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第二話 今月の面談のご案内

仕事中。

アプリに通知が表示された。


「面談の予約が入りました」


『未来保全機構(FPO)』アプリから。


「……面談」


通知をタップして、詳細を確認する。


「最近、困っていることや疲れていることはありませんか?」

「必要に応じて、サポートを追加できます」

「面談は任意です。ご不要の場合は、ご連絡ください」


机の上のカレンダーを見る。

次の土曜日、午後。

予定は、空いている。


最後の一文を、もう一度読んだ。


「面談は任意です。ご不要の場合は、ご連絡ください」


あおいは口元に手を当てた。


「…断われる、けど」


このメールに返信するんだろうか。

本部に、電話だろうか。

連絡方法が、明記されていない。


「…それに」


タスクで参加している、母親コミュニティで。

面談の話題を見かけたことがある。

みんな、当たり前に参加しているのかもしれない。

だから、連絡方法がないのかもしれない。


あおいは、カレンダーに「面談」と書き込んだ。


昼休み。

交流タスクのためアプリを開く。

指が、止まる。


「増えてる……?」


タスクの一番下。

『地域交流(任意)』。


登校班の見守り。

近所の小掃除など。


「地域の結びつきを強くして、子供たちを見守りましょう……」


登校班の見守り。

仕事があるから、できない。


「近所の小掃除なら、できる」


あおいは、母親たちとのコミュニティを開いた。

『交流』のタスクを、緑に。

爪に口紅がついていたので、拭き取った。



翌日から、家の前を掃くことにした。

5分もかからない。


散歩する人が、足を止めた。


「道の掃除、してくれてるんですね。ありがとうございます」

「いえいえ、家の前なので」


顔見知りが、増えた。

『地域との交流』は、毎日、緑色だ。


ある日。

夕食の片付けをしているとき。

子どもが、じっとあおいを見ていた。


「何か、顔についてる?」

「ううん。…なんかママ、つかれてる?」


あおいは目を瞬いた。

すぐに、笑顔を浮かべた。


「大丈夫だよ」

「…そっか」


子どもは、手元のゲームに目を落とした。


夜。


アプリを、開く。

全部、緑。


「わたしは、ちゃんとできている」


だから、大丈夫。

少しくらい疲れても。


カリ、という音が響いた。

はっとして、口から手を離す。


ガタガタの親指の爪。

人差し指で、そっと撫でた。


気をつけなくては。

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