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森のドラさん

 後ろの茂みからガサガサと音が聞こえます。誰かそこにいるのですか?


 とっさに体表面に薄く防御魔法をかけます。魔法をかけ終わった瞬間、それは現れた。見上げるほど巨大で逆光でまっくらな大きな岩のようです。


 それを知っています。ファンタジーの世界で最強の魔物、ドラゴンと呼ばれる存在です。しかし、不思議と恐怖はありません。何故だろう、それほど強そうには思えません。レベルが無限大なのと関係があるのでしょうか。


 いきなり襲い掛かってくると思われてたそのドラゴンですが、以外にも静止したままです。どうしたのでしょう?


 とりあえず、襲ってこないのならばありがたいと思い、右手に魔力を集中します。


 帽子をかぶった時に、この世界の魔法を全て習得しています。


 俺は炎系の上級魔法、『ヘルフレイム』を頭の中で唱えます。

 右手に真っ黒い炎が出現しました。


 そのままドラゴンに向けて先制攻撃をしようとすると、ドラゴンがそのまま仰向けにひっくり返ります。白いお腹を上に向けて、手足をバタバタさせています。。


「へ?」


 唖然としていると、頭の中に直接声が聞こえてきます。


【ま、ままま、まって、待ってください~。戦うつもりはありません、殺さないでください~。】


 なんですか? このドラゴン喋れるのですか?


 長く生きるドラゴンの中には、人族の言葉を喋るものもいると聞きます。ファンタジー小説の話ですけどね。


「えーと、人間の言葉を喋れるのですか?」

【は、はい。魔法で直接話しかけています。】


 流石に、ドラゴンの口から人間の言葉は話せないらしい・・・、当然ですね。


「襲ってきたのではないのですか?」

【えええええー、とんでもございません! 昼寝をしていたら、とてつもない魔力に体が反応して金縛りのような状態になりまして・・・。な、なんとか逃げ出そうともがいていたら、見つかってしまった次第で・・・。】


「とてつもない魔力?」

【あなた様の魔力ですよぉ・・・。人族のようですが、なんなんですかその魔力は・・・。】


 どうやら俺の魔力はとてつもないらしい。 そんなこと言われても、自分ではよくわかりません。まぁ危害を加えるつもりがないのでしたら、敵対する意味もないですし。。


「そうですか、驚かせたみたいで悪かったですね。もう自由にしてください。」

【は、はい。ありがとうございます。。】


 ドラゴンは立ち上がろうとして・・・プルプル震えているが、まだ動けないようです。


【あ、あの。。すいません。なんか、体が怖がってて身動き取れません。あなた様がどこかに移動していただけないですか・・・?】


 ドラゴンにどっかに行けと言われるとは。。しかし、何処かに行けと言われても何処に行けばいいのでしょう。


「すみませんが、この世界に来たばっかりでして。このあたりの土地勘がまったくないのです。近くに町とかありませんか?」


 そう、此処が何処なのかすらわかりません。帽子をかぶった時に確かに膨大な知識は得ましたが、それは魔法の知識であったり、沢山の国家の歴史であったり、この世界の仕組みであったり・・・。


 しかし、肝心の今いる場所がどこなのかわかりません。


【え・・? あなた様は別の世界からやってきたのですか?】

「そうなんです。神とか言うやつからこの世界で暮らすように言われたんですが。」

【神とか言うやつって・・・、罰が当たりますよ。。確かにこの世界では、たまに異世界から召喚されたという人間がいますが。。人間の魔術師が何十人も集まってする儀式みたいですよ。神様から直々に送られた人間は聞いたことがありません。でも、そのありえない魔力を見せられると、信じるしかありませんね。。】


 この世界でも人間が召喚されることはあるようです。きっと、その人間が勇者とかになって魔王を倒しに行ったりするのでしょう。


【わかりました、私が近くの町まで案内しましょう。でも、その前にその魔力を少し抑えてもらえないですか。。】


 魔力を抑える?

 どうやって?

 そんな知識は授かっていません。


「えっと、魔力ってどうやって抑えるのです?」

【・・・】


 何か、変なことを言いましたかね? 何故か、ドラゴンに呆れられている気がします。もちろん、表情をみてもわかりませんが。


 するとドラゴンは話し始めます。


【魔力を抑えるには、体の表面上に薄い膜のようなものを広げるようなイメージをしてください。】


薄い膜・・・、薄い膜と。。イメージを膨らませます。


【その膜から外に魔力が出ていかないようなイメージをするんです。】


 言われた通りイメージすると、ドラゴンがゴソゴソと立ち上がりました。


【そうです。あなた様からの魔力を感じなくなりました。ふーーー・・、生きた心地がしませんでした。】


 どうやらうまくいったようです。すると、頭の中でロボットの発生音のような声が響きました。


『スキル、魔力操作をマスターしました。』


 うん?何かスキルをマスターした? ステータスを開くと、スキルの欄にひとつ増えています。


===================

スキル一覧

〇なんでもあり。

〇魔力操作。

===================


「おや、魔力操作のスキルを覚えたみたいです。」

【・・・、上級魔法を無詠唱で顕現させられるのに、魔力操作のスキル覚えていなかったのですか・・・。】


そういえば、その上のスキルなんでもありって何でしょう?


「えっと、スキルなんでもありってなんですか?」

【なんですか、そのインチキみたいなスキルは。。聞いたことがありません。】


 ドラゴンでも知らないみたいです。ステータス画面からスキルなんでもありを選択してみます。すると、スキル詳細の画面が表示されました。そこには・・・


=============================================

スキル詳細 『なんでもあり』

ユニークスキルのひとつ。神が特別につくった世界にただ一つのスキル。

スキルを所持していなくても、望んだスキルを使用可能。

=============================================


 いわゆるチートスキルみたいです。要するに、どんなスキルでも使えるってことですか? これは、あまり公にしない方がよさそうです。でも、どんなスキルがこの世にあるのか知らないんですけどね。魔法ならわかるのですが。。


 俺はドラゴンに近くの町まで案内してもらうことにしました。魔力を抑えたことで、このドラゴンも普通に話ができるようになったようです。


【あ、私はドラゴン族のエミュです。よろしくお願いいたします。】

「はい、ゆうじです。よろしくです。」

【じゃぁ、背中に乗ってもらえますか?飛んでいきますので。】

「あ、いや。自分で飛べるから大丈夫です。」


無詠唱で『フライ』の魔法を頭の中で唱えます。そして、自由自在に空を飛んでみせます。


【あの、空飛べるなら案内の必要ないのでは・・・】


まぁ、いいじゃないですか。




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