第一話 強制転生
「魔王様ーーーーーー!!!!」
魔王城全体に響き渡るような声で叫びながら、一匹の魔物が魔王のいる王座の間へと慌ただしく入ってくる。
「何事だ」
魔王は重々しい声で魔物へと問う。
「は、魔王様、報告いたします。先ほど勇者一行に城門を破られました!!!!その後も勇者一行は進軍をし続け、現在第四柱のアスタロト様、そして第九柱のリリス様と交戦中でございます!!!!」
「後の柱達はどうした?」
「それが・・・・・・勇者一行が魔王城に来る前に痺れを切らしてしまい、自ら勇者一行のもとへ行ってしまい、やられてしまいました!!」
「・・・・・・そうか・・・・・・それなら仕方ない」
「私もこれから勇者一行ものもとへと向かって、戦って参ります。では」
そう言うと魔物は勇者一行と戦いに王座の間を後にした。
「ここで私の人生も終わり・・・・・・か・・・・・・」
(そんなことはこの役目を引き受けた時からわかっていたはずだ・・・・・・いまさら後悔することなどない)
「人間を助けていたというにもかかわらず・・・・・・ふん、運命は皮肉なものだ」
魔王は自分の死を悟った。
「魔王!!!!」
王座の間を声が響き渡る。
(勇者が来るのには早くないか・・・・・・?)
「誰だ⁉出てこい⁉」
「そういわれなくてもちゃんと出てくる」
目の前には一人の男が立っていた。それは勇者の仲間ルーク・カーディナルだった。
「ル、ルーク様!!何故こちらに!?貴方様は勇者と共に行動しておられないのですか!?」
「まあな。そんなことより、お前を今から転生させる」
「はい?」
「だから、お前をとある家の執事として転生させる」
「何をおしゃっているのですか⁉勇者一行が迫ってきているのに⁉私に転生などする時間などありません!!」
「安心しろ、今頃あいつらは戦っている最中に俺の仕掛けたトラップにはまって、他の世界に閉じ込められている」
「しかし、それでは・・・・・・」
「俺のトラップがそんなにも時間が稼げないって言いたいのか、お前は?」
「左様でございます・・・・・・」
その言葉を聞き、ルークは大きなため息をつく。
「俺の力も舐められたもんだな」
「いえいえ、滅相にもございません!!」
「まあ、そんなこと気にすんな、そこは何とかする。これはお前がしてきたことの褒美でもあるんだ」
「・・・・・・私がやってきたことは償いであり、褒美をもらえるようなことでは・・・・・・」
「そんな堅いこと言うな、もらえる物は受け取っとけ」
「しかし・・・・・・」
「あーもう五月蠅い、五月蠅い、もういいや強制的に転生させるから」
自分の真下に魔法陣が浮かび上がる。それから離れようと試みたが、どんなに頑張っての離れることはできなかった。
「じゃ、頑張って行ってこーい!!」
「うわぁーーーーーー!!!!!!」
そうやって自分は転生させられたのであった。