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僕のネトゲ体験物語  作者: しふぉんけーき
9/11

戦闘2

戦闘中に死んでしまったプレイヤーは、その戦闘中のチャットへの参加は不可能となる。しかし、死亡してから5分が経過すればHPが30%回復した状態で戦闘に復活するのでチャットへの参加も可能となる。

僕は当初の予定通りに技を発動する。まだ勝機はあるなんて思って発動したわけではなく、単に何をすればいいのかが分からなかったからだ。それに続いてzeroが僕と同じ技を発動した。

僕とzeroが発動した技は、20Lvで覚えることが可能なマジシャンの必殺技だ。発動してから時間が経過すればするほど与えるダメージが大きくなる魔法攻撃で、高レベルのマジシャンも愛用している技である。最初に発動しておくのが一般的。

敵が次に何を仕掛けてくるのかは分からないが、先程の威力を考えれば僕らも一撃死だろう。負けるのは悔しいが当然の結果だと踏ん切りをつけるしかない。しかし白椿さん達は攻撃をしてくる気配がない。すでに行動ゲージは溜まっている。

「何をしてるんだろう?」

PTチャットでzeroに聞く。

「分からない、聞いてみるか。」

zeroが決闘チャットで尋ねる。

「どうしてトドメをささない?」

その質問に白椿さんが答える。

「何のために15分に設定したと思ってるの?」

確かにそうだ。時間はまだ12分弱も残っている。それなら、と僕は思ったことを述べる。

「弄ぶため?」

「は?からかってるの?」

白椿さんを少し怒らせてしまったかもしれない。謝るか。

「すみません、冗談です。答えは何ですか?」

なんだか負け惜しみのようにも見えてしまうが、もうどうでもいいと思った。

しかし、それに答えたのは白椿さんではなくzeroだった。

「謝罪をさせるためか。多くのプレイヤーも観戦してるしな。」

白椿さんの返事はイエスだった。そして、このタイミングでzeroとシエールはアイテムを使用する。

[呪いの藁人形]:簡単にいうならば継続付与ダメージ倍化アイテム。与えるダメージは1からスタートし、使用後10秒毎にダメージを2倍にして与えていくというもの。このアイテムを生産するのにはレアアイテムを3種類集めて合成する必要があり、なおかつその3つは40Lv以降のダンジョンボスのドロップアイテムという激レアなアイテムなのだ。ちなみに、付与ダメージは3分経てば4000を越す。これをzeroがSIRIASUとシエールに渡した時は、なんで持ってるのと聞いてしまった。その時は確か、気にするなと言われた気がする。

「どうしたのそのアイテム。まさか手助けをするプレイヤーがいるとは思えないけど。」

白椿さんもどうやら気になるようだ。しかし、zeroは答えをはぐらかす。

「別に関係ないだろ。早く説教でもしろよ。」

どうやら教えるつもりはないらしい。

「そうね、ただ勿体ないと思っただけよ。2つも売ればそこそこの金額になるのに。この戦闘はすぐに終わってしまう。私たちを倒せるだけの時間は稼げないわ。」

正確には3つだ。SIRIASUも持っている。今は画面で倒れて復活するまで待っているが。

ん?復活するまで?待てよ、と僕は思う。道は大きく逸れてしまったがこれは作戦通りに進んでいるのかもしれない。まさかzeroは時間を稼ぐためにわざと答えをはぐらかしたりしていたのか。時間さえ稼げればこちらにも勝機は残っているのかもしれない。僕のマウスを握る手に力が入った。


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