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曰くより、愛を込め  作者: 真代あと


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25/26

F-3

『そう。やっぱりあんたもそれを選んだ訳ね』

 姉ちゃんは電話越しに言った。その声は、極めて真面目な声だった。

「選ぶも何も……いつもの事なんだからさ」

 そう。それがこの部屋の日常あたりまえだ。何か変な事が起こる、奇妙な部屋。

『まあ、そうなっちゃうかもーとは思ってたけどね』

 どうやら姉ちゃんはお見通しだったらしい。俺が、曰くのあり方を認める事に。

「悪いか?」

『いいや? だけどこれだけは覚えておきな。“曰く付きなんて普通じゃない”。世間はそう捉えるってね』

 ……それも解る。普通は怖いものだ。得体の知れないナニカが現れる部屋なんて、正気を持って住みたいとは思わない。筈。

『まあ、あたしもちょいとは絡んでるからさ。おねーさんとしては応援しない訳にはいかないんだよなあ』

 そう。姉ちゃんにも強い霊感がある。だからこそ、最初にこの部屋に来た時からこの曰くを認めてた。

 確かにある事を、受け入れていた。

 だから――、

「まあ、ちゃんと上手い事やっていくさ」

 それが多分、俺が今ここに居る理由とか、巡り合わせだと思うからさ。

『あっははは――まあ、本当ちゃんと上手い事やりな。取り憑かれて死んじゃうんじゃねーぞ?』

 こういう経験の先達である姉ちゃんは、最後に笑ってそう言った。縁起でもねーっての。




 曰く付きの部屋、という事に、今もなってるけど。

 あれ以来、新しい曰くがここにやってくる事は殆どなくなってる。

 たまに思い出したみたいに、どっかの何かが急に出て来て、俺はそいつを一睨みだけして、ちょっかいを掛けて来なければそのまま放っておく。

 諦めなきゃやってられない、そんな部屋。取り敢えず、何かが居たり出て来たりする所。それが俺の部屋。

 そんないつも。

 随分と平和。

 一つだけ、変わった事と思うのは、

 俺はおにんぎょう遊びはしないけど、人形を二つ持ってる。

 片方は、俺の周りをいつもちょこちょこ動いている。そしていつの間にやら、小さな箒を持って辺りを掃除している事が多くなった。

 もう片方は、ちょこちょこはしないけど、俺の部屋の、机の上で、じっと座っている。

 なにせ俺の部屋は曰く付きな所なんだから、

 もしかすると、いつかそいつがひょっこりと動き出したりするのかも知れない。

 その時には、

 怖がりはせんでも、びっくりはしてやろう。

 そうして、こう言ってやればいいんだ。

「とっとと成仏していけ」って。生きてる側として言ってやろう。



・ あとがき


 ――こうして、彼は一般日常にありながら、この先コロすけと共に世の中の怪奇じみた事件に、色々関わって巻き込まれて解決していく事になっていくのでしたとさ。

 めでたしめでたし。


 ――暗い部屋の中、ノートパソコンに向かいながら、最後の一文字をタン、と押す。

 ふう。取り敢えず、フィクション半分なノンフィクションって事で、お話を纏める事が出来た。

 こんな終わりがめでたいかどうかは解らないけど、お話の終わりはこうやって締めるものでしょう。めでたしめでたし。いい言葉だ。本来はそんなに悪い終わりな訳じゃないんだし。

 もっともこんな面白そうな所だったら、私は是非とも住んでみたい。だけどあいつが意外と馴染んでいたのは少し驚いた。怖がりな子だと思ってたけど、血は争えないってこういう事か。

 私と同じく。

 それなら嬉しい。


 さてと。そろそろ出掛ける準備をしないと。

 今日はもうお盆休み。久しぶりに実家に帰る日だ。

 あいつも帰って来るって言ってるから、その時にはこれをお土産に、また話の続きを聞かせて貰わないとな。

 何が起きたか。

 どんなものが現れたのか。

 教えてくれたなら、私がそれを記録しよう。

 だって、私はそれを仕事(生きがい)にしようと思ってるんだから。



・ 追記


 このお話を、

 今も頑張るかわいいかわいい私の弟、AYに捧ぐ。

                           ATより

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