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全てが許される、あらゆる暴力も  作者: よぎそーと


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1/3

彼は許されていた、今までは

 必死になって逃げていた。

 襲ってくる奴等から。

 手に鉄パイプや野球バットなどを持ってそいつらは迫ってくる。



「チクショウ、チクショウ!」

 逃走者は罵声を何度も繰り返す。

 どうしてこうなったんだと。

「俺が、何を、した!」

 理不尽な暴力に憤りもする。

 それくらいおかしな状況だった。

「なんで許さないんだよ!」



 許し。

 悪さを許すこと。

 それが当たり前。

 それが当然だったはず。

 だから、前までは悪さをしても問題はなかった。



 だが、いつの頃からか許しがなくなった。

 悪さをすればその場で制裁をされるようになった。

 それも、拳骨一発で許される事もなく。

 集団で死ぬまで叩き殺されるのが当たり前になっていた。

 刃物で体中を刺される事もある。

 そこに許しは一切なかった。



「なんでだよ…………!」

 前は良かった。

 こうして誰かに追われる事もなかった。

 何かあっても許された。

 たった一言、「ごめん」と言えばそれで終わった。

 だが、もうそんな状況ではない。



 からかい一つで袋だたき。

 軽く殴っただけで殺される。

 菓子を一つ万引きしただけで死ぬ事になる。

 そんな息苦しい世の中になっていた。

 逃走者にとっては地獄でしかない。



 今も逃走者を追ってる者達は、どこまでも追い詰めてくる。

 ドローンなどで監視もされてるようで、行く先々に追跡に加わった者がいる。

 立ち塞がるそれらをどうにか避けながら、逃げ道を探っていく。

 幸い、このあたりの町の造りは頭に入ってる。

 まだどうにか逃げる事は出来る。

 それは捕まるまでの時間を引き延ばしてるだけだが。



 走りながら思い出す。

 こうなる前の日々を。

 仲間と徒党を組んで遊んでいた事を。

 教室にいた大人しそうな奴を、徒党で袋だたきにしたことを。

 裏で子供達から金を恐喝していたことを。

 その他にも様々な遊びをした、他の子供達を使って。



 それらを咎める者もいたが、「ごめんなさい」の一言で終わった。

 当たり前だ、あやまったら許さなければならないのだから。

 おかげで自由に好きなように生きる事が出来た。

 なのに。



 今はそれが出来ない。

 何かやれば叩きのめされる。

 痛い思いをするだけでは終わらない。

 死ぬまで叩きのめされる。

 殺される。

 ごめんなさいとあやまっても許してもらえない。

 誰も許さなくなった。

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