両親の恋愛と精霊
赤ちゃん生活にも慣れてきた頃。
私はベビーベッドから、毎日ふたりを見つめていた。
お父様は穏やかで、聖魔法の使い手。
お母様は明るくて、精霊魔法の使い手。
二人が話すたび、空気が柔らかくなる。
今日もまた、庭でふたりが並んでいた。
お母様が花に触れた瞬間──光の粒がふわっと舞う。
「やっぱり君は…精霊に好かれているね。」
「うふふ。あなたと出会えたのも、
精霊のお導きだったのかもしれません。」
……はい、なにこの夫婦。
空気が甘すぎませんか?
エフェクトついてキラッキラしてるんですけど?
でもこの会話で知った。
両親は“政略”ではなく、恋愛で結婚していた。
お母様曰く──
「精霊魔法は、“心の温度”に反応する」らしい。
だから、
父と母が並んで笑っている時は
いつも風が暖かかった。
――見える。
精霊たちが、うっすらと見える。
小さくて、光ってて、
まるで呼吸するみたいに
ふわふわ漂ってる。
『……あなたも見えるの?』
そんな声が聞こえた、気がした。
こわい?
……いや、全然。
むしろ安心した。
世界がやさしいって、こんな感じなんや。
「リディアは、きっと精霊に愛されるわ」
「君に似たんだね」
「あなたの優しさにも、気づいているのよ」
……赤ちゃんの脳で理解するには
糖度と幸福度が高すぎる。
けど、
胸の奥がぬくぬくして
眠りそうになる。
──ああ、私は
この家に転生できて
本当に良かった。




