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1-19, 邂逅

 私は、グライスターと、仇敵と並んで歩いている。グライスターは騎乗して、私は徒歩で。あたり一帯は火の海だった。もともと木造建築が多いソーサルの街は全焼しているようだ。グライスターは多くを語るつもりはなさそうだ。私に伝えたのは、たった一つの事実。

「私があなたに課した運命は三つだけ。最初に名前のない奴隷として人生をスタートすること。この国に入るタイミングで存命の知り合いが一人もいないこと。あなたが今日を生き残り、転生者三人の死を目撃し、この世に残されたあなたの知り合いが三人になること」

 私と関わったものは、皆死ぬということだ。

「これ以降、あなたの運命は指定していないから安心してほしい。もちろん、信じる信じないは勝手だ」

 この言葉を信じていいのか? この言葉は呪われた運命を持った私にとっては救いだった。私はこれから運命に縛られず自由にいきられるのだろうか。

「なぜ私にこんな運命を?」

 聞かずにはいられなかった。

「なぜこんなに人を殺して平気なんだ?」

「何を目指しているんだ?」

「なんで、なんで」

 私の頬を流れた涙もドラゴンの熱ですぐに蒸発する。私の問いに答えるものはなかった。


「来たか」

 グライスターが上空を見ると、黒龍に三人がまたがって飛んできた。前から順に、黒鎧にハルバード、青灰色の鎧に剣、着物っぽいぼろ布に長剣を身に着けている。


「生き残り発見!」

 ハルバードの黒鎧が声を上げる。三人を乗せたドラゴンは俺たち二人に声が届くほど近くでホバリングする。

「マジかよ、ヴォイド、ドラゴンライダーがいるぜ」

 二番目に乗っている剣士が先頭のライダーに呼びかける。

「おかしいな。転生していないこの世界の人間はドラゴンに乗れないはずだろ? アルフォンス、カネチカ、どう思う?」

 ヴォイドと呼ばれたドラゴンライダーが後ろの二人に質問をもらすと、真ん中の剣士がすぐに返答する。

「グライスター」

「アルフォンス、グライスターって誰だよ?」

 一番後ろのぼろ布男が真ん中の男に聞く。

「カネチカ、忘れたのか? 月島さんだよ」

 アルフォンスの代わりにヴォイドが答える。

「ああ、そんな話あったな? で、どうするー? 隣の女の子めっちゃ好みのタイプ。王国に連れて帰ってペットにしようぜ」

 カネチカがそんなことを提案する。隣の女の子とは、私のことだろう。ただ、怖がるこはない。運命によると死ぬのはこの場にいる四人のうち三人。その言葉が本当か嘘か判断はつかないが、私は文字通り受け取るっている。

「にしても、面倒くさいな。カネチカが悪の王国を滅ぼすなんて書いたからこんなことになるんだぜ。俺は引きこもってペットとイチャイチャしてるほうがいいのに」

 ヴォイドがやれやれとばかりに不満を言う。

「それで? 結局、襲うってことで」

 ヴォイドの首が会話の途中で吹き飛んだ。舞う血しぶきでフーリアを思い出し、くらっとする。どうやらグライスターが目にもとまらぬ速さで飛び乗り、切り落としたらしい。

 私に見えたのは、いつの間にかドラゴンの上にいたグライスターの剣を、アルフォンスが盾で受け止めドラゴンからはじき落されたところ。そして、グライスターが後ろに跳んで、カネチカの居合切りをよけたところだ。


 ヴォイドの首なし死体は、ゆっくりとバランスを失い、ドラゴンの背中から滑り落ちる。くるくると力なくおちる死体は、激しく血をまき散らす。私はその光景をフーリアと重ね合わせながら、涙を流すだけのか弱い存在でしかない。

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