36 迫られる選択肢
「な、なんだよこれ!?」
「……もしかして、これは……」
俺は足元の魔法陣を見ながら問いかけると、エアリアが何かを試し始める。
「……そんなっ! ……アモンさん、マナが上手く制御できません!」
「そんな事って」
俺は試しにその辺の空気を操作しようと試みる。
……だが、エアリアの言う通りマナが上手く制御できず思うように操作できなくなっていた。
「な、なんなのよ! 一体!」
マリッサ達は状況が理解できないようで混乱していた。
「……エレナ、キャスティはどう!?」
「……エアリアのいう通りみたいね」
「うぅ……力が入らないにゃ……」
エレナやキャスティも試すが、どうやら俺と同じ状況のようだ。
「なるほどの。これは――」
「――これはバリョッサス領土に伝わるマナの制御を狂わせる奇襲術式です」
ディアマトとマイトが冷静に分析をしていた。
「ご名答。お前たちはその術式にまんまとかかったという訳だ」
すると、街中から黒装束の2人が歩いて来た。
「……また会ったな」
その中の1人が俺に問いかけてくる。
聞き覚えのある声で、それは以前屋敷で会った黒装束の男の声と同じものだった。
「あなたは……まさか街の人がいないのも、あなた達が原因ですか!?」
「その通りだ。……ちょっと事情が変わってな……ちょっとばかし細工させてもらったよ。今頃、街の皆は一時的に廃人になって家からでてこないだろうね」
「……そんな……なぜ、そんな事をするんですか?」
俺が尋ねると――
「――今に分かる」
すると、もう片方の口元に傷跡のある黒装束の大男が呟き、巨体な体からは想像もできないような速度でマリッサに接近してきた。
「……キャっ!」
「マリッサっ!」
俺はすぐさまマリッサを抱き寄せ相手に背を向けて庇いこむ。
――ガキィィィィィンッ!
痛みはなく、その代わりに剣戟の音が背後で鳴り響く。
振り返ると、マイトがシルバーダガーで相手の短剣を受け止めていた。
「……何故、お前が守る?」
「……っ!」
マイトは返答せずに、相手の短剣ごと振り払う。
後方へ下がった大男は淡々と話し始める。
「……ボスからの指令だ。お前に命じられていたマリッサ・エクリエル暗殺の命は俺たちが代わりに受け持つことになった」
俺は庇っていたマリッサを解放すると、マリッサは黒装束の大男に勢いよく問いかける。
「待ちなさいよアンタ! マイトが私を? 冗談を言うんじゃないわ!」
「……いいだろう、冥途の土産に教えてやる。マイト・スタインは我らカオスゲートの諜報員。……つまり、俺達の仲間だ」
「う、嘘よそんなの!」
「……お前がどう思おうが関係ない、嘘だと思うなら本人に聞いてみるが良い。マイト……チャンスをやろう。今この場でマリッサ・エクリエルを殺せばお前に対してのペナルティは解消してやる」
黒装束の大男はマイトに問いかける。
「そんな事させ――」
「――おっと、邪魔はさせないぜ?」
俺がマイト達のやり取りに介入しようとした時、屋敷で会った黒装束の細男は俺達に手をかざすと身動きができなくなった。
「……く、動けない!?」
「ま、マイトさん!!」
「うぅ……何よこれ!」
「動けないにゃ……っ!」
「うぬ……不覚じゃ」
エアリアやエレナ、キャスティとディアマトも同様に動けない状態なのを確認すると、俺はマリッサに視線を向けた。
「マリッサ! 早く逃げて!」
「……ねぇ、嘘よねマイト?」
「……」
マリッサは逃げる事もせずにマイトに問いかけ続ける。
沈黙を守り続けていたマイトに痺れを切らした黒装束の大男が話し出す。
「……わかっているだろうがマイト。ここで断るという事は、組織の裏切りだと思え」
動こうともしないマイトに、黒装束の大男は釘を刺す。
「……ねぇ何か答えてよ、マイト!?」
「………………申し訳ありません……お嬢様」
マイトは小さく呟くと、シルバーダガーを高く振り上げる。
「待ってくれ! マイトォ!」
俺は制止しようとマイトに問いかけるが、マイトはそのまま振り上げたシルバーダガーを振り落とした。
「……っ!」
マリッサはその場で目を瞑る。
――ズシャッ!
マイトが振り上げたシルバーダガーを自身のもう片方の手に振り落とし斬りつけた。
手からはドクドクと、血が滴り落ちる。
「……クゥッ」
マイトの声で目を開けるマリッサ。
「……え? ま、マイト! 血が!」
マリッサは滴り落ちる血を見て慌て始める。
そんな中、マイトは血が滴り落ちる手を力強く握りしめてマリッサの方へかざす。
「……マリッサ様、この血に誓って……これからもお守り致します」
「マイト!」
マリッサの表情がパァっと明るくなる。
「……ふん、それがお前の答えか」
マイトはすぐに黒装束の大男に向かい合う。
「……はい。お嬢様には指一本も触れさせません。……お嬢様。下がっていてください」
「わかったわ! あんな奴、やっつけてしまいなさい!」
「……スキルは封じられて片手は使えない、そんな今のお前が俺に勝てると思うな――」
黒装束の大男はすぐさま肉薄してくる。
――ガキィィンッ!
マイトはシルバーダガーで相手の短剣を受け止めるが、先ほどとは違い。マイトが後方に振り払われる。
「……クッ」
何とか踏みとどまるマイトだったが悲痛な表情を浮かべていた。
「……ふん、今のお前はユニークスキルを使えない。初めから勝敗は分かっているものを……何故裏切った」
「……分からない。……ただ、私はお嬢様を守るだけだ」
「長い城生活で毒されたか……ならば……今すぐマリッサ諸共死ぬがいい」
黒装束の大男は、勢いよくその場で短剣を振り降ろす。
――ズシャッ!
すると、遠くにいたはずのマイトの体に斬撃跡が出来る。
プシャァァァァァァァ――
すぐさまそこから血が勢いよく噴き出した。
「ぐあぁぁっ!!」
「いやぁぁっ! マイト!」
「マリッサ様! ……来てはダメです!」
「……で、でもマイトっ! 血が……っ!」
血だらけのマイトは、駆け寄ろうとするマリッサを静止させる。
「はぁ……はぁ……。私は、大丈夫です」
「全然大丈夫そうじゃないわよ! すぐに治療しないと――」
「――させるかよ」
黒装束の大男は、続けざまに短剣を連続で振りかざす。
すると、次々とマイトの体に斬撃跡が出来て更に血が噴き出る。
「ぐああああぁぁl」
ついにしゃがみ込んでしまうマイト。
「……くそっ! 何かできないのか」
俺は空気操作をしようとするが、まだうまく制御ができない上に動けない……。
このままだったら……マイトが殺されてしまう――
「――トドメだ」
黒装束の大男がマイトに肉薄し、首を落とそうとするその刹那――
――ガキィィィンッ!
何者かが2人の間に割り込み、黒装束の大男の短剣は受け止めていた。
「……アリシア!!」
俺は黒装束の大男の短剣を受け止めたアリシアに向かって叫んでいた。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「アモン達は今後どうなるのっ……!」
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