兆し
祭囃子が鳴り響き屋台が数多くならんでいた。
夏祭りである。
「あれ? ねぇ、私の狐のお面知らない?」
「え?知らないわよ。貴方って本当お間抜けね。」
「うっ…人が沢山いたから紛れて落としちゃったのかなぁ…」
「とりあえず、来た道戻ってみましょ。特に行きたいところもないし。」
「ごめんねぇ」
と言っているのは、数え14歳の少女達である。
狐のお面を無くした間抜けと呼ばれている少女は祢々。
上品な言葉遣いの少女は小夜。
2人は家柄は違うものの同じ師から花を習っているのでである。
「小夜ちゃん!! あったよ!!」
「あら、良かったじゃない。」
「ん?貴方が最初に付けていた物と少し違くない?」
「え?気のせいだよ〜」
「そうかしら…?まぁ本人が言うならそうよね。」
「じゃあ行きましょ。」
と踵を返し歩き始めようとすると、ドサッ という音が後ろからした。
「祢々ちゃん?」
そう呼び後ろを振り返ると祢々がお面を付けたまま震えて倒れているではないか。
いい所の出のお嬢様がそんな光景に慣れているはずがなく
気を失ってしまった。
「お小夜、お小夜 起きなさい」
「母上?どうしてここに………
祢々ちゃんは? 祢々ちゃんはどこ?」
「人の心配より自分の心配をしなさいお小夜」
「遅くまで帰ってこないのだから父上も心配して使用人達と一緒に探していたと思っていたらこんな山奥で寝ているなんて」
「お祭りは?」
「さっき終わったわ」
「じゃあ祢々ちゃんは?」
「貴方、一緒に祢々さんと来たのでしょう?」
「はぐれてお酒でも飲まされたの?こんな所に寝ているなんて……」
「ええ、祢々ちゃんと来たわ。近くに祢々ちゃんが倒れていなかった?」
「え?この辺りに居たのはお小夜一人よ。」
「嘘でしょう。私は祢々ちゃんが倒れているのを見て気を失ったと思うの………」
「取り敢えず屋敷に戻ってから話は聞くわ。ここでは体を冷やしますよ。」
「わかったわ…」
数刻前
「う〜ん……ここはどこ?」
そこには目を覚ました祢々、ではなく白髪に紅色の目を持った少女が起き上がった。
「封印は?……………解けたのね……うふ…うふふ」
「これでみんなへの復習ができるのね……うふふふ」
そう言って立ち上がろうとすると近くに美しい顔立ちをした少女が寝ていた。
「綺麗なお顔………あの方達と似ている顔立ちね………」
白髪の少女は寝ている少女を横目に
「まずは確かめなくちゃ。」
そう言って立ち去った。




