46 キメラとの闘い
俺はすぐさま前方に空気の壁を展開する。
「アブソリュート・シールド!」
――ドォォンッ!!
キメラは俺の展開した見えない壁に勢いよくぶつかりその場でもがき狂う。
「キャスティ! 今のうちに……」
俺はすぐさまキャスティの傍に近づき、何重にも縛られている縄を爪で切り落とす。
「アモンさん、ありがとうにゃ! ……これで動けるにゃ!」
キャスティは身動きが出来るようになるとすぐに立ち上がる。
「それで……問題のあのキメラだけど、どうしようか」
俺はキメラの方に視線を向けながらキャスティに問いかける。
「ア、アモンさん! あの生命体の中にはロザリーちゃんも入っているにゃ……それに他の同胞の子達も……っ!」
「……だよね。そうなると殺すことはできないとして……どうすればいいんだ」
すると、ジュラルドが見えない壁で立ち往生するキメラに対して叱咤する。
「何をしている!! 早くそこの者達を倒すのだ!」
ジュラルドはそう叫ぶと、手者にある機械に何かを入力を始める。
――シュィィンッ!
すると、キメラの目が赤く光ったと思うと凶暴さが格段に増していく。
「うぅ……っ!」
激しい動きによって空気の壁に綻びが生まれていく。
「……キャスティっ! あのキメラをお願いできる? 俺はジュラルドに聞きたい事があるんだ」
「任せるにゃ! 武器は無いけど……」
すると、キャスティは自身に風の層をまとわせる。
「……魔法なら使えるにゃ!」
「それじゃ……少し頼むねっ!」
俺はキャスティにそう伝えると、空気の壁を解除してその場から離脱する。
「キシャァァァァッ!」
キメラは見えない壁が消え去ると、すぐさまキャスティに襲い掛かる。
だが、キャスティは圧倒的な素早さでキメラの攻撃を難なく回避する。
「……ロザリーちゃん! 目を覚ますにゃ!」
俺は一先ず問題ないと思い、ジュラルドの方へ駆けだした。
ジュラルドへ近づき、鋭く相手を睨みつける。
「ジュラルド!」
「……ぐぅッ! 2手に分かれるとは卑怯な!」
「何とでも言え! ……1つ聞きたいが、あのキメラを元に戻す方法はあるのか?」
ジュラルドは少し沈黙をした後、答える。
「ふん! ……貴様に教えるつもりはない!」
「それなら――」
――スタッ!
俺が返答をしようすると、グレイスと戦っていたマイトが意識を失ったグレイスの首を掴んで近寄ってきた。
「アモン様、お待たせ致しました」
「マイト……その子は殺しちゃったのか?」
「いえ、まだ息はしております。……息は」
すると、ジュラルドはグレイスを見ながらマイトに懇願する。
「た、頼む! ……やめてくれ、グレイスを殺さないでくれ!」
マイトは懇願してくるジュラルドに対して冷たく言い放つ。
「……あなたはいままで何度、亜人族の方から同じように懇願されてきたのですか? ……そして何度、その願いを踏みにじってきたのですか?」
マイトの問いに対してジュラルドは俯く。
「そ、それは……」
俺は俯くジュラルドに対して問いかける。
「過去の事はもういい。……それよりも今だ。あのキメラを元通りにすることはできないのか?」
「……っ」
言葉に詰まるジュラルドにマイトは続きを促す。
「……グレイス様がどうなってもいいという事なんですね?」
「わ、分かった! キメラを元通りにすればいいんだろ!?」
「……っ!! 元に戻す方法があるのかっ!」
だが、すぐにジュラルドは眉間にしわを付けながら話し続ける。
「……だがっ! ……上手くいかない確率もあるのだ。下手をすれば、失敗して死んでしまう可能性もある」
俺は軽く眩暈がする。
「……なんだよそれは」
「仕方ないだろう! 錬金術を応用した機械で行っているのだ。あのキメラから生命体を別で1体作り出すのだからな」
「錬金術ですか……詳しく原理を教えて頂けますか?」
マイトは顎に手を添えながらジュラルドに問いかける。
「あぁ、この機械を使って個体別の細胞レベルで結合させる。合体させる時は問題ないが、元に戻すとなると話は変わってくる。細胞レベルで遺伝子を分けていくのだ。少しの誤差で生命活動自体が止まってしまう」
俺はジュラルドから話を聞く過程で1つ気になる点を確認する。
「……つまり、細胞を上手く引きはがす事が出来ればいいって事か?」
「あぁ、その通りだが。そんな細胞レベルの制御に私たちは干渉することができない。だからこそ、失敗する可能性が出てくる。……私たちはただ成功するのを祈るだけなのだ」
「……わかった。俺ならその細胞の分裂を手助けすることが出来るだろう」
ジュラルドは一瞬俺の言っている事が理解できないでいた。
マイトも同様のようで尋ねてくる。
「……待ってくださいアモン様! そのような事ができるのですか?」
「あぁ、以前に仲間の体内でも同じような事をした経験がある。それを応用すれば出来るはずだ」
俺はジュラルドに視線を戻す。
「すぐに取り掛かってくれ」
「あぁ……少し待て」
ジュラルドは手元の機械に何かを入力すると、キャスティと戦っていたキメラはその場で動きを止める。
「……ど、どうしたにゃ……?」
キャスティは動きを止めたキメラを見ながらポカンとしていた。
「キャスティ、来てくれ! キメラに取り込まれた者達を元に戻すことができるかもしれないんだ!」
「……ほ、本当かにゃ!!」
俺の元に駆けてくるキャスティと入れ替わるように、マイトは部屋の隅に移動してグレイスを地面に座らせ壁にもたれさせる。
ジュラルドはグレイスの方に視線を向けた後、俺とキャスティに視線を移した。
「……それでは、この容器の中にキメラを入れてくれるか」
「わかった。キャスティ、手伝ってくれ」
それから、俺とキャスティで手分けをしてキメラを専用の容器の中に移動させる。
キメラを入れた容器からは管が伸びており別の空の容器と繋がっていた。
「この空いた方の容器にキメラから分離された子が移動するのか?」
「そうだ。今から1体ずつキメラから分離していく。……だが、先ほども伝えた通り失敗することもある。死んでも知らないからな」
「……え! 失敗したら死んでしまうのかにゃ!?」
キャスティはジュラルドの言葉を聞くと慌てて俺に尋ねてくる。
「そうならないように俺がサポートするんだ。……見ててくれ」
「……アモンさんがそう言うなら信じて見守ってるにゃ!」
俺はキメラを入れた容器を閉めてジュラルドに視線を向ける。
「……よし。これでいいか?」
「あぁ。……それでは準備を始める」
ジュラルドが機械を操作すると、キメラを入れた容器と何も入っていない容器に液体が入っていく。
俺もキメラが入っている容器に両手をかざして集中し始める。
「……それでは始めるぞ」
「あぁ……始めてくれ!」
機械は大きな音を響かせながら稼働していくのだった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「アモン達は今後どうなるのっ……!」
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