恋するオトメン
あるところに少々変わった性癖の青年がいました。
Sっ気のある同性を好むのです。
孤児院に入る前、父から暴行を受けていたのが理由かもしれません。なお、父はアル中で死にました。
その青年は柳沢と言います。
柳沢は最近、好みの男性を見つけたと言います。山本さんと言います。
そんな彼は、今から意中の相手から噂されるという、大変嬉しい状態になります。
くしゃみも出なかったので、本人は知りませんが。
山本さんの秘書さんが、休憩に席を立とうとするとする山本さんに話を振りました。
「柳沢さんが、自分は山本さんに嫌われているのかと言ってきました。」
「ヴェエなんでっ!?」
「飲み会でやたらと、しかもイジる方向で話を振ってくるからそう思ったそうですよ。」
「いや、会話の輪から外れてたし……あー、余計なお世話だったんだー……」
「そうですねえ、善意からだと伝えたら、私の所感ですが落胆しているように見えました。」
「え、……逆に嫌われてる?」
「さあ……ただ、『自分は山本さんに嫌われてるのでしょうか……っ?』と不安そうな割りに、何かを期待するような目をしていましたよ」
「やっぱり嫌われてる?つか声真似うまいな……」
「さあ……ただ、遠回しに山本は嫌いですかと聞いたところ、大いに取り乱していましたね。」
「うわあ、それ嫌われてるよね……?」
「さあ……ただ、好かれているのは貴方の精神衛生的によろしくないですか?と聞いたときには……」
「聞いたときには……?」
「『えぇー……あっいえそん、そんな、よろしくないわけじゃないです!』と、」
「明らかによろしくないよね、あぁーもうほんと声真似がムダにうまいのがはらたつわー」
「恋する乙女のごとく頬を染めながら、言ってました」
「……この話やめようか」
「はい。」




