ポータル
第4話
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日本ポータル50km圏
ただ荒野が広がるだけだったポータル付近は、開通から1年と数ヶ月経った現在、立派な飛行場に、鉄筋コンクリートの建物などができていて、それを囲むように動物除けのγ線放射機が付けられた壁がある。
空港からは、ミサイルを満載した文字通りエイのような機影のp83 スカイレイⅱが、毎日のように近寄つてくるワイバーンを駆除するために飛び立っている。
そんな中で一際目立つ編隊がいた
フレンドシップ隊だ。
四菱製のずんぐりとしたティルトローター機 YRT 10機
日本国防軍 JAFと書かれたah2攻撃ヘリ 7機
スカイレイⅱ 17機
からなる この物々しい編隊は、国連が神聖ノベラ王国に、派遣する使節団とその護衛だ。
異世界の国々との国交開設自体各国がやるのだが、さすがに、全く未知の世界の国々にいろんな国がバラバラに国交開設とかの交渉をするのは、管理などの問題があるので、
まずは、国連が推薦した人間を地球大使としていかせて、地球人という存在を認知してもらおうというのが今回の目的である。
(YRTとはヨツビシリージョナルティルトの頭文字を取った四菱社製のティルトローター機の呼び名である。
YRTは元々民間用の原子力動力のティルトローター機として、ヨツビシ重工が開発したが、ペイロートや整備性が優れていたことから日本国防軍にも採用された優秀な機体であったため異世界でもその真価を発揮した。)
何機がいるYRTに搭乗しているのは、対nbc防護服を着た外交官と89b式自動小銃やm240bを携えた日本国防軍の精鋭
特殊作戦軍や、アメリカ=カナダ合衆国のデルタフォース、中国の雪豹隊 ロシア連邦の空挺スペツナズをはじめとする精鋭の特殊部隊が、使節団を守るために同乗している。
すでに日本のポータル以外からも似たような内容の使節団が異世界へ入っている。
時刻 日本標準時 11:00
十勝暫定国際飛行場 短距離滑走路
「こちら十勝コントロールフレンドシップ隊へ離陸許可短距離滑走路に進入せよ」
機首に、共産主義の象徴である鎌と槌に小便をかける犬がノーズペイントのYRT 、フレンドシップワンが短距離離陸の為に、ローターに俯角をつけて滑走を始めた。
「こちらフレンドシップワン エアボーン 」
フレンドシップワンに搭乗する4つの分隊の1つである日本国防軍の部隊
戦術核による制圧攻撃後に兵士を展開させるという性格上、コックピットと隔離された兵員キャビンの中で
「今回の任務は異世界ですか、、覚悟しておけと言われていましたが、まさか異世界 、、その上検疫が住んでいない地域に行くことになるなんて」
「そういうな コワルスキーこれも仕事だ。」
「でも異世界って感じがしないっすね。」
「確かに、そこら辺に生えている草は変わらんが、この世界の人間は魔法が使えるって話だ。」
「魔法?!」
「へー この世界の人間は魔法が使えんのか!」
「魔法が使えるって、、イメージ的には魔法の方が強いよな。」
「新人、それはアニメの中だけでだろ?」
「らしいな 戦闘機パイロットから話を聞いたが ドラゴンと戦うのはアニメと違って簡単だっていってたぜ」
「そりゃそうだ 戦闘機にはミサイルがあるからな ドラゴンがこっちに気付くのはミサイルが当たった後だ。」
「でもなんでわざわざ握手になんていくんですかね?奴らは人間じゃない、、」
「まぁそういうなコワルスキー、形だけでも手を取り合わないと 世間の目もあるからな。」
「でも手を取り合おうって考えてんなら首都まで装甲車と完全武装の特殊部隊で乗り付けるわけないよな。」
「いや いや ファーストコンタクトと言うものは、インパクトも大切だ 映画でもエイリアン達はホワイトハウスの上に円盤を着陸させてるじゃないか。」
「ははは、侵略するんじゃないんだから」
「いや これは侵略さ、旧冷戦の時から先進国は侵略を繰り返してきた 今と同じようにな」
「お前 それでよく 海兵隊には入れたなコワルスキー? どうやってごまかした?」
「おいおい、みんな問題発言はよしてくれ。我々は一応国連の代表団の一員だこういうことは話さない方がいい」
話が終わるのを待っていたように、パイロットが目的地に近いという事を短く告げる
「ランディングポイントまであと10分」
「キャビンが与圧されている内にパワードスーツの確認済ませろ」
隊長の声が号令をかけるや否や
全員がフルフェイスヘルメットを被り、パワードスーツの与圧や油圧装、核融合電池に問題が無いか確認しあう
10分後
「着陸!昇降ハッチ開きます!」
プシューッという音がした後、機体後部のハッチが開かれる
「ゴーゴーゴー さっさっと下りろ」
という声とともにYRT機内の総勢45名は素早く、自分の得物を担ぎ、席を立つ。
そして戦術データリンクシステムが正常に起動しているかを確認する。
その草原では既にYRTが核動力エンジンの馬力に物を言せて懸下してきた巨大な甲虫を思わせるLAV42a7nPlus装甲車や重機関銃を備えた大型バギーを下ろされていた。
「全分隊 周辺警戒を怠るな!」
「各分隊は指定された車両に乗り込め」
などの指示がインカムから聞こえてくる中ペンギンズ分隊の隊員達は地球使節団の一団が乗る装甲車仕様のランドデストロイヤーに乗り込んだ。
丁度その頃神聖ノベラ王国 王城ヴァレーセ 王宮
郊外を跋扈するモンスターの市街侵入を防ぐための物々しい城壁の内側には、数え切れないほどの石造りの民家そして、その真ん中には、ノベラ王国の高い技術力、発展した芸術の象徴たるガラスが多用された温室のような作りの王宮がデンとたっていた。
ノベラ王国の教皇であるプリンチペ・アメデオ2世が、木に囲まれた円卓に付く それから少し間をおいて、起立していた司教 や文官 学者が椅子に座る。
そしてアメデオ2世が賢人会議の始まりを宣言する。
賢人議会とは、文官や王に見込まれた学者などが参加する議会で、国王のこれから決定することやしたことに関する諮問会議だ。
「諸君をここに召集した訳は言わずともわかるだろう。」
「だが念のため 概要を説明してくれ。」
文官は「御意に」と答えると
話し始めた。
「事の始まりは数ヶ月前、サイハテ平原に突如として出現した蛮族の巨大居住区です。」
「それに対して、郷土予備隊(冒険者ギルド)が、独自に調査を行ったようですが、現在でも調査隊の消息は不明です。」
「これを受け、王国常設軍の親衛竜騎兵連隊から竜騎猟兵を派遣しましたが、巨大居住区目前で、蛮族の闘鳥
に発見され、やむなく撤退したため、情報は保護された地元住民からもたらされた物のみで、信用性、現実性共に欠けるものばかりです。」
「結論としては、非常に強力な戦闘力を持つ民族が何処からともなく現れて我が国に住み着いたということしか分かっておりません 以上です。」
と言い大臣は椅子にすわる。
アメデオ王がため息をついてから口を開き
「大臣が説明してくれた通り、まだ何も分かっていない そのせいで 魔族の復活だとか根も葉もないような噂を吹聴する輩が増えている。そこで、だ
その居住地に直接攻め込み、連中の化けの皮を剥いでやる必要があると考えている。」
「この事について、反対意見のものは挙手 理由を述べよ」
しかし、手をあげるものは一人もいなかった。
アメデオ王は
「満場一致で我が案に賛成というわけじゃな?」
といった
国王のこの言葉で会議の結論は決まった。
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次回は誠に勝手ながら 世界観の迷走に けり をつけるため、歴史と世界観が中心の投稿となります。