6/81
赤ちゃん、才能を証明する(前編)
初めて魔法を使えたその日。
数日も経たないうちに──
魔術師団長が公爵家に現れた。
白髪まじりの長いローブ。
鋭い眼差し。
年齢は六十ほど。
誰もが頭を下げて敬う存在。
「魔力の波動が……この屋敷から。
しかも“未発達な魔力”特有の揺らぎがある。
――まさか、乳児から感じるとは。」
母と父は静かに頷いた。
リディア0歳、抱っこされながら診断台へ。
指を一本だけ出された。
団長が静かに言う。
「魔力の流れを感じることができたら──
少しだけ、指を動かしてみなさい。」
乳児に語り掛け返事を待つ魔術師団長……
え?待って?赤ちゃんですから自分。
しばらく見つめ合い沈黙が流れ続けてツラい。
……やるしかない。
今までの赤ちゃん訓練は、全部ここにつながる。
集中。
“びびらない。
泣かない。
大丈夫、やればできる。”
指をゆっくり、動かした。




