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異世界のんびりモニター生活  作者: ナタデココが好き
アルシュタイン王国編
14/41

そうだ神様に会いに行こう

 目を開けると、そこは見慣れた天井だった。


 そうだった、昨日泊まった宿から自分の家に戻ったのでした。


 都市コルダヴァに到着してから二日目で、もうドラゴニアに戻ってきました。テレポートを使えば一瞬で行き来できるのですけどね。


 昨日はいろいろなことがありました。冒険者ギルドに行ってあんずと会い、身請けをしました。ソフィアとオリビアも身請けしました。その3人も眷属化して種族が進化しました。ソフィアの『招き猫』は進化と言ってよいのかわかりませんが。。


 あんず、ソフィア、オリビアも冒険者にしようかとも考えました。しかし、冒険者に登録可能なのは10歳以上らしいのでオリビア以外は無理です。3人は冒険者としてではなく、従者として連れて行くことにしました。


 朝一番に、エミュさんも家族との団欒から戻ってきました。


 朝食を済ますと、皆を連れてまたコルダヴァに戻る予定です。教会へ行って神様に会えないか試してみたいのです。


 実は、昨日の晩からマップスキルレベルが2になりました。マップ上からテレポートができるようになりました。また、遠く離れた場所の魔力を感知することができるようになりました。ただし、マップの表示エリアのみですが。


 皆をリビングに集めると、テレポートする範囲をあらかじめ魔力で包み込みます。マップ画面を開くと、人が小さな円で表示されています。人がいない場所を選んでマップ上をダブルタップし、サイドメニューからテレポートを選択します。こうして、俺たちは一瞬で昨日のギルドの近くに飛びました。


 狙い通り、周りには誰もいません。別に見られてもかまわないのですが、のんびりとこの世界で過ごすことが難しくなりそうな気がして嫌なのです。


 そのまま、俺たちは教会に向かってゆっくりと歩き始めます。


 教会の建物は比較的簡単に見つかりました。非常に大きな建物です。ギリシャの神殿のような建物で真っ白です。いくつもの柱が立っていて、そのどれにも素晴らしい装飾がなされています。


 お金がかかっていそうですね。。


 教会の中に入ると、左右に10人ほど座ることができる長椅子が並んでいます。左右の椅子の間には通路があり、青い絨毯が敷かれています。その絨毯の先には、大きな石像が立っています。この国の信仰する神様でしょうか?


 俺たちは、後ろの方にある長椅子に座ります。


「さあ、みなさんも神様に祈りましょう。」


 すると、皆も胸の前で両手の指を組んで目を閉じます。ここでは仏教のように手のひらを合わせるのではなく、両手の指を組んで祈るのですね。キリスト教の祈り方に似ている気がします。俺も同じようにして目を閉じます。


 そして、意識が途切れました。


 気がつくと、真っ白な空間の中に浮いていました。


「やっと会えましたね。」


 とても綺麗な澄んだ声か前方から聞こえてきます。目の前には、うっすらと光を放っている女性が立っています。俺はひと目見てこの人が神なのだと理解しました。


 その神々しさに、俺は自然と頭を垂れて跪きます。なんと心地よい力の波動なのでしょう。対面しているだけで、何か心が癒やされていきます。


「突然あなたをこの世界に呼んだのは、間違いなく私です。」

「はい。」

「恨んでいるのではないでしょうか。本当に申し訳ないことをしました。」

「いえ、何か理由があるのでしょうから。それに、自分も毎日の荒んだ生活から解放されて生き返った気分です。むしろ感謝しております。」


 俺は、心の底から本心でそう言った。いまさら、社畜の人生に戻りたくはなかったのです。


「実は、この世界は魔力が枯渇し始めていたのです。その魔力を補うためにあなたを利用させてもらいました。あなたが生きていた元の世界には、魔法文化が遺失してしまっていました。なので魔力が豊富に余っていたのです。そこで、あなたをこの世界に送ることで、同時に魔力も大量に送り込んで補充したのです。」

「そうだったのですね。。」


 うわー、よくある設定じゃないですか。小説で読んだことありますよそれ。


「しかし、何故私だったのでしょうか?」


 俺は、気になることを聞いてみた。


「それは、非常に言いにくいことなのですが、元の世界でこれから死んでいく者の中から対象者を選んだのです。どうせ死ぬのなら、異世界に移り住んでも不満はないかもしれないと思ったのです。」


 え? 俺が死ぬ予定だった?まじですか・・・。


「私は死んでしまう予定だったのですか?」

「はい。あなたはこちらに来ない場合、会社で過労のため心臓発作で死んでしまう予定でした。」


 それって・・・、むしろ助けてもらったのでは。


「ありがとうございます。神様に深く感謝いたします。」

「そう言っていただけると、私も心の重荷が少し軽くなった気がします。」


「それで、私はこの世界での使命はないのですか? 手紙では好きに生きていればいいと書いてありましたが。」

「はい、あなたの使命はすでに魔力を補充できたことで果たしています。あとは、自由に新たな世界を楽しんでいただきたいと思ってます。」


「しかし、職業が『神の使徒』になっているのですが・・・?」

「ああ、それは私から使命を受けた時点でそうなってしまうのです。それと、種族やレベルが高いのも、魔力を送り込む時に元の肉体では耐えられなかったためです。」


「この手紙の、『データを分析して今後の参考にさせていただきます。』この部分はどう言うことなのでしょうか?」

「ああ、それはですね。ユニークスキルであなたのために私が作ったスキルがあるでしょう?」


「はい、なんでもありスキルですね。」

「それは、スキル自体があなたの行動を監視していて、必要とされるスキルを自動生成するのです。スキルを作った私にも、あなたの状況や心情が伝わるようになっています。その収集したデータの中から世界に何か都合が悪いことがあったら、私が対処するつもりです。」


 そういうことだったのですか。


「しかし、神様でしたらすべての事を把握できたりしないのですか?」

「可能ではありますが、基本的には介入しません。(非常に疲れますし・・・)」


 え? そうなのですか?なんか、心の声が聞こえた気がするけど。。


「驚いているようですが、神という存在は世界のバランスを調整する役割なのです。なので、過度な干渉はしませんし、大きくバランスを崩しそうな時だけ介入します。あなたは私の都合で別の世界に放り込んだので、特例中の特例です。それに、あなたに対して介入するのは、あなたが死んだ時だけですよ? 簡単には死なないとは思いますけどね・・。もし死んだ場合は、希望した場合のみ一度だけ生き返る機会をさしあげます。」


 どうやら、俺が死んだ時には介入するつもりのようです。


「わかりました。これからも、のんびりと過ごしていきたいと思います。」

「はい、好きに生きてよいですからね。この世界を救ってくれてありがとう。」


 そこで俺は目を覚ました。世界を救った?魔力がつきると世界が崩壊するのか。


 俺は、神様には似ても似つかない石像を見てため息をついた。この国の宗教は神様とは違う者を信仰しているのでしょうか?


 少し残念な気分になった。まぁあの神様は、いちいちその様なことを気にしないですね。


 俺だけはあの神様を信仰しよう。そう心に決心するのでした。


 あ、神様の名前を聞くの忘れました。もう一度、神様に名前を聞こうと祈りを捧げましたが、神様に会うことはもうありませんでした。


 仕方なく、教会を後にすることにします。


 教会から外に出ると、何やら騒がしくなっています。都市の衛兵達が目の前に沢山います。

どうしたのでしょうか?


 すると、リーダーと思われる者が大きな声で言います。


「我は、コルダヴァ領軍の少佐ベルモントである。ドラゴンを連れた冒険者がいると報告があった。貴様で間違いないか?」

「違います。」


 そそくさと、俺たちは立ち去ろうとする。


「まてまてまて、その態度はどう考えても怪しいだろう。」

「しかし、私たちがドラゴンに見えるのですか?」


「門で受け付けた衛兵によると、人族に化けていると言っている。本当にドラゴンを従属させているのなら領主様が見てみたいと仰せだ。大人しくついてこい。」


 いつかはこうなるとは思っていたが、面倒なことになりそうだ。


 エミュさんが、ベルモントに聞こえないくらい小さな声で話しかけてきた。


「ご主人様、この人間を殺してよいですか?」

「物騒なこと言わないでください。」

「しかし、ご主人様に命令するなど許しがたい。この国を滅ぼしましょう!」


 ドラゴンはどうしてこう・・・、好戦的なのだろう。今は、竜神族ですが。


 確かに、竜神一人でこの王国を滅ぼそうと思えばできるだろう。もちろん、俺にだって可能だろう。


 しかし、俺はこの世界にのんびりするために来たのです。別にこの世界を征服するために来たのではないのです。ん? でもこの世界を支配すればのんびりできるのでは?


 いやいや、俺まで戦闘好きになってはいけませんね。。一般の人が命を落とすような事はしたくありません。


「領主に会う機会なんて、滅多にないのだから会ってみますか。敵対するならば殺せばいいですし。」

「ご主人様に従います。」


 エミュさんも同意してくれました。俺はベルモントさんに言います。


「わかりました、領主に会いましょう。案内してください。」


 そして、俺たちは領軍の兵士達について行った。




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