その看板の裏に
……………
夕焼け小焼けの田舎の道を、
二つの黒い影が行く。
一つは小さく一つは大きく握ったその手を離さぬように、
ゆらゆらと。
どこまでいくの?
どこまでも。
いつまでいるの?
いつまでも。
無垢な心は素直に頷く。
疑うことなど知らないで。
――嗚呼どうか、父とは呼んでくれるな幼い君よ。
可愛い可愛いその顔が、思い強めてしまうから。
愛しい愛しいその声が、思い留めてしまうから。
夕焼け小焼けの田舎道。
影は行く、オレンジ色に染まった大地を踏みしめながら。
誰も知らない世界へと。
――あの子はもう、帰ってこない。
………………
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