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200文字小説集 vol.2

桜の花より…(200文字小説)

作者: 日下部良介

 まだ辺りは薄暗い。

 彼女のために早朝から花見の場所取りに来た。

 大きな桜の木の下にシートを広げた。

 仰向けに寝転がる。散り始めた桜の花びらが舞う。

「眠い…」


 辺りの賑やかさに目が覚める。

「おはよう」

 目を開けると彼女の顔。待ち合わせ時間はとうに過ぎていた。

「起こしてくれればよかったのに」

「気持ち良さそうに眠っていたから」

 桜は殆ど散っていた。

「桜、残念だった…」

「いいの。ずっとあなたの寝顔を見ていられたから」



 


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