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月光が照らす世界  作者: 古炉奈
本編
6/19

動く月光

会議室ではまだ二人の人物が話をしていた。ミサオとリュウセイだ。


「シテ今回ノ任務ノ事シッカリト確認シテオキタイノダ。教エテクレルカリュウセイ?」


「分かりました。全くヒナさんにもミサオさんを見習ってほしいものですね……」


「ヒナハ戦闘専門。頭ヲ使ウ事ハリュウセイヤホタルガスベキダ」


「まあ、そうなんですけどね……」


ミサオが正しい事を言っているのは分かっているのだろうが、リュウセイはどこか納得できない様だ。


「マア、イイ教エテクレ」


「はい今回の任務はまず如月玄武の暗殺ですがまず如月玄武の事について話します」


「ウム」


「まず如月四兄弟については知っていますよね?」


リュウセイが言うとミサオ不機嫌になったのか少し空気がピリッとした。


「分カッテルノダ! 長男デ【迅速】ノ『如月(きさらぎ) 白虎(びゃっこ)』。次男デ【剛力】ノ『如月(きさらぎ) 朱雀(すざく)』。三男デ【鉄壁】ノ『如月 玄武』。ソシテ、四男デ【妙技】ノ『如月(きさらぎ) 青龍(せいりゅう)』ノ四人ナノダ」


「はいその通りです。まあ四兄弟言ってもいまや二人しかいませんがね」


「二ツ名持チノSS級ノ魔術師ト言ッテモタイシタコトナカッタナ」


リュウセイは引き攣った笑みを浮かべて


「そんな事を言える人はなかなかいませんよ」


二つ名。それは強い魔術師に与えられる勲章の様なものだ。その者の戦闘スタイルや容姿を表したものがほとんどで、S級の魔術師の中でも二つ名を持っている者は少ない。


だが魔術師の強さは二つ名だけではなくランクがある。ランクはE級〜SS級で表される。


S級魔術師でも化け物じみた力を持っている。だからその上のSS級魔術師が暴れたりするならば対魔術師の軍隊が出てくる事が当たり前である。


そして月光ファミリーはS級魔術師とSS級魔術師のメンバーで構成されている。


ホタル、ヒナ、リュウセイ、ゲンゴはその魔法の強さからS級魔術師である。


そして、マヤとミサオはSS級魔術師だ。なぜ二人だけがSS級になれたのか? 理由は単純。強い魔術師を正々堂々と倒したからである。


その強い魔術師というのがSS級魔術師で対犯罪組織部隊【天照(アマテラス)】の中でも最強と言われた男でもあり天才と言われた如月四兄弟の四男と次男でもあったのセイリュウとスザクだ。マヤはスザクをミサオはセイリュウを倒しSS級魔術師になった。


「そのキサラギゲンブですがどうやら対犯罪組織部隊を創成しようとしてるらしいです」


「ナルホド……天照ガ壊滅シタ今犯罪組織ノ活動ガ活発ニナッテイル、ソレヲ抑制スルタメカ」


「まあ、僕らからしたら邪魔なんですよ。だからコウガさんが暗殺を決めたんじゃないんですかね」


ミサオは腕を組んで考え込む。


「今回ノ任務ハ単純ダガ難シイダロウナ」


「ええ、だから僕たちがしっかりサポートしましょう」


二人の会議はしばらく続いた。



◇◇◇



「準備できたか? ホタル」


マヤが制服に身を包みながら聞く。しかし、どこか着慣れていないのか落ち着きがない。


「問題ない。マヤこそ大丈夫?」


「ちょー余裕」


そう言うが表情はとても余裕ではなさそうだ。


「マヤちゃんと力セーブしてよ」


「まかせろ。光と闇属性しか使わないから」


そう答えると二人は歩き出した。目的地は六色学園。



◇◇◇



とあるビルの一室そこに少女がいた。


雪を連想させる白い肌に白い髪。赤い瞳は小動物のようにクリッとしている。服は黒をメインにしたゴスロリのドレス。まるで異国のお嬢様のような風貌の少女だ。


しかし、少女は明らかに異質だった。彼女の周りには奇妙な形をした人形が少女を囲うようにして配置されていたのだ。


半身が異様に大きくなっている人形や片腕が刃物になっている人形。足がキャタピラになっているものもある。


そんな奇妙な空間で少女は気にすることもなくテーブルにつき、本のようなものを読んでいる。


「はぅ……」


その表情は恍惚としていてとても幸せそうだ。


そんな時だった。扉がノックされた。どうやら誰か来たらしい。少女はあからさまに不機嫌な表情をして扉を開ける。


扉から大柄のスキンヘッドの男が現れる。ゲンゴだ。


「作戦がそろそろ始まるぞ」


「分かってるのだ。邪魔しないで欲しかったのだ」


ゲンゴが言うと少女は不機嫌な表情を保ちながら返答する。


「邪魔……? ああ、それか」


男は怪訝な表情を浮かべたがテーブルの上に置いてある本を見て納得したようだ。


「作戦といっても私たちはただ暴れるだけ……気楽にいけばいいのだ」


「そうかもしれんな。しかし、前から思っていたがその本は処分すべきだ。マヤに見つかったらなに言われるか分かんねぇぞ」


ゲンゴは本を見つめて注意する。彼も一流の魔導師だがこの本はヤバイものだと分かっている。


「見つかるようなへまはしないのだ。それにこの本は我がバイブル捨てられるわけがないのだ」


少女は高らかに宣言する。


そして、男はため息を吐き呆れる。この少女も普通に見れば美人だがゲンゴは思う。こいつだけには好かれたくないと。


「まあ、いっか……俺知らね」


そう言ってゲンゴは本に目を向ける。『マヤ様観察日記』その本のタイトルだ。


そうこの少女はストーカーというやつなのだ。


「とりあえず準備だ。ミサオ。今回はどれを使うんだ」


そうこの少女こそ【月光ファミリー】のメンバーの1人月光 操だ。正体は可愛い少女なのだ。だが彼女の魔法は……


「今回は試作段階だがこいつを使うのだ」


そう言って一体の人形を指さす。指をさされた人形は丁寧にお辞儀する。


ミサオの魔法は人形操作(マリオネットコントロール)というものを扱う。人形と五感を共有し操作する魔法だ。


この魔法は創造魔法(オリジナル)で彼女にしか扱えない。しかも、遠隔操作が可能で彼女自身が手を下さなくても戦える。


作戦会議に現れた黒い騎士も彼女の人形だ。この他にも彼女は色々な能力をもった人形を大量に持っている。


「今回の人形は『爆天鬼』試作型なのだ。いいだろう! この美しいフォルム! それにここにはな……」


ミサオが嬉しそうに人形の説明を始める。ゲンゴは呆れた表情で話を聞いている。こうなるとミサオは長い。早く終わらせるには出来るだけ相槌をうち適当に聞き流せばいいと分かっているのだ。


「はあ、とにかくしっかりやろうぜ」


「え? ああ、そうだな。それよりもここを見るのだ! ここはな……」


『粉砕王』のゲンゴ。『正体不明』のミサオ。2人の魔術師が動き出す。

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