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65 双子対決

間もなく城門前だと言うところで、俺はファランザ城門の城壁上部に一斉に現れる数多くの魔導士に驚いてしまう。

そして――


『ブラックリストレイ!』


――何者かの呪文が聞こえたと思うと、漆黒の物体が瞬く間に俺達ごとディアマトを(おお)ってくる。


「ディアマト! 回避だ!」

「ま、間に合わぬ!」


――バコンッ!

次の瞬間、俺が展開した空気の壁に俺も含めて皆がぶつかっていた。


「痛たたた……な、なんだよ。一体」

「ぐぐ……主様、無事かの……?」


俺はぶつけた頭を摩りながらディアマトの状態を確認する。


「……っ! ディアマトこそ大丈夫か!」


ディアマトの両手足と両翼に禍々しい漆黒の魔法陣で囲われ、ガッチリと固定され身動きが出来ない状態だった。


「う、動けぬ……」

「これは……闇魔法の拘束術式……まさか!」


セバストは城門の城壁上部に視線を向ける。


「フハハハハハ! 愚か者達め、俺達が敵軍の接近を警戒していなかったとでも思っていたのか?」


そこには数多くの魔導士の中で一段と高笑いをする貴族のような豪勢(ごうせい)な服を着たエレナと同じ白髪と黄金色の瞳をした男が不敵な笑みを浮かべながら俺達を見下ろしていた。


「……ラルク様!」


セバストが城壁上部にいるラルクに向かって名前を叫ぶと、ラルクは俺達の中にセバストがいる事に気付く。


「何……セバスト!? 何故ここに……いや、敵に捕まり人質にされているのか! ……何と卑劣な!」


また何か猛烈に勘違いされてそうな状況の中、エレナはセバストに尋ねる。


「セバスト、確か闇魔法には相殺する作用があるんだったわよね?」

「……え、えぇ。そうですが」


エレナは確認を取るとすぐに呪文を唱え初め――


「ダークウェーブ!」


――呪文名を唱えると、エレナはディアマトを拘束している魔法陣に向かって黒い衝撃波を放つ。

すると、ディアマトを拘束していた漆黒の魔法陣がパリンと音を立てて打ち消されていった。


拘束が解けたディアマトはすぐに羽ばたき宙に浮く。


「エレナ、でかしたの! これで動けるのじゃ!」

「……何ッ! 私の魔法が打ち消されただと!? ……闇魔法の耐性者がいるのか!」


ラルクは拘束魔法が打ち消された事に衝撃を受けていた。

そんな中、エレナは俺に視線を向ける。


「アモン……ちょっと行ってくるわ。壁、解除して頂戴」

「あぁ。……だが、魔導士の数も尋常じゃない。俺も付き添うよ」

「……ありがとう、アモン。お願いできるかしら」

「任せてくれ」


エレナは頷き、ディアマトに視線を向ける。


「……ディアマト! 城門上部へ移動して貰えるかしら!」

「わかったのじゃ、エレナ!」


すると、ディアマトはラルク達がいる城壁上部の上空へと飛行する。


「アモンさん、エレナさん……お気をつけてくださいね」


エアリアは心配そうに声を掛けてくる。


「うん。エアリア達は城門からセバストと入っておいてよ。俺達が話を付けてくる」

「わかりました、アモンさん!」

「よし……行くぞエレナ!」

「えぇ!」


エレナは風の層を身にまとい、一足(ひとあし)早く城壁上部へ向けて飛び降りていた。

俺もエレナに続いて城壁上部へと飛び降りた。




――スタッ!

俺は着地すると、顔を上げ周りを見渡す。

すると、一足早く飛び堕ちたエレナがラルクと対峙していた。


「「「ラルク様をお守りしろ!」」」


周りの数多く魔導士がエレナに向かって一斉に魔法を放ち、ラルクとの戦いに介入しようとするが――


「させない! アブソリュート・シールド!」


――俺がすかさず空気の壁をエレナとラルクの四方に展開する。

魔導士たちが一斉に唱えた魔法は空気の壁に阻まれ、エレナに届くことはなかった。


「……なんだ、この結界は!」


ラルクはエレナに向かっていた膨大な数の魔法が届かず消滅した事に驚いていた。


「エレナ、これで邪魔者は入らない。思う存分やると良いよ」

「えぇ!」

「……クッ! なんでエルフが敵国の味方をしている! それにどこかで見覚えがあるような……」


だが、ラルクは顔を左右に振る。


「いや、今はそんな事どうでもいい。同族でも敵対するなら容赦はしない!」


ラルクはそう言うと、腰に下げていた刺突剣を鞘から取り出す。


「はぁ……一方的に仕掛けてきたのはあなた達じゃない? そこらへんは勘違いしないでもらえるかしら」


エレナもため息まじりに短剣を取り出して構える。


「問答無用!」


ラルクは襲い掛かってくる。


――ガキィィンッ!

だが、エレナは刺突剣を短剣で受け止める。


「へぇ……あなた、剣も使えるのね」

「……まだそんな軽口を叩く余裕があるのか!」


――キィンッ! ズサァァ!

ラルクは短剣を刺突剣で弾くと、大きく後方へ下がる。


「……だが、これならどうだ?」


ラルクは呪文を唱えると、刺突剣に黒い(もや)がまとう。


「食らえ――”ブラックアロー”」


ラルクは刺突剣を勢いよくエレナに向けて突くと漆黒の尖った物体が勢いよく放たれ、エレナに向かって飛んでいく。


「――ッ!」


エレナは風の層をまとっていた事もあり、ギリギリ避ける事は出来た。

対象を失ったラルクが放った技は俺の空気の壁を貫通し――


――ドゴォォンッ!

城壁に食い込み大きな風穴をあけていた。


「……か、貫通しただと!」


そう呟いた後、すぐに俺はセバストから教えてもらった事を思い出す。

……俺はもう貫通されないように、空気の壁にマナの層を多めにまとわせた。


「危なかった……あなた、面白い事してくれるわね」


完全にエレナを殺しにかかってきていたラルクは不敵な笑みを浮かべる。


「フハハハ、驚いたか? ……魔法は放つだけが全てじゃない。剣にも力を付与することができるんだ」

「なるほど……魔法剣ってところね。……こんな感じかしら」


すると、エレナも同様に呪文を唱えると、短剣に黒い靄をまとわせる。


「食らいなさい――”ブラックスラッシュ”」


――エレナは短剣を勢いよく振り下ろすと漆黒の斬撃がラルクに向かって放たれる。


「ふん……遅い!」


ラルクは漆黒の斬撃を避け、俺が展開した空気の壁に衝突し消滅する。

俺は密かに貫通されなかった事に対して喜んでいた。


「ふふ、闇魔法の耐性者がお前だったとはか。……だが、まだまだ使い慣れていないようだな! ……勝負はこれからだ!」

「――望むとところよ」


ラルクとエレナは不敵に笑みを浮かべ睨み合う。

俺はそんな2人を息をのみ見守るのだった。

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「アモン達は今後どうなるのっ……!」


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