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34 神殿への旅準備

マイトは笑顔を浮かべるマリッサから俺に視線を向ける。


「……それでアモン様、その神殿とやらに行くとして……道中には危険が付きまとうものです。マリッサ様をそんな旅に同行させなくてはいけないということですよね?」

「まぁ……そうなるね。でも、何かあってもエアリアもいるしマリッサは俺のスキルで守るよ。あと、知っていると思うけどディアマトはドラゴンなんだ。ディアマトに神殿まで乗せていって貰おうと考えているから、そこまで神殿に向かうのに時間はかからないと思うよ」

「……そうでしたか。それなら――」

「ドラゴンっ!? 確か私まだディアマトのドラゴン姿を見ていなかったのよね!」


マリッサはドラゴンと聞いて急にテンションが上がりだす。


「はは、確か初めて会った時もマリッサはディアマトに言い寄っていたもんね。まぁ……まだディアマトには確認はしていないから、この後ディアマトに乗せて行って貰えるか確認してみるよ。多分、乗せて貰えると思うから」

「わかったわ! あぁ……ドラゴンに乗れるのね。今から楽しみだわ!」

「そう言って貰えるとディアマトも喜ぶと思うよ。初めは速度が速いからビックリすると思うけど、俺が落ちないようにガードしておくから安心して。それに、ディアマトにも安全飛行をするように伝えておくから」

「えぇ! そうと決まったら早速出発準備よマイト! もう立てるかしら?」

「あ、はいお嬢様」


マイトはそう言うとベットから立ち上がり、俺に視線を向ける。


「……それではアモン様。私たちはこの後、ライフォード様に詳細を確認した後に旅の準備を始めておきますね」

「うん。俺もディアマトに確認した後で簡単に旅仕度を済ませておくよ。何かあったら俺の部屋に来てくれ」

「畏まりました、アモン様。それでは私たちはお先に失礼致します」


マイトが深々とお辞儀をする。


「また後でねアモン!」

「うん」


手を振ってくるマリッサに俺も手を振り返す。

俺は救護室から2人が出て行くの見送った後、ディアマトの部屋へと移動する事にした。




ディアマトの部屋の前に到着する。


――コンコン

俺は扉をノックすると、中からディアマトの声が聞こえる。


「アモンだけど、ちょっといいかな?」

「主様かの。良いのじゃ」


俺は扉を開けると、俺が過ごしている部屋と同等の広い室内が視界に広がる。

ディアマトはテーブルに着き、テーブルの上に並べられたスイーツを摘まんでいる様子だった。


「お邪魔します。……って、それってさっき会場に置かれていたスイーツだよね?」

「そうなのじゃ! すごく美味しかったからの。ライフォードに頼んで用意して貰ったのじゃ!」

「そ、そうなんだ」


ディアマトはディアマトでお城生活を堪能しているようでホッコリする。


「……じゃなくて、ディアマト。ちょっと確認したい事があるんだけどいいかな?」


部屋に来た要件を思い出した俺はディアマトに問いかける。


「何じゃ? 主様」

「うん。神殿に向かう件なんだけど、ディアマトに乗せて貰えないかなって思ってさ」

「……なるほどのぉ。我に乗っていけばすぐに神殿に着くという事じゃな。いいのじゃが……一つ問題があるのじゃ」

「問題って?」

「神殿がある離島なのじゃが……高濃度のマナを放出しておるのは我も前から知っておっての。外から内部に入る時に結界があって、その結界を通過するのが少し厄介なのじゃ」


俺はドルフから教えて貰ったマナを分解する方法を思い出す。


「その事なら安心してくれ。ドルフからマナを分解する術を教えて貰っているから、大抵の魔法は無力化する事が出来るんだ。多分その結界っていうモノも俺のスキルで無力化できると思うよ」

「おぉ! さすが我の主様なのじゃ! ……あと気になる点としては、ライフォードの娘っ子も連れていくのじゃろ? 危なくはないのかの?」

「それもさっきマリッサにも確認したら、マリッサもディアマトに乗れるのを楽しみにしている様子だったよ」

「そうじゃったのか。それなら問題はないのじゃ!」

「……後は、問題なさそうかな? それじゃディアマトも旅仕度を済ませておいてね。すぐに出発すると思うから」

「わかったのじゃ主様!」


俺はそうディアマトに伝えると、部屋を後にして自室へと戻る事にした。




自室に戻る途中でマイト達と出くわす。


「あ! アモンじゃない!」


マリッサは元気よく声をかけてくる。


「あれ? もうライフォード達との話は終わったの?」


俺は傍にいたマイトに尋ねる。


「はい。出発する日が決まりましたので、そのご報告をと思いまして……」

「なるほどね。それで出発日はいつになったの?」

「ライフォード様もすぐに出発してほしいとの事で、出発は明日の明朝になるようです」

「明日ね。俺も出来ればすぐに出発したいと思っていたから賛成だよ。……あと、さっきディアマトに確認したら神殿まで乗せて行って貰えるってさ。よかったねマリッサ!」

「え、本当!? よかったわ! もう明日が楽しみねマイト!」

「……お嬢様、あまりディアマト様に失礼の無いようにお願い致しますね」

「もう、そんなの分かっているわよ! ……あぁ、明日が楽しみだわ」


マリッサは目を細めて天に拝みながら呟く。

マイトはため息を漏らしながら俺に視線を向ける。


「はぁ……それではアモン様、私たちも出発日の事をエアリア様達にご報告を済ませた後、出発に向けて旅仕度を行おうと思います」

「わかったよ。俺も明日に向けて旅仕度をしておくね」

「はい。それでは明日から私共々マリッサ様をよろしくお願い致します」


俺はマイト達と別れた後、自室に戻り簡単に旅の身支度を済ませる。


「こんなもんかな」


俺は部屋を見渡しながら感慨(かんがい)にふける。


「……明日でしばらくこの部屋ともお別れか」


数日しか過ごさせてもらっていない部屋だったが、妙に寂しさを感じてしまう。

そんな寂しさを感じながらも旅仕度が済んだ俺は、明日に向けて体を休ませることにした。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「アモン達は今後どうなるのっ……!」


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