バスター・ブレード(3)
多少の残酷表現を含みます。
改行、表現その他、読みやすく直しました。(2016.8.15)
数日後、レオンは家の外で薪を割っていた。
本日の食事当番は、ケインの方であった。
(ふ~ん、いい匂いじゃないか。あいつ、最近料理上手くなってきたな)
近頃、レオンはケインの夕飯が楽しみになってきていた。
斧を振り上げ、薪を割るが、薪は最後まで割れず、斧も途中までしか切り込まれていない。
微妙に手元が狂ったのか?
自分の右手を眺めながら、指を動かす。
少し、痺れているような気がする。
(最近、ごくたまにだが、右手が痺れることがあるような……)
「レオン、晩飯出来たぞ!」
窓からケインが顔を覗かせた。
レオンは、痺れを振り落とすように手を振りながら、家の戸口に向かう。
「なかなか美味いじゃねえか」
肉の煮込みをかじりながら、レオンは称賛していた。
「肉屋のオバちゃんに聞いたんだ」
ケインが得意になって、手を腰に当てた。
「おお、あのオバちゃん、いろんな料理知ってるからなぁ。ケイン、お前、『おかみさん』に向いてんじゃねえの? 顔だってさ、昔っから、目がデッカくて、女の子みたいだったしさ」
レオンがからかう。
途端に、ケインは膨れっ面になった。
「なんだよー、カオのことは言うなよ。これでも、コンプレックスなんだからな!」
「美少年だったって、褒めてやってんじゃねえか」
「美少年とは違うことくらい、俺だってわかってるよ! 男らしくない顔だってだけだろ? 小さい頃、よく女に間違われてたんだ。『ママそっくりのかわいい女の子ねえ!』な~んて近所のおばさんにも言われたしさー。
それがいやだったこともあったけど、産みの母さんがまだ亡くなる前に、ちょっとだけ剣を教えてもらって、――多分、母さんは、自分の命があと僅かだってわかってたんだろうな。いざという時のために、俺がひとりでも自分の身を守れるようにって、思ったんだろう。
俺は、女の子みたいって言われるのが癪で、病気がちな母さんを守れるように、強い男になりたくて、稽古してた。でも、野盗には、全然通じなかったけどな」
ケインの話を聞いているうちに、レオンも、彼との出会いを思い起こしていた。
「そう言やあ、お前、いい構えしてたもんな。あの時、その構えを見て、もしかしたら、こいつはすげえチビなんじゃねえかって思って、ちょっと戦闘振りを拝見してたら、まだあんまり実戦には慣れてなさそうだったから、慌てて止めに入ったんだったな」
「あっ、ひどいな! いたいけなコドモが虐待されてんのを、黙って見てたのか?」
ケインが笑う。
「それにしても、お前のかーちゃん、すげえな! 女戦士だったのか? 剣を教えられるなんて、そんな女、滅多にいねえぞ」
「ううん、母さんは普通の人だったよ。俺がまだ三歳くらいの時に聞いたことだから、ちゃんとは覚えてないんだけど、母さんのお父さん、つまり、俺のじいちゃんは、武道の達人だったんだって。俺の父さんだった人も、じいちゃんの弟子の一人で、一流の武道家で剣士だったらしい。会ったことはないんだけどね。それで、かあさんも護身くらいはできたらしいよ」
レオンは、突然真顔になり、ケインをじっと見つめた。
それには気付かず、ケインはパンをかじり、煮込んだ肉を頬張った。
「……ケイン、お前が生まれた村は? 確か、お前は病気の母親と、旅の途中で立ち寄った村に、そのまま住んでたよな? その前にいた村の名は……?」
ケインの顔をじっと見据え、レオンは慎重に尋ねた。
「そうだなあ、何ってったっけなあ。……確か、ネル――いや、違う、ルーヴェなんとか……忘れちゃったよ」
そう言ってスープを啜る彼をしばらく見つめ、レオンは、まるで答えを聞くのを恐れてでもいるかのように、躊躇いがちに、再び尋ねた。
「……お前、いくつになる?」
「やだなあ、レオン、俺のトシ、忘れちゃったのか? 一五だよ」
ケインは煮込み汁を最後まで啜り終えると、席を立った。
レオンはずっと黙りこくってしまい、食事の手も止まっていた。
それへ、ケインは、ちらっと目をやっただけで、そのまま自分の分の器だけを、流し台へ運んだ。
(……もしかしたら、……いや、そんなはずは……だが、でも、……いや、しかし……)
レオンの思考は、同じところを、ぐるぐると回っていた。
とっぷりと日が暮れていた頃、一台の幌馬車が、森の中、典型的な山賊の格好をした男たちに、襲われていた。
幌馬車が転倒すると、二〇人もの山賊たちは、大きな段平や斧を、逃げ始めた二人の男女と、ひとりの子供に向けて、追いかけっこでも楽しむかのように振り回していた。
「待て!」
山賊が、声のする方を振り向く。
暗がりの中から現れたのは、闇のような黒い髪を後ろで束ねた、浅黒い肌の男だ。
手には、段平にしては大き過ぎる剣を持っている。
「なんだ、てめえは!?」
賊たちは、凶悪な顔で、レオンを睨む。
「俺は、お前たち賊に関しては、ハナが利くんだ。ちょっと荷馬車の音が聞こえたもんで、こんな夜遅くだから心配して様子を見に来てみれば、案の定ってわけだ。ついでに薪でも拾っておくか」
と、わざと大袈裟に、肩を竦めてみせた。
「なんでえ、キコリか? ふざけた野郎だぜ!」
禿げ頭の男が、バカにしたように言った。
「罪もない人々を襲うのはやめな。暴れたいんだったら、俺が相手になってやるぜ」
レオンがにやっと笑い、手にしたバスターブレードを、挑発するように振ってみせた。
「へん! 誰が、お前みたいなつまんねえキコリ野郎なんぞ、相手にするか! こっちの方がいいに決まってんじゃねえか!」
そう言った禿げ頭の賊が、目の前の女を押し倒した。その途端——
男の横顔に、レオンの飛び蹴りが食らわされた。
賊は、悲鳴を上げながら、ごろごろと転がった。
「……や、野郎! よくもやりやがったな!」
捕まえていた男と子供を放り出し、賊たちは、すべて、彼を取り囲んだ。
「そうそう、そうこなくっちゃな!」
レオンは山賊に向かい、フッと笑ってみせた。
女は彼に助け起こされ、連れの男と子供のもへと走る。
どうやら家族のようだ。
レオンは、目の端にその様子を見て安心し、賊を見据える。
その時だった。
ぐるるるるるるるる……!
獣のうなり声に近いものが、辺りに谺した。
山賊たちも驚いて、辺りを見回す。
レオンが小さく舌打ちした。
「魔獣か!」
彼の低い呟きに、賊たちの中には「ひっ!」と叫ぶ者もいる。
「夕方ならまだしも、こんなに日が暮れちまってたら、そりゃあ魔物も出るわな」
レオンのセリフに、怯え出す賊の数も増えていく。
そして、森の奥から、『ざわめき』がやってきた!
「ひゃあーっ!」
「うわあああ!」
賊のひとりが恐怖に耐えられず絶叫すると、火がついたように、次々と騒ぎ始めた。
レオンは、剣を掴む手に力を込める。
『闇に棲まうものたち』は、今、その姿を露にした!
ヒトなど簡単に飲み込めそうなほどの、大きく鋭く尖った嘴を持つ、巨大なトリであった!
といって、羽のようなものは一切なく、代わりに、固そうな赤い皮膚が全身を覆う。足の爪も鋭く、翼の角にも、同じような角張った爪を生やす。
その巨大トリに続くものは、ヒトよりも少し大きい程度であったが、上半身がトリ、下半身がヒトで出来ているという、おぞましい姿で、その数は何十匹といたのだった。
「なんだ、こいつらは!?」
山賊たちが悲鳴のような声を、それぞれ上げる。
「ミドル・モンスターだ! 召喚した魔道士が、近くにいるはずだ!」
レオンが叫び、油断なく辺りを見渡す。
ふと、巨大トリの嘴の脇が、赤く濡れているのが目につく。ヒトの衣服のような切れ端が、爪の先にもついていた。
「召喚した後、喰われたな!? ちっ! 誰だか知らねえが、生半可な魔術で、モンスターなんか召喚すんな!」
レオンが、憎々し気に、モンスターを見上げる。
「いやだあ! 俺は抜けるぞ!」
モヒカン刈りの男が、武器を放り、走り出す。
その途端、トリ顔の獣人モンスターたちが、さっと男を追いかけた。
瞬く間に、男は囲まれてしまい、絶叫と共に、姿が見えなくなっていった。
「ああっ! アル!」
「アルが喰われた!」
半狂乱になった賊たちが、逃げ惑う。
巨大トリは、バサッバサッと翼を羽ばたかせた。恐れおののく人間たちに向かい、強風が襲いかかる。
レオンはバスターブレードを構え、一気にモンスター目がけて突進した!
が、トリの本体に斬りつけるまではいかず、盾にした翼を傷付けたに過ぎなかった。
彼の腕には、強い衝撃が走り、危うく剣を落としてしまいそうになる。
「……またか!?」
レオンの剣を持つ手は、薪を切っていた時のように、再び痺れていた。
山賊たちの上げる悲鳴が、徐々に少なくなる。
巨大トリの耳障りな雄叫びが、辺りに響き渡り、山賊を相手にしていた獣人モンスターたちが、わらわらと集まる。
(来るーー!)
ただならぬ気配を感じたレオンは、剣を左手に持ち替えると、悲鳴を上げる三人の家族連れを後ろに庇い、魔獣の前に立ちふさがった。
「なんだ? 今の変な声は?」
ケインは、寝室のベッドのシーツ直す手を止めた。
近くに見える森が、なんだかざわめいているような気がして、不審に思い、窓の外に目を凝らす。
「なあ、レオン、森の方でーー」
レオンの寝室を覗きにいくが、彼の姿はない。
ケインは落ち着かない気持ちになり、剣を手にすると、ざわめく森へと駆け出していった。
「おーい、レオン! どこだー!」
森の中へ入ろうとして、ケインはピタッと足を止めた。
「……血の匂い……!」
それは、戦場で嗅ぎ慣れた匂いであった。彼は、妙な胸騒ぎがして、走り出す。
「なんでこんなところで、血の匂いなんか……? もしかして、野盗か!?」
いくらもいかないうちに、また足を止める。
ヒトの頭が落ちていたのだった!
恐怖のために開き切った目と口、バラバラになった腕や足には共通する、何かに喰いちぎられたように抉れた跡。
革のベルトの切れ端、斧、段平——辺りには、山賊だったものの残骸が、飛び散っていたのだった。
「こ、これは……、人間の仕業じゃない!」
ケインは、レオンの名を呼びながら、奥へと入って行くと、子供の啜り泣く声が遠くから聞こえてきていることに気付いた。
「わあ〜ん! わあ〜ん!」
子供の姿は見付からないが、その声は、正面の岩の辺りから聞こえてくるように思えた。
「おーい、誰かいるのか!」
ケインが歩み寄っていき、岩の前まで来て、ハッと息を飲んだ。
「……レオン!」
ケインの半分くらいの高さの、その岩だと思っていたものは、レオンの座っている姿であった!
「レオン! ……レオン! どうしたんだ!? 何があったんだ!?」
ケインは、必死に彼を揺さぶった。レオンの目が、うっすら開いた。
「……よう、ケインか……?」
レオンは、にやっと笑おうとして、苦しそうに片目を瞑る。
「レオン、どこかケガしてーー」
「うわ〜ん!」
いきなり、ケインの懐に、小さな子供が飛び込んだ。
それまで、レオンが抱いていた子供だった。
「この子は?」
「……守りきれなかった……その子だけしか……」
苦しそうに、レオンが呻く。
泣いている子供を抱えると、ケインは、ハッとして、レオンの後ろに転がっているものを見つめた。
それは、二体の変わり果てたヒトであったものの姿だった。
その奥には、巨大なトリのようなものが、全体を黒ずんだ緑色に染めて、転がっている。
その周りにも、黒ずんだ物体が、てんてんと散らばっていた。
「な、なんだ、あのでっかいトリは! それに、あの黒いやつらはーー!」
「モンスターだ」
うろたえるケインに、レオンが呻くように答える。
「あれがモンスターだって!? あんなデカいヤツが、モンスターだっていうのか!?」
「……あれは、夜になると、山や森をうろつく下等なモンスターどもとは……わけが違う。……もう少し強力なモンスターだ。あんなものは、滅多に出て来るモンじゃねえんだが、……呼び出したヤツは喰われちまったらしい。……それより、その子をーー」
ケインが、レオンに肩を貸そうと、彼の身体を起こすが、彼は、そのまま俯せに倒れた。
「……レオン?」
ケインは、ハッと息を飲んだ。レオンの背には、深い傷が三本、斜めに走っていた。
段平や斧などの刃物で斬りつけたような、きれいな切り口とは異なる、何かで抉ったような、まるで、巨大な野獣の牙か爪のようなものの跡であった。
(さっきのでかいモンスターにーー!)
「待ってろ、レオン! 今、『せんせい』のところへ連れていくからな!」
ケインはレオンを担ぐと、泣いている子供の手を引っ張りながら、出来る限り急いで森を抜けていった。
「まったく、悪運の強いヤツじゃ!」
村の医者である魔道士の家に着いた時、レオンは、寝台の上に横たえられ、白髪頭に白い口髭を生やした、太った老人の治療を受けていた。
治療といっても、老人が両の掌を、レオンの怪我の部分に翳しているだけで、レオンの背を抉った深い傷は、みるみる塞がっていったのだった。
「おぬしたちの見たものは、おそらく、ミドル・モンスターじゃな」
『治療』をしながら、老魔道士は、真剣な表情になる。
「最近、よくない噂を耳にしたのじゃが、モンスターを召喚した魔道士が、次々と、自分の呼び出したものに喰われていっているらしい。制御出来ぬのなら、始めから召喚しなければいいのじゃが、どうやら、召喚したものとは違うものが出て来てしまっているというのじゃ。
『魔道士の塔』が調べたところによると、どうも『時空の歪み』というものがあちこちに出来ていて、そこを通って、少々厄介なレベルのモンスターどもが、この世界に現れ始めているそうなのじゃ」
ケインは、驚いて、老魔道士の顔を見つめた。
レオンは驚いてはいなかったが、話には聞き耳を立てている。
「ほれ、もうだいたい良いぞ。発見が早かったからの。もうちっと遅かったら、傷口が化膿してしまい、治療中もっと苦しむことになったじゃろう」
太った老人は、俯せているレオンの背を、音の出るほど強く叩いた。
「ちぇっ、なんでえ」
レオンは、面白くなさそうに口の中で呟き、起き上がって、ぼろぼろになった衣服を着ようとして、やめた。
「まったく、ムチャすんなよ。もうい加減オヤジなんだからさ」
ケインが、ほっとしたように、その様子を見て、わざとからかうような口調で言った。
「ケイン、その子をリディアのところへ連れていっておあげ。まだ施設におるじゃろうからな」
「うん」
ケインは、老人に頷くと、泣き止んで放心してしまった子供の手を引き、部屋を出て行った。
「さて、レオン、そっちの手を見せてみよ」
ケインの姿が見えなくなると、老人は、真剣な表情になり、レオンを見た。
「ちっ、せんせいの目はごまかせねえか……」
レオンは諦めたように笑うと、素直に右手を差し出した。
魔道士の老人は、その手を取ると、しばらく無言で見つめていた。
端で見ている分には想像もつかないことであったが、老魔道士は、レオンの手に、全神経を集中させていた。
つまり、魔力を使い、『診ている』のだった。
「……どうだ?」
心配そうに、レオンが魔道士の顔を見る。
魔道士は、溜め息をついてから、口を開いた。
「剣を振るのは、これからは、大分難しくなってくるじゃろうな。このての病気は、ワシの魔力を持ってしても、完治は出来ないじゃろう。もっと上の魔道士なら、可能かも知れぬが……。どうじゃ、『魔道士の塔』へ行ってみるかね? もっとも、このままでも日常生活には差し障りはないが」
レオンは老人の話を黙って聞いていたが、やがて、首を横に振った。
「いや、いい。あんたには、いつも良くしてもらってて悪いが、俺は魔道士なんぞが集まってる得体の知れねえところには、行く気はしねえ。死ぬほどの病気でもないんだったら、なおさらだ。例え、そうだったにしても、無理にあがこうとは思わねえ。
俺は、ヒトは、自然にしてるのが一番いいって思ってるからな。得体の知れねえ魔術なんかで生き長らえても、そんな不自然なことをする方が、後で怖い目を見るような気がするぜ」
「まったく、おぬしの魔道嫌いも筋金入りじゃな! まあよい。さっきも言った通り、死ぬほどの病気というわけではないからの。ただし、その手で剣を振るのは、もう無理じゃ。特に、その大剣はな」
「わかってるよ。これからは、左利きに転向するよ」
レオンは老魔道士に向かい、苦笑いした。
老魔道士は、笑いもせずに、それを見ていた。
「それより、せんせい、さっきの話だと、その……さっき俺が戦ったデカい魔獣は、これから頻繁に現れるかも知れないのかい?」
「おそらく、そうじゃろう」
「ーーとなると、ケインにも、対魔物用の剣を持たせてやんなくちゃなんねえな。だが、並の鍛冶屋じゃあ、そんなモン作れないだろうから、腕のいい鍛冶屋ってのを、探さねえとな。それも、結構、魔の世界にも精通しているような、そんなヤツいるのか?」
「おるとも。ごく少数ではあるが、東方のある小さな国とか、中原のアストーレ王国あたりにも、そんな鍛冶屋がいるらしいということは聞いたことがある。その鍛冶屋を当たってみるか?」
「東方にしても、中原にしても、ここから、大分あるなぁ。そこへ向かう最中に魔物に出てこられでもしたらーー」
「または、普通の剣でも魔力を吹き込めば、魔物にも効くという。だが、ワシ程度の魔力では、たかが知れておるし……。それこそ、『魔道士の塔』の上級魔道士の方に頼めば、絶対なのじゃろうが、……たくさん金を取られるかも知れぬぞ。あそこは、結構がめついからのう」
老魔道士は、太った身体を揺すって、ひとりでおかしそうに笑っていた。
レオンは、黙って腕を組み、考え込んでいた。
「そうそう、それと、もうひとつ方法はあるぞ」
老人は、何かを思い付き、明るい声を出した。
「おぬしのバスター・ブレードのように伝説の剣なら、魔物斬りなど簡単じゃ。金はかからんが、その代わり、……命の保証はないがのう」
老人は冗談めいた口調であったが、目は、真剣にレオンを見ていた。
レオンも顔を上げ、はっとしたように、老人を見る。
「……伝説の剣のひとつ、『マスター・ソード』の眠っている地は、ここからそう遠くはないはずじゃ」
老魔道士は、もう笑ってはいなかった。
「……マスター・ソード……!」
レオンと老魔道士の目が、正面からぶつかり合った!