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アイキム視点 あの少女は今、元気だろうか
リディアと出会ったのは、自分が家出していた時だった。
王宮という“守られすぎた場所”が息苦しくて、
ただ何も考えずに歩き、たどり着いた教会。
慣れない環境で怪我をした時、
教会で少女に治療を受けた。
あの時、痛みよりも驚きが勝っていた。
幼い少女が、平民にも貴族にも同じように接していた。
礼儀正しく、それでいて距離は近い。
まるで、相手の心そのものに寄り添っていた。
見た目だけでなく――心も、美しかった。
思わず、目を奪われてしまった。
後で知ったが、彼女は公爵家の一人娘リディア。
父ヒロージと共に、治癒魔法の経験を積んでいるらしい。
なるほど、あれほど自然に聖魔法を扱えるわけだ。
それにしても……不思議な少女だった。
治癒のあと、少し照れながらこう言ったのだ。
「よかった。
世界は救われた!!」
思わず笑った。
あの時から1年の月日が流れたが、今でも思い出すと笑ってしまう。
今、元気にしているだろうか。
また、どこかで会えるだろうか。
――いや、いつか必ず会いに行こう。
あの時、胸に灯った想いはまだ消えていないのだから。




