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幕間その二 あるギルドにて

アニメに登場した<シゲル>さんと<菜穂美>さんの設定はログホラwikiから

それと、グーグルDOCのキャラクターリストにありました<葉桜>さんをお借りしました。

もし問題がありましたらお教え下さい。修正または削除いたします






 扉を開き部屋の中へ入る。その部屋は広く机が規則正しく並んでいる。

 書類を前にして内容を検討する者や、念話を使って誰かと連絡をつける者など、そこには慌しく仕事を行う姿が多く見られた。

 そして扉に近い机で書類の数字と格闘していた者が、入室してきた十条=シロガネに気づく。


「おはようございます、十条さん。場所はいつも通り、奥の会議スペースですよ」


 手作りなのかあまり造りが良いはいえないがソロバンを弾きながら書類の数字を前に口を尖らせて唸っていたエルフの女性が、顔も上げずに十条に話す。

 ソロバンを器用に使えるなんて、今の若者では珍しいですね。と考える。が、まだ十代後半から二十台前半に見える女性であるが、冒険者の外観は現実の年齢とは合致するとは限らないことを思い出した。

 もちろんそんな考えはおくびにも出さなことは、十条のポリシーとして絶対である。 

 そして周りにいる者たちと挨拶を交わし、十条は乱雑に書類が入れた箱で遮られた机の間を縫うように歩き抜ける。


 ここはギルド<ホネスティ>が所有している建物の中の部屋の一つである。

 そこに両手の指だけでは数えられない人数の人が、机についている。

 行っていることは、ギルドが存在することで必要となる経費の運用をはじめ、ギルドメンバーが日々消費していく食料の調達や、彼らの住居の管理、メンバー間のトラブルの仲裁などといった、現実の会社で言う経理や庶務といった部門の仕事から、他ギルドとの交渉などいう現在のアキバでは最も繊細な問題を取り扱っていた。

 結局のところ、異世界だといっても、人間が集り組織(この世界ならばギルドとなるか)を成して活動し生活すれば現実と同じような細々とした仕事が発生し、それに効率よく対処使用とすれば、現実世界にある特定の集団と似たようなものになるのは当然の帰結なのだろう。

 規模が小さいギルドならば、それは家族的な集団になるだろうし、もう少し大きなギルドになれば、村落共同体のような集団になるかもしれない。

 それよりも更に大きな大規模ギルドであれば、考えられるモデルは、大学の自治会や、中小規模な地方自治体のような組織もありえるだろうし、軍隊もそのモデルとしては十分ふさわしいものだろう。

 そして、このギルド<ホネスティ>では、会社のような内部組織になっており、そのためかホネスティーのギルドホールはまるでどこかの企業のオフィスのようにも見えた。


 

  

 木製の腰までの高さのパーティションに仕切られた内部は、十人ほどが座れる大きさの長机が置かれていて、そこには数人の男女が既に席に着いていた。

 十条がいつもの定位置に足を運ぶ。隣には銀髪の男がいつも通り座っていた。

 

「遅刻とは、十条さんにしては珍しい」

「ええ、皆さんをお待たせするとは、我ながら慙愧に耐えない思いです」


 隣の男と軽口を交わしつつ、十条が席に着く。隣の男は名を<シゲル>といい、ホネスティの主要メンバーの一人である。現実世界では大学で教鞭を取っているらしく、実際の年齢はおそらく十条と似たようなこともあり、それに女性のほうが勢力が強いこのギルドの主要メンバー内にあって、同じ男として気楽に話しかける親しい間柄といえるだろう。


「まったくですわ。皆さん暇な身分では無いのですから、時間には正確にしていただかないと」

「がははっ、まあ、少々の遅刻は許してあげなよ、菜穂美さん。どうせ先生もまだ来て無いんだし」


 柔らかな羽で装飾された扇子越しに苦言を呈するのは、<菜穂美>という女性である。大きく盛り上げたロココ調の髪型と派手なドレスで着飾った、見るからに絢爛豪華としか言いようの無い外観をしている。その姿といつも見せる気だるい雰囲気で皆からは「マダム」と呼ばれ、見た目からは分かりづらいがその世話好きな性格からギルドの女性陣から慕われている。

 そして大口を開けて笑いながら間を執り成すのは、緩やかにウェーブした栗毛の豊かな長髪の女性で、その名を<葉桜>という。一見二十歳台前半の華やかな見た目をしているが、現実世界ではアラフォーの主婦で二人の子持ちとのことだ。

 現実世界の子供達が気にならないのかと尋ねられると「あの子らはアタシがいなくてもしっかりやるから大丈夫!!」と大口を開けて笑い飛ばすことのできる、おおらかで豪胆な女性といえるだろう。ちなみに、旦那のことは全く心配していないらしい。


 ホネスティの真の実力者と言われているのが、実は上記二人の女性であったりするのだが、まあそれは裏の事情なのでここでは深く語らないことにする。

  

 女傑二人の発言を受けて頭を下げた十条がその場を見回すと、席に着いた者だけでなく、腰までの高さしかないパーティション越しに会議の様子を見ようと多くのギルドメンバーが集まっているのが確認できた。一応この場はギルドの主要メンバーに参加権限がある会議となっているのだが、実際には現在の状況のように内容は全てオープンで、どのような経歴の者でも発言できる自由な場となっている。普通ならこのような形を取ると会議内容が散漫になり、無秩序な発言に会議に混乱を来すのが関の山となるのだが、それでも問題が起きないのが他のギルドと比べるとどちらかというと”大人”と”大人な行動が取れる者”が多数を占めるこの<ホネスティー>とうギルドの特長ともいえるだろう。


「確かに”先生”もまだいらっしゃってませんし、会議を始められませんからいいのですけど・・・」


 扇子に隠れて見えないが、その口元は不満げに歪んでいるのかもしれない

 菜穂美の発言と同時にパーティションの人だかりの向こうから、少年と青年の狭間の微妙な年頃の妖術師と神官服の男性、その二人が人垣を掻き分けて入ってきた。


「遅れてすいません、少し調べることがありまして」


 神官服の男が席に着くと、先に集まっていた者も姿勢を正してその男、ホネスティのギルドマスター<アインス>に注目する。


「さて、では会議を始めましょう」






 会議の一番の議題は、やはり現在のアキバの状況に関しての問題となる。

 アキバに存在するギルドの中でも有数の規模を誇るホネスティーとしては、抱えるギルドメンバーの人数も多く、その安全と生活を確保することが何よりの課題となっていた。


「食料の確保についてはいかがですか」


 アインスの質問に腕を組んで答える葉桜。


「ああ、とりあえず当面は問題ない量の備蓄は確保してあるから、量的には大丈夫なんだけどねぇ・・・」


 口を曲げて考え込む葉桜の発言は、どうにも歯切れが悪い。


「どうにも、みんなにあの”味のしない御飯”を食べさせるのが、あたしゃ我慢できなくてねぇ。いろいろ試してはいるんだけど・・・」


 ギルドメンバーの食事一切に関しては、葉桜が一手に引き受けている。現実世界でも専業主婦として家庭を取り仕切り、この世界でもサブ職<料理人>をカンストまで極める葉桜にとって、ギルドメンバーに不味い食事を食べさせている今の状況は、内心忸怩たる思いなのだろう。

 味気ない食事のことを考えると、誰もが気落ちしてしまうのは致し方ない。そんな皆の様子に責任を感じているのか、いつでも明るい笑顔を欠かさない葉桜の表情に影が差す。


「倉庫の在庫もまだ十分あるし、第8商店街や海洋機構とも食料供給について交渉中なんで、一月やそこらで食料不足に陥ることは無いから当分は大丈夫よ」

「よろしくお願いします、葉桜さん。それでは次にギルドメンバーの状況はどうなっていますか?」


 話題を変えるアインスに、菜穂美が扇子を閉じて皆に目を配る。


「ホネスティの内部に関しては、大きな問題はありませんわね。皆助け合って良くやっていますわよ。ただ・・・」


 そういって、対面に座るシゲルに目を向ける。咳払いをしつつ、シゲルが顔を上げた。


「アキバの治安は変わりありませんね。PKも減少しましたし、表向きは無秩序状態から脱し始めているようにも見えますが、裏に回れば恐喝に暴行、噂では新人プレーヤーを無理やりギルド入りさせて奴隷のように扱うギルドもあるとか」

「・・・<ハーメルン>ですね。そして<EXPポット>」


 アインスの言葉に頷くシゲル。


「ハーメルンからEXPポットを購入しているギルドですが、調べたところ大手では<黒剣騎士団>それに<シルバーソード>です」

「彼らはレベル91を目指しますか」

「ええ、今更ウチやD.D.D相手に数で対抗できるとは思っていないのでしょう。そうなれば質で対抗するしかありませんから、91を目指すのは当然の選択ですし、そのためにはEXPポットは欠かせない」


 大災害以前のレベルキャップは90だったが、拡張パック<ノウアスフィアの開墾>が適用されているのならレベル上限は上げらていると考えるのが自然だ。まだアキバでは誰も確認してはいないが91にレベルアップ出来ると考えて良いだろう。そしてそれを逸早く達成できたのならば、それは数に対抗できる新たな”力”と見做せる。

 そしてゲームではなくなった今のエルダーテイルの世界では、戦闘の難易度は格段に上がり、レベルアップを目指すのなら獲得経験値が上昇するボーナスを獲得できるEXPポットは必需品となる。


 すると、パーティションの向こう側にいるメンバーの手が上がる。それに気づいたアインスが「どうぞ」と発言を許可した。


「ホネスティはレベル91を目指さなくて良いんですか?」


 その発言に、その場にいた皆が一様に唸る。


「目指すのは良いけど、どうやって?ゲーム時代とは違ってこの世界の戦闘は簡単じゃないぞ。経験値を獲得出来るモンスターを倒すなんて並大抵のことじゃない」

「じゃあ、ホネスティもEXPポットを仕入れれば良いだろ。狩場の獲得争いだって最近じゃ厳しくなってきてるし、勢力を増やせることはやれるだけやっておかないと」」

「あれって、ハーメルンが新人プレーヤーから巻き上げて供給してるってもっぱらの噂ですよね。そんなもの使えませんよ」

「だからってこのまま黙ってたら、レベルを上げるプレーヤーが出てきて、それが幅利かせ始めたらどうするよ?戦闘系ギルドでアキバ第二位の規模のホネスティといってもいつまでも安泰とは言えねえぞ」

「そもそも、今のどのギルドも息を潜めたみたいな状況がどこかおかしいんだよ。D.D.Dが数に任せてアキバを支配しようと動き始めたらどうする?中小を取り込んでもっと規模拡大を始めるかも」

「なら、うちも中小を取り込んで人数増やせばいいんじゃない」

「だから、それと平行してレベルアップもやれば良いんだよ」

「それだからって新人から掠め取ったEXPポットを使えるのか?」

「使えなけりゃ、アキバで居場所がなくなるかもしれねぇなら、仕方ないだろ」


 パーティションの向こう側の議論が白熱してきた。流石に自分達の安全と生活に直に関わってくる問題だけあり、いつものように冷静ではいられないのか皆の発言も激しくなり、やがては険悪な雰囲気すら醸し出してきた。

 その動揺し不安にざわめく会議室に「パンッ」と手のひらを打ち付けた音が響いた。その音に皆は荒げた感情を鎮め、音の発生場所のアインスのほうに視線を向ける。


「皆さんの意見は承りました。ギルドの行く末にも関わる重要な問題ですので、今後の方針に関してはもう少し情報を集め検討しましょう」


 アインスの言葉に、皆不満は残っているのだろうがとりあえず矛先を収める。その言葉は要するに現状維持で判断を保留するということであり皆の不安を解消する答えではなかったが、そこはアインスへの信頼が優先されたのだろう。




 その後他の議題、アキバ周辺のモンスターおよびゾーン情報の報告や、他のギルドの動向、そして<妖精の輪>(フェアリーリング)の調査についてなど、議論が重ねられた。


「フェアリーリングの調査については私のほうで少し動いてみます。では、他に何かありますか?」


 会議も終盤に押し迫り、アインスは最後に確認するように皆に問いかけた。

 その問いかけに、一人の男が挙手をし発言権を求めた。


「十条さん、まだ何かありましたか?」

「ええ、今後のアキバの行く末に関して需要ではないかと思える問題なのですが・・・大地人の存在についてです」

「大地人・・・NPCのことですか?」


 アインスは眉間に皺を寄せ、十条を見据える。


「皆さんがNPCと呼んでいる存在ですが、彼らは人間です。コンピューターのAIで動くロボットではありません」


 突然のその発言に、何を言っているのか分からないといった顔をした者が大多数だったろう。彼らはゲームのノンプレーヤーキャラクター。それが大災害に巻き込まれたエルダーテイルのプレーヤー=冒険者の常識であった。

 ただ、少数ではあるが、中には十条の発言に興味深く耳を向ける者もいる。


「何言ってんの?NPCはNPCだろ」


 パーティションの向こうから十条の発言を揶揄する声が聞こえる。十条はその方向に振り返るが、人だかりの中誰が声の主か十条には分からない。その誰だか分からない声の主に向かって声を上げる。


「皆さんは大地人ときちんとお話をされたことがございますか?NPCと勝手に見下さないで人間と相対(あいたい)するように」


 いつもは飄々としあまり真剣みを感じさせない十条のキャラクターが知れ渡っているため、今見せている真剣で切実なその様子に、皆言葉を失くす。

 隣の席に座るシゲルがそんな十条を横目にしてニヤリと笑みを浮かべ、斜め正面の菜穂美が扇子越しに十条に視線を飛ばした。


「大地人には我々とは全く違った社会があります。社会制度としては中世の封建制度のようなもので、その人口も概算ですがヤマト全土で言えば恐らく何十万、もしかしたら百万を超えるかもしれません」


 一旦言葉を止め、十条は周囲を見回す。興味深げに発言を聞いていたアインスが先を促す。


「それだけの人口があるのです、生産や流通も我々が知らないだけで、それ相当の規模が在ると思って間違いないでしょう」

「なるほど、興味深い情報ですね。にわかには信じがたいことではありますが・・・後で詳細をお聞かせ願えますか」


 アキバだけで暮らしているプレーヤーにとってはとても理解できることではないのかもしれない。現にこの場にいるギルドメンバーの半数は十条の話を全く信じず、残った半数の大部分も眉唾物として聞いていたのだから。

 そのメンバーの様子を察したアインスは、彼にとっては興味深い話だったがこの議題をここで打ち切る。

 そしてそのことは十条にとっても不満はなかった。おそらくこの情報はアキバのプレーヤーに価値観を大きく変換させる(パラダイムシフト)を求めることになるだろう。そしてそれは自分ごときの発言だけで成せるような簡単なことではないことは十分理解していた。とりあえず今回は触りだけで、このことが取っ掛かりになってくれさえすればいい。今後プレーヤーが大地人と接するときに自分の言葉をどこかで思い出し大地人と話をしてくれれば、徐々にだろうが世界の見方が変わっていくだろう。








 そのまま会議は終了し、周囲にたむろしていたギルドメンバーはそれぞれ三々五々に散っていった。

 何か用事があるのか、足早にプライベートルームに戻る算段をしていたアインスだったが、帰り際に十条に「先ほどのお話、後で続きをお願いします」と告げ帰っていった。

 ふうっ、深いため息をつき立ち上がった十条の周囲に人影が集まる。


「最近あまりギルドキャッスルでお見かけしないと思いましたら、何か面白いことを調べられていたのですね」


 モデルのようなブレのない優雅な足取りで近付いてくる菜穂美に向かい、十条は苦笑いを見せる。


「とても興味深いお話でしたわ。容易には信じられませんけれど、傾聴に値する情報ですわ」


 扇子の向こうの表情は良く見えないが、菜穂美も薄笑いを浮かべているようにも見える。


「あたしゃ、難しいことは良くわからないけど、NPC、じゃなくて大地人からもっと大々的に食料を買えるってことなんかい?」


 葉桜が、見目麗しい外観に相応しくないドスドスと音がしそうな歩き方で近づいてきた。現状でもNPCの商店から食材を購入することはできる。だがその取扱量は少なく、大規模ギルドの要求を満たす量ではとても無かった。


「ええ、その可能性は十分あると思われます」


 十条の答えに、そりゃあたしとしちゃありがたいね。と頷く。


「しかしその情報、どこが元ネタだい?。言っちゃ悪いがアキバにいるだけじゃ、絶対にそんな考えは浮んでこないと思うけれど」


 シゲルが椅子から立ち上がり尋ねる。アキバのプレーヤー達のNPCに対する扱いを見続けていれば、それが当然になりそのことに疑問を持つのは難しいくなるのが通常だろう。


「残念ながらそれについては口止めされていましてねぇ。皆さんもご存知のかたなのですが、まあそれはいつかのお楽しみということで」


 肩を竦めてこれ以上は言えませんとおどける十条に、シゲルは呆れたように首を振る。


「それは良いとして、つまりはNPC=大地人にも社会、人の集団、要するに国があるってことでいいんだな。そうなると、大地人との付き合い方によっては、トラブルを内在することになる可能性があると・・・」


 シゲルの言葉に、頷く十条の目は真剣みを増す。菜穂美の視線も鋭く十条に向けられる。


「ちょっと待っておくれよ。あたしには何言ってるのかさっぱり分からないよ」


 こういう含みを持たせた会話が葉桜は苦手なのだろう。


「要するに、大地人と戦争になるかもしれないと、十条さんは仰られているのですわ」


 菜穂美の説明に息を呑み目を丸くする葉桜。


「逆に言えば、上手いこと大地人国家と関係を結ぶことが出来れば、ギルド間の勢力争いにリードできるってことだな」

「そういう考えもありますね、まず、私がもう少し調査を行ってみます」


 それでは、と三人に挨拶をして、去っていく十条の背中を三人が眺めていた。










 ホールを出てギルドキャッスルの通路を進むと、その先では二人の男女が壁に寄り十条の帰りを待っていた。そして目の前を通り過ぎた十条の後ろについていく。


「ようやく終わりましたか。で、これからどうします?」


 男女の小さいほう、革鎧を纏い腰に二本の短剣を差したドワーフのタクミが短い足を早回しに回転させ十条の後を歩く。


「そうですね、予定通り大地人の社会を勉強しに行きましょうか。アキバに一番近い大地人の街はどこでしたか?」


 背の大きいほう、ハーフアルブの月詠も長い足を伸ばし歩く。大股で歩くため、長く白い足が着崩れた裾から見え隠れしていた。


「マイハマですね。馬を飛ばせば三時間ほどで到着します」


 その台詞を聞いて、タクミがやれやれと首を横に振る。


「おいおい、これから直ぐに出発するんかよ。焦らず明日出発でいいんじゃねぇの」

「時は金なりって言葉もあるでしょ、何事も先手先手で動かなきゃ。べつにいいのよ、ちっこい誰かさんじゃついてこれないのも無理ないもの。その短い足で馬に乗れたのかしら?」

「うっせ、足が短いのはドワーフだから仕方無いんだ。リアルのオレは普通に長身だってお前も知ってるじゃねえか」

「あら、そうだったけ?最近はその姿しか目にしてないしねえ、そんなことはすっかり忘れたわ」


 身長差があるため文字通り見下したような態度をとって、月詠は涼しい顔でタクミを見下ろす。


「そんなことより、そのだらしない服装どうにかしろ。みっともない」

「あらあら、嬉しいくせに」


 着物の裾を少し引っ張り上げ、より余計に美脚を披露する月詠。ちらっとそれに視線を取られ、それがまた気に食わなかったのかタクミは更に機嫌を損ねる。


「そんな凹凸の無いフラットな身体、オレの趣味じゃねえよ。リアルに引っ張られてご愁傷様っ」


 痛いところを突かれた月詠の顔色が一変した。


「やかましい、このメルメル!!」

「オレはメルメルじゃねえ、タクミだ!!」


 仲良く喧嘩する二人は後方に放っておいて、十条は先に進む。月詠の言うとおり、急げば暗くなる前にマイハマに到着できるだろう。この世界の本当の住人とどのような関係を築くか、それによって、大災害に巻き込まれたプレーヤー達の今後が決まるのではないか。そう十条は考えていた。







円卓会議が設立するまでは、実は各ギルドでこんな議論が繰り返されていたんじゃないかな?とか

原作主人公がミラクルを起こさなければ、こういう展開になったんじゃないかな?

みたいな妄想をベースにお話を作ってみました。

同じギルドの仲間以外は信用できないと疑心暗鬼になっても仕方ないし、それが進んで大地人都市とギルド単体が同盟を組むみたいな形になるのもアリではないかな、と。

実際、原作内のヨーロッパでは都市国家とギルドが同盟関係になって抗争が激化してるようですしね


それと、ヤマトの大地人の人口数ってどのくらいなんでしょう?

なんとなく数十万~百万くらいかなって想像しましたが・・・


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