2-2 ココハ何処?
遅くなりました。つづきです。
ズル…と何かを引きずるような音がした。
はっとして雪白は音のした方へ目を向けたが唯、闇があるだけである。
「な…に…?」
息をするのも苦しくなる程に緊迫した空気に、今まで現れる事の無かった恐怖心が湧いてきた。
耳を澄ませてみると、どうやら狼が何かを咀嚼しているのが分かった。そしてソレは結構近くで行われているらしい。
気づかれない様にじりじりと離れてていくと、闇の中で何かが光った。
「っ…!気づかれた……!」
全力で反対の方向へ駆けていくがすぐに背後から獣が地を踏む音が聞こえる。このままでは追いつかれてしまう……!
「いやぁぁあああっ‼︎」
獣の咆哮。
身を焼く程の恐怖。
そしてー
…
……
「あ、れ?」
「全く、この程度で叫ぶとは…」
声がした。しかし誰の声だろうとかそんな事を考えている悠長な時間も無く雪白は地にへたりこんだ。
振り向けば先程の狼の首を‘なにか’が刃物で切り取っているではないか。
「なんなのよ…これ…」
「『夢に決まってる』とか仰るつもりではありませんよね?お嬢さん」
‘なにか’が此方へ近づいてきて月明かりに照らされる。
其れは驚くほどに醜い、男の顔だった。