二日目
翌日の朝はいつも以上に早く起きれた。学校に行くのが楽しみだったのだ。こんなに早い時期から高校生活が楽しくなるなんて思ってもいなかった。
「 早く昨日のことみんなに聞きたいなあ」
黙ってログアウトしてしまったことは申し訳なかったが、初めての事だし許してくれるだろうと思いながら学校の支度をする。
「行ってきまーす!」
朝食を急いで終え、元気よく家を飛び出す。天気は快晴。風は心地よく、陽射しはとても暖かだった。通学路に沿って並ぶ桜の木はまだまだピンク色の花びらが溢れんばかりに咲いている。
教室に入ると数人生徒がいるだけだった。いつもより30分ほど早くきたから生徒が少ないのは当然だが、肝心な4人はまだ来ていない。
「早く来すぎたかな」
自分の席に座りバックから教材をだして今日の準備をする。10分ほど待つとzeroがやって来た。早速駆け寄り、話しかける。昨日勝手にログアウトしたことを謝ってから、あの後のことを聞いてみた。
「 昨日、僕がゲーム止めてからどうだった?」
zeroは笑いを堪えながら隣の席に座るよう勧める。イスに座ったのを確認したzeroはゆっくりと話始めた。
話をまとめるとこんな感じだ。
僕がログアウトした後も4人で荒らし続けたらしい。すると、荒らし行為をよしとしない者やイラついた者と喧嘩になったらしい。まあ、そうなるよなと思いながらも気になっていたことを聞いてみた。
「そんなに騒いじゃって、なんていうかアカウントを運営に停められたりしないの?」
僕が何を知りたいかを分かってくれたらしく、教えてくれる。
「普通のネトゲだったら何週間かはアカウントを停止されるかもしれないけど、あのゲームは大丈夫。」
そう言ってzeroは僕たちのやっているゲームについていろいろと教えてくれた。
まず、日本屈指の人気ゲームだけあって規模も大きいが、運営自体は荒らし行為には対処しないという。
「えっ。あんなに大人気のゲームなのに、運営はそんななげやりな感じでいいの?」
しかし、zeroは首をふりながら
「それが違うんだな」
と言って説明をしてくれた。
運営が動くのはゲームのシステムに不具合が出たり、イレギュラーな事が起きた時だけだそうだ。その代わり荒らしなどのプレイヤーが起こす問題には別の機関が動くという。それがゲームの上位プレイヤーだそうだ。
その辺の事についてみんなに話すことがあるということで、残りは全員が揃ってから昼休みにということになった。