1-21, 運命の支配から解き放たれる私は……私は……
「目的は達した。間もなく運命の支配から解き放たれた二頭のドラゴンがこの場を荒らし始めるだろう。早く離れるといい。お前は今日が終わるまで存命の運命だ。だが、明日になったら運命から開放される。どんな大怪我をしても今日一日死ねないのは辛いぞ」
月島桜は言葉足らずなおっさんに転生したようだ。断片的すぎてよくわからん。ただ、興味深いセリフだ、私が死なない? なるほど。
私が黙っていると、グライスターは言葉足らずなセリフを続ける。
「私の運命ももはや縛られない。あのみなぎるような力は三人を討った時点で失われた」
ここでそれを私に言うか? 彼の、彼女なりの懺悔だろうか? 不可解ではあるが……。
「運命? グライスター、いや、月島桜、私の運命を決めてどんな気分だ? 私の運命が楽しいものだったと思うか?」
私が近づきながらグライスターの動揺しそうな言葉を投げると、一瞬、グライスターが止まる。
「……。利用したことは悪かったと……」
こいつを斬る。居合なんてやったことなかったが、剣を抜きながらグライスターの首に向けて、思いっきり剣を抜きながら振りまわす。ちょっとかすった感覚しかない。避けられた。
「ぐっ」グライスターがちょっと呻く声がするがその程度。顔から血が吹き出すが、彼は気にせず剣に手を掛ける。
まずい。
私は、今日一日死なないだけで無敵じゃないらしい。だが、致命傷でない怪我や拷問なら受けうる。逃げるしかない。急いで振り返ると走って堀の方へ向かう。
「待て」
待てと言われて待つわけがない。私は急いで堀へ飛び込む。ドボンッと大きな音がして、私は堀へと吸い込まれる。顔を出したら遠距離武器で討たれる可能性があるので、下流の方へ息の持つ限り泳ぐ。この堀はある程度水がきれいだったが、目を開ける気は起きない。とにかく全力で逃げろ。急げ。
何が起こっているかわからないが私はひたすら泳ぐ。流石に水中を泳げるのは最初だけ。あとは前へ前へと全力を出すのみ。そして、ぶおるぅぅぅぅぅ、という音がするころ、私は城からの脱出に成功だ。




