21 アリシアの仲間たち
アリシアを追いかけようとした際、マイトが声をかけてくる。
「それではアモン様、私たちは先にお城に戻っておきますね。また何かありましたらいらっしゃってください」
「分かりました。案内ありがとうございます!」
「いえいえ。さ、戻りますよお嬢様!」
「嫌よ! まだ遊ぶの!」
「わがまま言わないでください。行きますよ!」
マイトは逃げ出そうとするお嬢様を腕を掴み、強制的にお城へと向かっていった。
2人と別れた俺達はアリシアを追いかけた。
しばらくすると、街の中央にある大きな輪っか状のものが設置されている広場に到着した。
「……これは一体?」
俺は大きな輪っか状のものを見上げながらアリシアに尋ねる。
「これは都市間での移動が楽に出来るワープホールよ。設置されている場所だけにしか行けないけど、特別な訓練場にもワープホールが設置されていて、鍛錬をするにはもってこいの移動手段なの。丁度腹ごしらえした後に皆と合流する予定だったのよ。……あ、いたいた」
アリシアはワープホールの近くで話していた3人に近づいていく。
「おじいちゃんだ!」
アリシアが呼びかける前にエアリアが声を上げる。
「え、おじいちゃん?」
「はい! 私、ドルフ・アランテルの孫なんです! おじいちゃ~ん!」
エアリアはそう言うと、3人の中で一番のご老体のドルフの元へと駆けていった。
「なんじゃ……ん!? エアリア!? ……何でお前がここにいるんじゃ!?」
白く長いアゴヒゲが特徴的なドルフは非常に驚いた表情をしてエアリアに尋ねる。
「えへへ、来ちゃった! おじいちゃん!」
「来ちゃった……ではない! 確かお前は修行の旅に出て亜人国の方へ向かっていたと思っておったが……」
俺もドルフに近づき声をかける。
「申し訳ありません。俺の都合でエアリアには付き添って頂いていたんです」
「なんじゃ、お主は? ……それに何じゃ大勢で……アリシア。これはどういう事じゃ?」
「えぇ、説明するわ――」
それからアリシアは俺達の事を説明した。
「――それで、私たちと目的が同じであるアモン達を皆に紹介する為に来たのよ」
「なるほどのぉ。お主も魔族か」
ドルフは俺の方を見て呟く。
元々アイネがいたからなのか、俺が魔族だと知って3人はあまり驚いていなかった。
「それじゃ説明も終わった事だし、アモン達に皆を紹介するわね。……ってドルフの事は紹介しなくてもいいか」
「馬鹿者、抜け者にするでない。……ワシはドルフ・アランテルで魔導士をしておる。お主と行動を共にしていたエアリアはワシの孫じゃ、世話になったようじゃのう」
「いえ、こちらこそ。エアリアには何度も助けて貰っています。ありがとうございます」
「……うむ、魔族にしては律儀な奴じゃのう」
「それじゃ次に……分厚い鎧を着たのがボルティガ・バルテルミーよ。彼は剣聖と呼ばれるいるわ。剣でこいつに勝てるのは私ぐらいね」
アリシアが紹介したボルティガという男は非常に筋肉質で分厚い鎧の背中には大剣を背負っていた。
見るからに強そうな見た目をしている。
「……アリシア、お前とはまだ決着はついていないはずだが? まぁいい。小生はボルティガと申す者だ。日々鍛錬を積み、剣の道を究める為にアリシアと行動を共にしている」
短い黒髪に青い瞳をしたボルティガが自己紹介をすると、キャスティは目を輝かせながら話しかける。
「剣聖なんて……すごくカッコいいにゃ! 私も一度手合わせ願いたいにゃ!」
「ん? お主も剣士であるか?」
「はいにゃ!」
「ふ、いいだろう。後で手合わせ願う」
「わかったにゃ!」
何やらキャスティはもう勇者一行のボルティガと約束をしていた。
「えと、それじゃ最後ね。彼女はクロエ・アリエール。私たちのパーティの守りの要よ。彼女がいなかったら私たちは今まで生き残ってこれなかったほどよ」
「もう、大袈裟ですよアリシアさん? ……ご紹介に預かりました、私はクロエと申します。回復魔法を得意としておりまして、私が近くにいる限りは命を落とす事はさせませんのでご安心ください」
白髪に蒼い瞳をしたクロエさんは耳が長くエルフのようだ。
神官のような服をきており非常におっとりとした女性で、どこか心休まる気持ちになってしまう。
「クロエさんも回復魔導士なんですね! 私も回復魔法を得意としているんです!!」
エアリアはクロエにテンション高く話かける。
「あら、そうでしたの。たしか……ドルフのお孫さんでエアリアさんでしたよね。よろしくお願い致します」
「はい! それで、クロエさんは光魔法の――」
エアリアはそれからクロエと専門的な話をし始めた。
「紹介はこんな感じね。……っていうか、もういろいろ話こんじゃってるからいいか」
アリシアはボルティガとクロエの方を見て呟く。
「それでアリシア、ワシらはこの後どうするのじゃ?」
「そうね、アモン達の適正を見て欲しいわ。足りないものがあれば特訓して鍛え上げてほしいの」
「ほっほっほ、そういう事かの。……任せるのじゃ」
ドルフはそう言うと、残った俺とエレナとディアマトに向かい合う。
「さて、お主たちの力を確認させてもらうかのぅ」
「よろしくお願いします。俺はユニークスキルに空気操作があります。エアリアのお陰で空気操作の可能性に気付き、様々な応用技を使う事ができます」
「ほぉ、空気とな? 特殊な能力を持っているようじゃな。……という事はマナを分解することもできるという事か」
「マナを分解……ですか?」
ドルフから聞き慣れない事を言われてつい尋ねてしまう。
「あぁ、マナとは元々は空気から作られるエネルギーなのじゃ、私のユニークスキルにマナ吸収があるからの、マナには詳しいのじゃ」
「……それはつまり、俺の力を使えばマナを作り出す事も出来るし、無くす事も出来るって事ですか?」
「その通りじゃ、恐ろしい能力を持っているようじゃが、具体的なやり方は後で試してみようかの」
「わかりました。……でも、俺の能力にそんな使い方もあったなんて……驚きです」
俺は自分の手のひらを眺めながら改めて驚かせられる。
どうやらアランテルの血筋の者は俺の能力を最大限に引き出してくれる者ばかりのようだ。
「それで……そこのエルフのお嬢ちゃんは見たところ、魔導士ではないようじゃが?」
「えぇ、あたしは魔法をあまり使わずに育ってきたからね。エアリアから教えて貰って少し魔法をかじっている程度よ」
「ふむ、もったいないのぉ。……ちょっといいかの」
そう言うとドルフはエレナの手を握る。
すると、繋いだ手が光り輝く。
「……っ! な、何をしたの!?」
エレナはすぐさまドルフから手を放した。
「何、ちょっとお嬢ちゃんのマナの状態を確認したまでじゃ、ワシはマナ吸収の能力で相手のマナを分析することもできるからの」
「そうなのね。……で、何が分かったのよ」
「……ふむ、お嬢ちゃんには闇属性の耐性があるようじゃな。あまり闇属性の魔法を扱えるものはおらぬからすごい事じゃぞ?」
「……確か、エアリアが前に話していましたが、闇属性の魔法は耐性がないと魔法に身を蝕まれると聞きましたが……」
「その通りじゃ、耐性のない者が無暗に闇魔法を使うと身を滅ぼす。じゃが、耐性がある者が使えば害はなく有効に扱えるのじゃ」
「あたしにそんな耐性があったなんてね……」
エレナは自分の手を見ながら呟く。
「ワシも闇魔法の耐性はあるからの。後でいろいろ教えてやるわい」
「えぇ、お願いするわ!!」
ドルフはディアマトに視線を向ける。
「……それで最後に小さいお嬢ちゃんじゃが……角が生えているようじゃが亜人族かの?」
「ディアマトはドラゴンです。今はこのような少女の見た目をしていますが、とても大きなドラゴンになる事ができます」
「……なんと! もしや、先ほどのドラゴンはお主じゃったか!?」
「ふふ、そうじゃ。我が主様を乗せてエクリエル王国に来たのじゃ」
ディアマトは不敵な笑みを浮かべながら答える。
「なるほどのぉ……希少なドラゴンをこの目で見れるとは、長生きするものじゃわい」
ドルフはディアマトをまじまじと観察しながら呟く。
「ちと失礼するぞ」
ドルフはディアマトの手を握り、再度マナを少量吸収する。
「やはり……相当な力を持っておるようじゃな、お主ほどの力を持った者が何故アモン達と行動を共にしているのじゃ?」
「そんなの簡単なことじゃ、主様に助けて貰ったからの。その恩返しに付き従っているのじゃ」
「ふむ、……ますます不思議なやつじゃのぉ」
ドルフは俺の顔を見ながら呟く。
「そうでしょうか? 俺はただ当たり前の事をしているだけですが……?」
「……その当たり前ができない者が多いのじゃ」
「そ、そうなんですね」
ドルフは何か決心したように話始める。
「……うむ、ワシはアモンを誤解していたようじゃ、ワシも出来る限りの事は協力させてもらうからの。何でも言ってくれ」
「はい。先ほどおっしゃっていた空気操作でマナを構築、分解を行う方法を試してみたいです!」
「おぉ、そうじゃったな」
「あ、アモンずるいわよ! 私も闇魔法の特訓をしたいわ!」
「まぁまぁ、2人とも焦る事はないからの。順番に教えていくから安心せい」
ドルフはエレナをなだめながら話す。
「それじゃ、俺は後でいいのでエレナの方から先にお願いできますか?」
「お、優しいのぉ。……それじゃエレナとやら、後で闇魔法の基礎から教えていこうかの」
「お願いするわ!」
ドルフとのやり取りがひと段落した時、キャスティ達やエアリア達も一通りのやり取りを終えた様子だった。
「……さて、話は済んだようね。それじゃ皆、ワープホールで訓練場へ移動しましょうか」
一部始終を眺めていたアリシアはそう言うと、ワープホールの手前にあるパネルで何やら操作をしていた。
「それじゃ、早速いきましょう」
「えっと、この輪っかをくぐればいいんでしょうか?」
「ワープホールを使うのは初めて?」
「……はい」
「そうなの、まぁ思い切って飛び込んじゃえばすぐ慣れるわよ」
「わかりました、やってみます」
俺達は思い切ってワープホールへと飛び込んだ。
すると視界は瞬時に切り替わり、目の前には広い荒野が広がっていた。
「え!? ここは?」
振り返ると、アリシアもワープホールを通って荒野に来ていた。
「ここは私たちがよく訓練で使う場所ね。このワープホールの周辺には結界が張られているから魔物は入って来られないけど、結界から出たら気付かれて襲われるわ」
「なるほど……この荒野からワープホールを通って街に入り込まれる事はないんですね」
「えぇ、ここでドルフからいろいろ教えてもらうと良いわ」
「ありがとうございます! アリシアはその間、どうするんですか?」
「ん? あたしはアイネと特訓しているわ。あの子の怪力は強力だからね。良い特訓になるのよ」
俺はアイネの怪力というユニークスキルの事を思い出していた。
「確かに……」
俺が呟いていると、続々と皆がワープホールから出てくる。
ドルフやエレナもワープホールから出てくると俺に近づいてくる。
「さて、アモンにエレナ。早速特訓を始めるかの」
「はい!」
「えぇ」
それから俺達はワープホール周辺にある結界を抜け、ドルフとの特訓を始めるのだった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「アモン達は今後どうなるのっ……!」
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