二人の勇者
「い・・痛てぇじゃねぇかよ・・。」
『変なこと考えるアンタが悪いんだから!』
無事、地図を手に入れた俺たちは街の中を歩いていた。
ぶたれたぽっへが痛い。
親父にもぶたれたことないのに!! ・・いや、何度かあるよ。
まぁさっき貴重なリルルのデレが見れたからよしとしよう。
えっと確か~・・
「やぁ~ん、優馬って最高の勇者なのねぇ~♡見直したわぁ・・」
バチンッ
『そんなこといってないわよぉぉぉ!!!!』
右頬の次は左頬を叩かれた。
「っ・・なんだよ、ノリってもんがわかんねーのかよ?」
『アンタのノリなんて一生わかんなくていいわ!』
「なんだとぉ!?」
『なによぉ!?私とやる気?』
「え?ヤる気??」
『こ、このど変態エセ勇者ぁぁ!!!』
よいこのみんなは街中でこんな会話をしちゃいけないよ?
変な目で見られるから。
いや、実際にはもう変な目で見られてるよ俺達。
するとひとりの女性が言い争いをしている俺たちの中へやってきた。
『ふむ・・。痴話喧嘩か?微笑ましいな、リルルもついに男ができたか。』
凛としたその声の主はリルルと俺の顔を見合わせて言った。
綺麗な赤髪を腰まで伸ばした女性はリルルと同じようにブラウスの上に胸当てを装着している。
そして紺色のスカートに剣を携えている。
リルルと違うのはあれだ、胸当てのサイズがね・・ふたまわり、いや、3,4まわり大きい。
つまり俺の言いたいことはわかるだろう?
胸囲の格差社会さ。
「『違いますけどぉぉぉ!?』」
二人でハモりながら否定する。
『ははっ、冗談だ。』
そんな俺らを軽くスルーした女性は俺に向かって敬礼をした。
まっすぐな視線がこちらに向く。
『真田・・優馬勇者様ですね? 話は国王様から聞いている。』
「お、おう・・。」
俺が戸惑っているとリルルがわざとらしく横から口をはさんだ。
『フレイヤ隊長、こいつには敬礼は不要ですが?』
『ふむ・・リルルが言うならそうしよう。』
ええええ!?まてまて 俺、勇者なんですけど。
『改めて紹介しよう、私はバラディック王国、王国軍所属の一番隊隊長を務めている。名を”フレイヤ・ローゼ”という・・よろしく頼む。』
フレイヤさんは胸の前で腕を組み言った。
「一番隊隊長ってことは俺の他に勇者を連れてきたってわけだよな・・?」
俺が恐る恐る聞くとフレイヤさんは『あぁ。』と返事をして言った。
『なにを緊張している、前に出ないか。』
フレイヤさんに促されて出てきたのは黒髪ロングの女。
「ど、どうも・・。」
と俺が言うとその女は声を上げた。
「あぁぁぁ!!あなたは2年C組の真田優馬ぁぁっ!!」
『な、なによ・・。』
リルルは迷惑そうに言った。
え・・いや、俺はなんもしらねぇよ?
『なんだ知り合いか?』
「はい!それはもう・・同じ学校の同級生ですよ~!」
俺を無視して二人は話を進 めていく。
『なら話は早い、こいつはお前を同じ髪に選ばれた勇者”武内あかり(たけうちあかり)だ。』
フレイヤさんは平然と言った。
勇者って男だけじゃなかったのな((汗
同じ学園の同級生と聞くとなんかびっくりするな。
桜花迷彩学園に二人も勇者がいるなんて・・世界は狭いなぁ。
話を聞けばあかりとやらは隣にある通称”花の街ジュレーヌ”という所で儀式を終えたばかりなんだとか。
俺と同じく異世界に来たのは初めてだという。
まぁ、これで二人の勇者はそろったわけだ。