするw
追うマリレは、ロケットガール装備でハシケに文字通り飛び移り音波銃を抜く!
「ヲタッキーズょ!動いたら撃つ!」
ところが、先に銃声がして、男はユックリと倒れるw
マリレが振り向くと河岸で拳銃を構えるシュミの姿←
「何で撃ったのょ?!」
「メイドさん、命を救ってやったのに礼の1つもナシか?」
「ギブアップしてたわ」
しかし、シュミ・ミットは意に介さない。
「銃に手を伸ばしてた…だが、おめでとう。ヲタッキーズがカフェ殺人の犯人をつかまえた!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の捜査本部。
「マリレ。シュミ・ミットのファイル閲覧を申請したって聞いたけど…」
「ええ。合同捜査だから、SATOにも彼が関わった発砲事件の資料を請求スル権利はアル」
「YES。モチロンあるわ。でも…マリレの命の恩人でしょ?」
ラギィは遠回しに迷惑だと逝っているw
「命の恩人?ラギィは現場を見てたの?」
「あらあらあら。どーしたの?」
「別に」
ヲタッキーズの同僚エアリが割って入る。
「待ってょ。そうは見えないわ」
「ヲタッキーズのお2人。デレク・ブロクの家から出たアバスの銃と被害者が撃たれた銃とが一致した。警官を取り調べるようなマネは控えて頂戴。お生憎様ね」
「ラギィ。一方で、死んだロウラ刑事とアバスは、1500万円以上の金を隠し持ってた。そして、2人ともシュミットの部下で殺されてる。私達はSATOょ。警察だって取り締まるわ。そのつもりで」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、SATO司令部に併設されてるルイナのラボ。
「そもそも警察やSATOへの捜査協力は、テリィたんの気を引くためだった。だから、暫くお休みスルわ。だって、今の私は犯罪ヲタクになってる。ゴールドバッハの予想の素数を考えるべき時に殺人事件の増加を心配してる」
「そぉね、その通り!」
「それにアダマール行列のパターンではなく強盗のパターンを分析してる」
無責任な相槌、いや、合いの手?を入れるスピア。
「心の底から同感スルわ」←
「オイラー・マスケローニ定数を140万64桁まで出したけど、ホントに有理数なのかしら」
「コード211って何?美味しいの?」
話は噛み合ってナイが、ソレゾレが納得←
「私、ココで終わりにして1から考え直すべき時ょ!」
「ソレでこそ超天才!」
「何件もの捜査協力より、1つの定理の方が役に立つ。グラフ理論で腎移植に貢献した実績もアル。何千人もの命を救えるカモ!」
ココで相棒ハッカーのスピアが鋭く突っ込むw
「ルイナ。貴女、ホントは…怖いのね」
「バレた?実は、ビクビクなの。SATO顧問の頃、私は無邪気に捜査に熱中してたけど、私のせいでヲタッキーズが仕事を全て失うかもしれないと思うと…」
「大丈夫ょ。何とかなるって」←
ルイナは唇を噛む。
「いつもテリィたんは、私の犠牲になってきた。テリィたんは、後悔して無いと言うけど、私は後悔してる。もう2度と繰り返したくない」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マリレは、イケメンを訪れる。
「ロウラに逮捕されて、貴女は彼女の情報屋になった。そうょね?」
「彼女は俺を守ってくれた。そんなの初めてだった。でも、俺にとっては、全て過去のコト。東秋葉原でスニーカーショップを開くンだ。融資に支障が出たら困る。なぁコレって融資の審査に響くと思うか?」
「真実が聞きたいの」
正面から見据えるマリレ。フト遠い目になるリンタ。
「ロウラは、俺に夢中になって、挙句に離婚スルとか言い出したンだ。重過ぎるだろ、ソレって」
「つまり、貴方には1線を越える気はなかった?」
「あのさ。俺達の人生は、いつだって綱渡りだ。良い時もあれば、悪い時もアル」
女を惑わす、リンタのクールな眼差し…
「その中で、俺達は必死に生き抜くのさ。上手くバランスをとりながら…」
「ねぇ最後にロウラに会ったのは?」
「いつまで質問スル気だい?」
リンタは、マリレの首に手を回し、唇を近づけ…キス。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「ラッツ。ロウラがヤーグを脅迫してたのはウソじゃなかったわ」
「お?ロウラの預金口座の明細か。サスガはミクス次長検事サマだな。何処で手に入れた?」
「国税庁からリクエストさせたら銀行が開示した。ボタンさえ押せば扉は開く。アバスにも同程度の金額の預金があったわ。発覚を恐れて、複数の口座に振り分けてたけど…どんなに裕福でも脅迫されていたのならヤーグに殺人の動機がアルわ」
カウンターの中でミユリさんが(恐らく)聞き耳を立ててるw
「ヤーグ社長は、どーしてもファイルを回収したいんだろうな…ニューヨークには?」
「明日の最終便で飛ぶわ。私1人で」
「モリン・モールの呼び出しさえなければな」
鼻で笑うミクスw
「ラッツが来ないのはわかってた。もうヤメましょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
撮影所の構内はカートで移動だ。ゴルフ場みたいw
「ヤーグ社長。ロウラの情報屋アバスと面識は?」
「誰だ?知らないな」
「またトボけて。彼の口座には、社長が振り込んだ800万が入ってた」
ニヤリと笑うヤーグ社長。
「だから、脅されてると言っただろ?」
「何で警察に訴えなかった?」
「おいおい。ソンなコトしたら、たちまち俺の秘密がバラされちまう…ソンなコトより、俺のファイルは?」
自らカートを運転しながら尋ねるヤーグ。
「見つける気が湧かない」
「おいおい。じゃあ今日は何しに来たんだ?」
「社長は2人とトラブってた。だから…」
カート・ヤーグ社長は、カートを急停車させ吠えるw
「俺が犯人なら、とっくにファイルを取り戻してる!お前に頼んだりスルものか!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。万世橋の捜査本部。
「エアリ!デジタル記録ょ。無線、モバイル端末、メール、報告書…ロウラとアバスに関係するモノは全て集めたわ」
「警部自ら書類箱を持参?感激ょありがとー!しかし、ソレにしても手が早いわね」
「元カレに頼んだ。実は、後でゲイだとカミングアウトされてケンカ別れ」←
チョロリと舌を出すラギィ警部。
「あのね。私が間違ってたとは思いたくないんだけれど…ただ、恐喝がホントなら…」
「わぁ!ホントにスゴい量だわ!スーパー倍速で目を通すけど、今宵は徹夜になりそうょ」
「エアリ。あのね。今、本庁には、こーゆーのをアッという間に分析出来ちゃう人がいるのょ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田花籠町。ベッドに横たわる全裸の男女。
「尋問の最後は、いつもこーなるのかな?メイドさん」
「…いいえ。こんなの初めてょ」
「きっかけは?なぜヲタッキーズに?ソレより…なぜ軍人になったんだい?」
聞き上手なイケメン。しかも、全裸だ。乙女の理想←
「リリーマルレーンょ」
「ララ・アンデルセン?生まれた時にはいなかっただろ?」
「10才の時、骨折してひと夏レコードを聞いて過ごした。何度も何度も繰り返して聞いたわ…ねぇ。なぜロウラは、4度も貴方に電話をしたの?」
イケメンは、半身を起こしマリレの裸の胸を見つめるw
「質問するために俺と寝たのか?メイドさん」
「北アフリカ戦線では、21時57分のベオグラード放送から流れるリリーマルレーンをイギリス軍も聞いてたのょ」
「…俺は"トブルクのネズミ達"かょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同じ夜。"潜り酒場"。
「超高層ビル最上階の御屋敷か…地上の喧騒を忘れられるわ」
「最近どうなの?」
「…私、ニューヨークに行くカモ」
カウンターを挟みミユリさんと…ミクス。今カノvs元カノw
「大手の法律事務所からヘッドハンティングされてる」
「貴女の資質に見合う飛躍のチャンスだわ」
「でも…ホントは行きたくない」
メイド服のミユリさんはグラスを拭きながら問う。
「そう伝えたの?…テリィ様には」
「ソレが、その、あの、ハッキリとは」
「おつきあいの仕方は変わらないのね…昔から」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌朝のSATO司令部のギャレー。
「マリレ!こんなトコロでモーニングコーヒーを?昨夜は徹夜?秋葉原に捜査網でも敷こうかと思ってたわ」
「エアリ。リンタの家に行ってたの」
「へぇ彼氏は何て?」
答えがナイ。カップにコーヒーを注ぐエアリの手が止まるw
「昨日と同じメイド服?まさか、殺人事件の重要参考人と寝たの?」
「…しくじったわ」
「しくじるドコロじゃナイわ!大失策だわ!最悪ょ!」
ギャレーの隅に連れ込まれるマリレ。
「これキリょ。ただの判断ミスなの」
「最悪のミスでしょ!」
「でも、カレは事件に絡んでナイ…と思う」
エアリは天を仰ぐw
「呆れた人ね!寝たばかりのアンタが言うコト?もう、彼に近づいちゃダメ!ソレが無理なら、絶対に彼を近づけナイで!OK?」
足音も荒く歩き去るエアリw
第4章 警察の敵は警察
同時刻。万世橋の捜査本部。
「徹夜でデータ分析したわ。"隠れマルコフモデル"で結果が得られた」
「隠れ…何?ソレ、美味しいの?」
「機械学習のコトね?」
ルイナのアプリ経由でのプレテに、同じくアプリで参戦しているミクスが直ちに反応、ラギィ警部の度肝を抜く。
「わ、わかるの?」
「いいえ。でもラギィ、貴女も少しは慣れたら?」←
「…3Dステレオグラムを想像して。例えば、何の変哲もないキャベツ畑。でも、じっと見つめて視点を遠くに移すと、隠された別の絵が浮かび上がる。同じように、ココにある情報も警察活動の結果に伴うデータの寄せ集めに見える。でも、立体画像のようにデータを繰り返し何度も眺めると、隠れたパターンが見えてくる。ロウラは、いつもココを巡回してた。どのシフトも5〜8台のパトカーがいてロウラはA14号車。応援の要請が入らない限り、この区域から出ない。そして…いつもココから通報が入る」
本部のモニターに写る東秋葉原の地図に赤い点が出現。
「ヤーグ社長の銭洲スタジオだわ。いつも何がしかの通報がアル」
「そして、応答するのは決まってロウラ。受け持ちエリア外なのに、常に近くにいる」
「通報が来るのを知ってて待ち受けてる」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜も捜査本部は眠らない。
「週に1度ヤーグ社長が通報し、無線司令は、いつも近くにいるロウラに対応させる」
「ロウラは、銭洲スタジオで誰にも見られズに現金を受け取る。証拠はナシ」
「そして、通報に"対応"した後、ロウラは、必ずコード7、つまりランチを取って、外事諜報課の刑事と合流してる。ソレが…」
ラギィ警部が唸る。
「ソレがシュミ・メット?ヤバいわ。警察の敵は警察だったワケねw」
「黒幕は彼です。シュミ・メットは、金を取り立てるリクスを回避しロウラに"受け子"をやらせてた」
「でも、2週間前は2日で3回も自分で出向いてるわ」
ラギィ警部が推理スル。
「ロウラ達とお金を山分けスル気がなくなったのね。何か借金でも抱えたのかしら。上がりを独り占めスル事にした。さらに、ファイルの買い取りと引き換えにヤーグ社長に大金を要求スルことも考えついた。ところが、実際にファイルを持っているのは…」
「ロウラだった。ソコで、シュミはカフェでロウラとアバスにファイルを要求したが…」
「拒否されて2人と、反撃して来たシェフを殺した。さらに、アバスの銃で5人を撃ち、目撃者を消した?」
捜査本部がシンと静まり返る。ラギィがつぶやく。
「さて。この仮説をどう立証するかね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
銭洲スタジオの試写室。フワフワのソファに長身を沈め、サイドテーブルのブランデーを注ぎ煙草をふかすヤーグ社長。
「ヤーグ社長。毎週毎週、窃盗や器物損壊、不法侵入で警察に通報してますね?」
「ん?リアルのメイド服か?女優かと思った…多額の税金を払ってるんだ。警察を呼ぶ権利はアルだろ」
「なぜか毎週、カフェで殺されたロウラ刑事が駆けつけてますね」
ウンザリ顔のヤーグ社長。
「…だから、脅迫されてたと言っただろ?」
「2週間前、シュミ・メットが来ましたね?」
「メイドさん、余りでしゃばるな。首相官邸に連絡するぞ」
ムーンライトセレナーダーが前に出る。僕の推しミユリさんがスーパーヒロインに変身した姿だ。
「もう連絡したのでしょ?彼は、最高検察庁に電話した。そして…潰された。御友人を無くされましたね」
「シュミがファイルを手に入れると約束したんだ!ただし、方法までは聞いてない。だから、彼がしたコトは、私の責任じゃない」
「わかってます。だから、協力してくださいな」
ヤーグ社長から聞くべき言葉はゲット。もう十分だ。
「協力?8人も殺した刑事に不利な証言をしろと?そんなコトしたら、俺が9人目の犠牲者になる…そもそも、起訴材料が揃ってナイから証人を探してルンだろ?他に証拠がアルなら、今さら俺に頼る必要もナイ」
社長は忙しげにインターホンに告げる。
「シーン7、回してくれ」
「はい。直ちに」
「さ、仕事だ。どいてくれるか、メイドさん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室で煙草に着火するシュミ・ミット。
「貴方は、8人もの人間を殺したのね?」
「おいおい。情報源は銭洲スタジオのカート・ヤーグだな?SF映画専門スタジオの社長は、想像力だけは豊かだ」
「彼をユスッていたわね?」
桜田門エリートの取り調べだ。ラギィ警部自らが行う。
「所轄がヤーグ社長に証言させられるか?奴は、永田町のお友達との脱毛に忙しいぞ」
「ロウラは、アンタが欲しがってたファイルを持ってなかった。ソレが彼女の不幸」
「何の話だ?俺は手錠されてないし、組合の代表もいない。どーやら俺を起訴に追い込む材料は持ってナイらしいな。所轄が本庁職員にカマをかけても無駄だぞ。私だってこの世界は長いんだ」
ラギィ警部は、全く動じない。
「へぇそうなの。で、懲役20年はどう?30年は?終身刑はどーかしら?」
「私は任意で出頭してる。だから、任意で去るコトにスルょ。さよなら」
「薬殺刑のチオペンタールが血管を流れる時、ヒヤッと冷たいそうょ。楽しみに待ってて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
別室で取調べをモニターしているヲタッキーズ。
「あらあら。やっぱりシュミ・メットはファイルを持ってなかったみたいね」
「それじゃお金も入らズ、シュミは相変わらズ金欠のママだわ。どーにかしてファイルを手に入れ、お金をゲットしないと」
「しかし、何でロウラは焦ってたのかな。ナゼでしょ姉様」
ムーンライトセレナーダーがつぶやく。
「4度の電話は、ファイルの回収のためかしら」
「なるほど!ところが、ファイルを預けた相手が電話に出なかった?」
「多分ファイルはリンタ・ポッタのトコロね。ラギィに令状を取ってもらいましょ」
ムーンライトセレナーダーはラギィ警部に連絡。
その間にエアリは、マリレに小声で耳打ちスル。
「令状が出るまで動いちゃダメょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。ルイナのラボ。
「そんな不安そうな顔を見るのは久しぶりね。起訴は取り下げられたし、友達も救えた。もっと自信を持って、ルイナ」
「スピア…私が機密アクセス権を取り戻すコトが、ヲタッキーズが仕事を失うコトになりかねナイ。辛いわ」
「ソクラテスみたい。死刑宣告を受けたけど、信じるモノを全て否定すれば、生き残れる可能性が十分にあった」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
モリン・モールSATO心理作戦部長室。
「…では、ルイナ。時に、テリィたんの規律を無視した行動も致し方なかったと?」
「テリィたんだけでなく、ヲタッキーズのみんなを間近で見て学んだコトです。ソレは、自分の命を賭けて秋葉原を救う姿。確かに、時にSATOの規律を乱すコトがあったとしても」
「例えば、テリィたんが勝手に異次元人捕虜を釈放したコトがあったわ。事件番号β-246537。この時、テリィたんは…」
ルイナは車椅子の中でウンザリする。
「この面接は、私の機密情報アクセス権に関する審査じゃないんですか?」
「私だって悪党をやっつけたい。でも、異次元人少女の売春や児童ポルノで稼ぐ連中にも手を上げなかった。我慢したの。従うべき規律が禁じてるからょ。規律が権力乱用を防ぐの。私達は、秋葉原を守ると誓った。そのためには、規律が必要なの」
「"クリトン、アスクレピオスに鶏のお供えを。忘れずに借りを返しておくれ"」
まるで詩を朗読スルかのようなルイナの言葉。
「な、何なの?」
「私には、テリィたんとヲタッキーズを売るつもりはありません。車椅子だからって見くびるな」
「テリィたん自身が蒔いた種なの。彼は、ますます暴走して取り返しがつかない。もう取り繕えないの。彼を助けてあげて」
「決定を待ちます。貴方の判断は尊重します。どーでアレ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
ウキウキと御帰宅して来るのはリンタ・ポッタ。
カウンター席に座っているマリレの耳元で囁く。
「電話ありがとう。会えるとは思ってなかった」
イケメンはメイドの顔を覗き込む。
息がかかる距離で、笑顔が弾ける…
「…あれ?挨拶もナシ?どーしたの?」
「リンタ。貴方は初めて会った時からウソをついてた。でも、オトボケは終わりょ。貴方は殺人を幇助した」
「おい!俺は、犯罪者じゃナイ。ヤメろょもっとメイドらしく振る舞え」
顔色ひとつ変えないマリレ。カウンターの中では、メイド長のミユリさんが静かにグラスを拭く。他に御帰宅はいない。
「何だょ!このロクデナシ!」
捨て台詞。お出掛けするリンタはマリレに腕を掴まれる。
「犯人は、平気で8人も殺した奴なの。私達が貴方を見つけたように、奴も貴方を簡単に見つけるわ」
「ほっといてくれ!」
「待って…何?エアリ?後にして!」
このタイミングでスマホが鳴るw
「マリレ!リンタの令状をとったわ。執行しましょ。逃したくない。今どこ?」
「カレは逃げたりしないわ…」
「待って!マリレ。まさかアナタ、捜査を妨害スル気?」
マリレはスマホを切る。既に、リンタは専用EVで地上だw
ロケットガール装備でマリレは急降下。駐車場で追いつく。
「俺がファイルを持ってたのは、頼まれたからだ。縁は切れかけてたけどロウラが好きだった。欲しいならヤルょあんなファイル。もうたくさんだ!」
リンタは、振り返り車にキーを差し込む…その瞬間、車は大爆発!両手を上げ吹っ飛ぶリンタ!なぎ倒されるマリレw
夜の駐車場に赤黒いキノコ雲が立ち上る!車の後部座席はファイルごと火の海。衝撃波で駐車場中の車の警報が鳴動←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
任意だが取り調べに応じ、カート・ヤーグ社長が万世橋に出頭スル。ラギィ警部が取り調べるが、さすがに喫煙はナシ。
「社長は、ロウラとアバスに15万ドル以上渡しましたね」
「ソレを否定したコトはナイ。恐喝されてた」
「支払いは、上海経由でシンガポールの銀行からだ。現地の子会社が映画"ヲタクの黄昏"制作費の名目で小切手を切ってます」
良く調べたな、と内心舌を巻くヤーグ社長。
「…確かに。ただし、自分の金をどう使おうと勝手だろ?」
「ただし、その金が株主の金となると、警察にも関係してきます。背任・横領罪ですね」
「ラギィ、ファイルの画像復元が出来たょ」
僕が取調室に顔を出したのは、このタイミングだ。ルイナがファイルの萌え残りから復元した画像だ。
ブラックホールの画像で有名な"イベントホライズンテレスコープ"の高度なデータ処理技術を応用。
「ありがとう、テリィたん…え。プププっ!何なのコレ?笑える」
僕とラギィは、ヤーグをチラ見しながら笑いを堪える。
銭洲スタジオのカート・ヤーグ社長は思い切り仏頂面。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
警視庁の外事諜報課オフィス。
「どーするラギィ?SATOが挙げても良いのょ?」
「ありがとう、ムーンライトセレナーダー。でも、私がヤルわ。警察の1番の敵は悪人じゃなかった。身内だったわ」
「来たのか、秋葉原のヲタクども」
シュミ・メットは自分のオフィスで立っている。
既に背広を脱ぎ、ネクタイも取り…待っている。
「両手を後ろに回して組んで」
シュミは、大人しく後ろ手に手を差し出す。
手錠をかけ、オフィスから連れ出すラギィ。
「警察の敵は、警察なのね」
シュミ・メットは笑っている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。カートを引きながら、ミクスが御帰宅。メイド長自らが御給仕スル。
「行くの?」
「止めても無駄ょ」
「聞いて。貴女はチャンスを掴むべきだと心から思ってる。でも、この秋葉原で勝負して欲しい…私と」
しばらく、見つめ合う今カノと元カノ。
「…早く言ってょミユリさん。また、何マイルも無駄に溜め込むトコロだったわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
別れもアル。秋葉原の寒い夜。街灯の下で。
「ソンな価値が、あのファイルにあるのか?」
「いずれ聞かれる。秋葉原にはいない方が良いわ」
「違う。あのファイルのコトさ」
リンタ・ポッタは、マリレに未練タラタラだw
スーパーパワーの強フェロモン放出を試みる←
「ソレが仕事なの」
「誰にも言わない。わかってるだろ?」
「でも、私が覚えてる。ずっと忘れられないから」
リンタ・ポッタは、マリレの首筋を指で撫でる。
「…縁がなかったンだな。ソレにリリーマルレーンを聞いてたのは"トブルクのネズミ達"だ。男娼じゃない」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
SATOのモリン・モール心理作戦部長室に入るのは…僕。
「テリィたん。座って」
「レコーダーは?」
「今、電源を入れたわ」
モリンは赤い録音ランプの点いたレコーダーを僕の前に。
「…ルイナは、アキバの防衛に不可欠だ。民間軍事会社"ヲタッキーズ"CEO、第3新東京電力"タカマガハラ・プロジェクト"の責任者として断言する。ルイナなしでは、アキバの防衛と逝う責務を全う出来ない」
「テ、テリィたん!ホンキなの?」
「…ルイナをSATOに戻さないなら"ヲタッキーズ"は解散し、第3新東京電力は"タカマガハラ計画"を放棄スル。以上だ」
ICレコーダーの電源を切りモリンに投げ返す。
「…テリィたん、貴方のメイド長も御主人様と物事の考え方が同じみたいね」
「そーか?初めて逝われたょ」
「全くヲタクって」
モリンは、長い長い長い溜め息をつく。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ルイナ!ソレでどーだったの?モリン部長の面談」
「恐れていた通りだったわ、スピア。機密情報アクセス権が欲しいならテリィたんを差し出せって」
「あの女狐!で、何て答えたの?」
スピアは、ルイナに回答を急かす。
「決まってるでしょ。仕事なら他にいくらでもアル。でも、テリィたんは1人だけ」
「あら?テリィたんの口癖は使わなかったの?呆れた」
「テリィたんの口癖?何?」
スピアは、超天才相手に上から目線だ。
「ヲタ友1人は、リアルな友達100人の価値がアル」
おしまい
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
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オムニバス第2話"普通の腐女子に戻りたい"
第1章 スパイダー腐女子の死
夜の首都高上野線。地響きを立てて、高速道路上を疾駆するダンプ、トレーラー、SUV…
その振動をビリビリ肌で感じながら、数メートル下の壁面を蜘蛛が這うように動く人影w
「アディ。ザイルが緩んでる!わ…宙吊りょ」
"スパイダー腐女子"のコスプレイヤーw
上野線の真下でザイル1本の宙吊り状態だ。
「急に引っ張らないでょアディ」
キャットウォークから女が顔を出す。
「アディはお取り込み中。ところで、貴女のポーチに入ってるダイヤ、貴女のモノじゃナイでしょ?」
キャットウォークから1本ロープが落とされる。
「返して」
「わ、わかったわ。知らなかったの…ホラ、返すわ」
「そうでしょうね」
女は、ロープを引き上げる。
先についてる袋の中を確認。
「どぉ?ご満足?」
「そうね。とっても…じゃね」
「え?」
ザイル切断!絶叫を残し昭和通りへ落ちる女→即死w
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その日の午後。秋葉原合同庁舎ビル前。
「じゃまた。連絡します…君達、どいてくれ」
車椅子用スロープから出て来た密集体形の人混みから、弁護士と思しき人影が弾き出される。因みに上空には戦闘ヘリw
「テリィたん?どうして私の審理の日程を知ってたの?」
「元カノの次長検事から聞いたんだ。で、釈放?」
「YES。私への起訴は全て取り下げられた」
車椅子にゴスロリのルイナは、史上最年少で首相官邸アドバイザーである超天才…だが情報漏洩で国から訴えられてるw
「やったな、ルイナ。ラッキーでした」
「お友達のフィラ・サジラ博士もね」
「でも、サジラは蔵前橋の重刑務所に3週間も拘留されたのょ?…あ、隊長。ごめんなさい」
ルイナの護衛隊長が、ラボに帰ってからにしてくれとジェスチャー。確かに上空でホバリングする戦闘ヘリもウルサイ。
彼女の車椅子は重装備の装甲擲弾兵1コ小隊に取り囲まれている。国家的な資産であるルイナの外出はいつも大騒ぎだw
「機密アクセス権はどーだった?」
「…ダメだったわ」
「何でだ?何もしてないのに」
ルイナは悲しげに首を振る。
「でも、SATOは私を疑ってる」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
南秋葉原条約機構は、アキバに開いた"リアルの裂け目"からの脅威に対抗スル首相官邸直属の防衛組織だ。
SATOの司令部は、パーツ通りのとあるゲーセン地下に秘密裡につくられ、日夜敢然と脅威に挑戦している。
で、ルイナのラボはSATO司令部に併設←
「首相官邸のアドバイザーは、そのママだけど、SATOのお仕事はもう無理ね。"シドレ"ともお別れだわ」
ルイナが手にスル模型はSATOの量子コンピューター衛星。
アキバ上空3万6000kmの静止軌道から"裂け目"を監視。
「まぁ他にも面白いコトがあるから退屈しないわ」
「機密アクセス権を取り戻したら?」
「また身辺調査が入ってアラ探しをされるわ。秋葉原のヲタ友に迷惑がかかる。国は遠慮しないから」
ラボで出迎えた相棒のスピアは溜め息。
「何か陰険ね」
「まさに陰険だわ。でも、今までSATOのお仕事で研究が滞ってたコトも事実。ちょうど良い機会だわ」
「そうね。真理の探求に終わりは無いし」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌朝の事故現場。キャットウォークと路面にそれぞれ死体。
「ラギィ警部。アディ・トマキ、22才。ライア・ライト、24才。詳細は不明です」
「至近距離からの音波銃による射殺と転落死、かしら」
「持ち物を荒らされた形跡があります」
現場を仕切るのは、万世橋警察署のラギィ警部。彼女とは、彼女が前任地で"新橋鮫"と呼ばれてた頃からの付き合い。
「コレは首都高HPの応援が必要ね…あら、リルラwどうしてココに?」
「逃亡犯の居所がわかってコレから抑えに行くトコロ。ノルウェーまで」←
「忙しいから手伝えないとワザワザ言いに来たワケ?テリィたん、その内に絡んで来るわょ」
もう絡んでるw
「やぁリルラ。また力を貸してょ(返さないけどw)」
「でも、単純な殺人事件でしょ?何でSATOが絡むの?」
「あのね。被害者は"blood type blue"。異次元人ょ。ソレとチョークバックに"あるもの"が入ってた」
ラギィは、証拠用の透明ビニール袋に入った黒い石を示す。
「何ソレ?…まさか、ダイヤの原石?」
「YES。72カラット5000万円相当のシロモノ」
「ワケあり品か。リルラ、君に似合いそうだ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋に捜査本部が立ち上がる。
「コスプレクライマーの情報は?」
「2人とも前科前歴なし。ライアは無職。アディはバイトです。友人宅や車の中で点々と生活してた模様」
「何でダイヤを持ってたかは謎。被害者達が凄腕の宝石泥棒には見えナイし」
ラギィ警部に情報が集まる。
「でも、命を狙われたコトは確かょ。ダイヤの情報は?」
「宝石店組合のデータベースで調べてますが、未だヒットはありません。盗難品かも含め不明です」
「どこで入手したのかしら?原産地とかわかる?」
捜査員は一斉に下を向くw
「ダイヤ原石の鑑定って科学が必要ょね?SATOの超天才さんを呼べば?」
「リルラ。ソレが色々とあって、彼女は機密アクセス権を失ったの…ね?テリィたん」
「え。僕?…確かにウチの仕事はやってナイ。ソレだけだ」
リルラの訝しげな視線。僕は溜め息をつく。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ビルダリング。最近ビルの壁面をコスプレして登るのが流行ってる。映画"スパイダー腐女子"のヒットで女子率高しw
中でもコスプレクライマーのメッカとされる"推し活通り"には中小ビルの壁面を登るコスプレイヤーの姿が常にアル。
「2人は、コスプレクライマーで"スパイダー腐女子"専門だったわ」
「何か揉め事に巻き込まれてなかった?」
「ライアは、人を怒らせたりしない」
聞き込みに回るヲタッキーズの妖精担当エアリとロケットガールのマリレ。
スーパーヒロイン集団"ヲタッキーズ"は、SATO傘下の民間軍事会社だ。
因みに2人はメイド服。何しろココはアキバだから←
「アディって?」
「ライアより気難しかったカモ」
「彼女達と親しかった人は?」
自らも、真っ赤なビスチェに生足と逝う、サンダーガールのコスプレをしたクライマー仲間は澱みなくスラスラ答える。
「ピィトとヒィトのコンビね」
「死体を発見したのはピィトとハナエだけど」
「ヒィトの本名はハナエ?ウケる」
ってか、どーすればハナエがヒィトに?
「ピィトとヒィトは付き合ってるの?」
「そーゆーんじゃない。コスプレの"合わせ"ょ。スパイダー腐女子とカレ役のスパイダーメン」
「もう1度、話を聞きたいんだけど」
サンダーガールは少し思案顔。
「ココにいないってコトは…他所でビルダリングかも」
「ビルダリング?」
「ロープなしでビルの壁面を登る奴?渋谷で流行ってルンだって…あ、友達から聞いたンだけど」
思わぬ相棒の発言にエアリは驚き、仲間は目を輝かすw
「"100-ken of rocks"?」
「え。何?」
「渋谷のレトロな雑居ビル街ょ。アバンな感じが超ステキ。知らないの?」
メイド2人とサンダーガールでアキバな会話が弾むw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
渋谷の百軒店は昔の繁華街。戦前からのビルもある一方スタイリッシュなラブホも。その壁に張り付くコスプレイヤー。
まさに今、スパイダー腐女子が2Fの窓から隣の窓に飛び移ろうとして落ち、路上のスパイダーメンに抱き抱えられる。
「惜しい。ちょっと手強かったな、ヒィト」
「ちぇ!あら、メイドさん。登ってみる?ソレとも"デリ"の人?」
「デリヘルじゃナイわ。秋葉原のヲタッキーズょ」
途端に神妙な顔になるピィトとハナエ…じゃなくてヒィトw
「アディ・トマキとライア・ライトの件だけど…貴女達、親しかったんだって?」
「確かに、俺達は良くツルんでた」
「4人でクライミング旅行したわ」
口々に答えるピィトとヒィト。息のあったコンビだ。
「あの2人は、どーやって生活してたの?」
「ライアは秋葉原の観光ガイドの仕事。インバウンドが戻って来たって喜んでた。アディは実家からの仕送りがあったな」
「アディは一人っ子だった。お気の毒に」
さらに身辺調査を進めるw
「ライアの御家族は?」
「御両親を亡くしてる。確か従姉妹が池袋にいたけど、俺達クライマー仲間が彼女の家族みたいなモノだった…」
「みっともないからメソメソしないで!」
ヒィトがピィトの肩をバシバシ叩き気合いを入れるw
「臨時収入がアルとか、何かを見つけたって話は、してなかったかしら?」
「そー言えば、ライアが死ぬ前日に電話して来て、お金が入りそうって言ってたわ」
「ふーんwで、お金の出所は聞いた?」
突っ込むエアリ。
「何か見つけたけど…売れるかワカラナイって」
「あら。何のコトかしら」
「ワカラナイわ」
ホントに知らなさそうなヒィト。
「他には?」
「新しいビルを見つけたって喜んでたな。ハイレベルだから"残骸ルート"と呼ぶとか言ってた」
「殺害現場のコトかしら?」
首を横に振るピィト。
「いいや。特に場所は聞いてナイんだ…そうだ!ヒィト、そのビルを探し出して、あの2人の名前をつけようぜ!」
「きっと喜ぶわ!でも、アンタじゃ手に負えないんじゃナイの?」
「お前なら出来るとでも?」
「フン。さっきのを見てたでしょ?」
「俺がリードだ。後に続け」
「バカ言わないでょ。下で大人しく見てて」
全力でカカア天下だw呆れて立ち去るヲタッキーズ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、ルイナのラボ。
「ルイナ。ソレって飛躍し過ぎだと思う」
「何で?スピア、既成概念の枠から1歩抜きん出た斬新な思考と呼んでもらいたいわ。決まりきった先入観的な発想から離れ、ヒョイと超えてみせただけ。飛躍ってホドじゃないわ」
「…この前ネットに"推測と予想に憶測をかけたもの、ソレが宇宙論"って…」
絶句するルイナ。このタイミングでリルラがラボに登場。
「リルラ!ちょうどよかったわ。美しき宇宙論をストリート育ちのハッカーの手から救って!」
「ルイナ。貴女ったら今や国家安全保障の脅威なんだって?」
「え。あ、うん。何か用?」
リルラはストリート育ちのハッカーを指差す。
「…ちょっと話がアルの」
「え?…あ、そう。じゃ私はコーヒーでも飲んでくるわ」
「ごめんね、ルイナ」
車椅子のルイナがラボを出るや、たちまち護衛に挟まれるw
ソンな相棒を見送り、ストリート育ちのハッカーはボヤく。
「コレ、ムッチャ気まずいわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、護衛に囲まれギャレーでお茶するルイナ。
「あら?ミクスから電話だわ。何かしら?…もしもし?」
ミクスは最高検察庁の次長検事で…僕の元カノw
「何か用?テリィたんなら来てないわょ」
「ううん。ルイナが機密アクセス権を取り戻すの、手伝おうと思って」
「貴女が?でも、どうして?」
護衛の装甲擲弾兵が聞き耳を立ててるw
「理由はナイわ。ただ、ルイナのおかげで私、何度も有罪を勝ち取って来た。私、勝ち星が大好きだから」
「でも、今じゃ私はSATOの厄介者ょ」
「貴女を必要とスルのはSATOも同じハズ」
いつもは仲の悪い2人だが、今日は神妙な雰囲気w
「でも…テリィたんが深入りしたがらナイの」
「え。そーなの?秋葉原のヲタクって諦めが早いのね。貴女は、どーなの?大切なモノのために廃人になる覚悟はアル?ナイ?」
「…テリィたんは多分ナイ。あの人、追うのは苦手なの。迫るの専門だから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、万世橋に捜査本部が立ち上がる。
「ダイヤの原石を追跡するのは難しいわ。加工前だと大した記録も残ってないし」
「そもそも、未だ盗難届が出てないわ」
「盗難は…もしかして何年も前からカモしれないし」
溜め息をつくヲタッキーズ。ココで思いがけない援軍。
「光学結晶解析を使えば?」
「スピア?何ソレ?美味しいの?」
「ストリートギャングのサイバー屋をやってる時に、宝石屋が良くやってた。対象物に光を当てるの。ダイヤは、結晶だから原子が左右対称に配置されてるでしょ?で、その結晶構造に光を当てる。光学結晶解析では、偏光を結晶に当てて、結晶内の不純物、つまり、窒素や硫黄を反射から分析するワケ。コレで原産地が分かるコトが多かった」
わかりやすい説明だ。何処か犯罪臭もスルが…
「でもね!念のために言っておくけど、ダイヤの産地は各地域と言うより、地球の中心なの!高温高圧のマントルで作られるワケ。ソレが硬度、透明度、純度などの特性でダイヤの産地を見分けるコトを困難にしてるわ」
「ん?結局、ダイヤの産地は特定出来ないって言ってるの?」
「ソ、ソ、ソンなコトより、ダイヤ原石の輸送手段って知ってる?目立たないケースに入れて運び屋に預ける。輸送日時を知ってるのは1人。せいぜい2人」
スピアの過去がますます怪しくなる話だw
「と言うコトは、輸送中は狙えない?この原石は地球の中心からコスプレクライマーのチョークバックへテレポートしたって言うの?」
「偶然拾っただけでは?高価なダイヤには、呪いの伝説とかつきものだし。ハリポタでも"賢者のダイヤモンド"って触ると呪われるのょ」
「しまった」
思い切り原石に触ってる僕←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバ式の井戸端会議←
「ミユリ姉様がソンなに怒るなんて…」
「だって!ルイナ、機密アクセス権を剥奪されたンでしょ?」
「姉様のお若い頃は、こーゆーのが勲章だったのでは?」
僕の推しミユリさんは、ムーンライトセレナーダーに変身しない時はメイドバーのメイド長だ。
アキバに来る前は、池袋のコスプレバーでメイドをやってたので、かれこれン10年のキャリア←
「そ、その"若い頃"って言い方には全力で反発スルけど、まぁその通りw貴女は、正しいコトをしたの」
「姉様、覚悟はしてました」
「 SATOが貴女を罰スルなんておかしいわ」
盛り上がるリモート井戸端会議。
「とにかく、首相官邸アドバイザーはそのママなので、毎日のお仕事には、ほとんど影響ないの」
「その官邸が、貴女のお仕事に制限を加えて来ても、そう言うつもり?」
「…姉様。私の仕事に必要なのは、つきつめればノートと鉛筆ょ。ソレだけで十分なのです」
ミユリさんは、溜め息をつく。
「あと黒板…でしょ?」
第2章 来なかったルイナ
同時刻。万世橋に立ち上がった捜査本部。
「ラギィ警部、通報が入りました!輸送中のダイヤが消えました!」
「あら。事件は進行中?」
「神田花田町のダイヤ商ブライが5000万ドル相当のダイヤ30個ごと行方不明に!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田同朋町の路地裏。
「アレが通報のあったダイヤ商ブライの車?」
「万世橋に無余地駐車の通報があった。ナンバーを照合したらビンゴ」
「あらあら。用心して偽名でチャーター便まで予約したのに無駄だったみたいね」
黒のセダンに歩み寄るメイド2名。
ヲタッキーズのエアリとマリレw
「開いてるの?」
「うん」
「えっと…次は貴女の番ょ?」
顔をしかめるマリレ。運転席でトランクを開けると…死体w
「神田花田町のダイヤ商ブライ?」
「そうみたい」
「いやーん服に死臭がついちゃう」
いち早くセダンから離れてエアリは溜め息。
「この人、ダイヤは持ってなさそうね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。
「被害者は、神田花田町のダイヤ商"ブライ"の共同経営者でした」
「共同経営者?」
「兄弟で経営している宝石商です。被害者は弟」
首都高HPのリルラは頭をヒネる。
「神田リバー水上空港で殺されたのね。とりあえず、お兄ちゃんの方に話を聞いてみるわ」
「お願いね。で、テリィたんはどー思う?」
「ダイヤ輸送は、常磐モノの鮟鱇漁より危険ってコトがわかった…コレくらいかな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田花田町のダイヤ商"ブライ"。
「今回のダイヤ輸送を知っていたのは、私と弟だけです」
ブライ兄は、ずんぐりむっくりの禿頭←
「弟さんが誰かにリークしたとか」
「そして、殺された?ソンなバカな。弟は慎重で、輸送中は偽名を使い、チャーター便を使うくらいだから、誰にも話さないハズです」
「顧客や従業員に聞かれた可能性は?」
ブライ兄は激しく否定スル。
「輸送計画は、全て開店時間前に立ててた。父が店を立ち上げて私達兄弟も共に働いた…なのに、今や私1人になってしまった」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
御屋敷のバックヤードをスチームパンクに改装したらヤタラ居心地良くなり僕やら常連やらが沈殿、メイド長は渋い顔w
しかも、今宵の御帰宅は元カノ。首都高HPのリルラ←
「テリィたん。何でダイヤがコスプレクライマーの手に?」
「僕に聞くか?…まぁ小型のチャーター便が…例えば、アフリカの小さな空港から離陸…飛行艇といえば?」
「揺れる?」
カウンターの中でグラスを拭くミユリさんの顔色を確認しつつリルラとのトーク。常連が愉快そうに成り行きを見守るw
「まぁ揺れるょね。そして、時には墜落だ。でさ、確か死んだコスプレクライマーから"残骸コース"って話があったょね?」
「あ。飛行艇の"残骸"に引っ掛けてる?日本上空まで来て墜落となると、北に向かって飛んでいた?」
「チャーター便だから、飛行計画をアテにならないし、エアルートによってはレーダーにも映らないわ」
僕は(ミユリさんをチラ見しながら)アドバイス。
「世界のどの空港でも離着陸の場所って記録してるハズさ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
場所を変えて万世橋の捜査本部。
首都高HPは"乗り物警察"のエリートで、その捜査権限はワールドワイドだ。たちまち南アフリカの小空港がヒット。
「コレだわ。東ケープ州のキンバーライトパイプ発、シンガポール経由で東京。でも、神田リバー空港には着水の記録がナイわ」
「犯人は、南アフリカでパイロットを襲い、秋葉原へ飛行中に墜落。そして、その墜落現場にコスプレクライマーが…」
「じゃコスプレクライマーを殺したのは誰なの?テリィたん」
みんなが僕を見る。
「そんなのわかんないょ。で、落ちた飛行艇の情報は?」
「偽名で借りられてた。トランスポンダーは電源が入ってなくて使えない。かと言って、エアルート沿いに探すのも不可能」
「ルイナに頼んで絞り込んでもらおう」
たちまちSATOから横槍が入る。
「ルイナは今、秋葉原にとって脅威なの。SATOの機密アクセス権を付与出来ない。捜査には加えられないわ」
「(ソンなコト逝ってる場合?)レイカ司令官、じゃビルダリングが出来そうな"残骸"ルートを探してょ。"シドレ"を使えば1発だろ?」
「ソレくらいなら…」
"シドレ"は、アキバ上空3万6000kmの静止衛星軌道から"リアルの裂け目"を監視スル量子コンピューター衛星だ。
「エアルートと"残骸"ルート、両方から探そう」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ムリムリ!そんな飛行艇、見つけられっこナイわ。アメリカ本土で行方不明の航空機ってバミューダ海域で消えた機数より遥かに多いのょ知ってる?」
「ココはアキバで、アメリカじゃないからイマイチ説得力を感じない例えだけど、良く知ってるなw」
「サブスクTVでやってたわ」←
僕はSATO司令部のギャレーで大好きなパーコレーターで淹れた薄いコーヒーを飲んでる。話相手はハッカーのスピア。
「ダイヤ、飛行艇、コスプレクライマー…情報がバラバラなのょ。ソレでも、何100万という小惑星のように、同じ重力源の周囲を回ってるハズなんだけど…」
「ダイヤって重力源も、万物を惹きつけるょね」
「…でも、良いアプローチだわ。その分析で、ターゲットエリアが6つは出るハズょ」
車椅子の超天才、ギャレーにコーヒーを飲みに登場。
「ルイナ。ソレが…8つなのw」
「 SATOから"シドレ"の情報はもらってルンでしょ?」
「高層タワー街ではシグナルが弱過ぎて"シドレ"は場所を特定出来ナイ」
ストリート育ちのハッカー、スピアはルイナの相棒…と逝うより唯一のヲタ友だ。スピアに対するルイナの信望は厚い。
「スピア。貴女がジャージ姿というコトは、未だホンキ出してナイみたいだけど、いつかの"noisy edge"は試してくれたの?」
「ゴメン。"noisy edge"って何だっけ?美味しいの?」
「だから"squash"ょ。覚えてる?テリィたんのUFO追跡騒ぎの時に使った解析アルゴリズム」
もう100年前の出来事に思えるゼ←
「実は、UFOではなかった奴だょね?せっかく宇宙人のコスプレまでして待ってたのに」←
「いつもテリィたんの夢を壊してばかりで悪かったけど、私達あの時、あのアルゴリズムで弱いシグナルからノイズを取り除いてUFOの飛行ルートを特定したわょね?」
「そーだった…ごめん、ルイナ!私、今からホンキ出す!」
ジャージを脱ぎ捨て、スク水になるスピア。微笑むルイナ。
「コレはコーヒーブレイクょ。ミーティングじゃナイから」
第3章 摩天楼の決戦
アキバの駅前から始まった再々開発は、次々と高層タワーを生み、今やアキバはちょっとした摩天楼の街となっている。
「全員、速やかに散開!何が何でも"残骸"ルートを探し出すのょ!見つかるまで帰って来るな!」
ラギィ警部の命令一下、僕を含むヲタッキーズや刑事や警官隊が散りコスプレクライマーはもちろん彼シャツラッパーやインバウンド向けの観光案内所、スケボー少年に聞き込み。
「被害者は、無許可で摩天楼クライマーをやってた模様!」
「摩天楼クライマー?」
「摩天楼の途中階ベランダからコスプレしてテッペンを目指す連中のようです」
もはや低層階で遊ぶビルダリングの域を超えてるw
「警部は何か手がかりを?」
「うん。高層階に、あの夜、機械音を聞いたセレブがいたわ」
「機械音?飛行艇の爆音かしら」
首都高HPのリルラが反応。
「うーん違うと思う。もっと軽い羽音のような…」
「妖精さん?」
「まさか」
みんなが一斉にエアリに注目。彼女はメイド服の下に妖精の羽根を折り畳んでいる…上を向いてモジモジとするエアリ。
「とにかく!ソレゾレもっと調べましょう。誰かが墜落場所にたどり着くカモ」
「ラギィ。摩天楼と摩天楼の間は電波がなく圏外ょ」
「みんなにトランシーバーを支給。2時間後、ココに再度集合。OK?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。SATO司令部に併設されたルイナのラボ。
「進んでる?スピア…あら、スク水なの?」
「ミクス!"シドレ"のデータ情報にも裁判所命令が必要なんてw助かったわ」
「気にしないで」
ミクスは、最高検察庁の次長検事で…古い元カノ←
「ルイナは平気?」
「首相官邸アドバイザーの仕事で忙しくしてるわ。最近は、文科省のリクエストで世界の学生をリモートで教えてる」
「ラッツも忙しそうね」
ラッツは、僕の渋谷時代のストリートネームだw
「ヲタクって意外にワーカーホリックょね」
「のめり込みやすい人種だから。渋谷にいた頃、ラッツが推し活とセックスをしてない時に考えるコトと言えば…推し活とセックス」←
「確かに夢中でやりだしたら止まらないわ。でも、ソコがカワイイ」
話がノッてきて隣に座るミクス。
「良いコトだと思うわ…でも、ラッツは秋葉原に来てから、何か責任感に縛られてる感じがスル」
「秋葉原ファミリーの長男って感じ?」
「サラリーマンなのに、ヲタクの行方ばかり気にしてる。"萌え"がみんなとの絆だから」
付け足すスク水のスピア。
「えっとソレから食べ物も気にしてる」←
「そうそう。食べ物にうるさいわね。親の顔が見たいわ」
「全くね、クスクス」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバの摩天楼を1本ずつ当たる。
「どーしてココの駐車場で被害者の車が目撃されたのかわかった。公衆トイレの近くだったのね」
「お隣の摩天楼のベランダは、宴会場だったみたい。コンビニ食品のゴミだらけ」
「ラギィだけど。ヲタッキーズは"AKBハイタワー-WEST"に来てくれない?"崖"が多くて1人じゃ無理だわ」
最近の摩天楼はデザインビルが多く、随所にベランダや小屋上がアル。その全てからビルのテッペンを目指すのが可能。
「ヲタッキーズ、マリレ。了解」
「エアリょ。ハイタワーに向かうわ」
「…」
僕だけ応答しないw
「テリィたん?…どーしたの?スルー?」
まさか。目の前にもう1台トランシーバーがアル。そして…
「転落死したコスプレヲタクから聞いたのね?」
「な、何が望みだ?」
「アンタのコスプレ仲間に奪われたモノ。ソレを返して欲しいだけ」
トンでもない展開になってる。摩天楼群では低い方のタワービル屋上。ピィトとヒィトがホールドアップさせられてるw
2人はスパイダー腐女子&スパイダーマンの"合わせ"←
その"合わせ"をホールドアップさせる…アイドル軍団?
「音波銃で脅されたって、俺達は何も知らないょ!しっかしカラフルだなお姉さん達w」
「あったり前ょ元祖グループアイドルだモノ…わかったわ。先ず、どっちかを殺してから、もう1人に聞くコトにスル。じゃ女から…」
「…では、今夜の摩天楼地区の天気です。南西の風2〜4m、夜から北西の風。明日、日中は晴れ。最高気温30〜36度。午後になると風速3〜4m…」
僕は目の前のトランシーバーを最大音量にして、屋上の反対側に投げ、口から出まかせの"天気予報"をオンエア←
ピィトとヒィトに音波銃を向けてたのは赤、黄、青のアイドル衣装に身を包んだコスプレ3人組だが周囲を見回すw
ココで笑い声と共に現れれば黄金バットになれそうw
「ミキィ、アンタはコイツらを見張って。スゥゥ、アンタは私と来て。行くょ!」
自動小銃と狙撃銃を構えた"悪のアイドル"2人がトランシーバーの方へ向かう。彼女達はキャンディーズなのか?
心配げに見送るミキィちゃんを不意打ちするピィト!顎に頭突きを喰らわせて揉み合うトコロを背後からバケツで…
ヒィトがトドメ←
令和のバケツ女w
「コッチだ!急げ!」
僕が手招きスル塔屋に向けダッシュするピィト&ヒィト!
気づいたランちゃんスーちゃんが塔屋に向け撃って来るw
「飛び込め!僕が閉める!」
スパイダー腐女子とスパイダーメンが塔屋に飛び込む!
僕は1歩前に出て塔屋の扉を閉め…ぎゃ!お尻に衝撃w
「やられた!…と思ったらトランシーバー?粉々だw」
僕のトランシーバー、戦死。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、ラギィ達は大騒ぎだw
「テリィたんとの交信が途切れた!最後は何者からか銃撃を受けてた!」
「音波銃の発砲を確認!20km四方を捜索開始!」
「間に合わない!SATOに戦闘ヘリの出動を要請して!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヒィトのバケツ反則攻撃で気絶したミキィにペットボトルの水をかけて目を覚まさせるのは…リーダーのランンちゃん←
「ミキィ。この役立たズ」
「ピクピクしちゃって」
「普通の女の子に戻り過ぎだわ」←
ミキィに音波銃を持たせ、追跡を開始!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。ルイナは、官邸からのリクエストで全世界のエリート学生に向けて"組み合わせ論"をリモートで講義してるw
「…ジャン・カルロ・ロタ曰く。"組み合わせ論"とは、ビー玉を箱に入れる方法が何通りアルかを考える…」
ラボのドアが荒々しく開けられ、護衛の装甲擲弾兵を突き飛ばして入って来たミニスカポリスは…首都高HPリルラだw
「ルイナ、お願い。来て」
「ダメょ。私には機密アクセス権がナイ」
「テリィたんが危ないの」
猛然と車椅子をダッシュさせるルイナ。素晴らしい加速w
「テリィたんが?テリィたんがどーかしたの?」
「移動中に話すわ!あ…」
リルラは、慌ててリモート授業に"出演"←
「全世界のエリート学生諸君…自習ょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕達は摩天楼の中を必死に逃げ回る。命がけの鬼ゴッコだ。
鬼はラムちゃんではなく音波銃で武装した3人組アイドルw
「何やってたんだょ君達は?!"スパイダー腐女子で撮ってみた"って奴?」
「あの摩天楼の壁面を見たろ?あんな"崖"は、秋葉原じゃ初めてさ。見つけたら登らズにはいられない!ソレがコスプレクライマーってモンだ!」
「とにかく!どこかに隠れナイと…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
またまた同時刻。SATO司令部に併設されたルイナのラボ。
「ダイヤを運んだチャーター便だけど、シンガポールから東京湾上空でコースが消えるの。そこから先のルートが特定出来ない。しかも、アルゴリズムには解釈不能なデータ列が残ってる。私、何処か計算ミスしたかしら」
「あらあら。検算には数日かかるわね」
「必要ナイわ。スピア、前提条件の置き方に問題がアル。恐らく、シンガポールからの飛行艇は東京湾上空で喪失してる。その後、何らかのデータ質量の移動があったと解釈すべきょ」
なるほど。全員が納得スル中、リルラは頭を抱える。
「あぁSATOのレイカ司令官に怒られそう…でも、ソレはテリィたんを助けてから考えよっと…どーせ私は、SATOじゃナイし」←
「スピア!このサイトのバックドアにアクセスして。某国の国家空間情報局ナンだけど」
「ハッキング完了。画像をモニターに!」
ラボのモニターに映るのは…アキバの摩天楼街w
「コレは約30分前の某国スパイ衛星からの高解像度画像ょ。コレに未解析のデータ列から推定した飛行経路を重ねて…スピア、コッチのアルゴリズムを回して」
ルイナの指示でスピアがデータを打ち込むと…モニターのリモートセンシング画像に赤い矢印が伸びて…唐突に消えるw
「ターゲットロスト。この摩天楼をclose-upして…ココに何かアル。ホラ、大きくて光を反射してる…屋上に大きな石が転がってる?スペクトル分析だと…花コウ岩だけど」
「住宅地図のデータと照合スルと…ビルの名前は…"フルボッコヒルズ"」
「待って!ソレ、超古代からの山岳信仰の御神体を祀ったビルだわ。オカルト雑誌"ラー"編纂の"聖地の歩き方"によると、ビルを建てる前に超古代の巨石文明遺跡が見つかり、発掘調査が行われたらしい。今では、発掘された太陽石が屋上に祀られ、希少ポケモンが出没するポケGOの聖地になってルンだって。そして…」
リルラは唇を噛む。
「コスプレクライマー達が探してる"崖"もスラングではレクトだわ。全てがつながった!恐らく、敵も味方も、その"レクト"に集まるハズょ!急いで!摩天楼に戻るわょ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
確かに不思議な屋上だw狭い屋上には空調やらダクトやらがウネウネ。その真ん中にしめ縄を巻いた巨石が居座ってるw
摩天楼の中を逃げ回ってた僕達は、再び屋上に逃れ、塔屋の屋上で息を殺していたのだが、再び屋上へと飛び降りたら…
「イテェ!」
「ピィト!」
「大丈夫か?」
スパイダーメンのコスプレしたピィトが足を挫くw
「折れたカモしれない。スゴい痛む」
「行くわょ!」←
「俺はダメだ。テリィたん、ヒートを連れて先に逃げろ」
強気な(だけのw)スパイダー腐女子&冷静なスパイダーメンw
「相手はアイドル3人組だ。俺を置いて早く行け!」
「ダメょ!みんなで逃げるの!」
「見つかった!」
いつの間にかキャンディーズが屋上に戻り発砲してくる。
巨大な空調機の影に身を隠して、僕は擲弾筒を準備スル。
「スパイダー腐女子!見つけたわょ!降伏しなさい!コスプレイヤーは殺したくない!」
「ウソつけ!用済みになったら殺すつもりでしょ!アディとライトみたいに!」
「フン!お見通しかい?じゃココで死にな!」
悪のアイドルが音波銃、短機関銃、狙撃銃を一斉射撃w
対する僕は、擲弾筒の駐板を据え空調機の裏から発射!
「oh no!jap, grenade launcher!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「SATO司令部よりヲタッキーズ!総動員で"レクトヒルズ"に急行せょ!北緯35度7019、東経139度7743!」
「ROG!テリィたん達の居場所がわかったわ。全力出撃!」
「こちら、ラギィ警部。全パトカー、直ちに"レクトヒルズ"へ!ヲタッキーズに遅れを取るな!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
激しい撃ち合いが続く"レクトヒルズ"屋上。
「ダメだ!もう走れない。テリィたん、ヒートを頼む。俺はもう無理だ」
「らめぇ!捕まったら殺されるわ」
「もう擲弾筒も弾切れだろ?奴らは俺を殺さない」
恐らく脚を骨折してるピィトは、状況を正確に分析してる。
「おい!何を考えてる?ダメだ。一緒に逃げるぞ」
「テリィたん。このママじゃ全員殺されちまう」
「待って!」
止めるヒィトの手を振り解き、飛び出して逝くピィト。
「撃つな!ココだ!」
「両手を上げてコッチへ来い!何だ1人だったのか?」
「ダイヤを隠した場所を教える!だから、撃つな!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
投降したピィトを両脇から抱え、リーダーのランちゃんとスーちゃんは"飛び去る"。彼女達は妖精らしいw
僕とスパイダー腐女子のヒィトは、ズッと隠れていた空調機の物陰から這い出て、未だ硝煙漂う中で深呼吸←
ところが、僕達は既に狙撃兵の標的になってるw
「ねぇピィトはどーなるの?」
「とりあえず、君を逃したら、全力で追いかける」
「彼が死んだら私は…私は…」
泣き崩れるヒィトは照準スコープの十字線に捉えられてる…
「おっと振り向かないで。私は首都高HPのリルラ。この距離なら私は絶対に外さナイ」
狙撃銃の照準スコープの中にヒィトを捉えた青アイドル服のミキちゃん。その後頭部には音波銃の銃口が当てられてるw
「ライフルの引き金からゆっくり、ゆーっくり指を離してね…ハイ、よく出来ました。良い子ね。貴女は今から私の捕虜ょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「thank you!thank you!」
命拾いしたスパイダー腐女子がミニスカポリスを泣きながら熱く熱くハグしてる。百合っぽくて萌えるアキバ的な風景w
僕も元カノをハグしたいょ←
「良くココがわかったね」
目の前を青アイドル服のミキちゃんが連行されて逝く。
「あぁきっとラッツは怒るわね」
「…やれやれ。ルイナか」
「でもね。あと1秒遅かったらミキちゃんが貴方の頭をブチ抜いてたわ」
うーんソレもそーだw
「わかった。リルラ、あと残りは2人だ」
「ピィトは?ピィトのコトも忘れないで!彼は、ダイヤのありかナンて知らないの。ウソがバレたら殺されるわ!」
「まさかアイドル3人組が妖精だとは…マンマと逃げられたわ。でも、必ず見つけ出す。全力を上げるから」
ミニスカポリスはスパイダー腐女子に約束。もう1つ約束は…
「テリィたん!テリィたん!無事なの?」
「ルイナか。今、何処?」
「…SATO司令部」←
やっぱりなw
「早く帰れょ。レイカ司令官に知られたらマズい」
「はーい」
「ありがと、ルイナ。でも、2度とSATOの仕事はスルな」
第4章 価値ある推し活
万世橋の取調室。窓のない狭い部屋は、サイキック抑制蒸気で蒸せ返る。蒸し暑いがコレでミキちゃんは妖精力を失うw
「身分証がなく、一切口を割らズ完全黙秘です。アイドル服のカラーから恐らくミキちゃんだと思われますが…」
「甘い。国営放送の時と全員集合では、毎週色違いだった」
「さすが警部。昭和に詳しいですね」
心底驚く部下に思い切り脱力するラギィw
「…で、リルラ。ランちゃんスーちゃんは、スパイダーメンを人質に取って逃げたワケね」
「YES。でも、悪のアイドル団は、何でダイヤの輸送を知っていたのかしら」
「神田花田町のダイヤ屋さんが怪しいと思うの」
その声にラギィとリルラは振り向く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
監視カメラ画像をスーパー倍速で見るヲタッキーズ。
「姉様、いました。このカップルです」
「右がシンガポールで離水した飛行艇のパイロット。そしてコッチは…」
「あら。ランちゃんじゃナイの」
溜め息をつくムーンライトセレナーダー。
「どうやら、婚約指輪を買いに来たワケではなさそうね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ありました。ショーケースの裏側に」
マリレが隠しマイクを発見。1945年の陥落寸前のベルリンからタイムマシンで脱出した時間ナヂスはこーゆーの得意←
あ、マリレは国防軍だょ念のため←
「いつの間に盗聴器を…しかし、店内に電磁バリアを張ってるので無効なハズ」
「でも、実際に会話を盗聴されてたコトは間違いナイのです、ブライさん」
「ブライさん。盗聴器は、電磁バリアを回避するため、屋上に設置した小型のパラボラアンテナを経由してシグナルを送ってました。衛星を経由して地上の受信者に音声が届く仕掛けです」
戦闘工兵の経験もあるマリレの説明。うなだれるブライ氏。
「つまり、どこからでも店内の話は筒抜けだった、と言うコトですか?」
「YES。でも、パラボラアンテナが向いてた方角は明らかだし、こんなシグナルを受信スル衛星は限られる。少なくとも衛星の特定は可能ょ」
「盗聴されたと思われる会話の日時を教えてください」
ブライ氏は、激しく首を縦に振る。
「弟と話した日時をお教えします!…でも、ソレで何かワカルのですか?話した内容は、お話し出来ませんょ」
「不要です。包括的幾何学解析を行えば、盗聴に使われた受信機の位置を推測するコトが可能です。ね?スピア」
「問題ナイわ」
リモートで即答が返って来る。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「姉様。相当複雑な解析だけど、スピアに出来るかしら」
「モチロン出来ナイわ。でも、彼女は出来る人を知ってる」
「え。」
ムーンライトセレナーダーは、溜め息をつく。
「そろそろ、私も一肌脱がなきゃね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
30分後。ルイナのラボ。
「ルイナ、助けて!」
「ミユリ姉様!ソレにスピアも…何事ですか?」
「貴女の頭脳を借りたいの」
しかし、車椅子の超天才は悲しげに首を振る。
「ソレが姉様、SATOの捜査には協力出来ないのです。さっきはテリィたんが危ないと言われ思わズ…」
「ルイナ。じゃ素粒子物理学の研究だと思って!バブルチェンバー内の分析プログラムで粒子飛跡の検出を…」
「待って、スピア。ルイナには正直にお話ししましょう。実は、テリィ様の自称・元カノで渋谷育ちのミクス検事から難癖をつけられてて…」
ミクスの名が出るや鬼の形相になるスピア!
「テリィたんの自称・元カノですって?!あのミクスって、前に私のアルゴリズム解析は法廷証拠として使えないとかコキ下ろして、SATOでの予算カットまで画策した女なのょ!」
「そうなの!ソレにテリィ様のコト、ラッツとか呼んで。何ょイヤラシイ。渋谷時代のテリィ様ナンて何もかも大っ嫌い!ねぇタバコとか吸ってたのょ!」←
「ですょね、ミユリ姉様。ソレにミクスはテリィたんの"元カノ会"にも未登録です!元カノとして認めないわ!」
最後は"自称・元カノ会会長"のスピアだw
「ミユリ姉様達がソコまで…わかりました。スピア、もういいわ。データを見せて!」
「でも、今のルイナにはSATOの機密アクセス権がナイから…」
「いいから貸して!粒子飛跡の解析アルゴリズムでしょ?スピアには無理。私が見るから!」
スピアからファイルをひったくるルイナ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、僕はヒィトのお見舞いで"外神田ER"。
「死んだアディもライアも、とても良いコスプレクライマーだった。ただ、軽はずみって言うか世の中の見方が甘かっただけ…テリィたん。ピートは未だ生きてると思う?」
「SATOも万世橋も、そう信じて探してる」
「ピィト…アイツ、スゴいょ。命がけで私を救った。ソレと同時にテリィたん、多分アナタの命も救ったわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
SATOのギャレーに次々黒板が運び込まれ、その全てに難解な数式を書き殴るルイナ。ソレを必死に書き留めるスピア。
「うん。コレでOK…ねぇ!ミクス次長検事サマには、いつ見せるの?どんな顔スルか法廷に見物しに行きたいわ」
「そうね!でも、そのお楽しみはまた今度!」
「あ、スピア。待って!」
ダッシュで駆けて逝くスピア。ギャレーの外では、メイド服のミユリさんが、ルイナ護衛の屈強な装甲擲弾兵に説教中。
「みなさん。コレはコーヒーブレイクょOK?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。
「SATOのパツキン姐さんの弟子の分析で、盗聴シグナルの受信先が特定出来ました。受信先は、外神田同朋町の借家。借主の名はジムス・マイヤ」
「インターポールのデータベースにヒット!"ジムス・マイヤ"は、この女が使う偽名の1つのようです」
「本名は、アレク・レザル。傭兵部隊"地獄のキャンディーズ連隊"隊長。過去の共犯者は、キスジ・クソンとナイゼ・ルムア」
本部のモニターに次々と画像が並ぶ…が、ナゼか全員ビキニでポーズをとってるwさすが異次元人のキャンディーズだw
「ミキちゃんの本名はナイゼ・ルムアだったのか…残るは、ランちゃんとスーちゃん。一気に解散まで追い込むわょ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
外神田同朋町。ジムス・マイヤの借家。
「あのスパイダーメン、ダイヤを隠した場所を言わないわ。拷問して散々痛めつけてみたけど」
「かと言って、いまさら墜落現場には戻れない。警察に待ち伏せされる」
「しかし、どうやって落ちた飛行艇からダイヤを持ち出したの?」
スーちゃんの疑問に答えるランちゃん。
「ダイヤはドローンに搭載して輸送してた。東京湾上空でドローンだけ切り離して秋葉原まで運ぶようプログラムしてあった」
「え。ソレをパイロットは知ってたの?」
「まさか。私が信じるのは"地獄のキャンディーズ連隊"のアンタ達だけょ。パイロットは、最初から消耗品」←
残忍な笑みを浮かべるランちゃん。
「…あのガキはどーする?」
「もう用済みだわ」
「じゃ絞めちゃうね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
拷問部屋にした寝室の床に、散々拷問され、口から血をドクドク垂らしてピィトが転がっている。
血飛沫が飛んだ黄色いアイドル衣装のランちゃんがピィトを上向きに転がし、羽交い締めにスル。
「じっとしてて。楽に死ねるわ」
「…地獄に堕ちやがれ」
「その地獄から来たキャンディーズなの」
その瞬間!ドアを蹴破り短機関銃を構えた警官が飛び込む!
「万世橋警察署!万世橋警察署!」
「手を上げろ!彼を解放スルんだ!」
「抵抗すれば射殺スル!」
窓ガラスが割れ、ヲタッキーズが音波銃口を突っ込む!
スーちゃんはホールドアップ。さらに表に回る警官隊w
「クリア!」
「主犯アレク・レザル、通称ランちゃんの身柄確保!」
「ゆっくり手を頭の後ろに回せ…早くしろ!」←
ムーンライトセレナーダーがピィトを抱き起こす。
「表に救急車が来てるわ。立てる?」
「…君に似合いそーだ」
「あら?ありがと」
ピィトからダイヤを預かるムーンライトセレナーダー。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パーツ通り地下にあるSATO司令部。
「東京湾底βポイントで"死海ダイバー"が墜落した飛行艇の残骸を発見」
「遺体で見つかったパイロットの検視報告の結果です、レイカ司令官」
「薬物反応?毒を盛られて墜落したの?」
監察医は、顔をしかめる。
「仲間に裏切られたのでしょう。モノホンのクズどもだ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室。
それぞれ血塗れだけど赤、青、黄のアイドル服を着た"地獄のキャンディーズ"が仏頂面を並べ、手錠されて座ってるw
「秋葉原デジマ法に拠り異次元人専門の弁護士の同席を求めるわ」
「後でね。その前にお話しタイムょ」
「宝石店を盗聴して、ダイヤ輸送を知った仲良しキャンディーズの物語」
尋問するラギィとリルラの息はピッタリだw
「先ずダイヤの持ち主を殺し…」
「盗んだダイヤは飛行艇で東京湾へ」
「そこで毒が効いたパイロットは死亡。飛行艇は墜落。でも、ダイヤはドローンで秋葉原の"崖"を目指した」
ラギィが書類ファイルをピシャリと机に叩きつけるw
「でも"崖"でコスプレクライマーが見つけたのは、輸送ダイヤのホンの一部だった」
「なぜなら…恐らく、あくまで恐らくの話ょ?仲良しキャンディーズの内の誰かが、事前にダイヤを盗み、そのまた一部だけをパイロットに預けたから」
「飛行艇が墜落すれば、ダイヤの抜き取りもバレないと踏んだんでしょ。あ。コレ、あくまで仮定の話だから」
激情の余り手錠のママ、立ち上がるランちゃん隊長w
「私がドローン輸送を仕込んでたのを知らなかったからね?!アンタ…」
ラギィとリルラの2人がかりで座らせる。
「摩天楼の街を探し回った消えたダイヤは、とっくに仲良しキャンディーズの誰かの懐に入ってたワケね」
「今頃はカタールでワールドカップを観戦してたのに!」
「…ソレが秋葉原で捕まっちゃったクスクス」
世にも恐ろしい顔でスーちゃんを睨むランちゃん。
何が何だかわからズにキョトンとするミキちゃん。
「キスジ・クソン。蔵前橋の重刑務所で待ってるわ。無事に刑期を過ごせると思うな。覚悟しろ!」
もう普通のキャンディーズには戻れない。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"外神田ER"。夕暮れの病室に喜びが大爆発する。
足を引きずり姿を現したピィトに飛びつくヒィトw
「無事だったのね!」
「おいおい。お見舞いに来たのは俺の方さ」
「キスして!」
キスするw
やれやれ。やっとヒィトが女の子だと気づいたみたいだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「テリィ様。結局、ダイヤはスーちゃん名義の貸金庫に入ってたそうです。スーちゃん、司法取引に応じました」
「そっか。しかし、今回も何だかんだで、ルイナのアルゴリズムのお陰だな。ありがと、ルイナ」
「あぁミユリ姉様にダマされたw私、またレイカ司令官に怒られちゃうわ」
ラボから"オンライン飲み"で参戦のルイナは凹む←
「推しゴトのためには覚悟も必要。超天才もスーパーヒロインも同じょ。でも、機密アクセス権を剥奪された身にしちゃ大活躍だったわね。ありがと」
「リルラさんがホント強引なのょ!」
「渋谷時代から誰も彼女には逆らえないさ」
今頃、ミクスはクシャミだなw
「テリィたん。私、やっぱりSATOの決定に抗議スルべきなのかな?機密アクセス権、取り戻したい」
「…実は、僕もそう思う」
「マジ?」
僕は御屋敷のモニターの中のルイナに語りかける。
「マジさ。ルイナが国家の脅威だなんて馬鹿らしいょ」
「でも、テリィたん達の立場はどうなるの?」
「構うモンか。どーせ僕達は"廃人"さ」
ミユリさんが僕のコトをウットリ見つめてる。
メイド姿の彼女に見つめられ、つい饒舌な僕。
「スーパーヒロインを推すのは、いつだって命がけ。でも、ソレこそ"価値あるヲタ活"だと思うのさ」
おしまい
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
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オムニバス第3話"母を探して秋葉原"
第1章 魔性のヲタク
窓際で冷めたピザを噛んでいる。薄くカーテンを開ける。
「山本町12から万世橋。室内に動きを確認。南西の部屋です」
「ROG。チームアルファ、移動」
「チームデルタ、移動します」
神田山本町の1軒家にSWATの2チームが忍び寄る。
「久しぶり、テリィたん」
「あれ?リルラ?」
「人手不足でしょ?お手伝いょ」
ブリーフィングにミニスカポリスが合流スル。
馴染みの首都圏ハイウェイポリスのリルラだ。
「テリィ様。ヲタッキーズは今、マリレが月面で作戦中で…」
「その間、私が代理ってワケ」
「内調のSWATは正面から突入。シークレットサービスとヲタッキーズは両翼と裏口。万世橋は周囲を固めろ」
指揮を執るのは国家安全保障局 政策第4班のブラキ班長だ。
「メイドの詐欺師を挙げるにしちゃ随分大掛かりね」
「おい!この女はタダのメイドじゃないぞ。内調が26カ月追って来た。私が担当して2年。ココの指揮を執るのは私だ…準備は?」
「班長。全ユニット、スタンバイ」
サイレンサー付きの短機関銃を片手に全員が突入準備。
「行くぞ。3, 2…突入!」
「全ユニット突入!急げ!」
「リビング、クリア」
「キッチン、クリア」
「寝室、クリア」
何かがおかしい?
「誰もいません!」
「何処かに隠れているハズだ。探せ!」
「周辺はどうだ?」
指揮車から無線が飛ぶ。
「誰も外には出てません。クリアです」
「班長、リビングにベビーモニターが落ちてました」
「くそ。逆に監視されてたか?突入が丸見えだ!」
地団駄を踏むブラキ班長。
「でも、ココにいたのは確かだ。絶対に見つけてやる」
「この家は無人です。誰も外に出てません」
「ひとまず家から出よう。先ず警察犬。ソレがダメなら家全体をぶっ壊す。今回は逃さない。全員外に出ろ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ルイナのラボ。彼女は史上最年少の官邸アドバイザー。
「歩く辞書のルイナ。チャイティンのオメガ定数は?」
「オメガは0.00787499699だけど…ソレ、SATOの資料でしょ?」
「ダメ!テリィたんに頼まれたの!」
デスクの書類を慌てて隠す相棒のスピア。ルイナは"敵性次元"への情報漏洩で機密情報アクセス権を剥奪されているw
「何ょ!ちょっとくらい良いでしょ?ケチ!」
「でも、ルイナに甘い顔をすれば、私まで機密情報アクセス権を失うわ」
「いつまで続くんだ、って君達の夫婦漫才じゃなくて、南秋葉原条約機構のアクセス権復活の審査の話だょ」
僕がラボに来たのは、このタイミングだ。
「SATOのモリン・モール心理作戦部長が報告書を提出した後、首相官邸が決定を下す手順だっけ?」
「ケチ呼ばわりされても、私はルイナの味方だょ…あら?なんてコト?!」
「どうしたの?」
突然、素っ頓狂な声を上げるスピア。
「再開発計画ょ!和泉橋北詰にシネコンが建つらしいわ!」
「え。シネコン?大きな画面で映画見れそう」
「和泉橋の北詰はダメなの!」
このドサクサに紛れスピアの書類に手を伸ばすルイナ…
「ダメょ!」
超天才の手をピシャリと叩くスピアw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
突入現場では、捜査員が銃を下に向けてゾロゾロ出て来る。
「周辺警備は万全だったのに」
「顔写真を公開しよう」
「…不可能だ。実は、奴の写真は存在しない」
改めて一同に驚かれ、ウンザリするブラキ班長。
「ねぇねぇ2年も追跡して来たんでしょ?」
「奴は一流ナンだ。写真も指紋も残さない。手強い相手ナンだ」
「まるで幽霊じゃナイの」
班長は激しく首を振る。
「14社から合計10億円も盗む幽霊がいるか?いったい何処に消えたンだ?」
「今まで色んなプロフェッショナルに化けたんでしょ?今回はマジシャンにでも化けたンじゃナイの?」
「ソレだ!奴は捜査官に化けたンだ!」
一同は、現場直近に駐車中の指揮車に雪崩れ込む。
「周辺の監視映像が見たい!何人突入した?」
「内調SWATは6, 他の諸機関を含めると合計15人が突入しました」
「出たのは何人だ?数えろ、1人、2人、3人…どけ、私が数える…現場を後にした捜査官は16人だw」
ラギィ警部が画面を指差す。
「コイツょ!」
「捜査官に紛れ込んで一緒に外に出たのか!」
「やられた!チクショウ!」
うつむき加減で顔を隠し、歩きスマホで立ち去る"犯人"。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
早速、万世橋警察署には捜査本部が立ち上がる。
僕達は、SATOからリモートで捜査会議に参戦w
「1度も振り返らズ顔も見せナイ。身元確認は不可能だわ。2年も追ってた内調はどーなの?ブラキ班長、何か情報は?」
「残念だが、手元には似顔絵しかない。永田町が奴につけたアダ名は"メイド版ジョジ・ベイリ"だ」
「"素晴らしき哉、人生"?」
往年のアメリカ映画だ。確か白黒w
「誰もが良いメイドだと褒める。あらゆる人間になりすます。例えば、教師や医者、OLや弁護士のコスプレ。愛嬌を振りまき、どんな御屋敷にも溶け込み信頼を得るんだ」
「口座番号やパスワードを手に入れるタメ?」
「YES。最初は売上から10万円ほどに手をつけ、1度姿を消した後で親会社からドカンと盗む。被害は数千万円単位だ」
国家安全保障局の政策第4班は異次元専門の組織だ。
班長のブラキ・カカシは、ネクラで性格は超陰険w
「…1度目は、テストでパスワードや暗証番号を試す。安全を確認してから大仕事に出る。東南アジアのシンジケートと同じやり口だ。1人潜入させて口座情報を盗み、全額を持ち出す。賭けても良いが、このメイド詐欺師は、デカい氷山の一角だ。バックにはゴールデントライアングルのシンジケートが絡んでる!」
ネクラ男が不自然なまでに雄弁←
「やぁモリン」
僕は、同じくリモートで捜査会議に参戦しているSATOの心理作戦部長であるモリン・モールを見つけて、声をかける。
「ルイナの件、いつ答えが出るのかな」
「テリィたん…徹底的な調査を行っているの。時間をかけたいのょ」
「そーは逝ってもさ」
少し食い下がってみる。
「じゃ結論を言うわ。過去の規律違反でヲタッキーズには懲戒処分を勧告スルつもり。ルイナの機密情報アクセス権も剥奪スルわ」
「ゲロゲロ。ヲタッキーズの処分は仕方ないが、ルイナはSATOに必要な人間だろ?」
「テリィたんは、そう考えてるみたいだけど、私は違うわ。実は、もう勧告は済ませた。後は首相官邸の判断ょ」
モリン部長はリモートをログアウト。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田山本町の現場。エアリは、トースターの中に半焼けのベーグルを見つけて、傍らの首都高HPリルラに話しかける。
「急いでたのね。カラダ1つで逃げたって感じ」
「でも、私物らしい私物は一切残ってない。不気味ょ」
「確かに用心深い女ね」
リルラは部屋の中を見回す。
「かわいいクッションや飾り。ソレに絵画。家族写真まで揃ってる」
「インテリアに凝る独身女がいたら悪い?ソレにしても…家族写真?」
「写真立てがアルんだけど、中の写真がサンプルのママ。入れ替えてナイわ」
エアリは、溜め息をつく。
「この部屋自体がカタログみたいで不自然だわ。見よう見まねでモデルハウスを作ったみたい」
「家庭を知らない者が家庭を演出してる?」
「おっと。リアルお隣が御帰宅ょ」
駐車場にバックでシボレーを入れた老婦人に身分証を見せるエアリとリルラ。因みに、2人はミニスカポリスとメイドw
「こんにちは!SATOですが、お隣のジョジ・ベイリさんを御存知ですか?」
「あらあら。コスプレのお嬢さん方。ココじゃお隣同士、お互いに干渉ナンかしないルールょ」
「そーですか。誰か人が出入りしてる様子はありましたか?」
すると、老婦人は急に声を潜める。
「実は、2日前に恋人が来て大喧嘩してたわ」
「なぜ恋人と?ただのボーイフレンドでは?」
「ソンなの見ればワカルわ」
何処を見たらワカルのだろう?
「どんな大喧嘩ですか?口論の内容は?」
「わからないわ。家の中から見てただけだモノ」
「おやおや。お互い干渉しないハズでは?」
リルラは、思わズ口走るw
「うーんココらは昔は長屋で下町気質だから…ソレにセレブを見るとつい興奮しちゃって」
「セレブって誰です?」
「俳優のライア・ライラ。韓流の地下アイドルだった子ょ。今はスマホTVの朝の連続ドラマに出てるわ」
え。朝メロ男優?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
謹慎中?のルイナのラボを激励訪問スル。
「あれ?相棒のスピアは?」
「あら、テリィたん。スピアなら、都市計画プロジェクトのコトで出掛けてったけど。彼女に御用だったの?ってか、私の機密情報アクセス権の復活、もう決定が出た?」
「未だだけど、どーも諮問されたSATO心理作戦部長のモリン・モールはネガティブな勧告を出したみたいだ」
フンと鼻で笑う超天才ルイナ。
「ただの勧告でしょ?その通りになるとは限らないわ」
「どーもモリンの狙いはヲタッキーズらしい。ルイナは巻き添えを食っただけカモ。ゴメンな」
「謝らないで。でも、もしヲタッキーズが解散になったら、ミユリ姉様達はどーなるの?テリィたんも、栄光の秋葉原のヲタクから第3新東京電力のサラリーマンに"成り下がる"ワケ?ダサ過ぎ」
僕は、実はヲタクの傍らサラリーマンもやっている←
「あのな、ルイナ。今、TEPCO-3が推進してる"タカマガハラ・プロジェクト"は、首相官邸のかなり高い次元が発動した計画で、航宙自衛隊が所有スル敵基地攻撃能力の要諦となるモノだ。コレはコレで片手間には出来ない仕事ナンだけど…そうなる前に、とりあえず、良かったらだけど、この事件、手伝ってくれないか?」
ファイルを見せるとルイナの顔がパッと輝く。
第2章 超天才の御帰宅
神田松富町にある芸能プロダクション"オフィス・ヲタ"。
「クライアントに話がアル。ライア・ライラさんと連絡を取ってくれない?」
地下アイドルがメインと聞いてやり手ババァのワンマンオフィスかと思ったら、可愛い受付嬢がいる。アイドル崩れか?
「私がライアのマネージャーょ。お話しは弁護士を通していただけます?」
「恋人らしき交際中の男について質問がアリます」
「ライアは、朝メロのロケで鹿児島だわ。何かの間違いじゃないの?」
吹き抜けの2Fから声がして中年オバが階段を降りて来る。
「ソレにライアが交際してる、スキャンダルの相手はウチの社員ナンだけど」
「誰?」
「新入社員のリカル」
僕は、内調謹製のジョジ・ベイルの似顔絵を見せる。
「この女と似てます?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
早速、捜査本部に戻って作戦会議だ。
「何週間か前、地下芸能界の幹部2人にアポを取り、リカルと名乗って、たちまち気に入られて即採用されたらしい」
「呆れた。身元チェックはしないの?」
「とにかく、メチャクチャ人に好かれるタイプなんだ」
ヤタラ力説する内調ブラキ班長。
「一応、経歴の申請書は渡したらしいけど、未だ提出されてない。所詮、芸能界だから。しかも、地下だし…」
「オハヨーゴザイマス!貴方、あの"国民的ヲタク"のテリィたんだって?ルックス抜群ね。芸能界に興味はない?」
「え。サラリーマンに集中したいけど…」
あれ?ライアのマネージャーだwついて来たのか?
「しかし、信じられないわ。あのリカルが悪党だなんて。会えばわかるけど、性格の良い子ょ?」
「彼女の写真はありませんか?プレスリリースやパーティでのスナップとか。なんでもOKナンだけど」
「未だ社員証の写真も撮らせてくれないのょ」
こりゃダメだ。
「じゃ彼女の社給PCを任意で御提出願います。もしかしたら、既に少額窃盗を働いてるカモ」
「え。窃盗?いくら盗られたの?リカルは泥棒なの?」
「ソレを知るタメにもPCの御提出を。テリィたん、スピアをスタンバイさせといて」
ラギィ警部は指図スルけど…遅いんだょ。
「ラギィ。スピアなら、もうハッキングしてるょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
続いてルイナのラボに顔を出すとスピアがハッキング中←
「あれ?ルイナは?」
「ギャレーでサボってる。で、犯人のターゲットの選択には何かパターンがあると思うのょ」
「地理的な要素?」
ストリート育ちのハッカーであるスピアは首を振る。
「テリィたん、発想が貧困。あぁこーゆー予測はルイナの得意分野なのにな」
「犯人の狙いは何だろう?」
「ズバリ、芸能プロダクション"オフィス・ヲタ"の運転資金ね。リカルはパスワードを探ってた。オフィスのアカウントをハッキングするつもりょ」
ココで鋭い指摘を発スル僕←
「もしかして…既にハッキングした後じゃナイか?」
「いいえ、未だね。ただ、リカルは入社して2週間以上経つのに、未だ盗みを働いてない。だから…彼女は必ず戻ってくるわ」
「やれやれ。今日は残業になりそうだ」
ココでスピアは話題チェンジ。
「ところで、テリィたん。秋葉原の1大事なのょ。コレを見て」
「神田リバーの再開発プラン?あのリバーフロント、なくなるのか」
「ね。ヒドいプランだと思わない?普通、駐車場はコッチょね?そーすれば首都高からも近いのに」
いきなり河川域の再開発に反対を唱えるスピア。何なんだw
「知り合いのハッカー(どうせスピア自身だw)に区の企画局をハッキングしてもらった。見てょ。かなり大規模。人をバカにしてるわ!」
「え?何が気に入らないの?駐車場?」
「問題は場所ょ!"神田リバーフロント"を潰してシネコンにスルつもりょ」
確か"神田リバーフロント"はバブルの頃に流行った第3セクターで御多分に洩れず破綻し解散。以来、開発は停滞中←
「だからって、和泉親水公園は取り壊し?」
「でも、別に新しい親水公園が出来るみたいだょ?」
「あの親水公園が良いのっ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「コレが張り込みなのね!」
神田リバーに浮かぶショーボートレストラン…に張り込む覆面パトカーの狭い車内に4人がギュウギュウ詰めだw
「YES。思ったほどスリルはないでしょ?」
「いいえ、すんごい非日常。エキサイティングだわ!」
「しかし、火曜なのに超盛況だな。みんな働いてないのかな」
ヤタラ興奮してるマネージャー&ボヤく僕←
「今、超人気のクラブなのょ。でも、私と一緒なら顔パス。一緒にどう?テリィたん?」
「え。僕?あ、遠慮しとくょ」
「絶対に失望させないわ、約束ょ。私がバカテクで楽しませて、ア・ゲ・ル」
「no・thank・you。せっかくですが、証人との浮気は推しから禁止されてルンですょ」
前席で笑いを堪えるエアリとリルラ。肩が小刻みに震えるw
「アレを見て!」
「え。鳥ょ?飛行機ょ?」
「いいえ、彼女が…リカル・ラント?」
闇に沈む淡路坂を下って来る女の人影…
「青いタータンチェックw彼女のジャケットだわ!」
「ショーボートに入った!テリィたん達はココにいて!」
「ROG!」
ところが、ジャケットの女は直ぐに出て来て走る!
覆面パトカーから駆け出して逝くリルラとエアリw
「ヘイ!フリーズ!」
「みなさん、道を開けて!ヲタッキーズです!」
「捕まえた!暴れないで!」
女を組み伏せるエアリ。ところが…
「私は、このジャケットを着て走るように言われただけ!1万円あげるからって…」
この女はオトリだwその時!
「おい!止まれ。勝手に乗るな!」
観光客をショーボートへ運んだ2階建てバスの運転手が一服した隙に、何者かが彼を突き飛ばしてバスを発車させるw
「俺のバスを盗みやがった!」
「ねぇソコのミニスカポリス。私達の記念写真撮ってょ」
「そのスマホ、首都高HPが押収します!」
リルラが観光客のスマホで運転席の女をフラッシュ撮影!
「バッチリ撮れたわ。"幽霊"の写真を撮った!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ダメじゃん。フラッシュの反射で何にも写ってナイわ。この眩しい反射、どうにか処理してょ!」
リルラが技術班に噛み付く。決死?の撮影だったが、残念ながら運転席の女の顔の部分にフラッシュが反射し白く輝くw
「技術的にはコレで限界です」
「私達を2度もコケにしてくれちゃって!」
「リルラ。リカル・ラントの社給PCを調べてみたら、社会保障番号を盛んにマイニングした痕跡がアルわ」
捜査本部のモニターにスピアが映る。
ルイナのラボからリモートで参戦中←
「あら、スピア。何で社会保障番号?」
「次はナリスマシ詐欺でもヤルつもり?やっぱり東南アジアのシンジケートと通じてるんじゃないの?」
「あぁ!せっかく彼女の顔を捉えたのに、画像が使い物にならないなんて!」
天を仰ぐ首都高HPのリルラ。ホントに悔しそうだw
「うーんソッチじゃないわ。ホラ、コッチ。運転手が持ち込んだ魔法瓶に顔が写ってる。ねぇココ、拡大出来ない?」
「え。ちょっと待って…コレじゃ歪み過ぎょね?」
「確かに人間の目で見れば、顔つきは判別しにくい。でも、表面の屈折率で非線形の歪みが生じてるだけ。貴重なデータであるコトに変わりはナイわ」
ルイナは運転手のステンレス魔法瓶に写る犯人の像を指差す。
「要は遠近法の問題。例えば、昔の天体望遠鏡を考えて。星空を拡大するコトは出来ても、あくまで平板、2次元の世界の再現だったわ。ソレに奥行きや次元的な広がりが見られるようになったのは、フーリエやハッブル望遠鏡のおかげなの」
「つまり、正しい遠近法が必要だったけど、昔の望遠鏡には、そのために必要なデータを集める力がなかったってコト?」
「YES。逆に、この魔法瓶に写った画像なら、必要な遠近法を計算出来るカモしれないってコト」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。和泉橋北詰の和泉親水公園。
「ホントにこの公園?なんだかフルボケちゃってるけど」
「そもそも、リバーフロントが流行ったのはバブルの直後だった。バブルが弾けて、周囲はひどく荒れ果てた。放火された店の残骸や地上げし損なった虫喰いの跡地が残った」
「ソレで公園をつくるコトにしたの?」
コックリうなずくスピア。
「スケボーがオリンピック競技になる遥か前の話。計画が承認されるまで28ヶ月かかった。オリンピックでキックフリップ・インディをキメたブラウを知ってる?」
「スケボーのレジェンドでしょ?確か英国人ょね」
「お母さんは日本人。この親水公園のスケボーパークで滑走を始めた。この親水公園は、多くのストリートチルドレンを救ったの」
スピアは、和泉親水公園に目をやる。
「残念だわ。この公園が消えてしまうナンて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室に朝メロのイケメン男優が出没!
署内の老若女々が、文字通り老いも若きも殺到w
ラギィ警部もやりにくそう←
「リカル・ラントが偽名だったら罪なのか?」
「貴方の熱愛の相手が嘘をついてたのょ?貴方は、コケにされたの」
「だから何だ?秋葉原のヲタクは、どーせ全員嘘つきばかりだ!」
呆れるラギィ。
「あらあら。私なら絶対許さないけどな」
「俺のライア・ライラだって同じナンだ。もちろん、芸名だし俺は自分の本名さえ知らないんだぜ?」
「ライアは、里親に育てられたの」
付き添う例のマネージャーが口を挟む。
「リカルは、俺の養護施設の話にも驚かなかった。ソレどころか熱心に聞いてくれたんだ。なぁ俺もう帰りたいな」
「警部さん。この子、鹿児島からの長旅の後で疲れてルンですけど」
「待って。リカル・ラントは今、何処にいるの?」
先を急ぐ朝メロ男優は、明後日の方向に視線を飛ばす。
「さぁな。でも、アンタらから逃げ切って欲しいょ」
有無を言わせズ立ち上がり、取調室を出て逝く。
「強い性格だわ」
「でなければ、よほどの演技派男優か」
「朝メロを見る限り、芝居はヘタクソなのにね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
SATOの駐車場。パーツ通りの地下深くにアルw
「どんな感じ?」
「OKょテリィたん。撮るわょ!」
「眩しい!」
極秘に運び込まれた2階建てバスの運転席に座り、スピアが焚くフラッシュに目をつむる僕w
「テリィたん!そこ、少し高くして。そこょ!」
喘ぎ声で聞きたい台詞を叫ぶ車椅子のルイナ。バスのウィンドウに方程式を描き殴っているw
「テリィたん!動いちゃダメ!リカル・ラントの頭は、恐らくこの位置だったハズ…だから、動かないで!」
「僕はモデル失格だな。なんで僕を呼んだの?ルイナ」
「バイオメカニクスのダミー人形は、重くてスピアが運べなかったの。あ、レーザーの赤い光線を直視しないで!」
じゃ照らすなw
「僕は、ルイナが捜査から外され、スネてル顔を見るのにウンザリしたから手伝ってルンだ」
「テリィたんって、観察力ゼロね。私はスネてナンかいないわ。でも…ヲタッキーズは失業寸前、スピアの親水公園も風前の灯火。もう、どんな決定でも良いから、早くカタをつけたいの!」
「全くだ。つけたいねぇ」
僕も溜め息をつく。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕は、SATOの秘密駐車場でダミー人形の代わりを務めてから、万世橋の捜査本部に顔を出す。
「ラギィ。ライア・ライラはどうだった?」
「ソレが…さすが腐っても朝メロ男優って感じょ参ったわ。テリィたんの方は?超天才はヒマでヒマで死にそうナンじゃナイの?」
「大好きな実験に付き合って来た。しばし、俗事を忘れてた…と思う。もともと、何処か他人行儀だったのが、今回の件で、ルイナとの距離がカナリ縮まった気がスルょ」
ココでラギィのスマホが鳴動。
「ラギィょ…テリィたん?今、ココにいるわ。OK…テリィたん、ルイナの決定が出たって」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。ルイナのラボ。
「スピア。ランチでも食べない?」
「ソンなコト言って、ルイナ。捜査が気になってルンでしょ?偵察しに来たワケ?」
「ソレもあるけどね…親水公園のコト、聞いたわょ」
スピアは、立ち上がる。
「政治的に戦うコトにした。再開発の反対運動を起こそうと思うの。署名を集めて役所に掛け合うわ」
「まぁ!出来るコトがあったら言ってね」
「頼りにしてるわ」
ココでルイナのスマホが鳴動。
「ルイナょ。テリィたん?何?…え。決定が出た?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
SATO司令部はパーツ通りにある、とあるゲーセンの地下深く秘密裡に作られ、専用の秘密エレベーターで降りる。
今、声紋チェックを終え司令部フロアに着いたエレベーターのドアが開くと…司令部要員が総立ちで拍手し大歓迎。
スピアがルイナの車椅子を推ス。
「おかえり!超天才!」
「機密情報アクセス権、復活おめでとう!」
「正式に復帰だね!」
司令部要員はもちろん、SATOのレイカ最高司令官自らも出迎え、車椅子のルイナをハグ。
「やっと戻ったわね?ルイナ、未だ仮発行だけどコレをつけて。貴女はオールアクセスょ」
ルイナのゴス服についてたビジターバッジを投げ捨てる。
「早速仕事に戻れる?スピアから報告がアルわ」
「ルイナ、写真の修正プログラムなのょ。ステンレスの魔法瓶の表面に映った歪んだ顔を修正プログラムにかけてルンだけど…こんな感じ?」
「うーん近いけど何か違うのょねぇ。ルイナ、何とかならないかしら?」
実際に間近で見たリルラは不満顔だw
「わかったわ。微分同相マッチングを使う」
「そっか!ソレなら屈折の閾値を…」
「スピア。私にやらせて」
ハッカーは喜んでキーボードを譲るw
「例えば、こんな風に手を加えたらどう?」
「あ!コレょコレ!犯人の顔だわ!」
「コレなら顔認識で照合出来ます!桜田門とデータリンクします!」
捜査本部のモニターに写るリカル・ラントの顔は、どんどんクリアになって逝く。
「スピア。でしゃばってゴメンね」
「ルイナ!やっぱり貴女って最高ょ!萌え」
「この瞬間を2年間も待ったんだ!」
いつの間にか国家安全保障局のブラキ班長が来ている。が…
「データベースにヒットありませんw」
「ソンなバカな!何と照合したの?」
「犯罪者、政府職員、免許保有者などなど…奴は免許は持ってナイのかな?」
僕は、一計を案じる。
「待てょ?養護施設の記録はどうだ?朝メロ男優の発言が気にナルんだけど」
「ビンゴ!奴の本名は…ケピナ・ヲルパです!」
「え。冗談だろ?こんなハズはない…」
ブラキ班長が絶句←
「奴が17才だと?未だ子供じゃナイか!」
第3章 犯人は17才
児童養護施設"外神田の森"理事長室。
「もちろん覚えているわ。たくさんの里子を育てたけど1人も忘れてない。中でもケピナ・ラルパは愛想が良くて、人から好かれる子だった」
「院長。ズバリお伺いしますが…彼女は悪い子でしたか?」
「うふふ…微妙」
サンダ院長は、答えをはぐらかす。
「ケピナ・ラルパは、とても年上に見えた。だから、他の子から慕われていたコトは確かね」
「つまり?」
「誰かがハデな悪さをした時は、私達は多分ケピナにそそのかされたんだろうと思ってた…貴方、国民的ヲタクのテリィたんょね?」
僕はミユリさんと"外神田の森"を訪問してる。
彼女は、ムーンライトセレナーダーに変身中だ。
「彼女は、御両親の死後、里子に出されたそうですね。御両親の死因は?」
「飲酒運転の事故に巻き込まれたの。でも、亡くなったのは養親よ」
「え。養親だったんですか?」
サンダ院長は自ら淹れたドリップコーヒーを薦めてくれる。
「かわいそうな子なの。実の母親には捨てられ、育ての両親は殺されるなんて。あの子ばかりが不幸を背負って生きている…ねぇそう思わない?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。万世橋の捜査本部。
「ケピナ・ラルパの逮捕まで、あと一歩だ。2年も追いかけ、ついに素性と名前が知れた。奴も身の危険を感じてるコトだろう」
「そりゃ何がしか感づいてるでしょ。でも、自宅をSWATに急襲された後も平気で芸能事務所に顔を出してる。どーゆー神経ナンだか」
「金のためだ。欲深い女だから、手ブラでズラかる気がしないだけだ」
鼻息荒いブラキ班長に、ヲタッキーズのエアリが反論。
「アレだけ慎重で写真1枚残さズ、2年も逃げ回った奴が、どーして朝メロ男優の推し活ナンか始めルンです?何かヘンでしょ?」
「ヲタクだからだ。推し活に夢中になり、つきまとうファンやパパラッチに写真を撮られる危険が増すコトまで気が回らないのだ。バカなヲタクだ」←
「…せめて、ホンキで推したから、とか言えないの?ヲタクは、推すと決めたら命がけなの」
呆れるエアリ。だが、ブラキ班長の毒舌は止まらナイ。
「いや、単に社会が見えてナイだけだ…確かライア・ライラとケピナ・ヲルパは、生い立ちが似てる。同じ孤児院…じゃなかった、児童養護施設上がりだからな。心が惹かれ合ったンじゃナイか」
エアリは、溜め息をつく。
「とりあえず、ライア・ライラを尾行します」
「良いだろう。でも、まさか君達、尾行にかこつけてライアを推すワケでは…」
「ありません!」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
続いて、復帰なったルイナのラボへ。
相棒のスピアがスマホに怒鳴ってるw
「違うの!住民投票したいワケじゃない。欲しいのは、正式な署名用紙だから…あ。おかえり、テリィたん」
「街中華"新秋楼"のデリバリーボックスだ。チャーハンもギョーザも買って来たぞ」
「ブラボー!しかし、反対運動ってコレほどの手続きが必要とは思わなかった。骨が折れるわ」
早くもスピアは息切れ気味だw
「和泉親水公園を守る運動、トコトンやる気だろ?…ところで、ルイナ。晴れてSATOに凱旋した感想は?」
「正直言って良い気分。戻れなくても構わないと思ってたけど、やっぱり素直に嬉しいと感じるわ」
「そっか。じゃ早速お仕事追加だ」
僕は、ラギィから預かったファイルを見せる。
「この国家安全保障局のブラキ・カカシって班長がヤタラ絡んで来て逆に怪しい。ソレと、何故かみんなケピナ・ヲルパは単独犯じゃなくて、東南アジアのシンジケートとつながりがあると思ってる」
「ヘンな先入観ね。どーして?」
「手口が似てるの1点張りだ。先ず、組織の内部に1人潜入させ口座情報を盗ませる。ソレから外の連中が億円レベルを巻き上げる。このやり口がゴールデントライアングルっぽいんだって」
車椅子にゴスロリのルイナは頭をヒネる。
「で、その組織を特定したいワケ?」
「うん、まぁYES」
「確率伝播アルゴリズムを試してみるわ。バラバラの情報からまとまった全体像を整理するプログラム。投票日のTV局を想像して。当確を出すために色々と情報を集めるでしょ?出口調査や開票経過。関連性が強い情報もあれば、投票当日の交通量や天気予報とか、あまり関係ない情報もある。確率伝播は、膨大な量の情報を確率計算にかけて、正確な結論を導くの。ソレで当確者や共犯の組織を特定出来るワケ」
例によってルイナの話は半分もワカラナイw
「で、やれるか?」
「モチロンょ。任せて」
「頼むね」
ルイナは嬉々として新しいホワイトボードに何やらトンでもナイ方程式を描く。
そのサマは、まるでペンキ屋さんが鼻歌混じりに白い壁に原色を塗るが如くだ。
「ヲタッキーズも廃業を免れて良かったね」
相棒ハッカーのスピアが耳元で囁く。
「うん。でも、理由を知りたいょ」
「テリィたん、考え過ぎょ。率直に喜べば?」
「そうかな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「おはよう。ライア・ライラのグルービー?」
張り込み中の覆面パトカーにレンチンしたコンビニホットドッグを届けるエアリ。車内には首都高HPのリルラがいる。
「朝メロ男優の華麗なる人生だわ。"ホテル24"で高級ディナー、そのままバーで飲んでクラブを3軒回って明け方に御帰宅」
「ディナーもクラブも私達には無縁だモノね」
「きっと今は爆睡中だから、昼の張り込みは楽…」
ところが、マンションのオートロックから、サングラス姿のいかにも"芸能人"が現れて、路駐のボルボへと乗り込む。
「ありゃりゃ。どうなってるの?一晩中退屈させといて。やってくれるわ」
呆れるリルラ。一方、エアリはアゲアゲで運転を交代。
「山が動いた。出番だわ!」
スマホしながら早朝の中央通りを飛ばすボルボは、万世橋の南詰で停車。サングラスを車内に投げ捨てリバーハウスへ。
「あらあら。未だ開店前ょ。朝ラーかしら?」
「で、どーする?」
「リルラ、任せるわ。私、秋葉原じゃ面が割れてるし」
ライアは、無人のテラス席にポツンと1人。ソコヘ…
「心配したんだぞ!無事か?」
「こうして会えたわ」
「どーも写真を撮られたらしいな」
フラリと現れたのはケピナ・ヲルパ!すると…
「コスプレバーの朝営業セット、いかがですか?」
ビラ配りのミニスカポリスが営業をかけてくるw
「な、何だ?間に合ってるぞ!」
「ソンなぁ写真の子がスタンばってます。全員、早朝割引が効くのょ?お好きなコスプレ無料で御給仕しちゃう」
「え。コスプレ無料?良く見せてくれ…」
ところが、写真はケピナ・ヲルパだw
次の瞬間驚くケピナの両手には手錠←
「ooh!NO!」
「ヤメろ!彼女を離せ!」
「はい、ココまで。ゲームセットょ」
激昂するライアを背後から抑えるエアリ。
リルラが手錠をかけたリカルを立たせる。
「さ、行くわょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部に凱歌が上がる。
「ヲタッキーズがケピナ・ヲルパを逮捕したわ!」
「ホントか?とても信じられん」
「今、連行されて来る」
国家安全保障局の政策第4班長は半信半疑だ。
「恩に切る。ヲタッキーズ、最高だ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
凱歌はSATO司令部でも上がる。
「おめでとう!テリィたん、やったね」
「うん。ライア・ライラが鍵だった」
「ヲタッキーズがどんな手を使ったかは聞かナイわ」
え。振り向くとモリン・モーラ心理作戦部長がいる。
「ヲタッキーズ、またまたお手柄ね。ルイナの処分に関する首相官邸の決定もおめでとう」
「モリン。もうそのコトは水に流そう」
「テリィたんのヤンチャを官邸も認めたってワケね。秋葉原で好き放題にヤルお墨付きが出たと思ってる?」
超天才ルイナは、マルチバースの"敵性次元"への情報漏洩で機密情報アクセス権を喪失、その後の再審査で、モリンはルイナが極めて不利となる報告書を官邸に上げているのだ。
「でも、私の勧告は無視されて、結局ルイナは無罪放免となった」
「その通り。でも、僕にも首相官邸の真意はわからない」
「トボケないで!テリィたんにはわかってるハズょ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室。ケピナ・ヲルパの独白。
「面白いコト、教えてアゲル。私は、この日が来るのが怖かった。ずっとね。でも、ココに座って感じるのは…安心感。逃亡生活は刺激的だけど、長くは続けられないわ。この年で胃潰瘍の心配だナンて」
ケピナは、監視カメラに向かって余裕で微笑む。
「最悪なのは、常に別人のフリをスルことね。2年間、あらゆる人間に化けて、もう自分が誰だかわからなくなったわ。ねぇアンタも寂しい?今日でゲームオーバー。明日からは、退屈でしょ?」
雄弁な独白。モニターを見ていたカカシ班長が怒鳴り込む。
「俺の前でニヤニヤ笑うな!そうやって得意のスマイルで金儲けのために何人も騙してきたんだろ?!」
「待ってょ取調べは所轄に任せて」
「別に襲ったり殺したりしたワケじゃない。ただ、会社の儲けをいくらかチョロまかしただけょ。ただの少額窃盗だから!」
制止を振り切り、取調室に飛び込んだカカシを抑えるラギィだが、ふと不審に思ったコトを口にスル。
「少額?ねぇ合計10億円が少額なの?」
「10億円?何ソレ。年末ジャンボ宝くじ?私、最高でも…」
「フザケルな!2019年8月18日には2384万円、同じ年の10月30日は1861万円。12月からは、ヤタラ大胆になったな。3864万円。いくらでも続けられるぞ。全部、丸暗記しているからな!」
瞬間、キョトンとしたケピナ・ヲルパは直ちに大反論←
「私が10億円も持ってると思う?何なのコレ?」
「だから、助けてアゲル。私達には、貴女と司法取引に応じる用意がアル。シンジケートの全貌を教えて。秋葉原における共犯者も」
「何の話?へぇ警察はこーやって罪を作り上げて行くのね?冤罪だわ!」
カカシ班長は、ヤタラと結論を急ぐw
「ラギィ警部。どーやらコイツには時間が必要みたいだ。蔵前橋(の重刑務所)に突っ込んでやれば、少しは考えも変わるだろう。今すぐだ!」
ケピナの首筋を摘み、取調室から連れ出すカカシ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ルイナのラボ。
「テリィたんの言ってたシンジケートとのつながりだけど、東南アジアどころか、海外との接点自体が見つからないんだけど」
「何も見つからないコトも価値アル発見だ…って話はさておき、ソレって確率何チャラアルゴの解析結果って理解してOK?」
「YES。ついでに、ケピナは10億円も窃盗してないわ。そもそも高額窃盗は発生してない。コレも確率伝播の解析結果ょ」
万世橋で聞いてた話と違う。頭をヒネる僕。ソコヘスピア。
「区役所とのバトルだけど…テリィたん。私、白旗を上げるコトにしたから」
「え。どうして?」
「うーんバブルの遺物のリバーフロントを守ろうって、恐ろしく身勝手な話だなと思って。全て私のワガママでした」
スピアが突然殊勝なヒトに豹変←
「スピア、どーした?雷にでも打たれたか?」
「私なりに、再開発の図面を吟味してみたら、まぁ良く出来たプロジェクトだった。秋葉原の雇用創出にも貢献スルし」
「でも、和泉親水公園は?」
スピアは屈託ナイ。何処までも爽やかだw
「もっと良い親水公園が出来るわ。プールやスケボーパークもアルのょ!」
「ホントに良いンだな?」
「of course。あんなボロ公園、惜しむのは私だけ。恐らく私1人ょ」
最後、やや視線を落とすスピア。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕とミユリさんで蔵前橋重刑務所にケピナ・ヲルパを訪ねる。
「ラギィが接見の申請を出してくれてる」
「テリィ様。ルイナの解析結果だと、ケピナは少額窃盗だってコトですけど」
「そーナンだょ。ミユリさん、ソレで筋が通るかな?」
ニッコリ笑って応えないw
「じゃ誰が合計10億円を強奪したの?」
「テリィ様。ソレをケピナ・ヲルパに聞くのです。ケピナが誰かに自分の手口を話して、ソレが真似された可能性もあります」
「あ、メイドさん?ヲタッキーズの方ですょね?すみません、被疑者が見つかりません」←
看守が駆け込んで来る。続いて所内にサイレンが鳴り響く!
「見つからないって…何処に行ったのかしら?」
「直ちに重刑務所を封鎖し、人数確認を行います」
「待って。監視カメラの映像をお願いします」
所内の全カメラのモニタールームに通される。
「全て10分前から巻き戻して再生してください。私がスーパー倍速でチェックします」
無数に並ぶモニターの中からミユリさんが1つ指差す。
「いたわ。この子ょ。そのママ巻き戻して…止めて!」
静止画像に振り向いた顔がチラ見えスル。サイズが合ってない安いスーツ姿ナンだけど、間違いなくケピナ・ヲルパだ!
「彼女?彼女なら被疑者ケピナ・ヲルパの公選弁護人です。私が通しました」
「看守さん。彼女は凄腕ょ。公選弁護人にしとくのは惜しい人材だわ」
「秒で釈放しちゃったね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部で警部はカンカンだw
「仮にも"重"刑務所でしょ?!どうやって逃げたの?」
「弁護士と面会がアルと言って公選弁護人がトイレに立った隙に服とカバンをチョロまかしてお出掛け。悔しいけど、相当に機転が利く女ょ恐るべき17才だわw」
「万世橋のみなさん、ルイナです。SATO司令部からアプリでお邪魔しまーす。みなさん、10億円窃盗犯人を探してましたょね?で、仮に詐欺がバレたと仮定して、ケピナ・ヲルパの同類項を追ってみた」
同類項?数学2B?絶望?0点?negative spiral←
「で、犯人が見つかったのか?」
「テリィたん、私の話を聞いてナイでしょ。同類項ょ同類項。人じゃないの。数字。パターンが見つかった。マイナンバーね、恐らく」
「コレで13人目ょ」
横からスピアの声がスル。何が13人なんだろう?
「ケピナ・ヲルパが狙った全ての企業に、このマイナンバーを持つ社員がいる。7823で始まって中3桁が不明、最後は64で終わるわ」
「テリィたん!この組み合わせは、全国でも1000人もいないのに、この秋葉原に13人もいる。コレ、決して偶然じゃないから!」
「つまり、ケピナ・ヲルパは、そーゆーマイナンバーの社員のいる会社ばかり狙って襲ったってコト?」
珍しく話についてイケテルw
「テリィたん、すっごーい!サエてるわ、さすがミユリ姉様のTO!」
大きくうなずく僕←
「さ。コレがソレっぽいマイナンバーの人達ょ。全員が女性で、しかも38才から46才までの…オバ」
「オバさんをバカにしないで!」
「はい、ミユリ姉様…」
アプリの向こうはヤタラ賑やかだw
「うーん待てょ。ラギィ、ケピナ・ヲルパの里親養育ファイルどこだっけ?養子縁組の記録は残ってナイか?」
「テリィたん、ムダょ。今時は個人情報保護で、生みの親のデータは黒く塗り潰されてる」
「うんにゃ。この業界は軽く半世紀は遅れてるから、黒塗りは全て手描きだ。ホラ、母親のマイナンバーの数字の下半分や右半分やらが黒消しからハミ出してるから読めるぞ」
アプリの向こうでスピアが反応。
「テリィたん!最初は7823。後3桁飛んで、最後が64だから…ってか、コッチでも照合スルし」
「ケピナ・ヲルパのホントの狙いはコレだったのか!」
「彼女は、自分の母親を探してたのね?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋警察署は、朝メロ男優ライア・ライラを召喚スル。
「しつこいな!彼女の居場所ナンて知らないよっ!」
「あらぁ。でも、前もそう言ってリバーテラスでデートしてたわょね?ホントは居場所を知ってルンでしょ?貴方に教えズ彼女が姿を消すハズがナイ」
「もう帰る!今後は弁護士を通してくれ」
席を立ちかけるライア。ソコに僕が顔を出す←
「ラギィ、もうOKだ。お母さんが見つかった」
「良かった!裁判所の情報開示命令をとった甲斐があったわ。テリィたんの元カノのミクス検事が良い仕事してくれた」
「青森便が、さっき神田リバーに着水した…で、ミクスが僕の元カノだって情報、必要かな…あ、ライア。君、もう帰って良いょ」
狐に摘まれたような顔をするライア・ライラ。
何度も振り向きながらエレベーターに消える。
「ラギィ。彼氏、いつケピナに電話スルと思う?」
「エレベーター降りたら直ぐにホットドッグ1本」
「甘いな。もうしてるにブラックパンダー1本」
第4章 再会、そして別れ
その日の夜。僕達はラジオ会館8Fの男子用トイレから神田明神通りを赤外線ナイトビジョン双眼鏡で見下ろしている。
「kingからqueen。食いつくかな、ミユリさん」
「テリィ様。何しろ2年も探してたのですから、一刻も早く会いたいハズ。きっと現れます。あ、目標視認」
「乗りますか?」
警察署の夜間出入口から人影がフラリと現れる。
まるで待っていたかのようにタクシーが横付け。
「どちらまで?」
「え?あ、貴方は?」
「タクシーの中だ!抑えろ!」
警察無線が叫び、路地から、地下駐車場から、赤色灯を回転させ、サイレンを鳴らしてパトカーが飛び出す!
「コチラへ!」
タクシーに乗りかけた人影を刑事が保護、入れ替わりに全員が短機関銃で武装した内調SWATが駆け出すw
「ケピナ・ヲルパ、降りろ!」
「被疑者を確認!」
「来ないで!」
タクシーから運転手が飛び出し、駆け出しながら振り向く。赤色灯の中に目を凝らし…見つけると棒立ち←
「アレが、お母さん?私のお母さんなの?」
次の瞬間、銃尻で殴り倒され、その上に何人ものSWAT隊員が折り重なる。後手に手錠されて立ち上がる。
「お願い。お母さんと話をさせて」
「OK。20年後にゆっくり話すんだな。ホラ、立て!」
「ブラキ・カカシ班長!」
残忍とも思える笑みを浮かべ意気揚々とケピナを連行するブラキ班長。ところが、その前に立ち塞がる影w
「いってらっしゃい、お母さんのトコロへ」
「ムーンライトセレナーダー?ホンキなのか?こんな奴のために?」
「私、お母さんに会って良いの?」
反応は真っ二つ別れる。
内調SWATは、安全装置を解除した短機関銃を一斉にケピナに向ける。ケピナは手錠されたママ、動けない。
ソコヘムーンライトセレナーダーとヲタッキーズが割って入る。さらにラギィ警部以下の万世橋の刑事達が…
拳銃を抜き内調SWATに向ける←
「わ、わかった、ラギィ警部。SWATは武器をおろせ!」
「アンタ達!アンタ達も拳銃下ろして!ってか何でアンタ達まで拳銃を抜くのょ?始末書は私1人で十分でしょ!」
「さ、今のうちに…」
しかし、ケピナは金縛りにあったように立ちすくむ。
ソコヘお母さんが駆け込んで、娘を固く抱き締める。
「ケピナ。ケピナょね。一眼見て貴女だとわかった」
ケピナの両眼からボロボロと涙がコボれる。
ソレでも、彼女は呆然と立ち尽くしている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
深夜。捜査本部が解散となった万世橋のギャレー。
「別に隠してたワケじゃない。君達に聞かれなかったから言わなかっただけだ…パーコレーターで淹れたコーヒーはクソだな。所轄の連中は良くこんなモノ、飲めるなw」
「最初ケピナの被害に遭ったのは、班長の妹さんの会社ナンだってね。ホント、ルイナのデータ解析ってスゴいや。さすがは超天才。パーコレーターの悪口はヤメてくれ」
「始まりは、たかだか200万円の窃盗だった。大袈裟な捜査網を敷くワケにも行かない。そもそも、私が噛まなければ、警察も内調も相手にしなかったヤマだ」
呆れた話だw
「ケチな窃盗だぞ?妹さんに泣きつかれて動いたのか?」
「違う。俺のプライドの問題だ。俺は、バカにされても腹を立てないヲタクと違う。ケピナ・ヲルパは、盗んではマンマと逃げる。俺達をバカにしてる。取調室で見たろ?俺達を、この俺を嘲笑ってたんだ」
「で、被害額を引き上げたのか?おいおい。窃盗額の10億円が何処に消えたか、やっとわかってきたぞ」
核心に触れるがブラキ班長は顔色1つ変えない。
「俺は、2年間1日も休まズあの女を追い続けた。この捜査のために、定年退職も伸ばした。全て奴を逮捕スルまではと」
「そして10億円を手に、晴れて老後をエンジョイか?」
「仮に10億円を盗んだのが俺だとしても…」
ココは大事なポイントなので念推し←
「そーなんだろ?」
「…ケピナ・ヲルパに世間の注目を集めたかった、と言う一心からだ。ゆえに、10億円は手付かずのママで、奴が捕まれば持ち主に返すコトが考えられる。なぁ2年だぞ。俺は、悪党ぶち込みヲタクなんだ。社会から蔑まれても構わない。テリィたん、アンタもヲタクならワカルだろ?
「ワカラナイな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌日。パーツ通り地下にあるSATO司令部。
「ブラキ・カカシ班長に関する報告書を読んだわ。テリィたんの告発で、班長の34年間のキャリアや楽しい老後生活は崩壊スルけど…てっきり、アナタは規律には拘らない人だと思ってたわ」
「やぁモリン心理作戦部長。班長もソレなりの罰は覚悟してたみたいだょ?」
「ソレもそーね。首相官邸の決定が出た時、テリィたんも私に負けズに驚いてるように見えたわ」
タイトスカートで脚を組み替えるモリンw
「結果が全てなのね。今はそーゆー時代。でも、私はソンなSATOが大嫌いょ」
「まさか辞めるつもりじゃないだろーな」
「私は時代遅れの古風な女。ソレは、良くワカッテル。テリィたんのような、自由で気ママなヲタクがSATOを背負って行くのね。コレ、ルイナに渡して」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
御屋敷のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くて回転率ダウン。メイド長のミユリさんは渋い顔だ。
「ルイナ。オンライン呑みしてる?」
ルイナの外出は大騒ぎなので、いつもラボからの参戦だ。
「飲んでないけどオンライン。テリィたん、何?」
「モリン部長から、機密情報アクセス権復活の正式な資格証明書を預かったょ」
「やったー!モリン部長、さぞかし悔しがってでしょ?どんな顔してた?」
カウンターの中のメイド服のミユリさんから提案。
「とにかく、ルイナの復活をお祝いして乾杯しましょ。御屋敷の奢りです」
「ミユリさん、待った!も1つ、乾杯ネタがあるんだ。スピア、いる?」
「はーい。ココ!」
カウンターの末席から手が上がる。
「和泉橋北詰の親水公園の件、どーやら区は既存の公園を残すコトを条件に、デベロッパーに再開発の許可を出すみたいだ」
「え。マジ?テリィたん、何でソンなコト、知ってるの?」
「あの親水エリアは、スケボーチーム"ベジタブラ7"のベースだ。ソレを参酌スルよう、官邸筋から話してもらった。ホラ、僕はベジタブラの連中とは色々あって…」
実は、あの"大晦日戦争"を共に戦った戦友ナンだ。
僕は"神田川面に映る2つの流れ星"の称号を持つw
「超天才の御帰宅と神田リバーの流れ星に乾杯!」
そして、大歓声の中で乾杯は繰り返され盛り上がる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
目の前のカウンターに琥珀色の"ねこぱんつ"。
ミユリさんの、僕専用のオリジナルカクテルだ。
「テリィ様。どうぞ」
「ミユリさん…実はルイナの復帰は喜ばしいけど、ホントにコレで良いのかなって」
「だと思いました…私が未だ池袋にいた頃、テリィ様は前推しのエリスさんと出逢いましたょね?確か、その時テリィ様は落ち込んだと伺いましたが、覚えてますか?」
今カノが語る前カノ話w心の中で第1級警戒体制に移行←
「覚えてる…カモ」
「あのね。ヲタクには、ダメょと叱ってくれるメイドが必要なのです。だって、いつもヲタクは恐れてる。いつか歯止めがなくなり、自分が廃人になるんじゃないかって。でも、大丈夫。歯止めならあるの。ソレは…自分自身」
「ミユリさん。ソレで僕達ヲタクは楽になれるのかな?」
ミユリさんは微笑む。
「私、楽になるなんて逝ってませんょ」
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"秋葉原"をテーマに、推しがスーパーヒロイン化したトップヲタク達の苦悩?をヲムニバスで描いてみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。




