全てに許しを
実際、彼らは多大な損害を受けた。
大事な者達を傷つけられ。
大事なものを奪われ。
様々な危害を加えられ続けた。
それがたった一言で終わりにさせられる。
罪の糾弾を阻害される。
そんな邪悪な言葉がこれだ。
「ごめんなさい」
ごめんなさい。
謝罪の言葉。
これほど邪悪なものはない。
これを言っただけで、様々な悪事を働いた者は許される。
そして、許された者を糾弾する被害者が悪人扱いされる。
受けた危害の、受けた被害を償う事すらされず。
そして、悪事はいつまでも続く。
ごめんなさいで悪事の全てが許されるのだから。
どんな悪さをしても、謝罪の言葉があればそれで追求は終わる。
悪事が続き、被害が拡大する。
そんな被害を受け続けた者達は悟った。
もう絶対に許さないと。
許したら悪事がはびこると。
悪事に必要なのは許しではない。
徹底した糾弾と制裁。
罪を犯す悪人の抹殺であると。
許しこそ最悪の悪事であると。
そして。
悪事が許される。
ならば、悪事を行った方がマシだ。
損害を受ける事もなく、欲しいものが手に入る。
これもまた悟った事の一つだった。
だから追跡者達はその言葉を紡いでいく。
「ごめんなさい」
逃走者を叩き潰しながら。
「ごめんなさい」
逃走者に加えてる危害を謝罪する。
「ごめんなさい」
これによって、現在行ってる逃走者への危害は全て許される。
もっとも、危害というのもおかしいが。
「ごめんなさい」
悪さをした奴でも、叩きのめすのは悪事である。
そういう者達がいる。
だから追跡者達は謝罪の言葉を口にする。
「ごめんなさい」
悪事と言われる反撃を正当化するために。
「ごめんなさい」
悪さといわれる行為を遂行するために。
「ごめんなさい」
許せという連中が求める謝罪を理由にして。
こうして逃走者は潰えていった。
アスファルトの道路の上で、肉体は道と同化していった。
もう二度と悪事を働けなくなった。
それを見て、追跡者達はほんの少しだけ溜飲を下げる。
だが、追跡者達が報われることはない。
加えられた危害や被害が補われることはないのだから。
付けられた傷や失ったものは取り戻しようがない。
それでも逃走車を逃すわけにはいかなかった。
悪事の再生産を食い止めるために。
二度と悪さが出来なくする必要があった。
警察も裁判所もあてにならない。
問題を取り締まるべきこれらも、悪事を容認している。
許しを与え続けている。
悪さをしてる連中を犯罪者として取り締まらない。
だからこそ誰もが立ち上がった。
悪さをしてる連中を殲滅するために。
それを警察や裁判所が取り締まる事もない。
「ごめんなさい」
今日もそこかしこで声があがっていく。
「ごめんなさい」
謝罪の言葉で悪人が潰されていく。
「ごめんなさい」
全てを許す事を強要する悪魔の言葉。
「ごめんなさい」
それが悪事を働く者達を殲滅していく。
「ごめんなさい」
そうして問題を起こす者達が消えていき。
人々はようやく平穏を取り戻した。
許しが奪った、平和で穏やかな日日を。
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