64 魔道都市ファランザ
俺の提案に両国の騎士団長は驚きの表情を浮かべる。
そんな中、エレナもエアリアと同様に村人の元から俺達のいる所へ戻ってきた。
「あら、見ない顔が増えてるわね」
エレナはドワーフの騎士達を見ながら俺に尋ねてくる。
「あぁ、エレナか。この方達はラインセルの兵士達だよ。今、グラインボルトとラインセルの重鎮である騎士団長2人に一緒にラビスタットに同行してくれないかとお願いをしているところなんだ」
「へぇ……そうだったのね」
俺達のやり取りを聞いていたドワーフ族の騎士団長テキサリッドは話始める。
「私は構わないが、ラビスタットの国王を暗殺したグラインボルトの者がラビスタットに入国してもいいのか?」
テキサリッドはボレサスに視線を向け、ボレサスは俯きながら言葉を紡ぐ。
「……我が国、グラインボルトが取り返しのつかない事をしたのは自覚している」
「その件だけど、今回のボレサス達が操作されていた事と同様に暗殺も裏で意図的に操作されていた可能性が考えられるんだ」
ボレサスは俺の話を聞くと、思い出しながら話す。
「……確かに、他国の国王暗殺はいくら何でも正気の沙汰じゃない。……私たちはその説明を兼ねて、ビーストキング・ムファザ様がいるビーストヘルズに集まっておったのだ」
「なるほどね。……だからこそ、真相を知る為にも3国で協力する必要があると思うんだ」
俺の話を聞いてボレサスは頷く。
「……そうであれば、私もアモン殿に同行しよう。私が知りえる事は共有させてもらう」
「ありがとう。……セバスト、この2人がラビスタットに入っても問題ないよな?」
俺はセバストに視線を向ける。
「私は異論はありませんが……ラルク様がどう思われるか……」
「確か、エレナの双子のお兄さんだよね」
「はい」
すると、エレナがセバストに問いかける。
「ラルクなら私に任せて。……力づくでも説得させるから」
エレナは不敵に笑みを浮かべる。
「……ほどほどに頼むよ?」
「えぇ、わかっているわ」
「……よし、早速ラビスタットへ向かうとしよう。移動には俺の仲間であるディアマトに乗って移動してもらう予定だ」
「ふふ、我に任せるのじゃ!」
両手を腰に付けてドヤ顔をするディアマトに俺は手を向けて2人の騎士団長に紹介する。
だが当然のごとく、ボレサスとテキサリッドは困惑した表情を浮かべた。
「この少女に乗る? ……無理があるだろう」
「テキサリッド殿のおっしゃる通りです。アモン殿、どういう事ですかな?」
「まぁ、見ててください。ディアマト、見せた方が早いと思うから早速お願いできるか?」
「わかったのじゃ、主様!」
ディアマトはそう呟くと、開けた場所へ移動しドラゴンへ変化する。
「……な、なんとっ!? アモン殿はドラゴンも仕えていたのか!」
「これは驚きだ……先ほどのドラゴンはお主だったのか!?」
ボレサスとテキサリッドの両名は驚き、周りにいた兵士たちも同様に驚きの声を上げていた。
「主様、乗ってくれるかの」
ディアマトは大きな手を差し伸べてくる。
「よし、さっそく乗り込もうか」
俺は仲間達と先にディアマトの手に乗り込み、ボレサス達に視線を向ける。
「騎士団長の御二方も早く乗ってください」
「わかった! ……だが、ちょっと待っててくれ」
テキサリッドは待機していた兵士達に視線を向ける。
「……お前達! この事はラインセルに帰り、国王に知らせるのだ!」
「「「はっ! 了解致しました!!」」」
すると、ボレサスも同様に亜人族の兵士達に視線を向ける。
「お前達もだ! 私はラビスタットに赴くが……操作されていたとはいえ、私たちが襲ってしまった村だ。村人と協力し、復興の手伝いを行うのだ!」
「「「畏まりました! この村はお任せください!」」」
テキサリッドとボレサスはそれぞれの兵士に号令をかけ、いずれの兵士達は元気よく返事を返していた。
「お待たせしました」
「私もお待たせした。……アモン殿。この手に乗り込めばいいのか?」
「はい、乗った後はディアマトが肩辺りに移動させてくれます」
それから騎士団長の2人もディアマトの手に乗り込むと、ディアマトは肩まで手を移動させる。
「後は俺が落ちないようにガードしておくので安心してください」
俺は2人にそう伝えると、セバストに視線を向ける。
「セバスト。……確か、ラビスタットは北西だったよな?」
「はい。おっしゃる通りです!」
「ありがとう。ディアマト、そのまま向かってくれ!」
「分かったのじゃ! それでは行くかの」
ディアマトは徐々に翼を羽ばたかせ空に浮き始めた後、北西の方角へと勢いよく飛行していった。
ものすごい速さで通り過ぎていく景色に騎士団長の2人は度肝を抜かれている様子だ。
「なんだこの速度は、馬上でもこんな速度は体験したことがないぞ!!」
テキサリッドは景色を見ながら呟く。
「本当だな。……アモン殿、これだとすぐ到着しそうですね」
「そうですね。セバスト、ラビスタット内のどの都市にラルクはいるんだ?」
「はい。魔道都市ファランザという都市にラルク様はいらっしゃいます」
「なるほどね。……でも、徐々に森の面積が多くなってきているけど、もうラビスタットの国内に入ったのかな?」
俺は眼前に広がる森を見下ろしながらセバストに尋ねる。
「はい。既にラビスタットの領土内に入っております。ラビスタット領は緑が多く、領土内にある街の殆どが森と一体化しております」
「へぇ……そうなんだ。確か、エルフの隠里も同じ感じだったもんね」
「仰る通りです。私達エルフは森の中を好む生き物です。空気中に漂うマナも純度が高く、とても居心地良い空間なのですよ」
セバストはそう言うと、エレナも共感する。
「確かに……私の住んでいた集落の周辺にあった森にはよく出向いていたけど、あの高揚感はそういった理由があったのね」
「エレナさんも無意識に森に対して安らぎを感じていたんですね。……あ! アモンさん、見えてきました!」
セバストは指さす先には森から大きな城が突出した大きな街が見えてきた。
「あそこか! ……でも、周りが森だからディアマトが地面に降りる広さが確保できそうもないな」
俺が街の周辺を見ながら呟くと、セバストが提案する。
「それでしたら、城の入り口付近に広い空間があるのでそこから降りるといいでしょう。城の皆は驚くと思いますが、後で私から説明致します」
「……そうだね。申し訳ないけど、そこを使わせて貰うよ。ディアマト、そのまま城の入り口付近まで向かってくれ!」」
「分かったのじゃ!」
それから俺達は魔道都市ファランザの城門前に向かうのだった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「アモン達は今後どうなるのっ……!」
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