故郷
朝から降り出した霧雨が街の風景に白い幕を掛ける。水を通さないように織目を細かく詰めオイルコートされた外套のフードから垂れた雫が金色の前髪を冷たく濡らしているが、杏奈はそれを気にすることも無く真っ直ぐ前を見ていた。
杏奈の視線の先に在ったのは、壊れ崩れかけた柵に囲まれた雑草が生えた広場と石造りの廃墟。街の住人に尋ねても何らかの古代の遺跡ではないかという以上のことは分からず、今では朽ち果て近付く者は無いという。
その廃墟を雨に濡れるのも厭わず、杏奈はずっと見つめている。
この街に入ってから杏奈は何か思いつめたように無口になり、スーノのことを省みず街の通りをそれぞれ確認するようにしながら進んでいった。
そして街の外れのこの廃墟にたどり着いてからもうどれくらいになるか、無言で立ち尽くしこの廃墟を見ていた。
そんな杏奈を見て、隣にいるエンジも尻尾を後ろ足の間でダランと垂らし心配そうにしている。
スーノは雨の落ちる空を見上げる。霧雨の雨粒は細かく、煙るようにスーノの顔を濡らす。スーノは外套のフードを少し払って杏奈の顔を見上げる。
その視線に杏奈が気づく。
「ごめんなさい。何も説明しなくて」
「いや、いいよ。なにか理由があるんでしょ」
ここは現実世界で杏奈が暮らしていた街に相当する場所だ。ハーフガイアプロジェクトで生成されたこのセルデシア世界の地名でいえば、ここは<フォーブリッジの街>である。
「建物とかは全然似ても似つかなかったけど、街から見える周囲の山とか川の流れとか、なんか省略されてるけど、街の通りもなんとなく似てて同じ感じがするから多分ここだと思う」
廃墟に視線を戻し、何もなく雑草が生い茂る広場と崩れかけた建造物を見回す杏奈。
「・・・ここ、アタシが通っている学校の場所だ」
繊細な金色の前髪を、フードから伝った雨が冷たく濡らし、髪の先端から雫が一粒落ちる。
「ウチの学校の周りに中学校や小学校があったけど、多分一緒くたになっているのかな?川があっちに流れてて、それに通りの繋がりもあってるし・・・」
淡々と語る杏奈の表情とその口調からは、見ている廃墟にたいして落胆している様子も、悲壮な思いをしている様子も感じ取れなかった。ただ、何か言葉に出来ない空しさが杏奈の心を占めていた。
「この世界って、いったいなんなのかな」
杏奈自身は<エルダーテイル>のゲームで遊んでいたわけではない。しかし何故か兄のキャラクターに乗り移ってこの世界に転移させられてしまった。
だからこそ彼女には今いるこの世界が何なのか?など、皆が考えたであろう疑問を思考の俎上に載せる余裕が今までは無かった。今までは、とにかくこの世界で生きていくことで精一杯だったのだ。
しかし、自分が住んでいた街をモデルにしたであろう、この<フォーブリッジの街>に足を踏み入れ、見知った場所に似かよってはいるが、その実全く違う風景を見た今、杏奈の心にもようやく<大災害>によってこの世界に転移させられたプレーヤー達と同様の疑念や困惑が生まれていた。
「住んでいる人も全く違うし、その人たちにも家族があって生活していて、街や村があって、領主とかお姫様とか何でもないただの住人とか身分の違いもあるし、それにまものなんて怪物すらいるのに、風景とかにアタシ達の現実世界の面影があまりにもありすぎる・・・ここはやっぱりゲームの世界なんですか?それともアタシ達の現実とは全く関係のない異世界なんですか?なんか分かんなくなっちゃった・・・」
杏奈は道の先に目を向ける。
「現実世界だったら、この道をまっすぐ進むと駅前に出るんですよ。駅の反対側にはショッピングモールがあったし、部活の練習帰りにみんなでマック行ってシェイク一杯で何時間も居座ったり、・・・みんなどうしてるかな」
どれくらいの時間、この廃墟の前に立っていたのか、いつの間にか霧雨が止んでいたようだ。
フードを後ろに払って、杏奈はスーノの手を取る。
「着いて来てください」
自分の行き先がしっかり認識できているらしく、杏奈はスーノの手を引いて足早に歩いていく。
身体をブルブルと震わせて体毛に掛かった雨水を振り払い、エンジも二人の後を追っていった。
廃墟から西に向かい、現実世界でいう利根川の上に掛かる、大地人が造ったであろう木造の橋を渡る。木造の橋なら川が氾濫する度に流されその都度架け替えるのだろうから、簡易なその造りも納得できる。北側に目を向ければ、遠くに旧文明の遺跡であろう、頑強で簡単には流されてしまうことの無さそうな石造りの橋が在るのが見えた。
この辺りは既に街から外れている。道の周りは雑草が生い茂り、ぽつんぽつんと木が寂しそうに立っている。
いつの間にか時間は過ぎて夕方になっていた。朝から空を覆っていた厚い雲が徐々に切れ、西の空の雲の切れ間から夕日が刺し込んでくる。
三十分ほど歩きたどり着いた先で、杏奈は自信無さ気に周囲を見回していたが、やがて自分を納得させるように頷く。
「多分ここがアタシの家があるはずの場所かな・・・」
周囲は白い花を咲かせたノバラが群生するだけの何も無い野原、ただそれだけだった。
何も無いその場所、もちろん杏奈もこの場所が絶対に現実世界での自分の家と同位置だと本心から思っているわけではなかった。それでも、なんとなくでも自分の家が在るはずの場所に来てみたかったのだろう。
「なんにも無いですね・・・」
杏奈の声は小さく、良く聞こえない。
「ここにガレージがあって、お父さんの白い車が置いてあって、ここが庭かな。この辺に花壇があって今はお母さんが好きな紫陽花が咲いている頃だよね」
スーノに視線を向け、ここはこうで、と手ぶりを交えて説明しつつ、野原に足を踏み入れる。
「ここが玄関で、こっちが広間でこっちがリビングで、ここがダイニングキッチンで、このへんが階段かな。二階に上がるとこっちがお兄ちゃんの部屋だよね」
無理に気持ちを盛り上げているのか、野原を歩きまわりスーノに説明していたが、「で、ここが・・・」と微かに呟いてから急に動きを止め黙り込む。そして空気が抜けた紙風船のようにくちゃっと萎れた杏奈がそこにいた。
「ここがアタシの家の場所なワケ無いよね。だってなんにも無いもん。周りだってホントはあっちには公園があるはずだし、こっちにはコンビニがあるはず。・・・でも、何にも無い」
小さくなっていく声と同様に元気を失い、杏奈は小さくしゃがみ込んでしまう。そして膝を抱えて何も見たくないと言うように顔を伏せてしまう。
殆ど聴こえないくらいの小さな声が杏奈の口から発せられ、スーノの耳はその言葉を聞き取ってしまう。聴こえたのは「おかあさん」という小さな声。
それを聞いたスーノの胸が万力で締め付けられるように痛む。
杏奈の心と同調したかのように、日も西側の山並みの向こう側に沈んでゆき、周囲から色彩が消えていった。
膝を抱えてしゃがみ込んだ杏奈の隣に訪れ座ったエンジが、その毛皮を杏奈の身体に押し付け杏奈の顔を覗きこむ。エンジには膝の間に埋もれた杏奈の表情は見えない。だからなのか伏せた杏奈の顔から少しだけ覗いた彼女の頬を舐め続けた。
少しの間、杏奈はエンジの成すがままにさせていた。
やがて頬を舐める舌の感触くすぐったいのだろう、膝の間に顔を埋め自分の殻に閉じこもっていた杏奈がエンジの首に抱きついた。
力いっぱいエンジに抱きつく杏奈の顔はエンジ真っ白な毛皮に埋もれ、良く見えない。
「もう、アンタのおかげで落ち込むこともできないよ」
そう言って、エンジの首に抱きついたまま身体を寄せて身体を預けた。
昼にフォーブリッジの街に入るため、今日は魔法具の効力で小さな身体に変化させられていたエンジは、預けてきた杏奈の身体を支えきれず、杏奈とエンジは野原に転げ倒れた。
雨後の草に残る雫で濡れながらも、そんなことを気にもせず、杏奈はエンジの顔を撫で回し、エンジは杏奈の顔を嘗め回し、転げまわる一人と一頭。
そんな姿を微笑みながら見ていたスーノだった。
やがて、流石に疲れたか「もう終わり!!」と、杏奈が顔を嘗め回すエンジを押しやる。
そんな杏奈の姿を見て安心したのか、エンジもその矛先を修め腰を下ろした。それでも杏奈の傍を離れずに身体を離そうはとしない。
周囲には既に夜が訪れていた。雨上がりの夜空の雲間から顔を出した下弦の月が、眩しく力強い太陽の光とは対照的な、柔らかく穏やかな光を下界に降り注いでいた。
そして湿気を帯びた爽やかな風が杏奈の髪を撫で、ざわざわと葉が擦れる心地良い音が聴こえてきた。
杏奈は、ハッと何かに気づいたのか、目を見開いて顔を上げてそれを見上げた。
少し離れたそこには、樹高が二十メートルにもなろうかという堅い樹皮で覆われた太い幹の大木が大地に根を下ろし、枝葉を広げて空を覆っていた。
杏奈の瞳にそのクヌギの木が写りこむ。その姿に杏奈の瞳が輝いた。
「これ、ウチの裏の神社にあったクヌギの木と同じだ!!」
こんなに大きな木になぜ気がつかなかったのだろう。いや、目には入っていたのだろう。けれど現実とこの世界の違いにショックを受けていた杏奈には、その姿が認識することが出来なかったのかもしれない。
クヌギの木に駆け寄り、杏奈はその幹を手で触る。ゴツゴツとした樹皮が杏奈の手のひらに食い込む。
「うん、そう、堅くてゴツゴツとして触ると痛かったんだ。幹の太さも枝の感じも、地面から盛り上がった根っこも同じ!!子供の頃、夏休みにお兄ちゃんとクワガタとかカブトムシを取ったっけ。今じゃ虫なんて触るのもイヤなのにね」
楽しい記憶を思い返しながら、杏奈は微笑を浮かべながら目を閉じる。その閉じた瞳から何かが滲み出て、月明かりを浴びて光を発したようにスーノには見えた。
そして歩み寄るスーノに、大きく手を広げ背後に立つクヌギの大木を紹介する杏奈。
「何も無いけど、きっとこれがウチの裏の神社のクヌギの木です」
正直なところ、この木が杏奈の実家の近くにあった木と関係があるかどうか、スーノには分からない。おそらく関係が無いというほうが自然だろう。
でも、このクヌギの木はウチの裏の神社のクヌギの木です。と、杏奈が言うのなら、それで良いとスーノは思った。それで杏奈の気持ちが納まるのなら。
日は暮れ、雲の切れ間から、徐々に星空が覗き始める。
時間も遅くなりスーノ達一行は、今日はこの場で野営することに決める。草むらは雨に濡れ野営するには不向きになっていたが、ちょうどクヌギの大木の下はその広がった枝葉で雨を防ぎそのおかげで地面は濡れておらず、ここならば寝袋を轢いても濡れることは無さそうだ。
しかし焚き火を起こすには周囲で拾える枯れ木は濡れていて使えない。この闇の中、乾いた薪を探すのも億劫なところだ。
「よし、あいつらに頑張ってもらおう」
そう言って、スーノは特技<従者召喚>の呪文を詠唱した。
しかし、杏奈には周囲に何かが現れたような形跡を見つけることができない。首を傾げてスーノを見ると、スーノは笑いながら人差し指を上に向けた。その指の先、萌えるように広がる葉を茂らせたクヌギの幹から伸びる太い枝に杏奈が目を向ける。
ちょうどその時、野原を湿った夜風が吹き抜けクヌギの枝葉をざわざわと揺らした。その風は杏奈の髪を乱れさせ髪の先が目に入る。目を閉じて乱れる髪を手で押さえ、杏奈は改めてクヌギの枝を見る。しかしそこには何も見えない。・・・いや、杏奈の視界で何かが動いた。枝の上に小さな人影が見える。首を傾げさせながら表情も無くスーノ達を見下ろす白い影。
そして小さな白い影が枝の上をたどたどしい足取りで伝ってくる。良く見ればそれは一つだけではない。ふたつっみっつ、いやその数は徐々に増えてきた。その白い影が枝から太い幹の歩みを進める。重力の方向を無視しクヌギの幹を地面とするように幹に垂直になってひょこひょこと歩き、その影はスーノの前に集まった。
スーノの前に集まった白い影は五つ。小さな小人のような全身白の肌で身体には衣服らしきものは何も纏っていない。二十センチ~三十センチと身長もマチマチ、身体の各パーツの大きさのバランスもそれこそバラバラで、頭が妙に大きかったり小さかったり、手が長い者や胴体が細長い者など体型も共通性は無い。
唯一共通するのは白い肌が陶器のような質感をしており、顔には鼻は無く、眼と口は丸く黒いだけの穴がぽっかりと穴を開けているだけというところ。そんな顔をしているのだが、何故かその無機質な表情でも感情を読み取れてしまう、といったその姿に杏奈は既視感を覚える。
彼らはスーノのメイン職業である<森呪遣い《ドルイド》>の特技で召喚される従者<マイコニド>である。森の祖霊で、正しくはキノコの精霊のはずだが、スーノの召喚したそれはあまりキノコに似ていないようだ。まあ、強いて言うのなら、えのきやエリンギといえるかいえないか。
ゲーム時代は重量を無視することができる鞄の代用として使用する特技だったが大災害以降は打って変わり、荷物運びや、たとえば今回スーノが指示したような薪を拾って来い、などという単純な作業を行うことができるようだ。
ピッとしっかり直立している者や、ふらふらと足元が覚束ずに頭を揺らしている者、座り込んで居眠りを始める者や何故か喧嘩を始める二人組など、勝手気ままな彼らに、スーノの号令が掛かる。
「整列!番号!!」
気の向くままで位置もバラバラだったマイコニドたちがスーノの号令一閃、今までの動きとは見違えるキビキビとした動作でつま先を揃えてスーノの前に一列に並んだ。そして右から順に、五体がぴっと手を上げてスーノに応える。
「よし!!お前達、薪を集めて来い。乾いて火がつきやすそうなヤツだぞ、濡れてるのはダメ!!分かったか!!」
スーノの指示を聞いているのかいないのか、マイコニドたちは表情も無く立っているだけだった。そんな姿を眼の当たりして、杏奈にはスーノの指示が彼らにキチンと伝わったのかどうかいまひとつ釈然としないものが在ったのだが、その指示を受け妖精たちが覚束ない足取りながらバラバラの方向に散っていった。
「あの子達、大丈夫なんですか?」
「さあ、大丈夫じゃないの?」
あまり頓着しないスーノに、それでいいの?と若干呆れながら、視線をマイコニドに戻すと、草の陰をよちよちと歩いていたはずのその姿がいつのまにか消えていた。やはり魔法で召喚される精霊だけあって、見た目以上の能力があるのかな?そんなことも考える杏奈だったが、さっきまでのマイコニドたちの動きを思う出すとあまり期待できそうも無い気がする。
「まあ、薪になりそうな木っ端もとりあえず必要分くらいは鞄に入っているし、それに最近は夜もそれほど冷えないしさ。まあ期待せずに待とうか」
火の勢いの落ちた焚き火に薪をくべる。
いつも通りの味の無い食事を終えた二人は、それぞれ思い思いに夜の時間を過ごす。
隣にいるエンジの身体に寄りかかり、薪を手に焚き火の世話をするスーノ。
魔法具の効果を解き本来の元の身体に戻したエンジの大きなお腹に身体を預け、その白い毛皮に肩を沈める。
あの後小一時間も経つと、その身体に抱えきれないほどの薪を抱え、抱えきれない分は頭の上に乗せ、マイコニドたちが帰ってきた。
期待せずに待っていた二人は、その様子に驚き喜ぶ。それでもマイコニドたちの表情は全く変化しなかったが、それでも二人には、彼らが誇らしく胸を張っているように感じられた。
スーノの召喚を解かれ、空気に溶けるように儚く消えていくマイコニドたちに律儀に手を振る杏奈だった。
上空はいい勢いで風が吹いているようだ。厚く垂れ込めていた雲も風に流され、雲間も広がりそこにあるのはミルクを溶かしたような星の白い輝きと、それ以上に明るい月の青白い光だ。
月が満ちていればその光は全天を照らして小さな星の光など掻き消してしまうが、今宵の月は満月に比べれば半分以下の光量の下弦の月だ。微妙なバランスで星空と月の共存が許された夜空を見上げるスーノの視界の片隅に、光が一筋が流れた。
スーノはその流れ星の軌跡を追うが、流星はスーノの眼差しに捕らえられることなく夜空を走り、闇の中に消えていった。
地表を押しやって大きく顔を出したクヌギの極太の根に腰を下ろし、杏奈は魔法鞄から取り出したギターを膝の上に置く。
そして杏奈の指が弦を弾き曲を紡ぎ出し、杏奈の歌声がスーノの耳をくすぐる。
雲の切れ間に覗く星空、月が転がり夜空を渡る
降り注ぐ月の光、白い砂浜が青く光る
打ち寄せる波にくるぶし漬けて、わたしは独り歩きゆく
指の間に砂の感触、優しくくすぐり、寂しいわたしを慰める
幻の月の光が世界を照らす、振り返れば長く伸びる影ひとつ
独り、わたしは独り、影もひとつただ伸びるだけ
伸ばした手を水面に入れて 水を掬い口を濡らす
海の水は涙と同じで、心の傷に沁みてゆく
探すのはあなたの面影、わたしの心が血を流す
溢れる血潮が海にこぼれる、紅い筋が波間に消える
独り、わたしは独り、影もひとつただ伸びるだけ
幻の月の光が世界を照らす。振り返れば長く伸びる影ひとつ
独り、わたしは独り、影もひとつただ伸びるだけ
今の心情を吐き出すように杏奈はギターを鳴らす。歌詞と杏奈の心が共鳴し、彼女の歌声が月に照らされた雲が広がる夜空の下に拡散し、そして昼間の雨で冷やされた大気の中に溶けて行く。
それは、炎に揺らめくこの周囲だけ、杏奈の歌声が響く場所だけが世界の全てだと思えるような時間。
スーノはエンジの白く暖かな体毛に身体を沈め、眼を閉じてその歌に聞き入った。
余韻を残しながら最後のフレーズを繰り返し、杏奈は演奏を終える。
瞳を閉じて自分の心だけを見つめて歌に没頭していた杏奈が、眼を開いて、ほうっと深いため息を付いた。紅く火照った杏奈の顔が炎に照らされ浮かび上がる。
脱力して、ギターをクヌギの大木に立てかけ、杏奈は野原に寝転がった。
「結構古い歌だよね。子供の頃にラジオで聞いたことがあるよ」
仰向けに寝転がり、夜空を見上げる杏奈。しかしその瞳は焦点を結んでは折らず、杏奈の意識は何も見てはいない。
「うん、お母さんのCDコレクションの中から見付けて気に入った曲なんだ」
おそらく、今の杏奈の気持ちを代弁するような曲なのだろう。それは歌詞を聞き取れば何となく分かる。
見知らぬ世界に訳も分からず連れて来られ、寂しさに身を募らせ、元の世界に心を馳せる。
杏奈が身体を起こしてスーノの顔を覗き見る。真っ直ぐな視線がスーノの瞳に焦点を合わせる。そしてスーノの表情を見て何を考えているのか読み取ったようだ。
「でも、アタシは一人じゃないし。スーノさんがいるしエンジもいる。それにスーノさんが呼び出す精霊達、あの子達もアタシの仲間だよ」
杏奈が花が咲いたような満面の笑顔を見せた。
一瞬、スーノの心臓が激しく跳ねた。ぼうっと口を半開きにして、大きく咲いた笑顔に見とれ、そしてそんな自分自身に驚いていた。
そんな心の内を隠して、スーノも笑顔を返す。
すると二人の様子を見ていたエンジが顔を高々と上げ、夜空に向けて遠吠えを発した。
咽び泣くようなエンジの遠吠えが、静まり返った夜空に長く響く。
それは、自分と自分の仲間は、”ここにに在る”と”世界”に宣言しているようだった。
大災害でセルデシアにやって来たプレーヤー達ですが、現実で自分の住んでいる場所がこの世界ではどうなっているのか?って気にならないのかな?
ハーフガイアプロジェクトだから、省略されているけど地形とか自然とか、あと街もですが、それなりにですが現実と似た姿で存在しそうだし
自分だったら、気になって確認しに行くだろうなぁ。モチロン行ける距離だったらですが。
それと、召喚したマイコニドのモチーフは、当然アレ(^^)
国民的超有名アニメ監督のアノ映画のアレです
まあ、そもそも彼女(彼)自身があの映画のキャラクターをイメージして作成したプレーヤーキャラって設定だったりします
もひとつ、最後の歌の歌詞ですが、一応オリジナルであります
ヒジョーに恥ずかしいシロモノですが、「なろう」の規約的に既存の歌詞はアウトですしね




