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僕のネトゲ体験物語  作者: しふぉんけーき
6/11

当日まで

金曜日と土曜日の二日間は準備期間にあてることができた。特に土曜日は一日中みんなと育成をすることが出来たので、目標であったレベル20に到達することができ、ひとまずは安心だ。また、驚くべき成果を挙げることもできた。それは土曜日のことである。

僕たちは〈駆け出しの草原〉を抜けた先にある〈深き森〉というダンジョンで育成をしていた。出現するモンスターもてこずることなく倒すことができ、ペースは順調だった。手持ちにあるアイテムを売るためにダンジョンエリアにある道具屋に向かうことにした僕たちは、道具屋で休憩がてらに話をしていた。その時に人帝がなにげなく言い出したのである。

「さっきさ、アイテムが入ったんだよ。」

いきなり当然のことを言い出すので、素っ気なく返事を打ち返してしまう。

「うん、いっぱい入ったね。」

しかし、人帝は少し怒ったように返事を返す。

「いや、普通のアイテムなら言わないから。」

するとzeroがレアリテイについて尋ねる。ちなみにこのゲームの装備とアイテムは、表記されている文字の色の違いによってその価値を見分ける。一番レアリテイが低いのは白色で、そこから順に緑/青/銅/銀/金となる。で、気になる人帝の返答は

「金色」

ほんとかよ。こんな時に冗談はいらない。zeroに渡して確認してもらいたいところだが、残念ながら最高レアリテイはアイテムだとしてもトレード不可だ。信用できないなら写真を送るということでスマホに送ってもらった。まじだった。

「ごめん。」

素直に謝る良い子な僕でした。しかし、問題もあった。そのアイテム名だ。

「[OS:たわし]って何wたわしだってwwwちょっと飲み物飲んでくるw」

完全にツボってしまった。いくら最高級アイテムといえ、たわしは酷すぎる。初級ダンジョンだからなのかな。せめてもう少しマシなアイテムにしてほしい。

冷蔵庫から飲み物を取り出す。よく冷えたお茶を飲んで気持ちを落ち着かせた後、自分の部屋に戻る。そして画面を見た僕は目を見張った。僕のキャラであるナチュラルが人帝と戦闘をしている。ダンジョンはPK可能エリアなのでいつでもプレイヤーをPKすることが可能だ。PK不可能エリアでは相手の許可を得て、決闘となる。別にPKされたことに驚きはしない。まあ、バカにした仕返しだろう。問題はナチュラルのアバターだ。装備がすべてたわしになっている。正確には、体全体が巨大なたわしの着ぐるみを着せられており、頭にもたわしを一つ、ちょこんと乗せている。そして、右手にたわしを握り、足にはまるで下駄のようにたわしを履いていた。しかもチャットには可愛らしく『たわし♪たわし♪たわし♪たわし♪』という呪文じみた発言までされていた。

「なんだよこれ!!なにしたんだよ!」

結構怒った。戦闘終了後口論になってしまった。お互いに譲らない低次元な口論になってしまい、終わりがみえなくなりかけたが、その喧嘩は5分ほどで中断させられた。装備がたわしから元に戻ったのである。もう戻らないと思っていただけに拍子抜けした後、みんなで[OS:たわし]について調べることとなった。結果をまとめると

まず、OSとはオリジナルスキルのことを表している。そしてオリジナルスキルとは、ゲーム上で同名スキルが1つ~5つ程しかないスキルのことを指すとても貴重なスキルだ。どちらもzero情報。ちなみにスキルは通常、レベルアップの過程で自然と覚えていくものだが、オリジナルスキルは[書]というアイテムの形でドロップする。

次に、[OS:たわし]によってたわしに代えた装備は5分で元に戻ること。能力値は全て1ということ。売却値も1Gということだ。

このOSスキルも明日の作戦に組み入れるということで、その後はまた育成に戻ったのであった。




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