人生二周目の才女と、影で支える少年
公爵家の正式教育が本格的に始まった。
朝は淑女としての礼儀作法、言語、歴史、国の制度を学び、
昼からは魔法理論と詠唱の練習、そして夕方には後継者としての判断力訓練。
本来なら難しい内容が続くはずなのに、人生二周目チートが全力発動。
(なるほど、これ前世で言う政治学と心理学やん!)
(はいはい、外交学って要するに“コミュ力+交渉力”ですよね!)
知識は驚くほど吸収されていき、
少しずつ姿勢も立ち居振る舞いも洗練され、
“公爵家の娘”として美しく成長していった。
聖魔法の習熟も進み、リディアは気づかないうちに
“綺麗で、カッコよく、凛とした少女”へ変わっていく。
一方のシンは――
侍従としての基礎教育と護衛術を徹底的に叩き込まれていた。
挨拶、礼儀、言葉遣い。
人を見て判断する訓練。
そして剣術・暗殺術の基礎を叩き込む日々。
体は少しずつ強くなり、感情の波も安定しはじめていた。
……なのに。
リディアが部屋に来るたび、決まって“ぎゅー!”と抱きしめてくる。
突然の猫可愛がりに、シンの内心は大暴走。
(リディア様……離れたくない。
……ずっと、僕のそばにいてほしい……)
その感情は、まだ名前がついていない。
けれど――確かに心に芽吹き始めていた。
シンは思った。
もし、誰かがリディアを傷つけるなら……
僕は、何をしてでも守る。
その誓いはまだ言葉にならない。
けれど、この家の影で、一つの芽が静かに育ち始めていた。




