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もしも人間が魔王になったら  作者: キバごん
エルフ城危殆再来編
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第百二十話 愛情を大量に込めること、それ即ち料理なり

二話構成ーーーーー前編

「おいしいよな〜エレイナの料理は」


昼ご飯時。

城内の重鎮達は揃って料理を食す。

海斗をはじめとする者達ーーー七つの大罪やバルも当然。


料理はエレイナを筆頭に組んでいる料理班が作ってくれたものだ。

和洋折衷……あらゆる料理の分野に特化している彼女。

どれもこれも一級品だ。

まず並みの者では作れないだろう。

エレイナも手伝いの悪魔達も、これほどまでの腕を持っているのにおごることなく謙遜している。

ほんの少しの誇りさえも見せないのだ。


「ありがとうございます……お世辞でも嬉しいです」


「お世辞じゃあねェよ、滅茶苦茶美味しいよ」


絶賛の言葉が絶えない海斗。

笑顔でそれを否定するエレイナだったが、顔は赤くなっていた。


「本当に……美味しいわ……」


「美味いなぁ……」


「確かに……」


その場には、花音、シェイラにアノミアもいた。

お呼ばれしていたのだ。

花音はこの国限定ではあるが、悪魔と天使の親交を深めるため。

あとの二人は海斗が治める国の交流のため。

というちゃんとした意味があるのだ。


しかしエルフは呼ばれていない。

理由は嫌いだから、などでは決してない。

魔物と新兵衛の来襲により、国をまとめるので精一杯なのだ……一人でも欠けてしまえば全てが滞ってしまう。

故に呼ばれていないのだ。


ただ、呼ばれている三人は感嘆の声を漏らす。

その上悔しそうに顔をしかめているのだ。

とても美味しそうに食べているとは思えない。

ひたすら口に運んでは眉をひそめ、感嘆を漏らす……そんな流れを続けている。


その理由は海斗にあった。

主に彼が放つ言葉。


「エレイナみたいな料理できる女性……いいよなぁ。 性格も良いし美人さんだし……男が一番嫁さんに欲しくなる型にどハマりしてるからな〜」


「そんな……嬉しいです、けど……」


これだ。

これが原因なのだ。

彼のエレイナを褒めちぎる言葉……

これがとても彼女達の癪にさわるのだ。


自分も頑張れば料理ぐらい……そうは思うのだが、こんな料理を目の前にしてしまうとその気も失せるというもの。

こういった胸中に浮かぶやるせなさが、三人を覆ってゆく。


「確かに、エレイナはすごいですよ。 ちゃんと教える能力もついてて、班を組めてるんですから。 もっと誇っていいんですよ?」


「姫さんの言う通りだ。 アタシはこんなの作る事、一生かかってもできる気がしねェ」


「最初からやる気無いの間違いでは……?」


「うるせぇクソ堕天使! お前は胃を満たしてろバーカ!」


周りも賞賛の嵐を生じさせる。

それがまた彼女達の憤りと哀愁を促進させるのだ。


頑張る……頑張りたい。

意中の男性の胃袋を、どうにかして掴みたい。

……だが、エレイナの料理の腕までは果てしなく遠い。

どう取り繕おうと、その道のりは縮もうとはしない。


いきなり 『はい! 私すっごいの作れます!』 なんて言えない。

ただの彼女の引き立て役になるのがオチだ。

現実は変わらない。


「……」


「……」


「……」


表情はますます暗くなってゆくーーーー

だが単に暗くなっていっているのではない。

打開策を考えているのだ。

自分も、美味しいと言ってもらえるような料理を作りたい……

そうするにはどうするか。


近道は一つだけある。

だがそれは一番したくない方法でもある。


それは


エレイナ自身に習うこと。


先ほど 『ちゃんと教える能力もついてて』 とバルは言った。

ならば、これを利用するしかあるまい。

現に海斗は胃袋をほとんど掴まれている。

しかし逆を言ってしまえば、それを習いコピーし、自分風のアレンジを加えれば、彼の胃袋をこちらが掴むことになる。


そう考え、少し経ちーーーーー出された料理を食べ終わった今。

三人は互いに言葉を交わすことなく思いを共有し合った。

エレイナに料理を習うと。


そう固く決心し


彼女の元に願いを請うた。


後編へ続くーーーーー

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