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愛人の子
あるところに少年がいた。
ある男が愛人との間にもうけた子供。
男は愛人が亡くなってその少年の存在そのものを知り、引き取った。
富豪の男のお屋敷で、少年は腫れ物扱いの厄介者。
人望のあった奥様が夫の浮気を知り倒れられたのだから、使用人たちが少年を敵視するのは、少年にとって理不尽であっても不思議ではありませんでした。
不思議なことは丁重に扱ってくるのが、腹違いの姉その人だったことです。
ふたりは今日も仲良くお喋りに興じています。
「義姉さんは冷静な人間ですか?それとも薄情な人間ですか?」
「なぜそんなことを訊くの?」
「自分に健全な愛情を注いでいた母を倒れさせた義弟に、思うところがなさそうなので。」
お屋敷にやって来てすぐのころ、少年は奥様にずいぶんひどいことを言いました。
自分のせいであるという自覚はあったのです。ただ子どもである少年には、事実は時に胸に刺さることを知らないだけで。
「さあどうだろう……冷静なのだと思いたいけれど、きっと薄情なのだろうね。どっちにしろ冷たいことに変わりはない。」
「そうですね。」
義姉弟はうなずき合い、くすくすと楽しげに笑いました。




