召喚された?
俺は森の中で寝ています。
倒れていると言った方が正しでしょうか。
右を見ても、左を見ても木が沢山見えるだけ。
上半身を起こしてみると、手につめたい土の感触が伝わってきます。
「俺は生きているのでしょうか?」
周りを見ても木が生い茂っていて薄暗い。
やはり、ここは森の中のようです。
枝葉の隙間から光の筋が金色に輝いて地面まで降りている。その光の道はいくつも降り注いでいた。
どうも意識がぼーっとします。
今日の1日の出来事を思い出してみましょう。
いつものように仕事に行く途中、それは目の前にありました。丸い光の塊のような物が空中に浮かんでいます。不審に思った俺は、その球を避けるように歩いたのです。しかし、光から手のようなものが伸びてきました。その手のようなものに引きずり込まれたのです。。
その後の記憶はありません。
気が付いたら森の中に倒れていたのです。
ここはどこでしょう?当然、知らない森の中です。俺だって、山にハイキングなどには来たことはありますが、ここは道も整備されてはいないようです。道というよりは獣道ですね。
立ち上がって、ズボンについた土を手で払いのけます。朝着ていたスーツは、いつの間にか、白いシャツとズボンに変わっていました。倒れていた場所にはいくつかの小物が落ちてます。小さな小槌、大きめの袋、つばが無い帽子。
数秒その小槌を見ていると、何やら目の前に四角い画面が出てきました。
そこには、【打ち出の小槌】と表示されています。
なんですかこれは。
よくSF小説などで出てくる空中に浮かぶスクリーンに、文字が浮かび上がっています。その画面には、【願いながら小槌を振ると、その願ったものがでてくる不思議な小槌】と、記載されています。
そのような小槌を俺は知っています。
そう、七福神の大黒天様が持っている小槌でしょう。
次に、大きめの袋を見ると【なんでも収納取り出しができる便利な袋】
帽子は【頭が良くなる帽子】
うーん、ここはファンタジーの世界なのでしょうか?小槌を拾うと、喉が渇いたので水よ出ろと願ってみました。すると、小槌から水がパシャッと地面に落ちたではありませんか。
「本当に出てきました。」
今度は、水が漏れない木の桶に水がたっぷり入って出ろっと願いました。同じように小槌を振ると、今度は木の桶に水が入ったまま出てきました。その水を少しだけ指につけて舐めてみます。
「うん、飲めますね。」
どうやら、飲める水のようです。舌に変な痺れもないし、少し飲んでも異常はありません。これで、しばらくは死なずにすみそうです。
・・・いや、何で落ち着いて水を飲んでいるんですか。。
ここはもっと焦るべきです。
ここは異世界なのでしょうか? よく小説とかである異世界物の主人公? あれ、神様とか会ってないんですけど? よくある神様から貰えるユニークスキルは?
うん、考えても答えは出てきません。
大きな袋を拾い上げて何か入っていないか手を突っ込みます。すると、頭に不思議と今袋の中に入っている物が頭の中に浮かびました。うん?手紙ですか?手を袋から取り出すと、手紙が出てきました。
『突然ですがあなたは選ばれました。新しく作った世界にご招待します。3つの神具を与えます。それらを使って、好きに生きてください。そのデータを分析して今後の参考にさせていただきます。まず、帽子をかぶってください。以上。神より』
「なんですかこれは。」
どうやら新しい世界とやらに招待されたらしいです。
意味がわからないまま、指示の通り帽子をかぶります。
うっ・・・。
思わず呻き声を上げてしまう。帽子をかぶった瞬間、膨大な知識が頭の中になだれ込んできます。おそらく、初めてかぶった時に知識を授ける魔法がかけられていたのでしょう。一瞬でこの世界の全てを知ることとなりました。
「あ、頭が割れる様です。いててて。。」
たまらず、その場にしゃがみこむ。この知識量、あきらかに人間の脳の容量では覚えきれないと思うのですが。嫌な予感がして、覚えたばかりの魔法を行使します。
頭の中で、『ステータスオープン』と唱えると透明のウインドウが開きました。
そこには・・・
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名前、ゆうじ
年齢、16歳
種族、ハイヒューマン
職業、神の使徒
レベル、無限大
HP、無限大
MP、無限大
力、無限大
体力、無限大
知力、無限大
素早さ、無限大
精神力、無限大
運、無限大
スキル、なんでもあり
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う、うん。
見なかったことにしよう。
その時だった、後ろの茂みからガサガサ音がした。