表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/41

エミュさんとデート

 エミュさんと別れて昨日の安宿へやってきました。ちゃんと銀貨5枚払って食事もいただきました。正直、あまりおいしくはなかったですが。。


 明日はエミュさんに、ドラゴニアの町を案内してもらう約束をしました。魔力を抑えていると俺とも普通に話せるみたいで、それほど怖い人ではないと安心したそうです。


 それに、神からこの世界に送られた人間ということで、何か特別な存在なのではないかと興味津々みたいです。


 翌朝、宿を出た俺はエミュさんとの待ち合わせ場所に向かいます。町の中央にある、井戸の前で待ち合わせです。


「あ、ゆうじさん、おはようございます。」


 エミュさんはすでに待っていました。早いです。大きく手を振っています。


「エミュさん、今日はよろしくお願いします。」

「はい!」


 では、二人で仲良く町を歩きます。ここは居住エリアと呼ばれる場所です。


 俺たちはまず、まとめ役のドミニクさんの家にやってきました。昨日も来ましたが、少しお願いがあって再度訪問です。


 家をノックすると、昨日と同じく人族のメイドさんが出てきました。俺がドミニクさんに面会したい旨を伝えると、快く部屋に通してもらいました。


「ゆうじさん、本日はどのような用件でしょうか?」

「昨日に引き続きお願いがあってまいりました。」


 俺は、この町のすぐ隣に家をまた建てたいと告げた。先日、建てた時は無許可だったので、正式に許可をもらってまた家を建てるつもりです。


「森の中は誰の土地でもないので、自由に家を建ててもかまいませんよ。」


 簡単に許可は下りた。ただ、魔物が出るので注意してくださいと言われました。今度は結界魔法でしっかり防御するので大丈夫です。


 ドミニクさんの家をでると、次はエミュさんの家に向かいました。昨日、水くみを手伝った時に家の前までは行きましたが、実際に中に入るのは初めてです。


 家のサイズは、人族と比べてかなり大きいです。竜は小さい頃は人間に変化できないため、幼竜でも不自由ないサイズで建てられるそうです。


 エミュさんのご両親はもちろん竜なんだけど、実際に会ってみると普通の人間にしか見えません。お父さんがマルコ、超イケメン。お母さんがエルマ、絶世の美女。ふたりとも、20代にしか見えません。エミュさんも15歳くらいにしか見えませんけどね。


 ご両親は800歳超えているそうです。エミュさんはまだ若いそうですが、250歳くらいだそうです。竜っていったい何歳くらいまで生きるのでしょう?


 ご両親から色々とお話を聞いてみると、エミュさんから俺のことはよく聞いているそうで、神様から特別に使命を授かった人って思われています。もう、崇められていますね。。


 まぁ、職業が神の使徒になってますから、完全に否定もできませんけどね。


 しかし、使命と言われても、神からの指示は『好きに生きろ』だけですしねぇ。。


 常に監視されているらしいけど、神なら普通に下界を覗くことくらい可能だろうから、何も不思議なことでもないですよね。プライベートが無くて嫌になることも、今後は出てくるかもしれませんけどね。今のところは全く問題はないですね。


 そうだ、一度教会とかあれば訪ねてみるのも良いかもしれません。小説では、教会に行くと神様に会うことが多いですからね。


 エミュさんの家で、お昼ご飯もいただきました。ご両親から、エミュさんと仲良くしてやってくださいと頼まれました。仲良くするのは良いですけど、種族が違うので恋愛感情とかはまったく生まれませんけどね。人間に変化している時は、かわいいと思ってしまいますけど。。


「もう、お父さん変なこと言わないでよ。ゆうじさんは、神に選ばれたすごい人なんですよ。私なんかが馴れ馴れしくしたら罰が当たります。」


「いやいや、罰なんか当たりませんから。。確かに、神からこの世界に飛ばされてきましたけど、使命とかありませんし。会ってもいませんし。ただ、この手紙を渡されただけなんですよ。」


 そう言って、俺はエミュさんに神からの手紙を見せた。


「すごいです、これが神様の筆跡でしょうか? あまり綺麗な字ではありませんね。」


 罰が当たりますよ?


 エミュさんの家を後にして、俺たちは商業エリアにやってきました。服を何着か購入するためです。別に鎧とかは要らないので、普段着を探します。


 古着屋さんがあったので、適当に服を購入していきます。そう言えば、エミュさんは服とか買わないのでしょうか?


「あ、服も変化するときに一緒に作られますから、買う必要はありませんよ。ドラゴンに戻ると服は消滅してしまいますけどね。」


 うん、ドラゴン便利だ。


 詳しく聞いてみると、ドラゴンが変化しているときに着ている服は魔力で作られた幻みたいな物らしい。だから、変化が解ければ消えて無くなってしまう。そして、イメージ次第でどんな服も作ることができる。


 服を購入した後、俺たちは商業エリアを歩きます。いろいろな店が建ち並んでいますね。あ、食料品店を見つけました。早速、食材を買い込みます。調味料も必要ですね。


おや? ここは・・・、建物には冒険者ギルド、ドラゴニア出張所と書いてあります。おお、ここがファンタジー世界で有名な冒険者ギルドですか。ドラゴン族の街にも冒険者ギルドあったんですね。と言っても、かなり小さい建物ですけど。。人間用の建物という感じですね。


「エミュさん、ここって・・・?」

「ああ、冒険者ギルドですよ。人族が主に利用する建物です。私たちはあまり来ることはないのですけどね。」


 なるほど、やっぱりあの有名な冒険者ギルドだった。でも、冒険者になるつもりはないしなぁ。仕事しなくても、ドラゴンの鱗を売れば生きていけるし。。のんびり生きるのが目的な俺には、ここは無縁の場所に思えた。


「エミュさん、そろそろ俺は家を建てに森に帰りますね。」

「えー、もうですか? それじゃぁ家を建てるの手伝います!」

「え?いいのですか?」

「もちろん。暇なので一緒にいた方が楽しそうです。」


 暇なんですね。。俺たちは、森に向かってゆっくりと歩き出しました。


 前に家を建てた場所は、ドラゴンブレスのせいで焼け野原になってるので、今回は、ドラゴニアの町を出てすぐの森の中に作ることにしました。


 大黒天の大袋を右手に出現させると、木こり用の斧と鉈を取り出します。前回のように斧を振り下ろし、周囲の木々をなぎ倒していきます。


「ゆうじさん・・・、やっぱり普通じゃないですよ。」

「でも、この方が楽ですし・・・。」


 斧一振りで、15本くらいの木々をなぎ倒す俺を見て、やっぱりエミュさんは驚いたようです。


 エミュさんに、木の根っこを引っこ抜いてもらっている間に俺は倒した木々を鉈で製材していきます。


「ゆうじさん・・・、なんで鉈で枝を落としただけなのに乾燥された材木が綺麗に製材されてでてくるのです?」

「さぁ・・?」


 あまり深く考えたら負けですよ。


 家を組み立てようとした時、エミュさんが話しかけてきます。


「ゆうじさん、私もたまには泊まりに来たいので、部屋多めに作ってくれませんか?」

「あ、はい。もちろんいいですよ。」

「やったぁ~」


 そして数時間後、大きな2階建ての家ができました。今回は、忘れずに防御の結界魔法を家の周辺に張っておきます。


「ゆうじさん・・・、数時間で家を建てるってやっぱりおかしいですって。。」

「そうですかね?」

「そうですよ!!」


 俺たちは、早速家の中に入って魔道具を取り付けていきます。


「ゆうじさん・・・・、なんで何もないところから魔道具が出てくるの?」

「さぁ・・?」


 俺は、部屋の照明、キッチンにはコンロに冷蔵庫。風呂場には檜風呂、トイレはもちろん洋風の水洗トイレを設置した。各部屋には、ベットと布団。机、椅子。クローゼットなどを置いていく。


「うん・・・、もう驚きすぎて麻痺してきました。」

「エミュさん、手伝ってくれたお礼に食事ご馳走しますよ。」

「やったぁ~」


 俺はキッチンに入ると、町で買ってきた食材を出していきます。


『スキルなんでもありが発動しました。

調理スキルをマスターしました。』


 都合良く調理スキルもマスターした。食材を見ただけで、作成可能なレシピが頭の中に浮かびます。レシピの中には前の世界の料理も存在します。


 数分後には俺の目の前に二人分の美味しそうな料理が並びます。今日の料理は、野菜がたくさん入ったクリームシチューです。町で買ってきたパンもつけました。パンにクリームシチューをつけて食べても美味しいですよ。


 テーブルに料理を並べていきます。エミュさん見ているだけで涎がでてますよ。。


「さあ、食べましょうか」

「美味しそうですー、いただきます!!」


 こちらの世界でも、いただきますと言うのですね。エミュさんがクリームシチューをひとくち食べたら叫びました。


「あなたが神か!!」

「違います。」


 よっぽど美味しかったのでしょう、無我夢中で食べています。自分も食べてみましたが、調理スキルおかげかお店で出されても不思議ではない美味しさです。こうなると、この堅くてパサパサのパンも何とかしたくなりますね。パンも自分で作りたくなりました。また後日、パンを焼いてみますか。


 食後、俺はエミュさんを町まで送っていくことにしました。


「え? 町なんてすぐそこなので大丈夫ですよー。」

「いえいえ、魔法で一瞬ですから。送りますよ。」

「魔法ですか?」


 エミュさんが首をかしげて変な顔をしています。その顔もかわいいのですけどね。


 俺は、時空間魔法のテレポートを心の中で唱えます。テレポートは一度行った場所なら一瞬で飛べる魔法です。飛ぶ先もイメージしただけで自動的に安全な場所を選んでくれます。小説のように建物のコンクリートの中に閉じ込められることもありません。一緒に飛ぶ人は、手をつながなければなりません。


「では、飛びますね。」


 すると、一瞬で室内からエミュさんの家の前に周りの風景が変わります。


「はい、つきましたよ。」


 エミュさんは、ポカーンと口を開けて呆然としています。小説の中ではよく出てくる魔法ですけど、珍しいのでしょうか?まぁ、いいか。


「それでは、エミュさん今日はありがとうございました。またよかったら遊びに来てくださいね。」


 そう言って自分の家へ帰ってきました。


 自分の家をゆっくりと見渡して、心の中で『ただいま』と呟きました。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ