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【友達】魔女は友達を作りたい【募集中】

作者: 空 朱鳥

 ここは魔女が住む山。魔女の領域と呼ばれ、結界によって人間は決して立ち入る事が出来ない。

 そんな山から一人の少女が降りてきた。長い赤髪をふわふわと揺らし、肩からは中身が少しはみ出した鞄をかけて、頭には一羽の白いカラスを乗せていた。

 少女の名前は“レイア”。山の頂上に住む魔女の唯一の弟子、魔女見習いだ。

 いや……正確にはだった、だ。

「うまくいったのだわギャビン、ついに家出してやったのだわ!」

「そーだな」

 名前を呼ばれて興味なさげに返事をしたのは頭に乗ったカラスだ。何故しゃべるかと言われれば魔女のカラスはしゃべるものと決まっているからだ。

「で、念入りに計画して家出したがこれから何処に行くつもりなんだよ。山から出たこともない、知り合いもいないのに行く当てなんてあるのか?」

「ある訳ないのだわ」

 レイアはしれっと返した。

 彼女には魔女の師匠以外に頼れる人はいない。親も兄弟もいなければ知り合いすらいない。なので、なんとなく山を降りているだけで実は目的地がある訳じゃない。

「……やっぱり今からでも帰らないか?」

 絶対に失敗する。行く当てもなく泣いて帰ることになると踏んだギャビンは既にこの計画を諦めていた。

「嫌ッ! それに行く当てはないけれど、目的があるのだわ」

「へぇ~、どんな大層な目的があるんだよ」

「……笑わない?」

「笑わない、笑わない」

「と、友達が欲しいの……」

 恥じらいながら答えた。

 レイアには友達もいない。

 そんな彼女がたまたま読んだ男二人の冒険を綴った小説、その中で主人公が言った「友達と一緒ならどんな苦難も乗り越えられる」。その台詞は精神的にも参っていたレイアの心に強く突き刺さった。

 そして彼女は必ず友達を作ろうと家出した訳だった。まぁ、修行と師匠の人使いの荒さに嫌気がさしたというのもあるが。

 予想外の理由にギャビンの嘴がポカンと開いたままになった。ギャビンは思った『難しいのでは』と。師匠以外の人間と関わってこなかった、世間知らずなレイアがはたして“友達”を作れるのか。でもここで「お前に友達を作るなんて無理だから、大人しく家に戻ろうぜ!」とは流石に言えなかった。

 代わりに一言「できるといいな……」とぼそりと言い、レイアはまだ見ぬ友達を夢見て人のいる町を目指した。


 ところで、世間知らずのレイアだったが“魔女”という存在が世間から嫌われている事くらいは理解していた。だから、これから向かう町の近くの道に[神に歯向かう愚かな魔女に鉄槌を!]と書かれた看板がたっていてもあまり気にしてない。しかし、ギャビンは心配でしかたかなかった。

「引き返した方がいいんじゃないか……?」

「そうすると今日は野宿なのだわ」

 一番近かった町だが子供が徒歩で向かうにはそこそこの距離があり、既に日は傾きかけていた。

「大丈夫なのだわ。魔女だってバレなければ、なんの問題もないのだわ」

「そうだよな……じゃあ、試しに聞くけど、村の人間に何処から来たか聞かれたらなんて答える?」

 レイアは即答した。

「魔女の領域から来たのだわ!」

 レイアは素直だった。

「はいッアウトーー!! 絶対バレるって、野宿でもいいから引き返そう!!」

「い、嫌なのだわ! せめて友達を一人でもいいから作りたいのだわ……」

 しゅんっと今にも泣きそうな顔で言われて、ギャビンは罪悪感に襲われる。でも、確実にこのまま村に入ったら確実に魔女だとバレる。絶対だ。

「せめて、魔女だってバレないように嘘つくとかしろよ」

「嘘は良くないのだわ。魔女は真実を追求するものだから、嘘をついてはいけないと師匠も言っていたのだわ」

 家出したわりに、師匠の言いつけはしっかり守ってしまう。根が素直なのだ。

「でも『魔女の領域から来ました!』なーんて、自分は魔女ですって言ってるようなもんだろ。『西のほうから来ました』とか上手い言い方できないのかよ」

「そ、そんなこと言われても、急には思いつかないのだわ!」

 師匠くらいとしか会話しない彼女にとって当たり障りのない返答を返すと言うのは中々に難しい事だった。それにずっと魔女になる為に生きてきた彼女にとっては“何が言っていいこと”で、“何が言ってはいけないこと”かわからないのだ。

「せめて俺が横から助言できたらな……。でも、俺が喋ったりしたらますます疑われるだろうし」

 どうしたもんかと呟いたギャビンの言葉でレイアは閃いた。

「そうなのだわ! ギャビンが代わりにしゃべってくれればいいのだわ!」

「……へ?」

「前に聞いたのだけど…………腹話術よ!」

 レイアの作戦に不安を隠せないギャビンだったが、他にいい案が浮かばずレイアの作戦に乗るしかなかった。


 町の入口を守っていた門番の男は呆気に取られた。

 見知らぬ少女が頭に白い鳥を乗せてやってきた事に警戒しつつ、型式ばった挨拶をした。すると挨拶を返してきたのは女の子ではなく頭に乗った鳥だったからだ。

 返事を返したギャビンは、バレるんじゃないかと心臓をバクバクとさせた。レイアはうっかり声が被らないように口を手で押さえた。 

「お嬢ちゃん。この辺りじゃ見ない顔だけどどうしたのかな?」

「迷子になってしまって、一晩この村に泊まりたいのダワ!!」

「ッ!」

 その話し方がレイアのツボに入ったらしく、体を小刻みに揺らしながら笑うのを必死に耐えた。

 そんなレイアの様子をみた門番は『こんなに震えて……。この辺りは魔女の領域も近いし、怖い思いをしたんだな』とか思ってた。実際は笑いを堪えているだけだが。幸いにも門番は、道に迷ったまともに会話ができない可哀想な女の子に見えたようだ。

 結果、魔女の疑いを持たれぬまま町へと通された。


 ◆◇◆


「はわわ、これが“町”というものなのね」

 とはいえ夕食時を過ぎていて出歩いている人はほとんどいない。それでもレイアにとっては全てが初めて見る景色だった。たくさんある似たような建物、明かりが灯っている家々、楽しそうな笑い声。それらを見て彼女は目を爛々と輝かせた。期待に胸踊らせた。

「こんなに人間がいるのだから友達もいっぱい作れるわよね!」

「そんなことより寝られる場所を探すぞ」

 肩に止まったギャビンが他の人に聞かれないように小さな声で言う。

 レイアにお金なんてない。町についても宿屋には泊まれないのだ。だから、どこか雨風を凌げそうな場所を探していた。

「あそこなんてどうかしら?」

 大通りから外れた脇道に看板がそこそこ傾いていて、全体的に何となくボロボロで、一目で潰れてるとわかる店を見つけた。レイアは軋む扉を押すと鍵がされておらず、錆び付いた音をたてて開いた。

「こ、こんばんわ……?」

 中に入ると物は殆どない。店を区切るように長いカウンターが置かれていて、カウンターの奥にはさらに部屋が見えた。

「誰もいないみたいなのだわ。今日はここで休みましょう」

「待て、あそこに明かりが!」

 カウンターの下からわずかに光灯りに気づいたギャビンが声をあげる。と、同時にガタンっとカウンターの後ろから音が聞こえた。

 ギャビンはカウンターの上に飛び乗るとカウンターの中を覗き込む。続けてレイアも覗き込む。

「あら、こんばんわ」

 カウンターに隠れていた少女とレイアの目があった。そりゃもうバッチリと。少女の年齢はレイアと同じくらい、真っ黒な長い髪に金色の瞳にキリッと釣り上がった目元はどこか黒猫を彷彿とさせた。

「……あんた、誰……」

 敵意剥き出しな少女をレイアは全く気にせず能天気に自己紹介をし出した。

「私はレイア、こっちはギャビンなのだわ」

 丁寧にギャビンの紹介までするとレイアは少女に名前を尋ねた。少女は無愛想に「ベル」とだけ答えたえるとカウンターから出てきた。レイアより頭一個分大きなベルはレイアを見下ろした。

「あんた、魔女?」

「えっ、いやその」

 レイアが何か言ったらボロを出す。そう思ったギャビンは尽かさずレイアの頭の上に飛び乗った。村に着く前、腹話術で乗り切ると決めた際にギャビンが頭の上に乗っている時はレイアは喋らないと約束したのだ。レイアは余計なことを言わないように口を手で抑えた。

「私が魔女に見えるっていうのカシラ?」

「しゃべる鳥を連れた女なんて魔女だろ」

「これは腹話術なのダワ!」

「カウンターで隠れてるとき会話してるように聞こえたけど」

「一人で会話してたのダワッ! 悪い!?」

 一人と一羽の間でバチバチと火花が散っていた。どちらかが折れない限り終わらないだろう。

 話は変わるがレイアの普段のスケジュールはみっちり詰まっている。朝の水汲みから始まり、夜は師匠の湯浴みの手伝いをして、朝ごはんの仕込みをするまでが彼女の一日の流れだ。基本的に師匠が近くにいるので逃げ出せない。師匠が眠った夜に逃げる事も考えたが、師匠のフクロウに見つかってしまう。なので、レイアはフクロウも師匠も寝ているタイミングを寝ないで待ったのだ。

 つまり何かと言うと、彼女は今、大変寝不足なのである。無事に町に着いたと言う安心感と店のほの暗さが彼女の睡魔を呼び寄せた訳で。

 "バタン"と言う音をたてて彼女が倒れたのは無理もない事だった。


 ◇◆◇


 射し込んだ朝日が眠っていたレイアにあたる。

「うっ、まぶしい……って朝ッ!? 寝坊したのだわ!!  ごめんなさいごめんなさいッ!! すぐに水汲んできて朝食の支度しますぅううッ!!」

「落ち着けアホ。ここに師匠はいねーよ」

 目の前にいたギャビンが呆れた顔をしていた。そこで自分が家出したことを思い出す。

「そうだった……。私、家出したんだったわ!」

「はいはいそうだな。ところでお前、昨日自分がどうなったか覚えてるか?」

「昨日?」

 辺りをぐるっと確認すると、見覚えのあるカウンターが目にうつった。

「寝る場を探してここに入って、カウンターに女の子が隠れていて、ギャビンと言い争いになって……あ、私ったら途中で寝てしまったのだわ」

「『寝てしまったのだわ』じゃない! 突然倒れてこっちとらすげー心配したんだからな!」

 かなり怒った口調で言っているが彼は本気でレイアを心配していたのだ。それがわかるからこそ「心配をかけてごめんなさい」とレイアは素直に謝った。

 しかし、謝ると何故か逆にギャビンから謝られた。その意味がわからずレイアは首を傾げた。

「あんた本当に魔女なんだってな」

「えっと、ベル?」

 カウンターの奥から姿を現したのは、昨晩ギャビンと言い合いをしていたベルだった。

「悪い。お前が魔女だってコイツにしゃべっちまった」

 突然崩れるように倒れたレイアを見てギャビンはパニックになった。

 まさか眠ったなんて想像もしなかった彼は懸命にレイアに呼びかけ続けた。寝息を立てて寝ているだけと気づいた時には、散々に喋りまくっていた後だった。

 こうなっては腹話術です、と言い切るのは難しかった訳だ。それに何より本当のことを言わないと教会に突き出してやる! と脅迫されたので仕方がない。

「教会に言わないでくれてありがとうなのだわ」

「別に……。どうせ、誰も信じてくれないだろうし。それよりあんた本当の魔女なんだろ? 頼むよ、私に魔法を教えてくれよ!」

 ベルはレイアの手を取り、魔法を教えてほしいとせがんだ。力強く握られた手から彼女の熱意を感じるもレイアはいいとは言えなかった。

「む、無理なのだわ。人に教えられるほど魔法上手じゃないもの」

「確かにな」

 ギャビンは本当の事を言っているが、そう言われるとちょっぴり腹が立つ。ギャビン本人もわかって言っている。彼はちょっぴり意地悪なのだ。

「それに私、弟子を探してるんじゃないのだわ。友達になってくれる人を探してるのだわ」

「友達? だったら私が友達になってやるよ!」

「本当に!?」

 レイアはベルの言葉に喜んだ。だって念願の友達がレイアに出来たのだから。ただ、ギャビンは不安そうに喜ぶレイアを見つめた。

「友達になったし、魔法みせてよ!」

「いいのだわ。だって友達ですもの! とっておきの魔法を見せてあげるのだわ!」と自信満々に言った。鍋を用意し、脱穀前の米と水を適当に放り込んだ。

 何をしているかって? 魔法を見せるついでに朝食の準備をしているのだ。レイアが昨日倒れたのは睡眠不足もあったが空腹によるものでもあった。つまり腹ペコである。

 放り込んだ鍋に蓋をして「おいしくなーれ」と唱えれば、あら不思議、鍋いっぱいのほかほかご飯が炊き上がっていたのです。これぞまさに一分クッキング!

「どうなってんの!?」

「魔法なのだわ」

 ベルの疑問はごもっともだが、なんでこうなるか使った本人にさえわからないのだ。朝の支度に追い込まれた結果出来たレイアのオリジナル魔法だ。

「そんな魔法知らない! 母さんが使っていたのは……」

 ハッとなりベルは口をつぐんだ。

 さて、ベルな母は魔女だった。ベルを立派な魔女にしたいと旅の途中、この町で魔女だと気付かれた彼女は命を落とした。ベルは存在を気づかれずに生き延びた。そして、魔女になって復讐すると心に誓ったのだ。しかし、彼女は魔法を使えなかった。教わる前に母が亡くなったからだ。だから、そんな彼女の前に現れたレイアを利用して彼女は魔女になるつもりだった。

「さすが魔女の魔法だな。やっぱり私じゃ友達には相応しくないよな」

「な、なんでなのだわ!?」

「魔女の友達はやっぱり魔女なんだろ?」

「そうなの!?」

 もちろんそんな事はないだろう。世の中には魔女と隠して人間と友達になった魔女もいるだろう。しかし、レイアにはそれが真実かわからなかった。そう言われればそうな気がしてくる。

「こんなにすごい魔女様と友達になるなら私も魔法の一つでも使えないと、とても対等な友達にはなれないよな」

「そ、そんなことは」

「せめて、魔法の一つでも使えたら……」

 レイアは考えに考えに考えて。

「わかっただわ」

「本気か!? やめとけよ、師匠にバレたら大変だぞ」ギャビンの制止をレイアは聞き入れなかった。

 室内でやるのは危ないと言うとベルはいい場所があると腕をひっぱり外へと連れ出した。


 彼が大通りで二人を見かけたのは偶然だった。門番として仕事が終わり帰宅途中でベルに連れて行かれるレイアを見かけたのだ。

 ベルの町での評判はよくない。盗みに暴力沙汰も珍しくはない。そんなベルが裏道に連れて行ったのが昨夜の迷子だったので、大慌てで二人の後を追いかけた。

 途中で二人を見失うも必死で探した。子供の足だ、そんなに離れてはいないだろうと彼は怪しい所をあちこち探して辿り着いたのは廃屋だった。奥に元は中庭だった所があり、そこに二人の姿が確認できた。そして彼は信じられない光景に腰を抜かした。

 ベルの手から青白い炎が上がったからだ。


 ◇◆◇


 ベルは魔女の才能があった。

 レイアのマッチ程度の火を見ただけで、炎を生み出したのだから。手本を見せたレイアはショックで不貞腐れている。実はベルにせがまれた火の魔法はレイアが一番苦手だった。自尊心を取り戻す為「こんな魔法もあるのだわ」と殺風景なこの場所一面に花を咲かせたが気にもされなかった。

「私ってば……才能ないのだわ」

「向き不向きじゃねーか」

 落ち込むレイアを慰めようとギャビンが声をかけた時だった。大きな笛の根が響いた。音がする方を向くとそこには昨夜の門番が警笛(けいてき)を鳴らしていた。

 音を聞きつけたのか、町の警備隊が現れてあっという間にレイアもベルも捕まった。

「あ、あたしは魔女なんかじゃないわッ! あの女が魔女よ!」

 ベルが叫んだのを聞くとギャビンがベルに飛びかかろうとする。

「やめるのだわ!」

 気づいたレイアに止められた。しかし、これ以上レイアを売るような事を言えばギャビンはレイアの制止を無視してでもベルを黙らせるつもりだった。

「違うぞ。俺が見たのはそっちの子どもが手から青白い炎を出す所だ!」

 門番の男がベルを指差して叫んだ。

 門番はレイアが魔法を使った所を見ていない。見たのはベルが出した炎だけだ。

 それに気づいたギャビンは尽かさずレイアの頭の上に乗った。余計な事を言わなければ魔女だとバレずに済むかもしれないと思ったからだ。

「違う! そうだ、きっとアイツが魔法であたしが魔法を使ったように見せたんだ」

 ベルの苦しい言い訳を聞き入れる人間なんて誰もいない。たとえ本当だったとしても、町の厄介者を排除する絶好の機会だ。魔女として教会に突き出した方が町の為だと考えた。

 ベルは先程の魔法で逃げようとするがうまく魔法が使えない。諦めたその時だった。

「ベルが言ってることは本当なのだ」

「オイ、約束!」

 ギャビンが言おうとレイアは頭からギャビンを降ろした。レイアの縛っていた縄は既に焼き切られていた。

 周囲をゆっくりと見て、レイアは優しく微笑んだ。

「私は魔女、"料理の魔女"レイアなのだわ」

 ギャビンから羽を一枚と取ると、羽は人が乗れるほどの大きさになった。呆気に取られた人々を横目に羽に飛び乗ると捕まっていたベルを乗せて宙へと舞い上がる。

 料理の魔女というだけあってレイアの得意な魔法は料理だ。料理をするにはまず食材を鍋に入れなければいけない。レイアが手を上へと挙げると集まった人間を取り囲むように巨大な鍋が現れた。鍋に入った彼らはレイアには食材と同じだ。

「おいしくなーれッ!!」

 呪文を唱えると鍋からぼわんと湯気が上がった。

 その様子を上から見ていたベルは次は自分の番だろうと恐怖で体を震わせた。実際は鍋の中の人たちは気を失っているだけなのだが。

「ベル」

 ベルは名前を呼ばれただけで心臓が止まりそうだった。そんな彼女の様子に気づかずレイアは淡々と話す。

「私ね、友達が欲しかったの。だから貴女が友達になるって言ってくれてすごく嬉しかったのだわ」

「そ……そう」

「でも、私はベルの友達になれないのだわ」

 ベルは当然だと思った。先程、自分が助かる為に彼女を売ったのだから。

「魔法を教えるの苦手だから……」

「…………はぁ!?」

 ベルは一瞬何を言われているかわからなかった。

「やっぱり私に魔法を教えるって荷が重いというか……。もしも、本気で魔女になって私と友達になってくれるなら、私の師匠に教えてもらった方がいいと思うのだわ! 多分、私の名前を出したら山には入れて貰えると思うのだわ」

「山に入って無事で済むかはしらねーがな」

 ギャビンは先程の件を怒っているので意地悪く言ってやった。

「怒ってないのか?」

「怒ってないのだわ?」

「俺は怒ってるぞ! レイアに何かあったら今頃お前は蜂の巣だったぜ」

「ギャビン、恐いのだわ……」

 ギャビンは怒っていたが、レイアは本当に気にしてないようで「だって本当の事なのだわ」としれっと答えた。

 ベルは魔女の領域近くまで届けて貰うと魔女になるべく山に踏み行った。まだ、復讐したいと言う気持ちはある。しかし、それ以上にいつか立派な魔女になって、本当の友達になれたらと思っていた。


「友達を作るって難しいのだわ」

「諦めてアイツと山に帰ればよかったのに」

「嫌なのだわ! せっかく一人前になったのに山に帰ったらまた師匠にひたすらこき使われるだけなのだわ。私は外の世界で友達と冒険に満ちた日々を送りたいのだわ」

「あ~はいはい、出来るといいな、友達」

 和気藹々とまるで友達のように話すレイアとギャビンの友達探しはまだまだ続くだろう。


はじめましての方もそうではない方も、悪魔咲と申します。

この度は読んで頂きありがとうございます!

人生、初めての短編書き上げました。

一応、この小説はアニメイト様の企画ように書いたので、8000字の文字数の中で書いてます。

正直、最初に書いたのが余裕で一万文字越えてたので削りまくってます。

設定もかなり変えました!

ベルも最初は姉妹だったし、名前もギルダって名前でしたが一文字でも削りたくベルに変えました。


ここまで読んで頂きありがとうございました!

感想、評価、ブックマーク、いいね

お待ちしています!!


あと、他にも小説(未完結100話越え)も書いてるので読んでいただけたら嬉しいです。

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