六話 その0歳児、才能開花
初めて魔法を使ったから一週間がたった。それから母さんの指導は主に魔力操作と初級魔法の〈ウォーター〉で出力の調整だけだった。その理由を聞いてみたら。
「ジンの魔力量はとても多いみたいなの。だからこのままだと初級魔法でも間違えたら辺りを破壊してしまうかもしれないよ。だから魔力を完全に操れるまで次には行けないの。だから頑張って!」
とのことだった。ただ昨日魔力操作を母さんの前でやってみたら「すごい!すごい!」と言っていた。そして今日とうとう次の段階に行ける。
「今日から次の魔法を教えるわ。初級魔法〈ウォーターボム〉という魔法よ。この魔法は簡単に言うと水の玉を飛ばしてぶつけるものよ。まずは詠唱を教えるわ。〈我・精霊の力を借り・水を撃ち出す〉よ。精霊の力というのが威力の上昇と撃ち出すというのが現象を起こすの。いいわね。早速行くわよ。
〈我・精霊の力を借り・水を撃ち出す〉〈ウォーターボム〉」
そして母さんの手から直径1メートル程の水の玉が撃ち出され木に当たった。少し木が揺れていた。
あれくらいの魔力量だけでいいのか。
「さあ。やってみて」
「はい〈我・精霊の力を借り・水を撃ち出す〉〈ウォーターボム〉」
そして俺は母さんと同じ魔力量にして発動した。特に変わったところはなく普通に発動できた。
「しっかりと魔力は操作できているわね。じゃあ今度は魔力今と同じで詠唱なしでやったどうなると思う?」
「威力が落ちる?」
「そうよ。いくわね」
そして今度はさっきの半分くらいの水の玉が撃ち出された。
「詠唱なしだと威力がガクっと下がるのよ。そして魔力量を二倍くらいにするとこうなるわ」
詠唱した時と同じ威力で発動した。
「いい。これが無詠唱よ。詠唱なしで詠唱ありの時の威力を出すの。でも魔力を多く使うから対人戦くらいにしか役に立たないわ。あと私は二倍の魔力で済んだけど魔力操作が完全にできないと無理だわ。ただ魔力操作を完全にするにはだいたいこれだけに時間をつぎ込んでも3年はかかるのだけど」
あははは。なんかめっちゃすごいことしてた!三年間やってできるのをたった一週間でやってしまった。常識を知らないせいか?いやでもまだ0歳児で常識を知っているのも変だし。
「ジンあなた驚いたって顔してるけど。本当にすごいことなのよ。ああやっぱりジンは天才だわ!!」
うん。母さんが親バカでよかった。
「さてと。ジンにはできるかしら?」
「うん。じゃあやってみるね。さっきの二倍でいいんだよね」
「ええ。間違っても多く魔力を込めちゃだめよ」
そうして俺は注意されたにも関わらず間違えてしまった。
「あ!」
「え?」
結果俺は木を倒してしまった。う~ん。次からはしっかり気を付けないとね!
「ジ~ン。気おつけてって言ったのに」
「ごめんなさい!」
「まあいいわよ」
そうして母さんは木に近ずいて何かを言って木に手を置き光りだした。木が元にもっどた。
「母様!何をしたのですか!?」
「今のはね。生命魔法の〈アクティブ〉よ。生命力を活性化させたの。生命魔法は生物に関わるものが多いのよ」
「それは僕にもできるようになるの?」
「ええ。ジンも適性を持ってるもの。努力していけばできるようになるわ」
よし!これで大切な人が目の前で死ぬのがなくなるかもしれない!もっと頑張らないと。
「ジン。今日のことは反省しなさい。これから失敗しにように頑張りなさい」
「はい!」
そうして今日の魔法指導は終了した。
~ マーカスside ~
ジンの魔力指導が終わった日その夜。シャリアとマーカスはジンのことを話していた。
「本当にすごいのよ!もう無詠唱のレベルが私と同じくらいなのよ!」
「ああ。分かっている。本当に天才の言葉でかたずけていいのか困るほどの天才だな」
これはすごいなんてことで済ましていいものではないと思うが。まあ。あいつが二ヵ月くらいしたら来るって言っていたか。まあその時に相談するか。
「魔法に関してのセンスがずば抜けているのよ。でも私が教えられるのは二属性しかないから全部教えられないのが残念だわ」
「まあ。仕方ないな。だがその分知っていること全て教えればいい。それに常識や身の周りのことも親として教えることが多い。これからやっていけばいい」
「ええ。そうね。ありがとう」
そうしてこの二人の空気は徐々に甘い空気になっていった。そしてシャリアが眠りに着いた頃その横でマーカスはジンのことを考えていた。
「ジンの才能は王国の魔導師らと同格以上のものだ。これからどうすればいいのだ」
マーカスはこれからのジンの成長に不安と心配をしていた。
それから二ヵ月後。ジンの誕生日を迎えたのだ。