第二十二話
あれから何度か鈴木に見つかったり、藤堂姉妹に玩具にされたりしたが問題なく体育祭本番を迎えることができた。
北門の前で感慨に浸る。
「やっと・・・やっとだ・・・」
この姿での苦労はきっと僕の生涯の中で最高のものだっただろう。
だが!!しかし!!今日を乗り切れば元に戻れるのだ!!
「がんばるぞ~~~!!!」
決意を新たに空に向って吼える。
しかし周囲から見れば年端も行かない少女が叫んでいる愛らしい光景にうつっただろう。
だが、叫んでいたせいで背後から近づく気配に気付けなかった。
「ヒ~ロ!」
「・・・」
そう、藤堂姉妹である。
「な?!やめろ!抱きつくな!」
「だって、ヒロがこの姿なのって今日までなんだろ?」
紅葉!お前はガキか!!
「それには同意する」
桜花!ツッコミが役割を放棄しちゃ駄目だ!!
「ちょ、やめろ!もうすぐ本番だぞ!」
そう言って振りほどく。
「ちぇっ。ケチ!ちょっと位いいじゃん」
「お前はちょっとじゃ済まない」
「私は?」
「お前も」
なぜか二人揃って落ち込む双子。
なぜだ?
「ほら。二人とも、始まるぞ?」
「そうだね!じゃあ終わってから遊ぼう!」
「いや、終わったらすぐ元の姿に戻るよ」
「ええ~~~?!」
紅葉よ、何故そこでがっかりした顔をする?
「残念・・・」
桜花、お前もか?お前もなのか?
「元の姿に戻ったら飯作ってやるよ」
「やたっ!ヒロの昼飯!」
「ヒロの手作り・・・」
二人とも、昔からなぜか僕がご飯を作ってやると機嫌が直るのだ。
この双子には謎が多い。
【え~、開始十分前になったので、生徒の皆さんは準備に入ってください】
校庭に放送部員による適当なアナウンスが響く。
さて、もうすぐ体育祭が始まる。




