44 豪邸でのお泊り
マイトがロザリーに尋ねても一向に話そうとはしないロザリー。
「何よ、黙っていたら分からないじゃない」
「……すみません」
マリッサもロザリーに問いかけるが、ロザリーは答えようとしない。
「……ま、答えられない事は誰にでもある事よ。そこまで追求しなくてもいいんじゃない?」
エレナは2人に対して問いかける。
「だね。そんなに問い詰めちゃ答えたくても答えられないよ。それに、ロザリーにだって言えない事の1つや2つはあるさ」
「そうですよ。……申し訳ありませんロザリーさん」
俺やエアリアもエレナの意見に賛同し、険悪な空気を打ち消す。
「……それもそうですね。申し訳ありませんでした。ロザリー様」
「……ふん」
マイトはロザリーに向かって謝罪するが、マリッサは納得のいっていない様子。
「……いえ、こちらこそ申し訳ありません」
「じゃ、じゃあ話を変えるにゃ! ロザリーちゃんはいつからメイドをしているのにゃ?」
キャスティは場を和ませる為に、別の話題へと変える。
「えっと……まだ、1カ月ちょっと……かな」
「結構長く働いているにゃ!」
「そうかな? ……キャスティちゃんは?」
「私はメルトリアって街で買われてしばらくはご主人様に休みなく働かされていたけど……少し前からアモンさんに助けてもらって一緒に行動するようになったのにゃ!」
「……キャシティちゃんもいろいろ大変だったんだね」
「そんな事ないにゃ! 今はとても楽しいにゃ」
キャスティはそれからもロザリーと身の上話を続けて晩餐会までの時間を過ごす。
俺達はテーブルに着き、そんな2人を遠くから眺めていた。
――コンコンッ
しばらくすると、扉が叩かれる。
「あ、はい!」
俺が返答を返すと扉が開かれた。
すると、そこにはメイド長のグレイスが立っていた。
「失礼致します。晩餐会の用意が終わりましたので、大広間にお越しください」
グレイスは礼儀正しく端的に要件を伝えてくる。
「……ロザリー、あなたも付いて来なさい」
「はい! グレイス様」
グレイスに呼ばれたロザリーはすぐさま席を立つ。
俺達もロザリーと同様に席を立ち、グレイスに付いていく事にした。
「それにしてもすごい豪邸ですね。よく人を招き入れたりするんですか?」
先頭を歩くグレイスに俺は尋ねる。
「はい。ジュラルド侯爵様は催し物がお好きな方ですので、今回のアモン様達のように急遽お呼びになる事もございます」
「へぇ……いろいろ大変なんですね」
「いえ、ジュラルド侯爵様がお望みでしたら私はどのような事でも従います」
グレイスからはジュラルドに対しての忠誠心が感じられた。
「グレイスはこの屋敷に仕えて長いんですか?」
「はい。もう10年は仕えております」
「10年も……それはまた長いですね」
想像以上に長く仕えていて俺が驚いていると、大広間に到着する。
「さ、こちらが大広間になります。どうぞ、お入りください」
グレイスは入り口の傍で立ち、俺達を室内へと誘導する。
中へ入ると、光り輝く装飾が散りばめられている部屋で中央に置かれている長いテーブルの上に数多くの料理が置かれていた。
「お待たせ致した! どうぞ、座ってくだされ」
長いテーブルの一番奥に座っていたジュラルドは俺達に向かって話かけてくる。
「どれも美味しそうね!」
マリッサがテーブルの方へ駆けだすと料理を眺める。
「マリッサ様! お行儀が悪いですよ!」
マイトはそう言いながらマリッサを追いかける。
「もう、少しぐらいいいじゃない!」
「よくありません! ささ、座ってください」
なだめながらマリッサを席に着かせ、マリッサの座った席の斜め後ろにマイトが立つ。
「ガハハ、喜んで頂けてなによりだよ。腕の良い料理人に作らせましたからな」
俺もマリッサと同様にテーブルの料理を見ながらエアリア達と席に着く。
「美味しそうですね……っ!」
「本当ですねアモンさん! とても美味しそうです!」
エアリアも料理を見て目を輝かせている。
「もうお腹ペコペコにゃ! 早く食べるにゃ!」
「ふふ、そんなに慌てなくても食べ物は逃げないわよ」
キャスティはもう限界のようで、それを見たエレナはほくそ笑む。
マイト以外の全員が席に座り、グレイスがそれぞれの席に飲み物が入ったグラスを置いていく。
「ささ、皆グラスを持ってくれ」
俺達はジュラルドに言われる通り、俺達はグラスを手に持つ。
「急で申し訳なかったが、今日は楽しんでくれ! カンパーイ! 」
「「カンパイ!」」
乾杯をした後、キャスティは空腹を我慢していたのかすぐに頂きますをして食べ始めた。
「はは、キャスティそんなにガッツかなくても大丈夫だと思うよ?」
「はぐっ……はぐっ……! 凄く美味しいにゃ!!」
キャスティがとても美味しそうに食べるものだから俺も釣られて料理に手を伸ばす。
「……どれどれ」
皿に少量取った後、口に運ぶとキャスティの言う通りとても濃厚な味わいが口全体に広がる。
「……美味いなっ!」
「……んっ! とても美味しいです!!」
エアリアも俺と同様の反応で、俺達はしばらく箸が止まらず食べ続けて行った。
しばらくすると、お腹も膨れあがりもう入らない状態となる。
「はにゃ……幸せにゃ……もうお腹一杯で入らないにゃ……」
キャスティは机に突っ伏して今にも寝てしまいそうな様子だ。
……というか、もう寝ていた。
「キャスティ。こんなところで寝ちゃだめだろ?」
俺が注意すると、ジュラルドが提案をしてくる。
「ガハハ、よかったら今日はこの屋敷で泊まっていくと良い! ……どうかなマリッサ姫?」
「ふぁ……そうね。私もお腹がいっぱいになったら眠くなってきたわ」
マリッサもキャスティ程ではないが、とても眠たそうだ……というか、俺も眠くなってきた。
「それなら……ご迷惑でなければお言葉に甘えたいのですが」
俺は眠気眼でジュラルドに伝える。
「問題あるまいよ! さ、グレイス。マリッサ姫や他の者達を部屋に案内して差し上げてくれ」
「畏まりました。ジュラルド侯爵様」
唯一、何も口に入れていなかったマイトは俺達を黙って見つめていたのだった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「アモン達は今後どうなるのっ……!」
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